房総で黒湯の温泉といえば内陸部の養老渓谷や亀山湖を思い浮かべるが、外房勝浦の海沿いにもあったのね。冬の房総グループ旅行2泊目に選んだ臨海荘がそうだった。タンタンメン・朝市・夏の涼しさで有名になった感のある勝浦に実はあまりなじみがなく、調べたら海中公園や鵜原理想郷などの観光スポットもあるので宿を取ってみることにしたのだ。※結果的に左記の観光スポットへは行かず。
臨海荘はレトロとモダンを組み合わせたような「ちょっといい宿」の雰囲気で、目の前がすぐ砂浜みたいなオーシャンビューを客室から展望できたのがとても印象深い。お風呂はややぬるっとした感触のある黒湯。どでかい金目鯛付きにびっくりした夕食とともに思い出に残っている。
万祝温泉 臨海荘へのアクセス
太東岬から御宿海岸へ
臨海荘の最寄り駅はJR外房線の勝浦。そこから海の方へ500~600メートルだから歩いても余裕のよっちゃん。東京方面からのアクセスは良い。
一方、我らの交通手段は車。朝に白子ニューシーサイドホテルをチェックアウトして向かったのは太東岬。九十九里浜が終わって崖や岩礁系の海岸に変わっていくあたり。灯台が立っている。
果てしなく広がる太平洋を望む。手前に写っているのは、太平洋戦争時に米軍機の侵攻を探知するため旧日本海軍が設置した電波探知機の礎石だ。
続いては御宿の海水浴場へ。文字通りのONJUKU海岸です。
童謡「月の沙漠」は御宿の海岸をモデルにしたそうで、歌詞をイメージしたラクダに乗る王子と姫の像が設置されていた。逆光になっちゃったのが惜しい。
とても良かったJAXA宇宙通信所
続いては勝浦のちょっと内陸に入ったところ(過去に訪れた勝浦つるんつるん温泉のあたり)にあるJAXA宇宙通信所へ。星の観測ではなくて人工衛星との交信を行うためのパラボラアンテナを、少し離れた位置から見られる。
無料で見学できる展示室は予想以上に充実していた。天文分野が好きなメンバーは喜んで食い入るように見ていましたよ。
こちらは技術試験衛星の実物大模型かな。
奥に「はやぶさシミュレータ」なるゲーム仕立ての体験コーナーがあり、大人でも熱中しそうな(熱中した)内容だ。ガチの物理法則をシミュレートしているっぽくて難易度はとても高い。
お万の方フィーチャーの八幡岬
この日最後に行ったのが勝浦城跡を整備した八幡岬公園。駐車場から海を見下ろすと、海上で荒波に囲まれた鳥居が…。
桜だかなんだかわからないけど早くも開花している木があった。本場河津の桜より早いかもしれない。
崖の上までちょっと登っていくと、徳川家康の側室だったお万の方(水戸光圀の祖母)の銅像が立っている。お万布ざらしなるエピソードの場所だそうだけど、そこまで歴史に詳しくない。海を見て満足しちゃった。
遠くに「かつうら海中公園」のブリッジが見えたから記念撮影。結果的に行かなかったので真に記念撮影となった。
八幡岬の後に道の駅で時間調整してから臨海荘に着いた。
海を近くに見る、いい感じなお宿
館内は万祝など展示物多数
鴨川方面に向かう外房線はいったん海に接近して道路と並走する。当宿はその道路沿いだから、同時に線路沿いともいえる。
ではチェックイン。フロント前の空間にはこの町にゆかりのありそうなものがいろいろ展示されている。
2階への階段の踊り場に万祝なる漁民の晴れ着が展示されていた。万祝温泉の名はここから来ているのだろう。
風呂あがり休憩所には「ご自由にどうぞ」方式のアイスキャンディが置いてある。滞在中に計2本いただいちゃった。
休憩所のカウンター席やマッサージチェアから浜辺を眺めることができて、いい気分で過ごせそうですな。夕方の海を記念撮影してみた。
居心地良い古民家風の部屋
案内された部屋は1階の古民家風10畳+広縁和室。2面に窓が付いた部屋で見事なオーシャンビューが盛り上げてくれますな。布団は夕食中に敷いてくれるクラシック方式。
シャワートイレ・洗面台あり。金庫、空の冷蔵庫、フリーWiFiあり。2Lペットボトルの水が置かれ、お湯を沸かすのに水道水を使わずこちらを使ってくださいの意味だと解釈した。柱・梁・調度品などはレトロな古民家風で畳や水回り設備はモダン。リッチな気分にさせてくれる居心地の良い部屋だ。ウェルカムお菓子は鯛せんべい2枚組。
景色については何度でも強調したくなる。正面窓から見えるのがこちら。目の前に芝生の庭らしきスペースがちょっとあって、そのすぐ向こうが砂浜なのだ。
左に目を向けると、あるいは側面窓を覗くと、砂浜の端っこ付近に赤い鳥居が見える。あれはなんだろう。
こんなウミチカな場所の温泉宿ってのは非日常の特別感が大きいですね。
万祝温泉でお肌すべすべ
コンパクトで大人の雰囲気
臨海荘のお風呂は1階。入口に万祝温泉の文字がでかでかと掲げられている。男湯女湯の入れ替えなし。また掲示されている分析書をチェックすると「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉、低張性、弱アルカリ性、冷鉱泉」だった。泉温19.3℃、PH8.4。加温ありは当然として加水・循環・消毒の有無は不明。
脱衣所はよくある棚+かごの構成。先ほどの分析書とは別に「メタケイ酸を含んでいます」な文言の張り紙があったような。
浴室は壁などがダーク系の色合いで重厚感のある大人の雰囲気だった。カランは4台。あとは奥に4名サイズの内湯浴槽がある比較的コンパクトなつくり…宿の規模相応であって混雑しやすいわけではない。ちなみにネットで検索すると、たい焼きのような魚の形をした浴槽画像がヒットするが、それは貸切風呂とのこと。我々が利用した一般浴場はシンプルな四角形だ。
ぬるぬる感のある黒湯
浴槽を満たすのは見るからに黒湯。濃い烏龍茶にたとえるのが近いかな。もちろん浴槽の底は完全に見えない。では入ってみよう…うん、適温ですね。入った瞬間は熱めに感じることがあってもじきに慣れる。超短時間でサッと出たくなるようなあつ湯ではない。
湯の花や泡付きは意識されずで匂いは軽い温泉臭。黒湯のイメージからモール臭とか鉱物臭が強いのかなと思っていたら、わりとおとなしかった。とはいえ侮れないレベルだ。
色以外で一番の特徴はぬるっと・ぬめっとした感触で、お湯が肌にまとわりついてくるような感覚を与えるのである。美肌の湯を標榜する温泉に多い特徴ですな。実感としても肌をすべすべにしてくれそうな印象。それが炭酸水素のおかげなのかメタケイ酸の作用なのか、細かい話はよくわからないけど、ありがたみを覚える特徴には違いない。
湯口を名乗る湯口が気になる
湯口は典型的な形状からいささか外れており、お湯を投入する構造がよくわからなかったのと、わざわざ白地に黒い字で「湯口」と書いた紙を貼っている…って、冷静に考えて紙であるはずないのだが、現物を目にするとそのように見えてしまう。
また適温の湯といっても、陣取る場所によっては足先などが妙に熱くて「アチチチ!」となってしまう場合がある。どうやら浴槽の底や側面の一部に熱い湯を噴出する仕掛けがあるようだ。これも一種の湯口といえるかもしれない。そこから熱い流れとともにあぶくが浮かんでくることがあって、浴槽上の湯面の2割程度にあぶくが広がるような場面も見られた。ただの思い込みにせよ、温泉ぽさが強調されて得した気分になる。
内湯だし、窓から海が見えるとかそういう眺望面の何かはなかったかと思う。…というような万祝温泉の黒湯風呂に夕方・夜・翌朝の3回入った。しもやけ・あかぎれ・乾燥ガッサガサの兆候を呈していた指や手の甲をはじめとするお肌がずいぶん改善されたはず。風呂あがりには先述の休憩コーナーでアイスキャンディをどうぞ。
期待値をあっさり超えてきた臨海荘のお食事
夕食は海鮮まつりで盛り上がれ
臨海荘の食事は朝夕とも1階奥の大広間で。大広間といっても、のれんとかロールスクリーンのようなもので個室風に仕切ってくれるため、他グループの存在は気にならない。
夕食は18時を希望。勝浦ゆえ海鮮系を期待してテーブル席に着くと、よっしゃよっしゃと笑みがこぼれる品々が並んでいた。
前菜にあん肝や銀だらがあって、お造りは沖さわらのたたき・真鯛・カジキマグロ・赤いか・いくら。ここまででもう海鮮まつりの様相を呈している。お酒が進んじゃうぜえ…と言いたいところだが、前夜調子に乗りすぎて瓶ビールを余計に注文したあげく飲みきれずという失態を演じていたことを思い出し、自重気味にペースを抑えたのであった。
あん肝がうまかったなあ。本体なのかポン酢なのか、妙に味が濃厚で後を引く。気持ちだけはお酒が進んじゃうぜえ。そして鍋物には房総ポークと鮭とほたてが入っている。海鮮まつりもいよいよピーク!
おそるべき大きさの金目鯛とやみつきタレ
…まだピークじゃなかった。途中で金目鯛の煮付けが追加されたのだ。思わず目を見張る大きさだった。金目鯛は主に伊豆で口にすることはあったけど、この大きさにはびっくりだ。特別料理追加プランとかじゃなくてこれはすごい。ここが真のピークだったわ。
食べても食べてもなくならねー。しかも「タレをご飯にかけて召し上がれ」といってスプーンが付いてきた。そんなの実践するしかないじゃん。そしたらやみつきになっちゃうじゃん。やばいやばい。同行メンバーは「食べすぎちゃうよ、止まらねー」とうれしい悲鳴をあげていた。
結局まあなんとか完食しました。全員明らかに食べすぎちゃいましたね。
朝食のおかずはやっぱりアジでしょう
朝食は8時を希望。前夜とは異なるテーブル席へ案内され、運ばれてきたのがこちら。
サラダは大きな皿にどーんと盛り付けてあるのを自分用の皿に取り分ける。ご飯は配膳されたお櫃から自分の茶碗へよそう。おかずは小鉢8人衆とアジの開き。
アジだけでもご飯をおかわりするのに十分な理由となるはずだが、前夜の分がまだ消化しきれてない感じで、残念ながらおかわりする余裕がなかった。やむを得ん。
大広間に用意されている飲み物はお茶だけ。しかし部屋に戻ればティーバッグのお茶やスティックタイプのコーヒーがあったと記憶している。最後は部屋で海を見ながらコーヒーで優雅に締めたんじゃなかったっけかな。
* * *
勝浦でちょっといい宿を求めるならおすすめしたい。ハード面、食事内容、サービスや雰囲気、黒湯の温泉、眺望など、いずれも満足いくものだ。同行メンバーも「ここはよかった、再訪あり」と評価していたし。臨海荘の名の通り、とにかく海のそばというロケーションが非常に恵まれている。できれば晴れて青空の日に当たるといいですね。
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