親鸞聖人が見守る個性派温泉「西方の湯」がクサいほど熱い

西方の湯
マスコミで取り上げられたこともあるし、ネタにされやすいインパクトのあるお湯だから知ってる人は知っている、新潟県胎内市にある「西方の湯」。簡単に言えばアンモニア臭のする温泉。難しく言ってもトイレのような臭い。

万人向けとは言い難い温泉に他の人を無理やり誘うわけにもいかないから、一人で行ってみた。近年、引いてきてる源泉元が変わってしまい、昔ほどの強烈な個性ではなくなったという事前調査結果の通り、たしかにわりと普通のいいお湯だった。

まあ臭いか/臭くないかでいえば臭いですけどね。でも普通にいいお湯ですよ。臭くないかといえば臭いけど。

西方の湯へのアクセス

急にひらめいちゃったので

梅雨の晴れ間を求めて突発的に訪れた新潟。1泊2日の2日目の予定を決めずに来ちゃった。宿泊した咲花温泉・碧水荘の部屋で「明日どうしようかなー」と考えているとき、ふとひらめいた。

もしかして、あの伝説の西方の湯へ行けるのでは?…アタックチャンス来ちゃった?…初日に訪れた新津温泉とあわせて全国でも屈指の二大個性派温泉【におい部門】を体験するってのは、テーマ的にも筋が通っている。

咲花から磐越西線で郡山へ抜ける乗り鉄ロマン案も捨てがたいが、雨雲の下に突っ込んでいくことになっちゃうし、晴れの予報が出ている下越地方ならお天気の面でも申し分ない。よし決まった。

中条駅からはタクシー頼み

西方の湯の最寄り駅はJR羽越本線・中条。宿をチェックアウトして咲花から磐越西線で終点・新津へ、そこで羽越本線に乗り換える。途中で停車した月岡駅では前年に訪れた月岡温泉の思い出がじわりと蘇った。駅から温泉街は少し離れてますが。

新発田で再び乗り換えがあって中条に着いた。海岸寄りにある西方の湯と同じ側の駅西口へ出てみた。ガラーンとしている。タクシー乗り場はあってもタクシーがいない。駅から当湯までは7km近くも離れているからタクシーでないときつい。

東口へ出直して、ググった結果をあてにしてレンタサイクルを探すも、ない(一時期試行していたようだけどやめちゃった?)。覚悟を決めてロータリーで待機していたタクシーに乗り込んだ。行き先を告げると、「あの親鸞聖人の像があるところですか」と確認された。イエス。

なお、とある路線バスに乗って終点から30分歩くという技もあったようなのだが、そのバスは廃止されてしまった。鉄道派には厳しい状況だ。中条駅から西方の湯まではタクシーで15分弱・2300円くらい。


独特のにおいだけじゃない、源泉かけ流しの濃ゆい強塩泉

親鸞聖人像が立つ宗教施設内の温泉

さて西方の湯に到着。正式名称は「越後の里 親鸞聖人総合会館 西方の湯」だそうだ。名前が示す通り、当館に隣接する敷地に巨大な親鸞聖人の像がドーンと立っている。
親鸞聖人像
一種の宗教施設のようだけど、入浴客に対して説法とか勧誘とかがあるわけではない。温泉目的で来る限りは一般の日帰り温泉施設の対応と変わらない。と、あらかじめ調べてわかってはいたものの、若干緊張しつつ入館。
西方の湯 入口
受付の人が不在がちでなかなかつかまらない、受付段階で結構手間取る、とのネット情報も散見される。今回は運良くスムーズだった。こちらが「すいませーん」と声がけする前に「いらっしゃいませ」と出てきてくれた。料金500円を支払う。

後述するたくさんの展示品が並ぶ通路を経て奥の大浴場へ。男湯の脱衣所には背が高くて幅が狭いタイプの鍵付きロッカーが並んでいる。早くもかすかに怪しげなにおいが…。

壁に貼ってある分析書には「ナトリウム-塩化物強塩温泉、弱アルカリ性、高張性、高温泉」とあった。

相当に熱い大浴槽

浴室に入ると、やばいにおいキターーー!…すいません、盛りすぎました。現実は「お、おう、たしかに臭うっちゃあ臭うな」というくらい。なにこれウェェーッとなる人はそう多くはないんじゃないかな。

洗い場は6名分あるけどシャワーが付いているのは4名分。ひとまず誰もいない独占状態のようだ。噂に聞こえた個性派のお湯を遠慮なく楽しませてもらうとしよう。

内湯は湯口があって10名以上は余裕でいけるサイズの大浴槽と、大浴槽から仕切りで隔てられて4名サイズの区画にされた小浴槽、その隣に1名サイズの水風呂がある。大浴槽に片足突っ込んでみたら結構な熱さだった。ぬる湯派の自分好みではないので大浴槽はパス。

ちょっとした特典としてのトイレ臭

小浴槽も決してぬるくはないけどまあまあの適温だったのでこっち専門で。お湯の色は濁った黄土色で浴槽の底は見えない。濃ゆい塩化物泉にありがちなやつ。源泉元が変わる前は黒かったそうだ。

湯の花は記憶にないなあ。そして最も関心を集めるにおいについては、たしかに学校のトイレ(少なくともおじさんが子供の頃の学校トイレ)を連想させる特徴がある。アンモニア臭なのか、トイレ用洗剤臭なのか、なんといっていいかわからない。

とはいえ極端に強い刺激ではない。うんまあそういう感じもするね、ってくらいで大げさに騒ぎ立てるほどではない。かつてお湯が黒かった頃はかなりのものだったという話だが。

なので今は源泉かけ流しの濃ゆい強塩泉として普通に楽しむことができる。おまけで他にはない珍しいにおいを体験できるのがお得だねと思えば良い。いずれにせよ熱さと濃さからして長湯向きではない。

たまたまお湯がピチャっと跳ねて口元に付いた。もちろんわざわざ舐め回しはしない。それでも口の中がじわーっと塩辛さでいっぱいになった。濃ゆいです。

海が見える庭の中の露天風呂

開いた扉から草の生えた庭っぽいところへ出てみた。向こうに日本海が見える。6月に発生した山形県沖地震のことが頭にあったから、入浴中に大きい余震が来たら津波を心配しなきゃいけないかもな、と思いつつ海面から判断するに、当館は砂浜から隆起した海抜5~10mくらいの高台にあるように思われる。油断は大敵だが。

庭には池がふたつ。奥にあるのは本当の池。藻でドロドロの緑色になっている。手前にあるのは露天風呂だった。6名サイズの岩風呂で入ってみたら適温。内湯小浴槽よりも若干ぬるい。

ワイルド系なので羽虫がぷかぷか浮いているとか、いろいろあるけど気にしちゃいけない。露天風呂から見える巨大な親鸞聖人像の横顔を拝みながら他力本願の心で浸かりましょう。

自分にはよくわからない展示物がいっぱい

こうして内湯と露天風呂を行ったり来たりしながら約1時間の入浴を終えた。大半は湯船の外で休憩している時間だった気がするけど、なんだかんだで結構滞在したな。あがる前に念のためシャワーで体についた温泉を洗い流しておいた。

大浴場を出て廊下を歩くと、ここは温泉施設じゃなくて宗教施設だなあとあらためて感じる。
西方の湯 館内通路
由来がよくわからない展示物もある。
西方の湯 展示物
なお当館は宿泊することも可能なようだ。自分は温泉の切り口で見てしまうので、温泉旅館としてはどうなんだろうと思ってしまうが…詳細は自力もしくは他力にて調べてください。


帰りは駅まで歩いてみた

帰りもタクシーなら迎車してもらわないといけない。なんだか面倒だなあ。時間に余裕あるし歩いちまえ、と決断して出発。当館を出たらお隣さんはJX石油開発の油業所。西方の湯の源泉はこういった油業所から提供を受けている。
JX石油開発 油業所
付近一帯は乾燥した砂状の土地なのか、田んぼはなくて畑が広がっている。風力発電の風車も目立つ。
西方の湯付近の畑
濃ゆい強塩泉に入った後なのに、晴天下を7km近くも歩かなきゃいけないのに、水分補給を忘れていたことを後悔し始めていた。脱水症状が出たらどうしよう…幸い20分ほど歩いたところに自販機を発見。助かったぜ。ここにも油業所あるのね。
途中で見つけた自販機
西方の湯を出てからかなりの早足で30分ほど行くと、砂地だったのが普通の土に変わってきて田んぼが主になってきた。油業所と砂地の畑しかない、人っ子一人見えない風景から、徐々に人間の気配が感じられる雰囲気になってきた。
中条駅と西方の湯の中間地点あたり
強風に逆らって体を屈めつつ、何も考えないようにしてひたすら早足で歩くこと70分、ようやく中条駅に着いた。温泉効果と運動効果で帰りの列車内が爆睡状態だったのは言うまでもない。


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