奥津の郷の大規模施設。ぬる湯もあり - 奥津温泉 花美人の里

奥津温泉 花美人の里
岡山県の温泉で前から行ってみたかったのが奥津温泉。美作三湯に数えられる歴史ある温泉だし、足元湧出の湯を体験できる宿もある。温泉地としても変に俗化してなくて素朴で風情があっていいらしい。

そういった情報をすべて飲み込んだうえで、訪れたのは今風テイストの日帰り施設「花火人の里」。温泉通を自認する人ほど「奥津でしょ? 老舗旅館じゃなくていいの?」と突っ込みたくなるかもしれない。いいんです。気軽に入れる雰囲気だし、夏向きのぬるい湯船があるとのことだったのでね。

基本的には今どきの日帰り入浴施設そのまんまである。非日常感とか旅情というよりは手軽さと快適性がセールスポイント。お湯の個性は薄いが、ぬるい湯船で長時間リラックスできたのは収穫だ。

奥津温泉「花美人の里」へのアクセス

車がないとなかなか大変

奥津温泉は岡山県の北端近く、中国山地に入っちゃってるくらいの場所で鳥取との県境もそう遠くない。公共交通機関で行こうとすると結構大変だ。JR姫新線・津山線の津山駅からバスで1~1.5時間。バス便はかなり少ないし、乗り継ぎを要するパターンもある。

大阪始発で奥津温泉口というバス停を通る高速バスもあったようなのだが、バス会社の時刻表をネットで調べるともう便の設定がないみたいね。キビシー。

自分はお手軽に岡山空港からのレンタカー。午前中に美作三湯のひとつ・湯郷温泉の鷺温泉館へ立ち寄ってから奥津温泉へ向けて車を走らせた。経費節減のため高速道路は使わず国道179号をひたすら進む。津山市街がちょっと混雑気味だった他はスムーズ。1時間かそこらで着いたと思う。

小さな温泉街の巨大な施設

朝の時点では晴れ予報で降水確率も10%だったのに、現地へ近づくにつれて雲が厚くなって軽く降ったりもした。うーん、これは観光日和じゃないな。時間に余裕があれば奥津渓を見学しようと思っていたのをやめて温泉オンリーに気持ちを切り替えた。

現地の温泉街は予想外に小ぢんまりとしており、なかなか鄙びた集落。その中で花美人の里だけがモダンなデザインと規模感を押し出して独特の雰囲気を醸し出している。
花美人の里の長い通路
構内の数箇所に分かれて用意された駐車場は、入口付近の便利な区画は満車だけど少し離れれば止め放題。


老若男女ウェルカムな花美人の里

洒落た雰囲気の施設

では入館。券売機で入浴券を買う。740円。フロントで脱衣所のロッカー鍵を受け取り、奥へ。左手に暗証番号方式の無料の貴重品ロッカーとお土産コーナーがある。下の写真はボカシたわけじゃなくて単なるピンぼけ。
お土産コーナー
右手にシャレオツな休憩スペースあり。普通の畳の和室もあります。
休憩スペース
さらにはシャレオツな里山レストランもあるのだが、この日は休業中だった。肝心の大浴場は1階に女湯・2階に男湯がある。定期的に男女の入れ替えがあるのかどうかは不明。男湯の脱衣所もきれいに整っており、中央に洗面台があるスタイリッシュなレイアウトになっている。やけに都会的な雰囲気だ。

分析書を探すと泉質は「アルカリ性単純温泉」だった。低張性だとかそういうのは書いてなくてわからない。加水なし、加温・循環・消毒あり。

内湯はアメリカンスパが目についた

内湯は当館全般と同様に新しくオープンで明るい印象を与え、これなら老若男女誰が利用しても大丈夫だろう。向かって右側に洗い場があってカランは12台。その奥にユニークな円形浴槽があった。アメリカンスパだって。ようは一人用ジャグジーか。お湯は熱くもなくぬるくもなくで、ちょっと泡ボコボコを体験したらもういいやと思って離脱した。その奥にあるサウナと水風呂はパス。

内湯メイン浴槽は左側手前にあり、4名相当の部分は普通の深さで、2名相当の部分が浅く作られていて寝湯できるようになっている。そして中央付近が泡ボコボコのジャグジー状態。露天エリアを隔てるガラス窓から明るい光が入ってくる。

浸かってみたお湯は適温。浅い方へ移動してみてもそんなにぬるくなかった。自分の好みからするともっとぬるい方がいいかな。見た目は完璧な無色透明で湯の花や泡付きはない。アルカリ性であること、また奥津温泉に関するネット情報からヌルヌルした感触があるかと思えば、そんなこともなかった。普通にさらっとしている。温泉らしい匂いもないかわり塩素臭も意識されない。いろんな意味でニュートラルなお湯。

左側奥にはひと回り小さい内湯サブ浴槽。3名分のジェットバスになっている。ここは一瞬だけ浸かってすぐに出た。目立った特徴はない。

本命のぬるま湯が最高でした

露天エリアへ出れば、いくつかの休憩用チェアと5名サイズのシルク風呂が控えている。超細かい泡で白濁して見えるやつね。ちょっくら入ってみましょうかね。炭酸泉とはまた違ったアワアワの感触。へー面白いね、と納得したところで終了。一番時間をかけたい本命の風呂が待っていた。

露天エリアの向かいに第2内湯とでもいうべき円形の別室があって、そこの円形…というか視力検査で穴のあいてる向きを言わされる「C」の字みたいな形…の浴槽こそが「美人の湯(ぬるま湯)」と題する本命風呂だ。ぬるいのが好きなんでね。

10~頑張って詰めれば15名いけそうなサイズ。当時は他に1~2名しかいなくて余裕だった。浸かってみると、うん、ぬるい。全然のぼせるようなことがなくていつまでも入っていられる。目論見通りで内心ニンマリ。予定していた大半の時間をここにつぎ込んだ。

硫黄香がするとか泡付きがあるとかヌルヌルするとか、そういうわけではない。温度以外に変わった特徴はない。しかしただいるだけで心地良く、浴室内は人口密度が低い上、他の客もひたすら静かにじっとしているだけだから、非常に落ち着いてリラックスした時間を過ごすことができた。こりゃええわ。

…やがて次の目的地へ向かうべき時間が来たのであがることにした。奥津温泉を語るには当館の体験だけではまだまだ足りてないかもしれないけど、一応奥津温泉に入りましたってことで、自分的には良しとします。まあいずれ、時間とお金と健康と社会情勢の四拍子が整うことがあるなら、泊まりに来ることがあるかもしれない。奥津のことは夢のまた夢。


おまけ:奥津温泉街を散歩する

せっかくだからちょっとだけ周辺を散歩してみた。当館の向かいにあったのが温泉スタンド。背後は比較的大きめの駐車場で、ここに止めてもよかったのかなあ。
温泉スタンド
吉井川にせり出すような場所に足湯が作られている。利用者グループがいました。
吉井川と足湯
橋を渡って向こう岸へ行くと洗濯場があった。無骨な建物だが、昔ながらの「足踏み洗濯」と呼ばれる行事(?)のときは屋外の石畳の上で洗濯物を踏みつけるようなダンスをする。
洗濯場
そしてこれが温泉街の核心部。奥津荘・東和楼・河鹿園の3軒が並んでいる。当時はひっそりとして寂しい感じ。
奥津荘・東和楼・河鹿園の並び
これにて奥津温泉は終了。いざ発進…したらすぐに道の駅があったから最後に立ち寄ってみた。津山ホルモンカレーを買わせていただきました。併設の観光案内所の中に温泉むすめのパネルを発見。見かけたら撮る癖がついてしまった。
温泉むすめ 奥津かがみ
奥津かがみちゃん。特別観光大使だったのか。頑張りたまえ。