昔の情緒を残しつつ現代の湯治場へ - 鹿教湯温泉 文殊の湯

鹿教湯温泉 文殊の湯 入口
2016年暮れ、信州上田の霊泉寺温泉を訪れた帰りに鹿教湯温泉に立ち寄ってきた。そこで温泉街の散策と共同浴場「文殊の湯」を体験したのでレポートする。

湯治場らしい情緒と歴史を伝える見どころが点在する一方で、新しめの施設がいくつか見られるなど、ただの鄙び里では終わらないぞという意気込みが感じられた。

バスで鹿教湯温泉へ

大塩温泉もヨロシク

鹿教湯温泉までは北陸新幹線・上田駅から鹿教湯車庫行きのバスで70分。うまくタイミングが合えば、急行便に乗って30分の短縮が可能だ。霊泉寺温泉の最寄りの宮沢バス停からだと10分ほど。

到着の少し手前には大塩温泉なるバス停がある。鹿教湯・霊泉寺と同じ丸子温泉郷のひとつだ。一軒宿と共同浴場があるらしい。いつか訪れることがあるだろうか、と思いつつ通過。

栄えた湯治場

鹿教湯温泉のバス停で下車した。何もない霊泉寺温泉に泊まった後だと、ここが大都会に見える。温泉街が発達していて、旅館はあちこちにたくさん建っているし、大きなオフィスビル風のホテルもある(斎藤ホテル)。

土産店や食事処が道沿いに立ち並ぶほか、本格湯治場らしくリハビリ病院もあった。歩道では患者さんと思われる高齢の方が付き添われながらゆっくり歩く姿をよく見かけた。


現代風な文殊の湯を体験

ペッパー君の就職先にどうか

文殊堂へと渡っていく五台橋の近くにある共同浴場「文殊の湯」に行ってみた。写真を撮るさい、カメラレンズに指がかかっていたようだ。おっさんはこれだからしょうもない。
鹿教湯温泉 文殊の湯 全景
入り口の自販機で入場券を買い、受付に渡…あれ? 誰もいない。張り紙によると14時までは無人くんらしい。あらまそうかい。ロボットに担当させたら話題になるのでは。

受付すぐのところにあるロッカーは罠だから気をつけよう。男湯・女湯に別れた先のロッカーを使うようにとの張り紙がしてある。

地元の怖そうなおやじさん、実は…

さて男湯の脱衣所へ入っていくと、入れ違いで出ていくところの客のおじさんにいきなり、真顔で「おい」と強い調子で呼び止められた。何だ? 心当たりはないがマナー違反でもしてしまったのか? ご当地ルールなんてわからないからなあ。

とりあえず丁重に挨拶しておいたほうがよかろうと思い、神妙に「失礼します」と応じると、おじさんはいきなりくだけて「知り合いかと思ったよ~、そっくりな顔の奴がいるんだよ~」。ぎゃふん。

私にそっくりな地元の方へ→名札着用をお願いします。

誰にでもやさしい、マイルドなお湯

文殊の湯は熱めとぬるめ・2種類の内湯と、さらに小露天からなる。洗い場は5~6ほどあったか。お湯は無色透明で霊泉寺に似ている「ほっとする」系。

分析書によれば「単純泉・低張性・弱アルカリ」とのことで霊泉寺と違ってカルシウム成分の数字は小さかった。よりマイルドになってる分、刺激がミニマムだから万人向けで湯治療養にはうってつけなのだろう。

文殊の湯には熱い浴槽があるけれども、鹿教湯温泉は全般にぬるめが特徴。長湯に向いている。

3つの浴槽を交互に楽しむ

午前の時間帯でも男湯は常時3名くらいが滞在する感じだが、細長いスペースに余裕はあり、かつ全員が全員露天狙いというわけでもなかった。

中では内湯のぬるい大浴槽が一番人気。そこ専門で動かない客もいた。たしかに「いつまでも入っていられる系」ではあった。源泉とか循環とかは調べても情報が錯綜していてよくわからず。

二番人気が小露天。外の空気が気持ちいい。目隠しの柵のすき間から文殊堂方面の景色が見える(といっても川の崖部分だけ)。循環ぽいが個人的にはここが好み。

内湯の熱い小浴槽は、みんな最後出る前にちょろっと入る使い方をしていた。試しに入ってみると…うーん熱い。長くは入っていられない。頑固おやじがゴリゴリ押してくる感じで鹿教湯温泉のやさしいイメージからすると意外性あり。お湯のパワーは感じる。

3種類の浴槽を行ったり来たりして1時間くらい文殊の湯ですごした。


おまけ:鹿教湯温泉スポット巡りで挫折

中心部には名所旧跡を巡る遊歩道が整備されている。上述の文殊の湯へ入る前に反時計回りに軽くまわってみた。道に積もった雪がやや気になるが…。

湯端通り
バス通りから文殊の湯へ続く道はなかなか情緒がある。

五台橋
屋根付きのかわいい木橋。橋の左右の足元には氷のミニ灯籠がずらっと並ぶ。

文殊堂
県宝に指定されている威厳あるお堂。無人?

みどり橋
緑色の吊り橋。高さがある。

万年橋
チョコレート色の吊り橋。高さがある。

秋葉神社
一面雪で、どこが神社でどこが入口かさっぱりわからず。

はい、ここまで!
その先は無理っす。なぜなら急な下り坂となっていて、いくらそろりそろりと慎重に進もうとしても、雪で滑って何度もスキーの直滑降状態になりかけたのである。

坂の終点は急カーブ。その先は崖。なにやら死亡フラグが立ったのを察知したので迷わず元の道を引き返した。このため天龍寺というスポットへは行けず。コースの半分くらいのところで断念する羽目になった。

(※追記)翌夏、鹿教湯温泉を再訪した折にコースを全部まわることができた。見事リベンジを果たしたのだった。遊歩道と見どころの写真付き詳細説明は再訪時の記事を参照されたい。


いろいろ頑張ってる丸子温泉郷の雄

鹿教湯温泉は温泉もさることながら、開けた温泉街に名所旧跡・散策コースと、滞在利便性や観光面が充実している。それでいてざわついた感じがなく、湯治場らしい落ち着きがあるのはよい。

今どき風のホテルや文殊の湯の風情に関して評価はわかれるだろうが、時代に合わせて新しい客層に訴えようとする取り組みだと思う。丸子温泉郷の雄として頑張って欲しい。