縁あって3回目、デビューした後の八ッ場ダムと再会

八ッ場ダム
過去にいろいろあったおかげでその名を広く知られることになった八ッ場ダム。2019年秋には、かの台風19号による水害から首都圏を守ったという切り口で話題になった(過大評価とする意見もあがっているが)。

2020年の晩秋、その八ッ場ダムに3回目の訪問を果たした。行ってみたいという要望を承ったからだが、3年前の建設工事中の姿・1年前のほぼ完成して水を貯める直前の姿・そして今回の供用開始後の姿、各段階を見届けることになろうとは。八ッ場ウォッチャーかよ。

工事中の光景を知る者としては、現在すっかりできあがってきれいに整備されているのを見ると感慨深い。知力・体力・時の運の不足で表面をなぞるだけのような見学になってしまったのだけがちょっと残念。

八ッ場ダムの前フリ

旅の初日は偵察のみ

初日の宿をダム近くの川原湯温泉・山木館に取ってあった。東京圏に住んでる前提で普通に考えると、朝早めに出発すれば八ッ場ダムにたっぷり時間を割くことができ、依頼された要望を初日でクリア可能だ。

しかし諸事情あって出発は朝の遅い方の時間。それと平日の物流渋滞が重なって八ッ場ダムに着いたのが午後3時。しかも雨。もう今日はあきらめよう。さっさと旅館で温泉に入った方がいい。

せめて翌日の予習にと、道の駅「あがつま峡」と「八ッ場ふるさと館」に寄ってみた。明日買い物タイムを設けるから(例のアレのクーポン券を使う都合で明日なのだ)、買いたいお土産のあたりをつけておいてね、とメンバーに声をかけた。

YAMBAダックツアーは…なしよ

2日目。山木館をチェックアウトしてまず八ッ場ふるさと館へ向かう。メンバーが買いたいものはこちらで全部揃うとのこと。そして目的はもうひとつあった。水陸両用バスによるダム湖見学「YAMBAダックツアー」に参加してみようという話になり、乗車申し込みをする場所が八ッ場ふるさと館だったのだ。

栃木で同じコンセプトの湯西川ダックツアー(川治ダムコース)に乗ったことがあり、なかなか面白かったので八ッ場でもと期待していた。ところが無情にも受付に「本日運休」の札。えーーーー残念。車両トラブルらしい。

こうなっては仕方がない。早速お買い物タイムとしようじゃないか。各自単独行動となり、それぞれ前日に目星をつけていた品物を手に取り始めた。微力ながら経済を回しております。

当館には青果・加工品・お菓子・お酒から工芸品まで、お土産になりそうなものは大体ある。あとダム焼きなるダムを象った粉もの(?)をテイクアウトできる。隣接するパン屋さんにも花豆パンやクルミみそパンなど結構そそられる品があった。旅館の食事でお腹パンパンだったから買わなかったけど。


本格的にデビューした八ッ場ダムの姿

すっかり立派になっちまって…

いよいよ本命の八ッ場ダムへ。こうして移動する間にダム湖(あがつま湖)は車窓から十分見ているし、湖上にかかる八ッ場大橋や不動大橋も渡っている。水を貯める前は橋から地面までがとんでもない高さで目がくらむほど、バンジージャンプをやってるほどだったが、現在の湖面までの高さは常識の範囲に収まっている。

駐車場から坂を下っていくと、まず見えるのが「なるほど! やんば資料館」。以前は対岸にあった小さなプレハブ小屋だったのが立派な管理支所の中に栄転。大変身、大出世ですな。
やんば資料館のある管理支所
ひとまずダム堤体を見学するため資料館の裏手に回るとダム湖を見渡す展望所があった。
ダム湖展望所
展望所から湖を見る。おー、がっつり水が貯まってる。以前来たときは深ーい谷底に吸い込まれそうな景色だったことを思えば全然違う姿だ。ダックツアーに参加するとこういうところを回ってくれるのかな。
展望所から見た八ッ場ダム
さらに天端の方へ進む。今まで訪れたダムの中でも道幅が広い方だ(一般車道化されている川治ダムなどを除く)。そして風がすんごい強い。取り出したスマホが吹き飛ばされそうな勢いだった。
八ッ場ダムの天端
ダム湖側はこんな感じ。奥に八ッ場大橋が見える。橋の左岸側一帯が川原湯温泉だ。湖は八ッ場大橋の先、少なくとも不動大橋や八ッ場ふるさと館のところまでは広がっている。
八ッ場ダム湖(あがつま湖)

下流側の景色に吾妻峡を想う

では下流側を覗いてみよう。高さは116メートル。まだ工事中のようですね。とにかく風が強くてスマホを取り出して構えるとすぐ持っていかれそうになる。そもそもまっすぐ立っていることすら難しい瞬間もあった。あぶねー。
工事中の下流側
天端を奥まで歩いてから下を見てみた。日陰になってるせいでわかりにくいが、川が峡谷状になっている。“耶馬渓しのぐ”と詠われる吾妻峡だ。
下流側の吾妻峡
吾妻峡は2kmくらい下流にある十二沢パーキングに駐車して国道145号旧道を30分ほど歩きながら見学できるようになっている。猿橋とか鹿飛橋とか日本一短い樽沢トンネルとかの見どころあり。1年前に来た当時はダムまで100mくらいの地点で通行止めになっていて引き返した。この様子だと今もその可能性が高い。

工事がすべて完成すると吾妻峡から我々がいる地点まで通行できるようになるのかな。高低差をクリアするために一般観光客向けのエレベータを設置するとは考えにくく、階段も危ないから通さない気はするが、吾妻峡とダムをセットで見学したい需要は多いはずだから、なんとか行き来する手段はないものか。


出世していた、なるほど! やんば資料館

続いて資料館へ。建物全体は大きいけど資料館じたいのボリュームはそうでもない。1階はダム建設の年表や付近一帯の模型などの展示。

2階へ上がると地質や内部構造や群馬県内のダムについての説明。もともとはパソコンを操作して学習コンテンツを流すようになっていた形跡がある。コロナの影響か、パソコンは封印されており、かわりにQRコードと「YouTubeで見てください」的な紙が貼ってあった。
定礎石と岩盤
ダム内部のサイホン管設備の模型もある。サイホン管を積み上げることで任意の深さの水を汲み上げることができるとのこと。その目的やメリットの説明は見落としてしまった。水質だか温度だか、選択的に取水できると何かいいことがあるんでしょう。
サイホン管模型
最後に2階の展望デッキから八ッ場ダムの雄姿を目に焼き付けて見学完了。
資料館展望デッキから見た八ッ場ダム
まだ「やんば見放台」なる高台の展望所もあったが、坂を登るのがきつい・もう大体見たからいいとの声があがり、八ッ場ダムはここまでにして早めに次の目的地へ向かうことになった。

ダックツアーには振られ、見放台へは行かず、不動滝も見てないし、吾妻峡も時間と体力の都合でパス。季節柄&ご時世的にイベントや観光アクティビティもやってないし、まったく深掘りできてないのは仕方ない。行きたいと要望した本人が納得・満足してるようだからまあいいか。