「アテルイの兵どもが夢の跡」に上質の湯 - 永岡温泉 夢の湯

永岡温泉 夢の湯
異常に暑い夏。お出かけを1ヶ月我慢した後、ようやく温泉旅行する機会を得た。しかし我が地元において24時間サウナのごとき酷暑はまだまだ終わらない。こんな環境から逃げたい。昼はしょうがないとしても、せめて朝晩は涼しいくらいになってる地方に行きたいな。てなわけで遠征先は岩手。県南の一関~北上周辺を狙います。

最初の1湯目は金ケ崎町の永岡温泉・夢の湯への立ち寄り入浴。第一印象は日帰り専用施設のように見えるけど、宿泊棟があって泊まりで利用することも可能。隣がゴルフ場だからゴルフ客が主に泊まるのかな。知らんけど。

お風呂は本格的な源泉かけ流しで、檜風呂では細かい泡付きを楽しめる。期待以上に良いお湯だった。

永岡温泉 夢の湯へのアクセス

一関からの出発

永岡温泉の最寄り駅はJR東北本線・金ヶ崎。新幹線停車駅だと北上か水沢江刺か。いずれにしろ駅からの路線バス便はない。現地でマイクロバスを見かけたけど、ホームページに送迎サービスが明記されていないし、ネットであれこれ調べても団体客のみ対応の雰囲気を感じる。個人客は要問い合わせですかね。

自分は新幹線で一ノ関まで行ってレンタカーを借りた。近くに有名観光地が多数といっても、厳美渓・猊鼻渓・中尊寺あたりは2年前に見学ずみだったため今回はパス。当時取りこぼした平泉の高館義経堂にだけ立ち寄ってみた。源義経終焉の地といわれる場所だ。
高館義経堂
前年に鎌倉殿の13人を視聴していたのでなおさら感慨深いですな。
高館義経堂からの眺望
平泉といえば、そばのイメージがある。そば食いたい欲が急に高まり「花みずき」というお店に入ってみた。丼物やラーメンもあるが(人気メニューは弁慶ラーメン)、ここは初志貫徹でそばを注文。野菜天が乗った冷やし系「あじゃらそば」だ。
平泉「花みずき」のあじゃらそば
うめえ。そばも野菜もうまいぜ。食後にはコーヒーを出してくれた。ありがてえ。

徳水園と奥州湖を見学する

ほっと一息ついてさあ出発。お次は胆沢川のあたりまで一気に北上して徳水園・円筒分水アクアパークまで来た。円筒分水工とはこういうものらしいね。農業用水を公平に分配できて平和だワッショイ。
徳水園円筒分水工
さて、まだ永岡温泉には行かない。ここまで来たら奥州湖を見ておきたい。国道397号を西へ進んで胆沢ダムへ行きたかったのだけど、なぜか奥州湖眺望台の標識にしたがって走ってしまい、狭いくねくね山道を果てしなく登る羽目に。
胆沢ダムと奥州湖
結果的に眺望台から胆沢ダムを見下ろすことになった。こいつはロックフィルダムですな。普通にダムと奥州湖を見学するには写真奥の管理事務所まで国道を走り続けるべきだったようだ。しかし今からあそこまで行くにはスケジュール的に余裕がないからいいや、パス。

一般にはJRや東北道や国道4号の方から永岡温泉へ、西に向かって走ると思うが、奥州湖からだと最後は狭い農道を2kmあまり東へ走ることになる…幸いにも対向車に遭遇することなく現地に着いた。


源泉かけ流しの大変結構なお湯を楽しめる

宿泊にも対応し、各種整った施設

正面玄関前に「アテルイの里温泉郷」と題した説明板があった。アテルイとはかつての先住民(蝦夷)連合軍のリーダーだそうだ。このあたり一帯の温泉群を総称してアテルイの里温泉郷と呼び、当湯はそのうちのひとつ、ってことかな。
アテルイの説明
では入館。券売機で入浴券を買ってフロントに渡す。600円。大浴場は通路を奥へ進みます。
フロント付近
通路の途中にわりと大きい食事処がある。宿泊した場合はここで食事を摂ることになるのだろうか。
食事処
さらに客室の前を通り過ぎる。大浴場は奥の奥だ。※下の写真は大浴場から帰る向きで撮影。
客室群
脱衣所には一般的な棚に加えて100円リターン式のロッカーも設置されている。旅行者にとってはありがたい。通路だったか脱衣所だったかに掲示されてた分析書には「ナトリウム-塩化物泉、低張性、中性、高温泉」とあった。加水・加温・循環・消毒なしの100%源泉かけ流しだって。すげー。

メイン内湯へ滝のように注がれる源泉

浴室にカランは8台。シャンプーやボディソープの類は2台につき1セットずつ置いてある。奥のメイン浴槽へ向かって歩を進めたところ、足を滑らせそうな感じがした。浴槽からオーバーフローした大量のお湯が床の上を川のように流れていたためだろう。この流れる量と床が赤茶に変色している様子は圧巻の一言。

メイン浴槽の右奥は上から滝のように落ちてくる湯口になっており、あまりの湯量のために滝つぼ(?)付近でお湯の跳ねる勢いがものすごい。跳ねたお湯が客のところまで飛んでこないようにカーテンを吊り下げて防いでいたほどだ。なお、たまにカーテンの奥へ入り込んで滝に打たれるムーブをかます客がいた。

メイン浴槽は10名以上が入れるサイズ。左端の方は2名分の寝湯コーナーになっている。お湯の見た目は薄緑色で浸かってみると適温だった。ただし、しばらく入浴していると当初の印象を超えた熱さがじわーっと襲いかかってくる。食塩泉の源泉かけ流しのパワーであろう。湯の花や泡付きは見られず、際立った匂いも特になし。窓から見える景色なんかの印象も残ってないなあ。

泡付き豊富な第2内湯に注目

どうやらもうひとつ浴槽があるようだ。隣の区画へ行ってみると2~3名サイズの檜風呂があった。大きめの窓を開放すれば半露天ならぬクォーター露天くらいの雰囲気は出そうだったが、「虫が入るため窓を開けないでください」と注意書きがしてあり、立ち位置としては第2内湯といえる。

こちらのお湯の見た目は緑色が後退して透明に近い微濁り。温度はメインに近い適温。檜の香りと泡付きが高ポイントかな。

特に細かい泡が肌に結構付着するので、泡付き大好きおじさんとしてはたまらない。100%源泉かけ流し+豊富な泡は提供されるお湯の鮮度の良さが窺われ、かなりの好印象だ。こいつを露天風呂で楽しめたら最高だろうというのは贅沢な望みかな。

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上質の温泉を体験できる永岡温泉。もっと涼しい季節だったら、あの適温がなおさら好ましいものとなり、さらなる好印象を与えたに違いない。交通手段さえなんとかなるなら一度トライしてみてもらいたい。自分で体験したわけじゃないのを承知で言うと、リーズナブルな良泉宿としての利用価値もあるだろう。