忘れ得ぬ良泉とテーマソング - まえばし駅前天然温泉ゆ~ゆ

まえばし駅前天然温泉ゆ~ゆ
急な思いつきで実行した真夏の土合駅見学と湯宿温泉の旅。いつものようにあちこち温泉めぐりするつもりはなく、2日目はそのまま家に直帰してもかまわなかったのだが、バスや列車の乗り継ぎを調べてたら前橋までとてもスムーズに到達できることがわかった。

前橋なら以前から行ってみたいところがあったのだ。知る人ぞ知る、前橋駅前の日帰り温泉施設「ゆ~ゆ」である。お湯の質が良くてなかなかの人気らしい。なんとなく熱くて濃ゆいイメージを持っていたので、真夏にその点だけが心配だった。

実際はわりと入りやすかった。特に露天風呂。アブラ臭と色から判断すると濃ゆくて熱そうなんだけどね。こんな個性派が駅前に湧いてるのが驚き。

まえばし駅前天然温泉ゆ~ゆへの道

湯宿温泉で朝を迎えたおじさん。朝食なしプランのため何も腹に入れずに湯宿温泉停留所からバスに乗った。後閑駅前で下車して近くのコンビニでドーナツとアイスコーヒーを購入、駅の待合室で摂取した。よし、これで低血糖問題は解決した。ゆ~ゆのお湯にのぼせてぶっ倒れるおそれはないはず。

後閑から乗った上り列車は新前橋行き。前日乗り鉄して通った駅が逆順に現れては消えていく。岩本~津久田のあたりは綾戸渓谷があるはずなんだが、よくわからないままに通り過ぎてしまったようだ。続く敷島、ここは3年前の湯宿温泉の旅で途中下車してユートピア赤城という温泉に入ったな。今は花湯スパリゾート傘下でリニューアルしたみたいですな。

渋川でたくさん乗ってきて座れない人が出てきたと思ったら、やがて終点新前橋。両毛線に乗り換えて次の駅が前橋だ。両毛線の車内も前橋駅構内も、なんだか運動部で鍛えた細マッチョな男子中高生の割合がとても高く見える。だから何ってわけじゃないが。

…暑いでしかし! やばい暑さだぞ。さすが前橋、関東のニュースで危険な暑さを話題にする時の映像がだいたい熊谷か前橋だからなあ。体温を超える気温ってやつじゃないか。別の意味でぶっ倒れないようにしなければ。
前橋駅前の大通り
日陰から日陰へ、忍者のように移動するものの、駅前大通りに隠れられるような日陰はそんなにない。せめてもの救いは当湯が駅からとても近いことだ。徒歩5分かからないかもしれない。しかも駅北口正面のビジネス街風な大通りをまっすぐ進むだけだ。迷いようがない。


ゆ~ゆの夏、日本の夏

駅前で温泉を掘り当てた奇跡

では入館。下足箱は100円リターン式だったっけ。受付で入浴料(休日1000円)を支払って、下足箱の鍵と引き換えに精算用の腕輪を受け取る。車で来た人は駐車場から裏口経由で入るようになっていて、裏口側に売店コーナーがあった。
売店コーナー
大浴場は2階。階段の踊り場には当湯を取り上げた新聞記事が掲げられている。「駅前を温泉で活性化したい」との思いで半年にわたる掘削…掘り当てられる保証もない中でよくぞチャレンジしたものだなあ。著作権法の絡みが気になったため写真はありません。

いつ頃のかは不明だが日帰り温泉ランキング(?)の記事も見られた。1位がゆ~ゆで、2位が行田の古代蓮物語、あとは忘れちゃった。百観音温泉とかラクーアが入ってたのかな。

2階に着くと目の前がレストランコーナーだった。うん、後で利用させてもらおう。そこから折り返すように進むと大浴場だ。脱衣所には100円リターン式のロッカーが並ぶ。受付で受け取った腕輪は水や熱に弱いのでロッカーにしまっておきましょう。

脱衣所入口に泉質の説明がある。チェックすると「ナトリウム-塩化物温泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」だった。PH7、泉温55.4℃、加水あり・加温なし・循環あり・消毒なし。熱くて濃ゆいイメージを持って訪れたが、強塩泉をアピールしていないし、加水ありなら意外とマイルドで入りやすいかもしれないぞ。

アブラ臭のする黄褐色のにごり湯

浴室に入るなり、ぷ~んとアブラ臭が匂ってきた。すげーな。このレベルだとやっぱり濃ゆいお湯なんじゃ…考えがグラグラ揺らいじゃうおじさん。洗い場は24名分と余裕があり、その規模に応えるかのように大きな内湯浴槽がデーンと待ち受けていた。向かい合わせを許容して詰めれば30名でも入れそうなサイズだ。

淡黄色に濁ったお湯のため、浴槽の底は見通せそうで見通せない。かけ湯のところに「熱め⇔ぬるめ」のような説明書きがあり、ようは湯口に近い位置に入れば熱く、遠くなればぬるめってことだ。ぬる湯派としては(真夏なのも考慮して)少しでもぬるい方へ。

ぬるめといっても普通の適温。茶色い粒状の湯の花がたくさん漂い、泡付きは特になし。匂いはやはりはっきりとしたアブラ臭。なかなかの個性派といえる。温まりが良いのでずっと粘って浸かり続けることは難しい。無理な長湯は禁物。無理したつもりがなくても出た際にクラっとめまいを覚えたくらいだ。

窓に温泉についての説明が貼ってあって、地下1500mから汲み上げているそうだ。へー。内湯エリアにはほかにサウナが2箇所と水風呂。これらはスルーしました。

夏でもわりと入りやすい露天風呂

露天風呂は6名サイズ。詰めればもうちょっといける。お湯の特徴は内湯と一緒で温度がぬるめ。こちらは夏でもわりと抵抗なく入りやすいし、ぬる湯好きであれば冬でも全然ストライクゾーンな温度。こりゃいいですね。建物の形状的に実質屋根付きだから直射日光が防がれているのも良い。

浴槽やまわりの床は温泉成分ですっかり黄土色~赤茶に変色している。露天風呂奥の壁掛けテレビでは何かのバラエティ情報番組を流していて、全身浸かりながら、あるいは半身浴の体勢で、みんなテレビの方に目を向けていた。

露天エリアはほかに休憩用のチェアが4つほどと、仰向けで寝るタイプのやつが3つ設置されている。後者は置かれた位置からして直射日光が当たりやすいためか、あまり利用する人はいない…肌を焼くつもりの人がいれば別だが。

キャッチーすぎるテーマソング

時おり当湯のテーマソングが館内放送で流れてくる。キャッチーで洗脳されそうになるな。

ゆ~ゆぅ~ゆ~ゆぅ~♪ ゆ~ゆぅ~ゆ~ゆぅ~♪ まえばっしー♪ えきまっえー♪ て・ん・ね・ん・お・ん・せ・ん~♪…うわぁー脳内ループが止まらねぇー!!

まあそんな感じで内湯:短め→露天:長めを数セットやってあがった。湯あがりはやたらポカポカする…とは感じなかったけど、ずっと汗がだらだらと引かなかったのは熱の湯とも呼ばれる塩化物泉の効果だろうか。そしてしばらく経つと肌がツルテカに。駅前にこれほどのクオリティの温泉があるってのは奇跡的ですな。


レストランコーナーでちょいと1杯のつもりで飲んで

湯あがり後はレストランコーナーへ。前橋駅周辺には鳥めしとか海鮮物とかの人気店があるみたいだったけど、ランチタイム終わっちゃいそうだし、お盆時期は絶望的な混雑で入れないかもしれない。のんびり飲んでつまんでをやりたいから館内でOK。

4人がけテーブル席、座敷席、おひとり様向けのカウンター席もございます。注文はタッチパネル&腕輪番号による後精算で。まずはおつまみセット? じゃなくて湯あがりセット? もしくはほろ酔いセット? それともちょい飲みセット?、あるいはどれでもない別の名前の、とにかくこれ。
ビールとおつまみのセット
ぷはー。五臓六腑に染み渡るぜぇー。鉄道の旅はこれができるからいいやね。車で来てたらこうはいかない。しばし楽しんだ後に追撃。今度は単品で。
追加で注文したもの
五臓六腑に染み渡るぜぇー。おつまみで野菜とタンパク質は補給できてるし、朝のドーナツで糖質脂質も補給ずみだ。カレー・丼・ラーメンとかはもういらない。

さて帰ろう。外に出ると、予想以上にふらふらと酔いが回っているようだった…あるいは前橋の暑さにやられたのか、それともゆ~ゆのお湯が効いちゃったのかもしれない。そして脳内には例のテーマソングがずっと反復していた。