心はいつもリゾート気分ぜよ - あしずり温泉郷 足摺テルメ

あしずり温泉郷 足摺テルメ
秋の四国旅行で松山上陸を果たした我ら温泉班一行。続いて愛媛県から高知県へと足を延ばした。海沿いをひたすら走って目指すは足摺岬。四国最南端と聞けば行かないわけにはいかない。端っこ系はそれだけでロマン成分3.2倍(当社比)になるからね。

松山から足摺までは遠い。移動だけで1日がかりになってしまう。そこで当地にて宿を取ることにした。泊まった先は「足摺テルメ」。単なるリゾートホテルではなく温泉もある。

本当は青い海と青い空がドォーンと見えると最高だったんだけど、残念ながら正反対の大嵐に巻き込まれてしまった。それでも温泉を楽しみ、土佐のイメージに合う魚料理を堪能できた。足摺岬観光の基地としては上出来であろう。

(2022追記)記事通りの宿泊施設としてはいったん閉館となり、現在は「アシズリテルメ」という名前でリニューアルしたようだ。

足摺テルメへのアクセス

高知市から向かう一般的なルート

遠方の人が足摺岬を直接目指すなら、飛行機なり何なりで高知市へ行き、レンタカーで土佐清水市へ向かうのが一般的だと思われる。現時点で途中の四万十町まで高速道路を利用できる。

土佐清水市街から足摺岬へ行くには3つのルートがある。(1)足摺半島の東岸沿い、(2)半島の真ん中を行く山道、(3)半島の西岸沿い。道路状況や所要時間を考えると、松尾トンネルのショートカットを利用する前提で、(3)がおすすめ。

(3)なら天気が良ければ広い太平洋や多くの奇岩を目にしながらのドライブとなる。加えて八十八ヶ所巡礼のお遍路さんと何人もすれ違うことになるはず。足摺岬へ到達する前にルート(2)の県道348号と合流したら、(2)の道へちょっとだけ入って坂を上っていくとすぐに足摺テルメが現れる。

最悪の天候の中で

実際の我々は前泊した道後温泉・大和屋本店を出発。途中で宇和島城を見学した後は、国道56→321号をひたすら南下していった。

足摺宇和海国立公園になっている複雑なリアス式海岸、その向こうに広がる青い海とぽっかり浮かぶ島々を横目に気持ちの良いドライブを期待していたのだが…現実は無慈悲であった。

そもそも雨天だったし、高知県に入った宿毛のあたりから、台風じゃないけど「これどうみても台風だろ」ってツッコミたくなるとてつもない豪雨と強風に襲われ、視界は不良で生きた心地がしない。道路が冠水したり通行止めにならなかっただけでも運が良かったと言える。

景色を楽しむどころじゃない中でどうにか足摺テルメに到着した。


海のそばの高台に立つホテル

洒落たリゾート感を演出する館内

翌朝は晴れたので写真を撮ることができた。当館はちょっと面白いつくりになっている。冒頭写真のようなエントランスは一見するとホテルに見えない。エントランス横の階段を上がると太平洋を見渡せるとともに、高台にある当館が下へ下へと伸びる構造であることがわかる。
足摺テルメから見える太平洋
中へ入ると少し階段を下りたところが5階フロアになっていて、右手にフロントがある。フロントの目の前がお土産コーナー。
お土産コーナー
ロビーはエントランスの左手にある。観光パンフレットがたくさん置いてあった。
足摺テルメのロビー
フロントとロビーの中間地点には下り階段。下りた先がライブラリーラウンジと名付けられたシャレオツな空間になっていた。書架にソファーにピアノにテラス。フリードリンクもある。優雅すぎるぞ、なんじゃこりゃあ。
ライブラリーラウンジ

部屋はわりと普通

チェックインして案内された部屋は4階の8畳和室。板間の部分を加えれば10畳相当かもしれない。壁がややくたびれているが大した問題じゃない。
足摺テルメ 8畳和室
シャワートイレ・洗面所付きで一定の水準はクリアしている。金庫あり、空の冷蔵庫あり。ウエルカムお菓子とともに「四万十の純天然水」ペットボトルが置いてあった。

WiFiはあるけど電波は弱い。同行メンバーによればロビーなら十分強いとのこと。なお、部屋には「不快な虫はフロントへお申し出いただければ駆除します」とのメッセージがあった。当時はまったく見かけなかったが。

障子を開ければ窓からベランダへ出ることができて、晴れていればこのような感じ。
窓の外の景色

足摺岬にも温泉あります

ぜ~んぶラドン温泉

足摺テルメの大浴場は隣の棟にある。フロントよりほんの少し低いくらいのフロアは、隣の棟では2階という扱い。リゾートらしく1階にはプールが併設されており、脱衣所はさながらロッカールームのようであった。

分析書というか壁の大きなパネルの説明によれば「単純弱放射能冷鉱泉、低張性、弱アルカリ性、冷鉱泉」。「ぜ~んぶラドン温泉」と手書きされた木の立て札も置いてある。

宿泊者専用のロッカーに服をしまって浴室へ。まず目に入るのが2~3名規模の水風呂。いや、先の「ぜ~んぶ…」の言う通りなら、これは加温しない源泉なのかもしれないぞ。冷鉱泉だし。でも完全な無色透明だからわからん。無骨なパイプからダラダラ投入されているところを見ると源泉のような気もするんだけど。

浴槽はバイブラ機能がありそうな円形のポリバス。足だけ突っ込んでみたら非常に冷たい。水なのか源泉なのか判断しようがない。こりゃたまらんとすぐに出た。

左右に分かれた内湯

洗い場は7名分。内湯の浴槽はふたつあって、左側がシンプルな方形の7~8名規模。深めのお湯は無色透明、湯の花なし、泡付きなし。加温は当然として循環・消毒もあると思われるが露骨な塩素臭はしない(まったくしないとは言っていない)。

万人向けの適温だけど、ぬる湯派の自分としては長湯はちと厳しい。大雨に散々降られて精神的に冷え切っていたという意味では、温まってほっと一息つけてありがたくはあった。

右側は浅い部分が広めに取られていて混んでなければ寝湯っぽい体勢になれる。左の浴槽より一回り大きいものの、浅い部分を設けた副作用で8名規模といったところ。お湯そのものは左のやつと変わらない。

好環境の露天風呂

露天風呂は5名規模。ありがたいことにぬるめだった。皆が皆、露天を狙って押し寄せたりはせず、独占状態になることも多い。天気が良くて日が出ているうちは、ベランダからの眺望と同様、小山の間にちらっと海が見える。女湯だと位置的にさらによく見える可能性がある。

夕方から夜にかけては嵐の中(屋根付きだから入浴に支障はない)。翌朝は青空が戻って風も収まり、すぐ近くで鳥の声が聞こえたりして、なかなか良い環境だった。露天風呂をホームポジションにして満足いくまで入った。


ご当地ぽさを存分に感じられる食事

どこまでも魚づくしの夕食

足摺テルメの食事は朝夕とも大浴場と同じ棟の3階レストランで。夕食は部屋ごとに決まった席に案内される。予約したプランは黒潮コースというもので、ふだんは他にも選択肢があるのだが、当日は団体客が入ったことによる仕入れの都合なのか、黒潮コースしか選べず。

スターティングメンバーがこれ。やはり来たか鰹のタタキ。
黒潮コースの夕食
鰹は塩ダレ、ポン酢、あと高知の塩3種をお好みで付けて食べる。前菜は土佐の皿鉢(さわち)料理という盛り付けらしい。その中のウツボの時雨煮ってのが珍しかったな。ウツボなんて食べたことないわ。

鰹のタタキはあくまで前菜。別途お造りとしてカンパチ・カジキが出てきた。そして焼き物は秋刀魚と鰆の幽庵焼き。見事なまでにお魚づくしだ。
黒潮コースの夕食 その2
鍋物は変化球で海鮮と野菜のトマトフォンデュ。揚げ物もフグと貝2種だし、締めのご飯も魚の炊き込みだから、本当に見事な海鮮づくし。足摺にキターーー!って感じ。こりゃたまらん。こんなに満喫させてくれちゃって、おまんら許さんぜよ。

太平洋を見ながら爽やかな朝食

朝食は空いてる席を自由に確保してのバイキング。品数は十分にあり、和風にも洋風にもアレンジ可能。
足摺テルメ 朝食バイキング
朝はそんなに食べないので、トレーの主要部分がぽっかりあいているけど気にしちゃいけません。ご飯は本当はちりめんじゃことかの具材を乗せてお茶漬けにできるみたいだった。

ジュースは土佐の柑橘系のイメージからオレンジを。他にりんごジュースもあった。食後はマシンで淹れるコーヒーを。朝は晴れてくれたおかげで窓越しにいい景色を見ながら食すことができた。


足摺テルメはいかにもリゾートホテル的なシャレオツ空間はあるし、海の幸たっぷりの食事を楽しむこともできる。温泉は露天風呂がぬるめでいい感じ(個人の好みだが)。お値段もリーズナブルで足摺岬観光の基地として申し分ない。晴れてくれれば本当に気分爽快で過ごせると思う。


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