高知県の足摺岬にはこれまで、多くの関東人がそうであるように、まったく縁がなかった。台風が近づくとニュースの中継でよく見かけるなあ、くらい。それが故あって秋の四国旅行で訪れることになったのである。
その四国最南端の地については、予習不足もあって、はっきりしたイメージを持っていたわけではない。ニュースで見たといっても記憶は曖昧で、頭の中に具体的な像が浮かぶほどではないまま現地へと向かった。
それがむしろ幸いしたかもしれない。実際に岬へ行ってみたらびっくり仰天。口あんぐりの光景が展開していた。あれは衝撃を受けるね。
我ら旅の温泉班一行はレンタカーで、松山(道後温泉泊)→宇和島→宿毛→土佐清水と移動してきて岬近くのホテル・足摺テルメに泊まり、翌朝フレッシュな状態で彼の地へ足を踏み入れた。
前の晩まで台風のような荒れた天気だったのが今朝はすっかり晴れて風も収まっている。これならいい景色を拝めるだろう。この年さんざん引っかき回されてしまった自然さんの“いけず”を、今日はすんでのところでかわすことができたようだ。
足摺岬へ続く主要な遊歩道の入口に駐車場がある。その目の前には四国霊場第38番札所・金剛福寺があった。お遍路姿の人もちらほら。
先を急ごう。遊歩道へ向かうとすぐにジョン万次郎像が立っている。万次郎は土佐清水市中浜出身だそうだから、地元の偉人といってよかろう。その目はまっすぐ太平洋の方角を向いていた。
遊歩道はうっそうと茂る林の中を行くが如しで、海を見渡せるようなものではない。椿のトンネルという名前がついていたような。完全に日陰になるから、夏のような日が照りつける当時は好都合だった。
スマホの写真だと実際の迫力がうまく伝わらないのが残念だ。いやまじでスゴいんですって。灯台の地盤になってるエッジが効きすぎた崖、打ち寄せるなんていう生やさしいもんじゃない波。陸地と海が全力で激しくぶつかりあっていた。
波の動きがまたとんでもない。岩にぶつかって分かれてはその先で合流し、あちこちで複雑な流れを作っている。うねりはスローモーションのようにも見えるし、早回し映像のようにも見える。なんかもうクラクラしてきた…うっかりするとセイレーンに引きずり込まれそう。
灯台と反対の方角もやばい。青いはずの海が全部波しぶきで真っ白。もう波にすら見えない。白いところだけを注目すると万年雪の雪渓にも見えてくる。もはやキモいレベル。
対面の崖は天狗の鼻と呼ばれており、そこにも展望所があるけど時間の都合で行かなかった。後悔はしていない。こちらだけで十分。あまりの迫力にしばらく立ち去ることができなかったくらいだからね。
こうして口あんぐり状態のまま、足摺岬において最大の見せ場となる展望台を離れた。あとは長いエピローグのようなものだ。というと他のスポットに失礼か。でもここが最も絶景度・迫力度・驚愕度・センスオブワンダー度で抜きん出ているのは確か。
波の暴れっぷりがすごかったのは前日の大荒れの天気の影響だった可能性はある。ふだんはもっとおとなしくて青さだけが印象に残る海なのかもしれない。それはそれで絶景としても、今日のは今日のでまた強烈な思い出だ。
灯台のそばから太平洋を見たのがこれ。果てしなく広がる水平線とはまさにこのことか。心はいつも太平洋ぜよ!…とりあえず言ってみたくなるシチュエーション。
さらに先へ進むと、千万滝の見える場所へ出る。下の写真の中央付近、崖の中腹から滝となって水が落ちていってるのが、わかるかなー、わかんねえだろうなー。
千万滝の見学スポットの近くには立て札があって、「借金云々、早まるな、ここへ連絡を」的なことが書いてあった。これはもしや…立て札の奥は崖っぷちギリギリなのに妙に地面が踏み固められているし…あわわわわ。
また最短コースの各所に「足摺の七不思議」なるスポットがある。亀石・根笹など。詳細は割愛。我々はほとんど気にしなかったが、せっかくだから逐一チェックしながら歩く手もある。
洞門まではバス停そばの階段を下りていく。ところが途中で無慈悲な通行止め。雨で遊歩道がやられちゃったか何かで修繕工事のためだって。ああ残念。本記事公開時点では復旧して通れるようになっているはず。要確認。
通行止めで終わるのもアレなんで、最後の最後に、足摺半島の付け根近く・国道321号へ合流するあたりで見かけた唐船島を。国の天然記念物だ。走行中の車窓から撮影。
隆起海岸ということだが、港のど真ん中にKYな感じでドカッと腰を下ろしている、ちょっと他では見られない風情。
自分のような境遇にある者が足摺岬を訪れるのは現実問題、一生に一度あるかどうかというところ。その貴重なワンチャンを最大限に活かすことができた。天気は申し分なかったし、絶景が絶景の本領を存分に発揮してくれたし、激混みでウンザリするような状況でもなかったし。
天狗の鼻や白山洞門を見ていないことまで言い出したらキリがない。減点法で考えちゃいけません。と万次郎先生なら言ってたんじゃないかという気がしなくもない。ゆえに見逃したスポットは来世のお楽しみってことで。
【この旅行に関する他の記事】
その四国最南端の地については、予習不足もあって、はっきりしたイメージを持っていたわけではない。ニュースで見たといっても記憶は曖昧で、頭の中に具体的な像が浮かぶほどではないまま現地へと向かった。
それがむしろ幸いしたかもしれない。実際に岬へ行ってみたらびっくり仰天。口あんぐりの光景が展開していた。あれは衝撃を受けるね。
近くで前泊するといい感じ
高知県で有名な岬といえば室戸岬と足摺岬。東西に長い高知県の中で足摺岬は西の端の方。たとえば飛行機で高知空港に入って、近くでレンタカーを借りて足摺岬へ向かうと、できるだけ高速道路を使っても170km・3時間コースになってしまう。我ら旅の温泉班一行はレンタカーで、松山(道後温泉泊)→宇和島→宿毛→土佐清水と移動してきて岬近くのホテル・足摺テルメに泊まり、翌朝フレッシュな状態で彼の地へ足を踏み入れた。
前の晩まで台風のような荒れた天気だったのが今朝はすっかり晴れて風も収まっている。これならいい景色を拝めるだろう。この年さんざん引っかき回されてしまった自然さんの“いけず”を、今日はすんでのところでかわすことができたようだ。
足摺岬へ続く主要な遊歩道の入口に駐車場がある。その目の前には四国霊場第38番札所・金剛福寺があった。お遍路姿の人もちらほら。
足摺岬展望台からの衝撃の光景
ジョン万次郎像がスタート地点
駐車場で車を降りたら猫がやって来てゴロニャンしてきた。やけに人間になついている。この猫はのちに遊歩道の途中でも見かけることになる。四国最南端を縄張りにする猫ですな。先を急ごう。遊歩道へ向かうとすぐにジョン万次郎像が立っている。万次郎は土佐清水市中浜出身だそうだから、地元の偉人といってよかろう。その目はまっすぐ太平洋の方角を向いていた。
遊歩道はうっそうと茂る林の中を行くが如しで、海を見渡せるようなものではない。椿のトンネルという名前がついていたような。完全に日陰になるから、夏のような日が照りつける当時は好都合だった。
開いた口が塞がらない、立ち去りがたい絶景
そうして最初の見どころ・展望台へ。いきなり口あんぐり。なんじゃこりゃあ。スマホの写真だと実際の迫力がうまく伝わらないのが残念だ。いやまじでスゴいんですって。灯台の地盤になってるエッジが効きすぎた崖、打ち寄せるなんていう生やさしいもんじゃない波。陸地と海が全力で激しくぶつかりあっていた。
波の動きがまたとんでもない。岩にぶつかって分かれてはその先で合流し、あちこちで複雑な流れを作っている。うねりはスローモーションのようにも見えるし、早回し映像のようにも見える。なんかもうクラクラしてきた…うっかりするとセイレーンに引きずり込まれそう。
灯台と反対の方角もやばい。青いはずの海が全部波しぶきで真っ白。もう波にすら見えない。白いところだけを注目すると万年雪の雪渓にも見えてくる。もはやキモいレベル。
対面の崖は天狗の鼻と呼ばれており、そこにも展望所があるけど時間の都合で行かなかった。後悔はしていない。こちらだけで十分。あまりの迫力にしばらく立ち去ることができなかったくらいだからね。
あまりにも強烈な印象
頭上にはトンビの類が2羽、チームで小さな鳥の群れを追い立てており、急降下して獲物をキャッチしたか否かという、動物ドキュメンタリー番組に出てきそうな場面まで目にしてしまった。やばいよ、ダーウィンが来ちゃうよ。こうして口あんぐり状態のまま、足摺岬において最大の見せ場となる展望台を離れた。あとは長いエピローグのようなものだ。というと他のスポットに失礼か。でもここが最も絶景度・迫力度・驚愕度・センスオブワンダー度で抜きん出ているのは確か。
波の暴れっぷりがすごかったのは前日の大荒れの天気の影響だった可能性はある。ふだんはもっとおとなしくて青さだけが印象に残る海なのかもしれない。それはそれで絶景としても、今日のは今日のでまた強烈な思い出だ。
長いエピローグ:展望台近隣の観光スポット
足摺岬灯台と千万滝
エピローグその1。展望台を後にした我々は椿のトンネルを抜けて足摺岬灯台へ。灯台は外観を眺めるだけで中へ入ることはできない。まぶしい白が青い空に映えますな。灯台のそばから太平洋を見たのがこれ。果てしなく広がる水平線とはまさにこのことか。心はいつも太平洋ぜよ!…とりあえず言ってみたくなるシチュエーション。
さらに先へ進むと、千万滝の見える場所へ出る。下の写真の中央付近、崖の中腹から滝となって水が落ちていってるのが、わかるかなー、わかんねえだろうなー。
千万滝の見学スポットの近くには立て札があって、「借金云々、早まるな、ここへ連絡を」的なことが書いてあった。これはもしや…立て札の奥は崖っぷちギリギリなのに妙に地面が踏み固められているし…あわわわわ。
時間があれば七不思議めぐりをどうぞ
こうして遊歩道を一周する形で駐車場へ戻っていった。我々が歩いたのは最短コースだが、遊歩道じたいはもっと広い範囲に張り巡らされているから、時間があればロングコースを行ってみるのもよいだろう。また最短コースの各所に「足摺の七不思議」なるスポットがある。亀石・根笹など。詳細は割愛。我々はほとんど気にしなかったが、せっかくだから逐一チェックしながら歩く手もある。
行く手を阻まれた白山洞門
エピローグその2。岬の駐車場から車で1分くらいの近所に白山洞門なる県の天然記念物になっている奇勝がある。「万次郎足湯」の向かいが駐車場になっていた。車でなく遊歩道経由で歩いていくのも可。洞門まではバス停そばの階段を下りていく。ところが途中で無慈悲な通行止め。雨で遊歩道がやられちゃったか何かで修繕工事のためだって。ああ残念。本記事公開時点では復旧して通れるようになっているはず。要確認。
通行止めで終わるのもアレなんで、最後の最後に、足摺半島の付け根近く・国道321号へ合流するあたりで見かけた唐船島を。国の天然記念物だ。走行中の車窓から撮影。
隆起海岸ということだが、港のど真ん中にKYな感じでドカッと腰を下ろしている、ちょっと他では見られない風情。
自分のような境遇にある者が足摺岬を訪れるのは現実問題、一生に一度あるかどうかというところ。その貴重なワンチャンを最大限に活かすことができた。天気は申し分なかったし、絶景が絶景の本領を存分に発揮してくれたし、激混みでウンザリするような状況でもなかったし。
天狗の鼻や白山洞門を見ていないことまで言い出したらキリがない。減点法で考えちゃいけません。と万次郎先生なら言ってたんじゃないかという気がしなくもない。ゆえに見逃したスポットは来世のお楽しみってことで。
【この旅行に関する他の記事】