源泉掛け流しを気軽に楽しむ宿 - 作並温泉 かたくりの宿

仙台の山間部にある作並温泉。規模と設備を競う大型ホテル群の中にあって、それらとは一線を画すポジションにあるのが「かたくりの宿」だ。2016年秋の一人旅でここに泊まったときのことをレポートする。

ネットで予約しようとしたら、計画していた日に可能だったプランがそれしかなかったという事情により、1泊2日夕食のみ・朝食なしの内容になっている。たまたまのことであって、一人泊だからとかは関係なく、通常は2食つきプランがあるはずだ。

【本記事は2017年1月に公開した内容を再構成したものです】

作並温泉・かたくりの宿へのアクセス

仙台から気軽に行ける作並温泉

作並温泉の最寄り駅・作並は仙台からJR仙山線で40分なので、仙台民にとっては相当に身近な温泉地だと思われる。首都圏なら毎日片道でこれくらいの時間を通勤電車に乗ってる人はごまんといるだろう。

ただし自分は山形・蔵王温泉から出発して、途中に山寺観光を挟んでから、1日の旅の終わりに着いた。

送迎マイクロバスで宿へ

残念ながら温泉街は駅の目の前ではない。駅から3キロ、あるいはもっと離れているかもしれない。徒歩だと30分から小一時間かかってしまうだろう。ここは素直に宿の送迎車を頼るべきだ。

駅に着いてから宿に電話したら10分弱で送迎のマイクロバスがやって来た。利用者は自分ひとり。国道を5分くらい北上してかたくりの宿に到着。


質実剛健なスタイル

かたくりの宿の建物は、いかにもな和風旅館でもなく、おしゃれな洋風ホテルでもなく、実用性一本の質実剛健というか、学校や役場ぽい3階建ての箱。来る途中に見えた驚くほど巨大なホテルや、国道のさらに先に立つ大規模ホテル群と比べると、かなり小さい。

フロントでチェックインをすませる。鍵をもらって2階の部屋へ。中は8畳+広縁、トイレ洗面所付き。一人なら大威張りの広さだ。ひと通りの設備は整っているし、やや古さを感じさせるものの綺麗にしてあるから、居心地は良い。

国道に面した部屋だったせいか、窓を閉めても行き交う車の音がそれなりに聞こえてきた。この国道は作並街道とも呼ばれ、仙台と山形を結ぶ幹線道路らしく、夜でも交通量は結構ある。ただし寝付けないとか落ち着かないというほどではない。自分は全然気にしなかった。


ほっとする、美女づくりの湯

内湯へのいざない

さっそく浴衣に着替えて1階の大浴場へ。

かたくりの宿の大浴場はちょっと変わった構造になっている。内湯と露天風呂それぞれに入口があって脱衣所も別々にわかれている。しかし中は通路でつながっているのだ(洗い場は両方にある)。

そして心理学的な何かの効果があるのか、当時見た限りではなぜか偏りがあって、ほとんどの皆さんが右手の内湯の入口へ吸い込まれていく。自分も初見は内湯側へ誘い込まれた。右利きが多いことと関係ある?…ないか。

おかげで左手の露天側は脱衣所も洗い場もスカスカだから、入るならこちらがオススメだと思う。同時に浴室に居合わせるのがいつも1~2人だったから大差ないといえばないけど。

源泉掛け流しの内湯

誘い込まれた流れで、まず内湯からの体験。ここかたくりの宿は「かけ流し温泉」というサブタイトルを冠する通り、源泉掛け流しの温泉が売りだ。

といっても豪快にジャンジャン注がれているわけではなく、ああチョロチョロ級だなーと思ったのは、若気の至り。掛け流しというワードに壮大なイメージを重ねていたせいだ。多少なりとも温泉体験を積んできた今思うと、ここは標準的な投入量といえる。

湯の鮮度は十分に保たれていると思われる。美女づくりの湯と謳われる無色透明の単純泉は、たしかにほっとする、やさしい湯で肌に良さそう。おっさんが言っても説得力ないかもしれないが。

浴槽は4~5名規模。温度は、個人的にはやや熱めに感じた。もうちょっとぬるいとベストだったけど一般には適温の範疇だろう。

のびのび入れる露天風呂

続いて通路を渡って内湯よりふた回り大きい露天風呂へ移動。こちら側の洗い場と露天浴槽は扉ではっきりと隔てられている。露天風呂は屋根付きで周囲を塀が囲んでいるため、景色は見渡せない。山の一部がちょっと見えるくらい。

湯口からお湯が投入されている様子はないが、調べによると浴槽の底から源泉を入れているとの情報がある。泉質は内湯と同じ。露天の分だけ若干ぬるくなっているような気がしなくもないけど、個人的にはやっぱりやや熱め。

全体を通じて多くの人で混み合うことがないため、のびのび入れたのは良い。独り占めの時間帯もあった。

名前通りの湯の感触?

そうしてゆっくりまったり露天風呂につかっていると、次第に湯の感触が気になってきた。なんかこう、きゅっきゅっと締まる感じがする。

まあどうせ気のせいだろう。理由もなんとなくあたりがついていた。かたくりの宿→かたくり(草花)→片栗粉→片栗粉の袋を押した感触→きゅっきゅっ…ただの連想ゲームですな。しょうもな~。

そうだとしても、やさしい湯といっても「ふわっと包み込む」たぐいの感触とはまた異質な浴感だったことは確かだ。あれはなんだったんだろう。


食事とお酒の相性が良い

かたくりの宿の夕食は1階の食事処で。ここ作並にニッカのウイスキー蒸溜所があるという土地柄か、お酒のメニューにニッカのウイスキーがいくつか提供されていた。しかし翌日に蒸溜所を見学する予定だった(そこには試飲コーナーがあるはずだ)からウイスキーはパス。作並の四季という地酒をオーダーした。

食事内容は事前の口コミ調査の通り、なかなかのものである。定番的な旅館の会席風料理ながら季節と産地に合わせて考えて作られているようだった。そしてこれが酒によくあうのである。いや酒が料理によくあうのか。珍しく日本酒をおかわりしてしまった。ボリュームも十分だ。

食堂のおばちゃんアテンダントの気さくで小気味よい対応にうまく乗せられてしまった感もある。ぽんぽんと料理が運ばれ、さくさくと食べ進み、すいすいとお酒を飲んで、ほいほいとおかわりして、気がつけばハイ、ごちそうさま。

朝食なしプランだったから朝の様子はわからず。


ニッカ宮城峡蒸溜所への送迎あり

かたくりの宿では、事前に希望を伝えておけばニッカ宮城峡蒸溜所まで送迎してくれる。自分もチェックアウト後に送ってもらった。温泉街から作並駅までも結構距離があるけど、蒸溜所はもっと遠くて歩いて行くのは現実的じゃないから、とっても助かる。

作並温泉は色・匂いに癖がなくマイルドな湯だから万人向けといえる。その中でもかたくりの宿はきらびやかな大規模ホテルよりも小ぢんまりした宿を好む層や、お湯重視でコスパの良さを求める層、一人旅の利用に向いている。

施設・サービスは一定の水準にある。変に尖った鄙び方はしてないからその点はご安心を。仙台へ泊まりで行く機会があるけど街中のビジネスホテルじゃ味気ないしな…というようなシチュエーションで気軽に利用してもよいだろう。



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