下田の山中に超軟水スパリゾートが - 観音温泉 観音プリンシプル

観音プリンシプル
春の伊豆をめぐるグループ旅行を計画する際、途中の立ち寄り入浴先として同行メンバーが提案してきた温泉があった。下田市の山中にある観音温泉「観音プリンシプル」。

調べてみるとなかなかの評判でファンも多そうだった。ふむ良さげですな。じゃあ行ってみますか、てなわけで行き先リストに加えられたのである。

現地は想像を超える規模の温泉リゾートになっていた。これほどの空間をよくぞ作り上げたものだ。モダンなリゾート感もありながら周辺は秘湯感も漂うという、ちょっと不思議感覚の場所だった。

観音プリンシプルへのアクセス

秘湯と思わせてからのリゾート

旅の2日目、我らを乗せた車は国道414号(下田街道)を南下しつつ、浄蓮の滝・河津七滝の見学を経て河津町から下田市へと入った。河津桜の見頃はほぼ終わっていたし、下田街道を進む分には定番の花見会場を通らずにすむから、とくに渋滞にあうこともなくスムーズに移動できた。平日だからってのもあるか。

そうして稲梓の手前で西伊豆側の松崎へと抜ける県道15号に入る。2~3キロで観音温泉へ続く分岐道が現れるからそちらへ曲がる。

あとは現地まで3キロほどなのだが、この道が狭い。運転慣れしていないと対向車にビクビクさせられる羽目になる。途中には「昭吉の湯」なる別の温泉もあった。ネット調査を通じて知ってはいたものの、アプローチの急坂がエグいとのことで立ち寄り候補から外した経緯がある。たしかにエグそうだった。

どんどん山深いところへ誘い込まれていくようで秘湯感は増すばかり。と突然、整備されて開けた雰囲気に変わった。観音温泉の敷地内に入ったのだ。

広い敷地内に点在する浴場

「日帰り客はこちら」というような指示は見当たらなかったので、一番便利そうな第1駐車場に車を止めた(第2駐車場は丘の上にあって移動が大変そう)。とりあえず目の前にあるのは正運館なる宿泊棟。スポーツ施設も備えている。
観音温泉 正運館
日帰り入浴の受付がある隣の本館へ行くと、温泉名の通りに観音様が。
観音温泉 本館
本館にて受付をしてもらう。平日1300円のところ、どこぞで入手した伊豆観光のチラシに付属している割引券がきいて1100円になった。制限時間は60分だが、善良なる節度を持って対する分にはあまり厳格なものではない模様。

観音温泉には「プリンシプル」「ガラティア」「ひょうたん風呂」「乙女風呂」と複数の温泉浴場があり、日帰りで利用できるのはプリンシプルのみ。プリンシプルは本館を出て1~2分歩いたところにある。移動の途中に優雅なテラスを発見。
観音温泉のオシャレなテラス

新しくてきれいな館内

最初に見えるのはプリンシプルの女湯の建物で、もっと奥に男湯の建物がある。中に入ると…おお、めっちゃ新しくてきれいじゃないか。感心しつつ脱衣所の鍵付きロッカーに服や荷物をしまう。

温泉分析書を探してみたけど見当たらなかった。メタケイ酸が豊富とか超軟水とかのポスターはあるんだけどね。こいつは泉質名を持たない温泉法上の温泉ってやつかもしれない →これは間違い。

(※訂正補足) 1年後に再訪したところ、下足箱のそばに分析書が貼ってありました。「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」でした。加水・加温・循環・消毒なしの100%源泉かけ流しだって。すごい。

浴室内も新しくてきれい。洗い場は4名分×4列くらいな感じで十分すぎるほど十分に用意されている。備え付けのシャンプーなんかもいいのを使ってそうだし、気持ちよく利用できますな。

マイルドかつヌルヌルしたお湯

内湯は2つの区画に分けられた檜風呂。それぞれの区画が8名くらい入れそうなサイズで、清澄な無色透明のお湯がかけ流しになっていた。中央に飲泉できる湯口のある区画はやや熱めのお湯。コップでお湯を受けて飲んでみたらクセがなくて大変なめらか。

熱いのは苦手なんで、もう一方の適温の区画にしばし浸かった。評判通り、たしかにヌルヌルした感触がする。お肌に良さそうなやつだ。そして指先がすぐしわしわになった。

強烈な個性やワイルドさを求める方には物足りないかもしれないが、マイルドな美肌の湯を求める方にはうってつけといえそう。

ぬるめで気持ちの良い露天風呂

続いて庭のような雰囲気の露天エリアへと出ていった。開放感はばっちりだね。当時は雨がちのどんよりした空模様だったけど、もし晴れていれば非常に爽やかで気持ちのいい空間になっていたはず。

期待を込めて入った露天風呂は8名までいけそうなサイズで屋根付き。寝湯用に頭を乗せるパーツが4つあった。うれしいことにお湯はぬるかった。じっくりと浸かっていられるのがいいね。寝てみたり座ってみたりと体勢を変えながら、ずいぶんと粘った。

最小にして最強のジャグジー湯

露天エリアにはもう一つ、小さい浴槽がある。1名限定、仲良しさんならどうにか2名までといったサイズだ。そこに同行メンバーが幸せそうな表情で入っているのが見えた。そんなにいいのか?!

しばらくするとこちらへやって来て、「あっちはもっとぬるいよ。ジャグジーになってるよ」とのこと。そりゃあ行かねばなるまい。場所を代わってもらい、小浴槽へと駆け寄った。

小浴槽と周辺の床は、「滑るから気をつけて」と注意された通り、他の場所と比べてもやけにつるつる滑る。うっかりすると転びそうだ。各位注意されたい。浴槽の素材は一般家庭のバスタブみたいな感じ。

浸かってみると…おおぬるい。最も好きな不感温度だ。こりゃたまらん。半永久的に入っていられるやつ。

(※補足) 1年後の再訪では露天風呂と同じくらいの「不感温度まではいかない、ぬるめの適温」であった。

目についたボタンを押すと、やがて気泡がボコボコと噴き出してきた。なにこれ最強じゃん。独占しすぎは良くないなと思いつつもなかなか出られない魔力にとらわれてしまった。いやあ堪能した。


これでもまだ観音温泉の氷山の一角

結局トータルで制限時間の60分ちょうどくらいは滞在した。湯上がりには無料の給水サービス(たぶん冷やした源泉だと思う)を飲んで体の内も外も温泉効果ばっちり。

日帰り客も正運館内の休憩室を利用できるというので最後にちょっとだけ寄ってみた。
正運館内の休憩室
ふーん、なるほどね、と様子がわかったところで観音温泉への立ち寄りは終了。気づけばお肌がやたらとすべすべになっていた。プリンシプルのみ60分ほどの利用でこのスベ感ときたら、もし宿泊してすべての浴場をめぐれる立場だったら、一体どうなっていたことやら。観音様にもわかるまい。