北八ヶ岳に抱かれた神秘と幻想の世界 - 白駒の池と苔の森

白駒の池と苔の森の遊歩道
北八ヶ岳の八千穂高原にある神秘的な池と森が人気スポットになってるなんて全然知らなかった。ある時さる方面から、テレビだか雑誌だかで見た・行ってみたいとの要望を聞いて調べてみると、本当に良さそう。興味が湧いた。

件の場所…「白駒の池」とその周囲を取り巻く「苔の森」は、どうせ行くならお天気に恵まれた日がいい。同所を計画に組み入れた初秋の小諸旅行がうまい具合に晴れてくれて良かった。

登山道を含む様々なトレッキングコースが整備されている中で、池を一周する最もお手軽な遊歩道を歩いただけだが、それでも十分すぎるほど楽しめる。

※2019年台風19号による大きな被害は白駒の池自体はなかった模様。もし新たに行かれるとしたら2020年シーズン以降だと思うが、近隣や道路の状況は要確認。

白駒の池へのアクセス

メルヘン街道を登る

白駒の池を地図で探すと中央道のスジと上信越道のスジの中間地点にあたる。本記事公開時点の高速道路事情を考慮すると、東京方面から車で行く場合は後者のスジ=関越・上信越・中部横断道を使った方がいいようだ。八千穂高原ICまでは高速道路で行ける。

我々は旅の最終日、菱野温泉・常盤館を出発し小諸市街を抜けて佐久北ICから中部横断道に入った。八千穂高原ICを下りた後はメルヘン街道(国道299号)を南下する。

途中で「白駒の池←」の看板があるのにつられて左折、名もなき道へ入ってしまった。キャンプ場や別荘地へのアプローチ道のようだ。幅狭め・カーブ多めの登坂道だが特に問題はない。最終的にはメルヘン街道に再び合流するし、メルヘン街道をそのまま直進した場合と比べて所要時間や運転難易度に差はない。

繁忙期は駐車場の混雑・規制に注意

で、メルヘン街道に合流してからもさらにくねくねと登る。標高1600m、1700m、1800m…次々に現れる標識の数字がどんどんカウントアップしていく。目的地の白駒の池は標高2115mだそうだ。残暑厳しい頃でも空気は爽やか。

はい「白駒の池入口駐車場」に着きました。駐車料金は500円。9時半頃だったと思うが、すでに結構な数の車が止まっていた。1時間あまり後に帰る際はもう満車だったから駐車難民リスクに注意。

また8~10月の一部の週末は麓のスキー場に車を置いて無料シャトルバスを利用するように案内される。それだけ見学者が押し寄せるということか。うっわー人気あるのね。


これは見ておくべき:苔の森と白駒の池

印象的な苔の森がずーっと続く

入口の先からすでに苔の森は始まっている。
苔の森
もう一丁。
苔の森
ミネラルウォーターとか木造住宅メーカーのCMに使われそうな光景だな。神秘の森で俗っぽいことを考えちゃうおじさん。

もしかしたら深い霧に覆われていたり雨で苔が濡れるくらいの気象条件の方がより幻想的に見えるのかもしれない。しかし暗い森の中に木漏れ日がさす様子もなかなかファンタスティックである。それに晴れてると気分がいいし歩きやすい。

生えてる苔は1種類だけでなくもっとたくさんの種類がある。これも苔なんだろうか。
傘の大きな苔
しばらく森の中を進むと分かれ道に出た。白駒の池近くまで来たようだ。時間と体力の都合で軽めのメニューにしたい我々は池を一周するコースを選択。健脚かつ装備万全の方は、池を望む高見石展望台とかニュウ(乳)登山コースへどうぞ。

まるでジブリの世界「もののけの森」

なんとなくで時計回りの向きに進んでいったが、すれ違いがやけに多い。ほとんどの人が我々と逆向きの反時計回りに進んでいるように思われた。一周し終える直前に「混雑時はこの向き(反時計回り)に歩きましょう」的な誘導看板を見つけたので、その効果か。やってまったー。

また、反時計回りだと池が近くにあっても、木々に遮られてなかなか目に入ってこない。これまた一周し終える直前の白駒荘という山荘に着くまで池はまともに見えない。
木道が続く
上のような苔の森の木道が延々と続くのである。そうして青苔荘という山荘を通過して池を半周したかどうかというくらいの地点に「もののけの森」と書かれた札が立っていた。そこはこんな様子。
もののけの森
…うむ、たしかに「もののけ姫」に描かれていそうな雰囲気だ。このような光景が「まるでジブリの世界みたい」だと人気になっているわけだ。目を凝らせばコダマが見えたりして。
もののけの森
いやー、それにしても本当に苔ばっかり。

いよいよ姿を現した白駒の池

もののけの森を過ぎると、だんだん白駒の池が見えてくるようになってきた。水面が空の青と森の緑をよく映してグッドルッキング。もうちょい視界が開ければ最強だ。
白駒の池
もう少し進んだところから見た池がこれ。標高2100m超、苔の森に囲まれたロケーションであることを思うと感慨深い。まさに神秘の池。
白駒の池
どんどん進んで、ほぼ一周してきた地点に先述の白駒荘があった。コースを反時計回りに進めばすぐに出あえる山荘だ。ここにはボート乗り場があるし、視界を遮られることなく池を広く見渡すことができる。
白駒荘から見た白駒の池
ただし当時は風が強まって水面に波が立ってきちゃったため、鏡のような水面に美しい青さ100%全開とはいかなかった。雲も出てきたしな。もう少し早く着いていれば…遊歩道をどっち回りに進むかの選択が運命を分けたかもしれない。

はい、白駒の池一周コースはおしまい。池に別れを告げて、もと来た苔の森の道を駐車場へと戻る。途中で団体パックツアー御一行様とすれ違ったりして、この後だんだん本格的に混んでくるものと予想された。早く来てよかった。
苔また苔

人気スポットになるのもわかる

我々の歩いたコースは駐車場を出発して戻ってくるまで約1時間。お手軽コースとはいえ結構歩いたな。でも頻繁に立ち止まって苔や池を観察したため疲れは少ない。高原の森でたっぷり森林浴できたし、ここは当たりだね。人気になるのもわかる。

最後に駐車場にある総合案内所をのぞいてみた。お土産も売っている。
白駒の池入口駐車場の総合案内所
結果的に何も買わなくてすいません。満車状態の駐車場を出た我々の車は八千穂高原ICへ向けてひたすら山を下っていった。これで今回の旅行はおしまい。あとは帰るだけ。

と、思わせてからの最後っ屁。佐久南ICでいったん下りて道の駅「ヘルシーテラス佐久南」で昼食。レストランの窓から、この旅行中ずーっと雲がかかっていた浅間山がはっきり見えるではないか。下の写真の右側。
道の駅ヘルシーテラス佐久南から見た浅間山
シャッターチャンスを逃すものか。カメラを止めるな! パシャ。撮影を終えると右手から雲が流れてきて浅間山はまた隠れてしまった。なんというタイミング。最後の最後に大サービスでお土産をもらったような気がした。