念願の熊野三山と那智の滝を訪れた充実の秋

熊野本宮大社
世界遺産に登録されたからというわけじゃないが、前から熊野三山に詣でてみたいとは思っていた。すいません、信仰云々よりは純粋に観光面の興味からです。しかし限られた日数でまわるには車を利用することになるだろうし、山間部のワインディングロードが想像される道中の運転、はたして自分の手に負えるかどうか。

そんなこんなで躊躇しているうちに永遠の課題となりかけたところ、幸いにも仲間内の「人生で一度は行ってみたい」シリーズ企画案にあがったのである。はい大賛成。やるなら今しかねえ。

結果的には紀伊半島ツアーという少し大きなくくりの中で2日間にわけて3つの神社をまわった。当然ながら有名な那智の滝も見ることになった。念願成就でございます。

第1部:熊野本宮大社

他力本願(?)で来ちゃった

熊野三山とは熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社を指す。正式な参詣の順番もこの順だとされている。それ以上の詳しいことは正直わかりません。全国の熊野神社の総本山で古くから信仰を集めていたとか、世界遺産に登録されたとか、その程度しか知らない。でも行ってみたいのだ。

今回は正式な順番でまわるようにコースが組まれた。最初の熊野本宮大社は2日目の午後、瀞峡舟下りを終えた後に当日最後の訪問先として計画された。瀞峡から現地までは車で30分。運転は熟練ドライバーがやってくれるから自分は終始楽をさせてもらい、居眠りしちゃったりもして、恐縮至極。

駐車場はそこそこ埋まってた。記事冒頭写真は本宮の鳥居である。別アングルからのをもう1枚。
熊野本宮大社の鳥居

八咫烏にまつわるエトセトラ

鳥居をくぐると平坦な山道はわりとすぐに終わって急な石段が現れる。頑張って上りましょう。辛い方は別の坂道があるし、身体の不自由な方がいる場合は申し出ると本殿近くの駐車場を利用させてもらえる模様。

熊野三山を訪れると八咫烏にまつわるいろいろを目にする機会が多い。石段の頂上の社務所そばにも八咫烏ポストなるものがあった。実際に郵便ポストとして機能している。なお境内で撮った写真は鳥居と以下の神門のみ。
熊野本宮大社の神門
神門の先の御社殿があるエリアは神域であり撮影禁止。4つの社殿があってそれぞれに祀られている神様が違う。そして説明の立て札には神様の名前と一緒に如来・観音様の名前も書かれてあった。ほー。神仏習合の関係ですかね。

こうして思ってたよりはあっさりめで見学完了。1日の疲れが出て早く温泉に入りたい=先を急ぐ気持ちになってたかもしれない。いかんですな。

かつての社地・大斎原

ただし本宮大社で見るべきはここだけじゃない。最初の鳥居から徒歩5分ほどの大斎原(おおゆのはら)へも行かなければ。かつて社があった場所だ。川に囲まれた平地にあったため明治の大水害で甚大な被害を受けて今の場所へ移転した、その跡地。
大斎原の大鳥居
超巨大な鳥居の先に並木道の参道が続く。
大斎原への参道
参道の奥に旧社地がある。撮影禁止。今はまっさらな草地にいくつかの社殿の土台が残るのみ。とはいえ本家本元の場所だけに強力なパワースポットだという人もいる。

あれだけ行きたいと願っていた熊野本宮大社の写真を全部で6枚しか撮ってなかった。撮影禁止区域があったにせよ、雨と疲れでいささか雑な気持ちになっていたことは否定できない。…まあいいでしょう、後悔はない。にんげんだもの。みつを。

湯の峰温泉・つぼ湯をちょっと見ていこう

熊野大社見学後の宿泊先は川湯温泉だったが、せっかくだから(?)つぼ湯を見学していこうということで、湯の峰温泉に寄り道した。小さな川というか水路沿いに形成された温泉街はかなりの年季を感じさせるレトロな旅館・民宿が多い。そしてこれがつぼ湯の小屋だ。
湯の峰温泉 つぼ湯
熊野詣の湯ごり場であり、世界遺産にも登録されている足下湧出泉。相当熱いらしい。順番待ちがすごそうだし時間もなかったしで入らず。

源泉がボコボコ湧いていて温泉玉子を作れる湯筒という場所もある。卵は近所のお店で売っている。茹で野菜もできるそうだ。
湯筒

第2部:熊野速玉大社

翌日は午前中に熊野市の鬼ヶ城を見学した後、新宮市の熊野速玉大社へやって来た。ここは三山の中で最も街中かつ平地にあるシティ派。アップダウンの道を歩くことはないから楽といえば楽。

駐車場から参道をカットしていきなり神門前に出られるところをあえて鳥居からスタート。
熊野速玉大社の鳥居
さほど歩かないうちに神門前に着く。本宮に比べると色鮮やかで明るい印象。晴れて日が照っていたこともあるだろう。
熊野速玉大社の神門
では中へ。撮影禁止とは書かれていないようだから記念に撮らせていただきます。特徴的な権現造の中でも屋根に目が行くな。
熊野速玉大社 拝殿
うーむ、歴史・宗教・文化的な側面をまったく深堀りしていない。こんなあっさり味の見学でいいのだろうか。まあいいや。百聞は一見にしかず。


第3部:熊野那智大社

那智大社と青岸渡寺

続いて熊野那智大社へ。熊野速玉大社から無料の高速経由で30分。ひとまずレストハウス横の駐車場に着いたが、そこからかなり石段を登っていかなければならないようだった。もう若くはない我らは富豪的解決=800円するけどほぼ歩かずにすむ社務所前の駐車場を利用した。といってもこの最後の階段は登らないといけない。
熊野那智大社 最後の階段
そしてこれが拝殿。ついに熊野三山をコンプリート。やったッ! 第3部完!
熊野那智大社 拝殿
…まだ終わりじゃない。近くには御神木の大楠があり、胎内くぐりとして洞内に入ることができる。なんだか長野の善光寺を連想した。
胎内くぐり
もはやちゃんと理解しようという心構えも何もなく「見ました」フラグを立てただけのノリになってきてるのは許してほしい。一介の見学客なんてこんなもんよ。で、すぐお隣りにあるのが青岸渡寺。
青岸渡寺
観光の意味で当院を有名にしているのが三重塔だ。背後に見える那智の滝との組み合わせがあまりの絶景。誰もが記念撮影せざるを得ない。三重塔内の見学はスキップしたがこの景色だけで十分ってくらい。
三重塔

日本三名瀑のひとつ、那智の滝

あとは那智の滝を間近で見るだけだ。最後だから頑張って歩きましょう。ただし滝から社務所前駐車場まで歩いて戻るのは現実的な行程でないから、メンバーの一人が滝エリアの別駐車場まで車を移動してくれてる間、自分を含む残りメンバーは歩いて滝へと向かった。当時の足のダメージからすると結構辛い下り坂。

ふー、どうにか着いた。これが落差133m、一段の滝としては日本一の落差を誇る那智の滝だ。やったッ! 今度こそ第3部完!
那智の滝
日本三名瀑といわれる華厳の滝・袋田の滝・那智の滝。自分はめでたくすべて見たことになる。那智の滝はやはり直球勝負の迫力と威厳があった。それにドドドッという大きな音が青岸渡寺のあたりまで響いてきてたのが印象的だ。存在感が半端ない。

一般の滝見学所とは別に少し高台に位置する特別展望所(有料)もあり、一部のメンバーが「せっかくここまで来たからには」と登り始めた後に続く元気はもうなかった。自分はパス。旅はまだ続くし、何事も無理は禁物。ここらで満足しておこう。

こうして熊野三山めぐりを終えた。その後ご利益があったかといえば特にないが、念願成就でスッキリしたことは確かである。