トンネルの駅を出るとそこは日帰り温泉 - 湯西川温泉 湯の郷

湯西川温泉(道の駅湯西川) 湯の郷
群馬の温泉に行ってから半月後、調子こいて今度は栃木の温泉にアタックチャンス。鬼怒川~川治~湯西川と続く「川」シリーズの温泉ラインに狙いを定めた。いずれも鉄道駅からほど近いところに温泉施設があり、車がなくても・悪天候でもなんとかなる点に強みがあった。

最初にアタックしたのは一番遠くの湯西川温泉。いわゆる温泉街は駅から歩ける距離ではなく、バスに乗り換えていくほど離れているが、特筆すべきは鉄道駅と一体化した道の駅の中に日帰り温泉「湯の郷」があることだ。

道の駅併設だからとなめてはいけない。ほんのり硫黄香を漂わせる結構本格的な温泉なのだ。時間の都合でヒット&アウェイみたいな滞在になってしまったのがもったいないくらい。

湯西川温泉・湯の郷へのアクセス

東武特急に乗れば一発で

東武鉄道で鬼怒川温泉まで行けるのはよく知られるところ。終点の新藤原から野岩鉄道へ乗り入れて、線路はもっと奥まで続いている。都心からの直通列車が設定されているし特急列車も運行されている。

朝、湯西川温泉駅まで直通してくれる東武特急リバティに乗った。ファミリー層を中心に満席の勢い。前もって予約しておいて良かったぜ。列車が利根川を渡ってやがて栃木県に入ると、だいぶのどかな雰囲気になってきた。だが目指す湯西川の秘境感はこんなものではない。

下今市で東武日光線と分かれてから新藤原までは急にスピードが落ちる。単線だから上り下りの通過タイミングをやりくりする都合かな。そして野岩鉄道の区間に入るとまたスピードは戻るが、今度はトンネルが多くなり、険しい山間部の様相を呈してくる。

龍王峡→川治温泉→川治湯元ときて湯西川温泉で下車。プラットホームがトンネル内にあり、下り列車は発車したらすぐトンネルを抜けて鉄橋を渡るというジオラマ展示のような駅だった。秘境ロマン度高し。
湯西川温泉駅

湯西川温泉駅=道の駅 湯西川=温泉 湯の郷

階段を上って改札を出ると、なんとそこは道の駅だった!…ていうか、前に一度来たことありますけどね。湯西川ダックツアーなるダム見学企画に参加するため立ち寄ったのだった。その時、道の駅が鉄道駅に直結していて温泉施設もあるというところに目をつけていたのが、今日につながるわけだ。

あれから3年か。懐かしいなあ。前の訪問は梅雨入りの頃でそこそこ人は多かった。今は桜の時期(北関東山間部だとまだちょっと早いか)で人影もまばら。せっかくの足湯も寂しげだ。
道の駅湯西川の足湯
道の駅の向かいは湯西川。さすがにもう雪はないな。前述の「すぐトンネルを抜けて渡る鉄橋」が見えます。目の届く範囲にまとまった集落は見られず、そこはかとなくにじみ出る秘境感。
湯西川橋梁

ほのかに硫黄が香る、なかなかのお湯

まずは鹿コロ丼で腹ごしらえ

ではお風呂へ…いやその前にお昼ごはんだ。ここでご当地ぽいメニューをいただこうと思ってずっと我慢してたのよ。満腹感に邪魔されて今宵の旅館の夕食を楽しめなくなるとまずいから、お昼は少しでも早めにすませておきたい。よってお風呂の前に食べる。

道の駅の食堂へゴー。さあどうしよう、ダムカレーは楽しげではあるけど、いかにもライスの量が多そうだからパス(湯西川ダムカレーは本当にライス大盛り。川治ダムカレーは普通盛りのようだけど見た目がボリューミー)。カレーと鹿肉コロッケを両方楽しめる鹿コロ丼にした。サービスで付いてきたおからがありがてえ。
鹿コロ丼
ああ、こいつも結構なボリュームだったわ。カレーは昔懐かしタイプの味。鹿コロッケは特に臭みはなくてまあ普通。鹿と他の肉の味の違いがわかるような舌じゃないし、旅の気分を味わえれば十分満足ですよ。

一般向けの新しい感じの施設

長い前フリを経ていよいよ温泉へ。いざゆかん。
道の駅2階にある湯の郷
下足箱は100円リターン式。券売機で利用券を買う。日光市民以外は700円。フロントで受け付けしてもらってから奥の大浴場へ移動する途中にあった休憩室は閉じていた。また岩盤浴も休止中。コロちゃん対策でしょう。男湯女湯の入れ替えがあるのかどうかはよくわからない。この日は手前側が男湯だった。

道の駅全体と同様、この浴場もまだ十分に新しくてきれいな感じがする。温泉好きとかを抜きにして観光帰りにちょっと汗を流すくらいの動機で立ち寄る一般人にも抵抗なく利用できると思われる。脱衣所には100円リターン式ロッカーが並び、壁に貼ってあった分析書には「アルカリ性単純温泉、アルカリ性、低張性、高温泉」とあった。

居心地よく温泉を楽しめる内湯

浴室内も明るくスッキリとしたつくりで安心感あり。しかし決して無機質ではなく、現代風にアレンジしたモダン秘湯のような雰囲気すら感じさせる。

洗い場は7名分。タイル式の大きな内湯浴槽は片側に横一列に並んでも8名いける。奥行きがそこそこあるから向かい合わせを許容すれば15名は入れそうだ。注がれる無色透明のお湯は源泉かけ流しとのこと。

では入湯。うん、適温ですな。少しぬるめといえるかもしれない。じりじり迫ってくる熱気がないからゆっくり浸かれますね。いささかの濁りもなく完全に透明なお湯だなあ。湯の花や泡付きも見られない。でも明らかに温泉らしい特徴があった。お湯の匂いを嗅ぐと甘さを想起させる微硫黄香がしたのである。こいつはたまらんね。匂いに関してはこの旅で体験した中で最も強かったと思う。

全面ガラス張りの窓から自然豊かな風景がドーンと見える…窓の下側が目隠し対策されている分だけ割り引かれるけど。総合的にはなかなかよくできた内湯ではないか。


露天風呂もあります

やや熱めの露天風呂

隣に露天風呂もある。5名規模の岩風呂で、内湯からガラス窓を取っ払ったようなつくりだから壁や天井にバッチリ囲われてて、半露天というべきかもしれない。目隠し用に背の高い板が立っているため眺望はむしろない。

お湯の特徴は内湯と一緒。温度は一段階熱かった。熱いのが好きな人には合っているかもしれない。自分はぬる湯派なのでどっちかといえば内湯が好み。というわけで早々に露天風呂を出て内湯へ戻った。

交通機関のダイヤに制約されるのが悩ましい

ふー。さてどうするか。実は列車のダイヤの関係でプランが2つ考えられて、まだ決心してなかった。
  • 食事と温泉で計1時間半の滞在に収めて次の上り列車に乗る。温泉タイムは安全域を考慮して30分まで。
  • 1本見送って次の次の列車に乗る。温泉タイムを1時間取ってもまだ90分余る。どう時間をつぶすかが肝。
あーどうしよ。内湯だったらもうちょっと粘れるが…やっぱり腹八分目に抑えて早め早めに行動しておくかな。よし決めた。出よう。

 * * *

こうして湯西川の道の駅を90分ほどで去ることになった。なんだか慌ただしくてもったいない気もするが、まあ今回はしょうがない。車で来ていたらもっと融通がきいて温泉タイムを長く取れたことでしょう。そうするだけの価値ある温泉だったと思う。

ところで駅の改札へ向かおうとしたら、ちょうど鬼怒川温泉行きの路線バスが到着していたから、渡りに船とばかりに飛び乗った。もともと乗ろうとしていた列車はリバティ号で特急料金がかかるからね。本当うまい具合にバスがいたもんだ。早め早めの行動が吉ってね。