紅葉と雪のはざまで - 蔵王中央ロープウェイで行く鳥兜山頂

2016年秋、ちょうど紅葉の盛りをすぎて人々の波が去った頃に蔵王温泉へやって来た、混雑ピーク絶対避けるマン(=自分)。休日ながら目論見通りに(?)閑散とした蔵王をひとり気ままに歩き回った。

3本あるロープウェイのうちの1本に乗り、鳥兜山頂へ行くと、山では冬が始まりかけていて、風が強くて寒かった。蔵王が秋の“陰”の面を自分だけに見せてくれたような気がして、ある意味穴場のシーズンだった。

【本記事は2017年1月に公開した内容を再構成したものです】

蔵王中央ロープウェイで鳥兜山頂へ

3つのロープウェイ

JR山形駅からバスで40分の蔵王温泉は山の中腹にある。そこからさらに山の上に向かって3本のロープウェイが運行されている。蔵王ロープウェイ、蔵王中央ロープウェイ、蔵王スカイケーブルだ。

いずれも冬にはスキー客をゲレンデまで運んでいくのだろう。他の季節は散策路が整備された山頂エリアへの玄関口となっている。季節によっては数週間の整備運休期間があるので要注意。

それぞれ山麓側の乗り場は離れているし、山頂側はもっとはるかに離れている。いっぺんに全部をはしごして乗ることはないだろうから、事前にコースをよく考えて、どれに乗るべきか乗らないかを検討しておこう。

ゴンドラを独占

この日はスカイケーブルが運休。バスターミナルから最も近い中央ロープウェイに乗ることにした。入口で往復チケットを買う(1300円)。山頂の喫茶コーナーで使えるコーヒー割引券が付いてきた。

ロープウェイは20分間隔で運行。こういった乗り場にはたいてい、次の便を待つ行列ができているものだ。でもここには誰もいない。すんなり改札を通ってゴンドラに乗り込むとやっぱり誰もいない。

山の上は紅葉完全終了

発車間際に乗り込んできたおじさんは乗務員だった。なんと100人乗りゴンドラに乗客ひとり。「この天気じゃねぇ…」おじさんはつぶやいた。当時、山の上はどんよりとした雨雲の中に隠れていたのだ。たしかに、こんなコンディションで上るやつはいねえ。

ロープウェイの途中まで下界の景色を眺めることができたが、いったん雲に入って視界ゼロメートルとなり、山頂駅の手前で少し見通せるくらいになった。山麓にはいくらか残っていた紅葉も山の上では皆無になっていた。裸の木ばっかり。


散策路が整備された山頂エリア

展望台は霧しか見えず

駅に着いてまずは徒歩1分の鳥兜山展望台へ向かう。晴れていれば雄大なパノラマが展開するはずだったが、残念ながら霧しか見えない。はい終了~。

鳥兜山頂エリアはいくつかの散策路が整備されている。ロープウェイで上ってきたのと反対側の斜面はスキーのゲレンデになっており、雪がないときはゲレンデの側道がドッコ沼への散策路として機能していた。ドッコという名称が気になったので行ってみることにした。

どうやらドッコ=独鈷(仏具・金鋼杵)のことらしい。昔、沼の竜を鎮めるため法師が独鈷を投げ入れたのだとか。「お前が投げ込んだのは金の独鈷ですか? 銀の独鈷ですか?」なんてね。

孤独なドッコ沼までの道

ゲレンデの斜面をなめちゃいけない。スキーで滑走すればすぐだが、歩くと傾斜(階段)はきついし、距離も長い。下る行きも上る帰りも膝ガクガクものだ。しかしゲレンデ側は遠くの雲が切れていて、斜面からはるか向こうに望む山々が日に照らされ、はっきりと美しく見えたのが収穫だった。

目的地のドッコ沼自体は思ったより小さい。沼じゃなくてため池みたいな感じ。こんこんと湧き出て枯れることのない神秘の水源らしいが…。はい終了~。

ドッコ沼までの往復30分は、リフト乗り場(運休中)も軽食喫茶(休業中)もスカイケーブル山頂駅(運休中)もドッコ沼も辺り一帯すべて人っ子ひとり見られず、熊でも出てきそうな雰囲気でちょっとスリルがあった。


秋から冬に変身

オアシスのような喫茶コーナー

強くて冷たい風の中、散策を終えて山頂駅へ戻ってきた。すっかり体が冷え切ってしまった。帰りの便を1本見送って喫茶コーナーで暖を取ることにした。伝家の宝刀・コーヒー割引券を発動してやったぜ。あと玉こんにゃく。

喫茶コーナーには10名ほどの姿があった。到着したロープウェイからはゾロゾロと客が下りてきて、ようやく観光地らしくなってきた。帰りのゴンドラは全員が座りきれなくて立ち客がでるくらいだった。商売繁盛で結構結構。

雪が運ぶ、かき入れ時の予感

麓へ戻り、このあとホテルオークヒルという温泉宿に泊まった翌朝、山の上に目をやると、うっすらと雪化粧していた。なんとまあ。昨日が雨かと思えば今日はもう雪か。

あと少ししたら本格的に降り出して、やがてスキーシーズン。年が明けたら名物の樹氷も。そしたら今とは桁違いにたくさんの人が押しかけて来て活況を呈するようになるんだろう。心の中でつぶやきながら静かな蔵王温泉を後にした。


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