山の自然の中で浸かる夏向き爽快な冷泉露天風呂 - 赤石温泉

赤石温泉
ちっとも涼しくなる気配がないどころか、むしろいっそう暑くなってる気がする秋の入口(暦の上では)に、ぬる湯王国・山梨へ。1湯目は富士川町の赤石温泉への日帰り入浴だ。静岡の畑薙湖近くにも南アルプス赤石温泉白樺荘というのがあり、映画「男はつらいよ 噂の寅次郎」(第22作)のラストで大井川鐵道に乗ってた新婚カップルが向かっていたのはそっちだろう…まさか山梨の方?

とにかく自分が行ったのは山梨の方だ。山深いロケーション、かつ日本秘湯を守る会の会員宿。日帰り入浴は土日か連休となる祝日のみ、飛び石的な孤立した祝日は不可。という条件に合わせて行ってみた。適温湯と水風呂級の冷泉がある。

赤石温泉へのアクセス

平林地区の山奥へ

富士川町の平林という停留所まで行くバスがあるようだが、そこから3kmほど歩かねばならない。小一時間かかってしまうね。雨や熊の心配もしなくてはいけないし。車に頼りたいところだ。

なので自分はマイカーで。朝早めに出発したつもりが中央道のとんでもない渋滞に巻き込まれ、現地で旅メシを…なんていう野望は完全に吹き飛び、談合坂SAできのこそばを食すのがやっとだった。

甲府南ICを出たら国道140号を西へ。中部横断道増穂ICや道の駅富士川のあたりから県道413号で山奥へと入っていく。狭いくねくね道が始まりだして7~8kmほど走るから頑張れ。中盤の平林地区中心部は少し開けた様子でホッとする。観光客向けのトイレ休憩+食事処なんかもあったし。

向かいにキャンプ場と露天風呂

後半戦はさらに山林の中を縫うように走る感じになってくる。対向車がほぼいなかったのがせめてもの救いだ。現地に着くと道路左手に駐車場があった。車を止めると近くの小屋から係員さん(?)が出てきて「ここはキャンプ場の駐車場なんですよ」とのこと。あー、しまった、申し訳ない。しかし「赤石温泉と共用してますんで、温泉をご利用なら大丈夫です」って。あー、よかった。

道路の右手に当宿へ続く上り坂があり、車で通れるし、上った先には駐車場も用意されてた。ただし入浴するのはキャンプ場側に設置された露天風呂だから、どちらに止めても大きな有利不利はないと思う。
赤石温泉への坂を上ったところ
※坂のぼる→受付→坂おりる→露天風呂→坂のぼる→退出手続き→坂おりる→帰る、の手順を考えると、宿の前に駐車する方が徒歩で坂を上り下りする回数を1往復分減らせる。


ワイルドな露天風呂を体験

逆回転水車がお出迎え

敷地内を歩いていくと逆回りの水車があった。たしかに水の当て方から連想されるのとは逆向きに回転している。その心は「レトロな雰囲気を残した宿なので、古き良き時代にタイプスリップして懐かしんでいただきたい」だそうな。
逆回転する水車
冒頭写真のレトロな建物へ入るとすぐにフロント。入浴料800円のほか、預り金1000円を渡す。お風呂は下の方(キャンプ場の方)に露天風呂がありますから、とのことで内湯を利用するのではなかった。車を置いた駐車場の脇からちょっとだけ下るとキャンプ場が見えてくる。
キャンプ場
そちらに背を向けて反対側に歩くと露天風呂の入口。誰もいないし見えて困るものも特にないけど撮影はここらが限界。スマホの電源を切っておこう。
露天風呂の入口

展望テラスを備えた露天風呂

ネットでは混浴という情報がたくさん出てくるが、張り紙なんかを見る限り男女別のようでもある。少なくとも混浴+女性専用の2部構成じゃないかと思える…真実は知らないので話半分でお願いします。とにかく男湯と書いてある方に誘導されて脱衣所へ。

脱衣所には100円戻らない式の貴重品ロッカーあり。またシャワー室なる小部屋があった(中は見てない)。露天風呂に洗い場がなかったので、その代わりとなる場所だろうか。これも真実は不明なので話半分でよろしく。そして分析書によると「酸性-鉄(II,III)-単純冷鉱泉、低張性、酸性、冷鉱泉」のPH2.5、泉温12.2℃。加水・加温・循環・消毒あり。

露天風呂は4つの区画からなり、頭上は概ね屋根がかかっている。脱衣所に近い方から4名サイズの冷泉小・5~6名サイズの冷泉中・8名サイズの適温大・2名サイズの適温小と続いている。もっと奥には椅子を置いた休憩&展望テラスがあり、眼下に川や砂防ダムを眺めることができる。※テラスは露天風呂のフロアと1つ下のフロアに設けられている。

水風呂のような冷泉が爽快

まず適温大に入ってみた。…まさに適温ですね。無色透明に近いささ濁りのお湯ながら、木や一部金物で作られた浴槽にこびりついた色からは赤茶色の印象を受ける。お湯の中には湯の花っぽいものがいろいろ漂い、泡付きはない。匂いを嗅いでみたらはっきりとした金気臭は感知せず。また酸性といってもピリピリする感じはない。

ふーむ、なるほど。では冷泉中へ移動しよう。…うっ、冷たい。ぬる湯というよりは完全に水風呂級の冷たさだ。水風呂慣れしていないと、いきなりザブンと浸かることはできませんね。徐々に身体を慣らしつつ、ゆっくりゆっくり入っていった。

温度以外の特徴は適温大と同じ。調べによると非加温の源泉ではなく、加温した源泉を自然に冷めるままにしているらしい。浸かってしばらくすると冷たさに慣れて、中でじっとしている限りは意外と大丈夫になり、夏であればむしろ爽快なくらいで、5分や10分は継続できる。浴槽は手作り感のあるワイルドな雰囲気。小綺麗とは別の方向性なので令和の世においては人を選ぶかもしれない。

温冷交互浴でリフレッシュ

今度は適温小へ移動。適温大より心持ち温度高いかな。まあ似たようなもんだけど。浴槽はやや浅め。温度差のせいか酸性のせいか、あるいはその相乗効果か、入った瞬間は股間にピリッと刺激が…ワイルドだぜぇ。そしてさらに冷泉小へ移動。こちらは冷泉中と同様なので割愛します。

ほかに記すとしたら、飲泉所みたいなのがあったので近づくと、温泉ではなくてミネラルウォーターだった。南アルプスの天然水ってことになりますかね。入浴途中の水分補給にどうぞ。

こんな調子で適温5分→冷泉10分を数サイクル繰り返した。前半は独泉状態、後半はおじさまが一人やって来て2人体制となった。混み合わず、静かにのんびりと、夏の暑さをしのぐ湯浴みができてよろしおます。クールになった身体で颯爽と次へ向かったのだった。


おまけ:すぐ近くまで行ける妙蓮の滝

入浴後は宿の受付に戻って預り金を返却してもらう。さて帰るか…でも「←妙蓮の滝 10分」の看板が気になって寄ってみることに。宿の裏手のいろいろ作り込みがしてある一帯を通り抜け、
赤石温泉の裏手
ワイルドな遊歩道をゆく。多少の登り下りもあるよ。
妙蓮の滝への遊歩道
いったん砂防ダムの向こう側の河原へ出て、さらに進むと川は峡谷状の急流に変わる。なんだか神域ぽくなってきた。
遊歩道の終盤
キターーー!! あれが妙蓮の滝か。
姿を現した妙蓮の滝
はしご状になった階段を上ると滝壺の近くまで行ける。距離が近いだけになかなかの迫力だ。落差は20mとのこと。
妙蓮の滝を近くで見る
じっくり見学したいところだが、万が一にも熊と遭遇する確率を極小に抑えるべく、早めに切り上げて戻った。大変な時代になったもんだぜ。