“かわじい”もご満悦の川見露天ぬる湯 - 川治温泉 薬師の湯

川治温泉 薬師の湯
鬼怒川温泉は有名だし日帰りで温泉に入ったことがある。鬼怒川の先に湯西川温泉があり、そこも温泉宿に泊まったことがある。しかし両者の中間にある川治温泉はずっとスルーしていた。未体験ゾーンであることがずっと引っかかっていたので狙ってみることにした。

諸般の事情により早めに現地入りすることになり、宿へ向かう前に立ち寄り湯するだけの時間の余裕が生まれた。行き先のアテはある。共同浴場「薬師の湯」だ。

新しさとレトロ感が同居する本館内湯も良いが、なんといっても少し離れた場所にある露天風呂が素晴らしい。外から丸見えとかの要素はおいといて、絶妙のぬる湯が最高すぎる。余ってた時間を使い尽くしてむしろオーバーするほど長湯してしまった。

川治温泉「薬師の湯」へのアクセス

川治温泉駅より川治湯元駅が便利

東武鉄道鬼怒川線から野岩鉄道へ乗り入れると川治温泉という駅がある。だが薬師の湯をはじめ多くの旅館が当駅からだとちょっと遠い。次の川治湯元で下車した方が近い。それでも直線的に行ける道はなくて大きく蛇行するようにして1kmくらいは歩くようだ。

自分はどうしたかというと、まずもうひとつ先の湯西川温泉駅まで行って日帰り温泉・湯の郷で一発入浴した後、バスで川治温泉街まで来た。どこのバス停で降りたらよいか迷っているうちに川治湯元駅入口を過ぎてしまい、こりゃ失敗したかもと焦って次の東山閣前で下車。よくわからないままに国道121号沿いを歩いていった。

途中にあった坂文精肉店はコロッケが有名みたいね。閑散とした街の中で唯一(失礼)観光客の活気にあふれていた。近くの川治ふれあい公園では「かわじい」が出迎えてくれる。
かわじい
かわじいは街のあちこちに立っておるのじゃ。ふぉっふぉっふぉ。かわじいの奥には2箇所の足湯が見えておるの。左手前のが「むすびの湯」という小さな足湯。右奥がワシの名を冠した「かわじいの湯」じゃ。…いかんいかん、いつのまにか語り手がかわじいの設定になってるぞ。ちなみにこれがかわじいの湯だ。
かわじいの湯

男鹿川沿いに立つ共同浴場

足湯を通過するとすぐに男鹿川のそばに出てくる。対岸に「子持の湯」「不動の湯」「元湯」という3つの小屋が並んでいた。お風呂じゃなくて源泉施設だと思う。見学できたかもしれないのに、なぜかその発想に至らずスルーしてしまった。
子持の湯・不動の湯・元湯
柏屋というホテルのところまで来ると橋がかかっていて、対岸へ渡れば薬師の湯だ。橋の上でちょっと撮影を。奥に見える鉄橋が野岩鉄道の線路で右手に川治湯元駅がある。川筋がつきあたってT字路みたいになっているのは男鹿川が鬼怒川に合流する地点。
薬師の湯付近の男鹿川
反対側へ振り向くと、やや下方に位置する露天風呂がもろに見えてしまう。だからなんだってんだ、ワシはやるぞ、と入る気満々のかわじい、じゃなかった、温泉おじさん。


新しくも懐かしさを感じさせる本館

本館入浴券で露天風呂もいけます

橋を渡って右に行くと露天風呂、左に行くと内湯のある本館。最初は内湯へ入りましょう。ガラガラっと戸を開けて中で入浴券を買う(日光市民以外は700円)。ねんのため確認してみたら、この入浴券で内湯も露天風呂も入れるとわかった。

100円リターン式の貴重品ロッカーがあるから活用しよう。露天風呂の脱衣所にロッカーがあるにはあったけど、100円は戻りませんと張り紙してあったような。本館の貴重品ロッカーを使って身軽になって露天風呂へ行った方がいい。ロッカーの鍵に付いてるカバーには青とピンクがあった。何も考えずピンク鍵のロッカーにしまったが、後で考えてみたら男湯の人=青/女湯の人=ピンクという運営上の意図があったのかも。まあいいや。べつに実害ないっしょ。

廊下の奥に内湯の浴場がある。脱衣所はそれほど広くはない。壁に(廊下の壁だったかもしれない)貼ってあった分析書によれば「単純温泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」だった。源泉温度が低いため加温ありだが加水・循環・消毒なしはさすが。

ぬるくて入りやすい川治の湯

浴室に入ると洗い場だけがあった。…湯船はどこ?…さらに次の扉の向こうにあった。洗い場専用ブースにカランは3台。シャンプーやボディソープは結構しっかりしたものを使っていたような。背後のサウナ室は故障のため休止中。

内湯ブースへ移動すると、なかなか風情のある5名規模の石造り浴槽があった。全般に新しい感じで現代風のデザインが取り入れられている様子もある。一方で湯治場の共同浴場らしさも残っており、カッコつけて言えばレトロモダンってやつか。

お湯はぬるい部類の適温。ほんのりした温かさがたまりませんな。見た目は完全に無色透明で強烈な個性というのはない。温泉だとはっきりわかるのは匂い。この前に入った湯西川温泉よりは弱めながら微硫黄香を連想させる温泉ぽい匂いがあった。

浴室に大きな窓があるわけではなくて外はたいして見えない。もし丸見えになったら男鹿川を望めるものと思われる。まあ景色云々言わずともこのぬるいお湯にゆっくり浸かるだけで十分にリラックスできて満足だ。


期待を超える素晴らしい露天風呂

2つの露天風呂、どちらも最高

では狙っていた露天風呂へ行ってみようかの。ふぉっふぉっふぉ。受付で「かなりぬるいですから」と念を押された。合点承知の助。ぬる湯派なんで大丈夫でござる。関東ぬる湯同好連盟(関ぬ連)の会員ナンバー65535じゃからの。ふぉっふぉっふぉ。

混浴露天風呂ということになっているが、やはり男性専用みたいなものである。先ほどの橋から丸見えの露天風呂にしても、その隣にある多少は壁に囲われた半露天風呂にしても、外から見えてる感は相当ある。たとえ独占状態だとしても女性が利用するのは勇気がいるだろうね。

まず脱衣所に近い半露天風呂へ。密にならない範囲でなら6名規模。一種の岩風呂でありながらちょっと洞窟風呂のような気分にもなる。お湯はやはりぬるい。36℃級だな。ワシの大好物じゃ。ふぉっふぉっふぉ。

うっかり長湯する前に丸見え露天風呂の方へ行ってみた。こちらは4名規模。温度は同じくらい。ぬるいから先客はすっかりとろけて思い思いの姿勢でダラ~~~っとしてた。結構結構。ぬる湯の醍醐味ですな。

ここには屋根が付いても壁はない。端っこへ近づくと男鹿川・対岸の旅館群・川にかかる橋がよく見える。まわりからこちらが丸見えなのではない、こちらがまわりを丸見えしているのだ。そう思えば大変にすぐれた川見の露天風呂だ。

いくらでも続けられる極楽タイム

再び半露天へ戻ってラストまで居座った。体温前後のぬる湯は本当に気持ちがいいなあ。いくらでも入っていられるぞ。どうせこの後は旅館に入るだけで時間のお尻が決まっているわけじゃない。あー極楽。

…気がついたらお湯の中で眠ってました。はっと時計を見たら1時間をとっくに過ぎていた。やっちまった~と心の中でつぶやきつつ多幸感に満ちたこの気分がなんともいえません。はっきり言ってまだ継続することはできたが、今日はこれぐらいにしといたるわ。

 * * *

もともと薬師の湯に立ち寄るかどうかは決まっていなかった。たまたま二者択一の決断でスケジュールに余裕ができる行動を選んだのだ。これほどハッピーな時間を体験できたんだから正解というほかない。早め早めの行動が吉とはよく言ったもんだね。

温泉の温度には好みがあるから万人におすすめはしないけど、ぬるいのが大丈夫ならおすすめしたい。少なくとも本館内湯ならたいがいOKじゃないかな。湯質は本格的で文句なし。