坊っちゃん泳ぐべからず。道後温泉本館は改修中も入浴可

道後温泉本館
四国を代表する温泉といえば松山の道後。そして道後を代表する浴場といえば道後温泉本館をおいてほかにない。明治に建てられたという歴史と風格を感じさせる建物は国の重要文化財に指定されている。

夏目漱石「坊っちゃん」の舞台にもなってるし、松山観光では外せないド定番。これはもう行くしかないでしょう。

現在は改修工事中であり、一部の棟がシートで覆われている状態だ。でも日帰り浴場の内部や流れるお湯に変わりはない。超有名どころだけあって、とにかくお客さんが多かった。

道後温泉本館への道

活気ある温泉街

旅の初日。坂の上の雲ミュージアムと松山城の見学を終え、路面電車で終点の道後温泉駅までやって来た。スタバが入居するちょっと小粋な駅舎。
道後温泉駅
やはり有名温泉地だけあって行き交う観光客が多い。国内外から老若男女が大勢集まってきており活気がある。そんな中、駅前でぱっと目に付いたのが「坊っちゃんカラクリ時計」。隣には足湯コーナーがある。
坊っちゃんカラクリ時計
気分が盛り上がってきたぜ。そのへんを「ぞな、もし」と言いながら歩いてる学生はいないのか。つかまえて「菜飯は田楽の時よりほかに食うもんじゃない」とやり込めてやらねばならぬ。いないのか。いないのかぁー、ぞなもし。

いかにもな雰囲気を漂わす外観

…落ち着け。ひとまずはまっすぐ今宵の宿・大和屋本店に向かってチェックイン。荷物を置いてちょっと休憩してから、夕食の前に散歩を兼ねて道後温泉本館へ行ってみることにした。

ぶらぶら歩いていくとすぐに冒頭写真の建物が見えてきた。写真の奥に写っているのが改修工事の様子。工事は2019年から2期7年の予定だという。もっと全面的にシートを被っているのかと思ってたから、がっかり感はそんなになかった。

当館の側面というか正面というか、商店街に面する側がこちら。当時の入口はここじゃありません。でも工事が進捗すればこっちが入口になるのかもしれない。
道後温泉本館 もとの正面玄関?


たくさんのお客さんでにぎわう浴場

石鹸・タオルは持参のこと

以下は当時の状況を記したものである。工事が進むとともに状況が変わっていく可能性があることに注意されたい。

では入るとしよう。受付で420円を支払う際、「石鹸・タオルはお持ちですか」と確認された。浴場内に石鹸の類は置いてないから、タオルとともに持参しなければならないのだ。

営業しているのは神の湯と名付けられた浴場で受付の左側が男湯。脱衣所には人がいっぱい。予想はしていたが…。まあ鍵付きのロッカーが全部埋まってしまうことはないから大丈夫。そんなにたくさん来ても浴室に入りきれないし、その前に入場制限がかかるだろう。

外観に合わせて脱衣所もレトロな雰囲気に仕上がっている。掲示された分析書には「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」とあった。

やっぱり大混雑

いざ浴室へ。うわあ、人人人人人人人人人。決して広くはない室内は客でごった返していた。予想はしていたが…。客がどんどん入ってくる一方でどんどん出ていく。人の出入りは激しい。

浴室はレトロでなく比較的現代な感じ。洗い場は13名分。全部とは言わないまでもつねに7割以上は埋まってる印象。先に書いた通り石鹸やシャンプーは置いていない。

湯船は中央にひとつ。常時10名前後が浸かっており、芋洗いかそうでないかのぎりぎりをさまよう臨界状態である。自分が温泉へ行くときは、すいてる場所・時間を狙うことが多いので、今回は真逆すぎて妙にドキドキした。

特徴的な湯釜が鎮座する湯船

お湯は無色透明でやや熱め。アルカリらしいヌメっとした肌触りがある。塩素消毒しているそうだが、それっぽい匂いはわからなかった。かといって温泉らしい温泉の匂いもしない。

湯船の中央に人間より大きな湯呑みをひっくり返したような形の湯釜がでーんと鎮座していて、そこに湯口が付いている。湯釜の表面にはおまじないのような漢字が刻まれ、中華風の仙人(?)の像が取り付けてあった。

まあそれにしても混んでること。夕方だからというより、いつもこうなんじゃないかな。朝6時に太鼓の音とともに開場した直後にもう満員御礼だって、どこかの本だかネットだかの文章で読んだ記憶がある。

お湯が熱めだし、20分滞在したところであがることにした。いつもの温泉めぐりと比べるとずいぶん短いけど、まあいいでしょう。まわりを見ているとこれでも粘った方だと思う。

椿の湯・飛鳥乃温泉もあるよ

道後温泉の外湯は他に椿の湯がある。下の写真は昼間旅館へ向かう道中で撮ったもの。ケレン味のないかわりに実用性は高そうだ(予想)。
椿の湯
また椿の湯の隣に「道後温泉別館」のサブタイトルを冠した飛鳥乃温泉(あすかのゆ)というのもある。本館入浴後の散歩で見に行ってみた。ちょっと高級路線なのかな。赤シャツが気取って入ってきそう。
道後温泉別館 飛鳥乃温泉
道後温泉本館が混みすぎちゃってどうしようもない時は、これらへ回る手もあるな。すいてると決めつけていいのかどうか知らんが。


おまけ:坂の上の雲ミュージアムにも行った

現代アート美術館のような建物

松山へ到着した際、最初に向かったのは「坂の上の雲ミュージアム」。正直言うと司馬遼太郎の作品を読んだことはないし、文学好きでも歴史ファンでも軍事オタクでもない。でもちょっと興味を引いたので行ってみた。
坂の上の雲ミュージアム
モダンな建物で現代アートの美術館を思わせる。順路の途中には支柱を省いた構造の空中階段があったりするし。
空中階段
メインの展示はもちろん秋山好古・真之兄弟や正岡子規、日露戦争の経過、あるいは坂の上の雲(小説・ドラマ)に関する史料。見ているうちに、頭の中でNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」のテーマ曲が無限ループを始めた。

ああああーあああー ああああーああーあああー ああああーああああー あああーああーあああー…名曲が蘇ってくるなあ。って、なんのことはない、館内BGMで流れていたせいだった。

なんの参考にもならなくてすいません

写真撮影は撮影可能マークのある場所のみに限られるため、手元にある写真はメインの展示と関係ないものばかりになってしまった。たとえば当館の全面ガラス張りの壁の向こうに見える洋館・萬翠荘。旧松山藩主に連なる久松家の別邸。
萬翠荘
最も関係がありそうなのは当作品の連載全編の一挙掲示。ばばーん。
坂の上の雲 連載全編の一挙掲示
情報量がほぼゼロですいません。詳細は行ってみてのお楽しみってことで。ちなみに当館のコインロッカーは後で100円帰ってくるタイプ。近くの松山城を見学するにあたって利用させてもらいました。

【参考:日本三古泉】
道後温泉は兵庫の有馬・和歌山の白浜とあわせて日本三古泉に数えられている。