山梨県早川町におけるメイン道路の県道37号は南アルプス登山の拠点・広河原まで続いているが、途中の奈良田から先は一般車両通行止めになる。つまり一般の車が行ける最奥部は奈良田になる。
この奈良田に温泉が湧いていて天平時代の孝謙天皇が8年間も療養滞在したという伝説が残っている。早川町へ遠征する機会があったので、せっかくなら奈良田温泉まで体験しておかないともったいない。ということで高評価が目立つ白根館へ行くことにした。※現在は日帰り営業のみ。
実は温泉への興味が薄かった大昔に白根館に泊まった記憶がうっすらあるけど、詳細を忘れており、今回は初訪問に等しい。硫黄感たっぷりのトロトロのお湯がすごいね。もう忘れないぞ。
奈良田温泉白根館へのアクセス
時間に余裕があったので西山ダムへ
JR身延線の下部温泉駅や身延駅から乗り換えられる1日5便の早川町乗合バスを利用すると終点が奈良田温泉だ。なのできちんと時刻表をみて計画を立てれば奈良田温泉まで公共交通機関で行くことは可能。
西山温泉と奈良田温泉は3kmくらいしか離れていない。間をおかず立て続けに入浴するのは避けたかったので、いったん湯島の大杉などを見学して時間を稼いだ。それでも時間が早かったから西山ダムに寄り道。ダム湖の水の色が鮮やかですな。
下流側は木が邪魔してよく見えない。このアングルが精一杯。
ダム湖にかかる吊り橋にトライ
西山ダムから上流側を眺めると、遠くに奈良田の里が見えている。その手前に吊り橋がかかっているのがわかるだろうか。
まだ時間が早いから吊り橋を渡れるならトライしようっと。付近の道端には登山客と思しきたくさんの車が止められていたし、「民地につき駐車禁止」の札とともにロープが張られていたりした。駐車可の区画になんとか空きスペースを見つけて徒歩で吊り橋へ。
軽く揺れるけど怖がるほどじゃない。橋の途中から見た奈良田の里がこちら。ダム湖は吊り橋を境に急激に水が減って、むしろ枯れそうな川の状態になっていた。
吊り橋の対岸はちょっとした広場と発電所?…「←笹山」という標識があったのは、白峰南嶺の笹山(黒河内岳)の登山口になっているからだろう。
再び車に乗り、あえて白根館を通過してその先へ進んでみた。通行止め地点はどうなっているのかと思って。しかし急激に道が細くなりだし、下手にUターンできなくなって詰むとやばいから、あっさり退散。慎重にバックしながら戻りました。素人は奈良田温泉駐車場から奥へ行くべきじゃない。
本来なら忘れちゃいけない七不思議の湯
白根館の前でだけ記憶が蘇る
白根館の建物の前が駐車スペースになっている。道路沿いの堤防(?)や水が少なくて砂礫が目立つ早川の風景は過去の記憶に合致する。やっぱり来たことあるよ。下手すりゃ20年以上前になるけど。
では入館。フロントで1000円をお支払いして右手へ向かうとすぐに休憩コーナーがあった。このへんは記憶にない。というか入館以降はすべてが記憶になかったゆえ初訪問に等しい。
いったん屋外へ出る感じになって、右に女湯、左に進むと男湯、その奥にまた女湯の並びで現れた。男湯の脱衣所へ入ってすぐのところに分析書が掲示されており、「含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」と書いてあった。PH9.1、泉温47.8℃。七不思議の湯と称されるらしいね。
コインいらずの貴重品ロッカーがあったかもしれない。ほかには一般的な棚+かごの構成。内湯と露天風呂は直接つながってなくて脱衣所を経由する必要がある。
びっくりするほどのトロトロ湯
まず内湯へゴー…うわぁ、タマゴの匂いがするぅ。硫黄の主張がかなり強い。あと後述するようにトロトロ・ヌルヌル度がすごいからすべって転ばないように注意。洗い場は3名分あった。浴室は都会的・無機質な感じじゃなくて、カッコつけて言うなら木のぬくもりを感じさせる懐かしさ。
浴槽は2名サイズの小浴槽と、向かい合わせを許容して6名サイズの中浴槽が並んでいる。湯口は小浴槽の方に付いている。小浴槽はお湯がやや熱めだったのでまったく入っていない。悲しいけどオレぬる湯派なのよね。とスレッガー中尉のようなセリフをつぶやきつつ(つぶやいてない)、中浴槽専門で浸かっていた。
中浴槽はぬるめだったのだ。ぬる湯と呼ぶと反論を受けるだろうが、長湯を意識して粘るのに抵抗ない程度にはぬるい。露天風呂と比べてもぬるいから、夏はここがベストじゃないかな。お湯は無色透明をささ濁りにしたような雰囲気。ただし奈良田温泉は環境条件次第で透明・緑・白濁と変化するらしいから、どんな見た目かは行ってみてのお楽しみ。
匂いは硫黄を意識させるタマゴ臭。しかし最大の特徴は超絶なトロトロ感でしょう。湯船に入ればすぐにわかる。うわっ…お湯のトロトロすごすぎ…?ってびっくりするよ。これだけ印象が強かったら過去の記憶に残っていても良さそうなのに、昔は温泉への興味が薄かったからとはいえ、どうしちゃったんだろう。
試しにお湯を顔全体に塗りたくり、しばらく待って様子を確認したら、肌具合がえらいことになっていた。これもう化粧水いらずなんじゃないの!? そりゃ孝謙天皇も長逗留するわ。
適温の露天風呂は味変ねらい的に利用
さあて露天風呂にも行ってみますかね。それなりの大きさだが不規則な形をしているので6名サイズと見積もりたい岩風呂だ。一部は屋根に覆われ、一部は頭上オープン。お湯の特徴は内湯と同じで、温度面は内湯2つの中間くらい。長湯は難しいかな。
湯の花について書くのを忘れてた。各浴槽で白い粒状の湯の花が舞っている。露天風呂も例外ではない。また、露天風呂の眺望については、生け垣が目隠しとなっているため基本的に外の景色は見えないと思ってよい。川向こうの山くらいは見えたかなあ…あんまり覚えてない。
腰掛けてクールダウンするのに使える丸太状の椅子も用意されているから、うまく活用してほしい。内湯の中浴槽メインでときどき露天風呂、のようなローテーションで小一時間、硫黄まみれ・トロトロまみれになったところであがった。
いやあ、すっかり仕上がっちゃったなあ。高評価が目立つのも納得のお湯だ。過去の自分が何を考えて当館に泊まろうと思い立ったのか、もはや定かではないけれど、現在の湯めぐり趣味に通じる何らかの嗅覚に引っかかったのかもしれない。白根館だけに真実はしらねーけど。







