お肌すべすべ、エメラルドグリーンの湯 - 月岡温泉 ホテル清風苑

月岡温泉 清風苑
見事な五月晴れ、とはいかない雨がちな5月の週末。ウン十年の人生において、やまだかつてない怒涛の温泉旅シリーズ・春場所も、いよいよ後半戦。今度の行き先は新潟県の月岡温泉だ。

美人の湯(おじさんには関係ないけど)・エメラルドグリーン・豊富な硫黄分・アブラ臭といったキーワードで語られることが多く、以前から興味を持っていた。このたび新潟行きのグループ企画が持ち上がった時点で、このチャンス逃すまじと強力に月岡をプッシュして、宿泊地に決定してもらったというわけ。

人数&予算&温泉愛好家ってわけでもないメンバー構成を考慮して、宿は万人向けと思われる「ホテル清風苑」にした。我らにとっては十分にハイグレードだったし、マニア受けするディープな世界とはいかないまでも月岡らしい特徴の温泉を楽しめたと思う。

月岡温泉・ホテル清風苑へのアクセス

豊栄を経由する

今回はメンバーの一人が出してくれた車での移動。関越道を起点の練馬から走りに走り、長岡からは北陸道を新潟市方面へ。いやあ長かった。新潟県に入ってからが長く感じた。ドライバーは大変だったでしょう。

月岡温泉に直行するなら北陸道から続く日本海東北道に入って豊栄新潟東港ICで下りるのがベスト。我ら一行は新潟市内でいろいろ野暮用をすませた後、一般道で豊栄の町を経由して月岡入りした。

もし東京方面から鉄道を利用するなら、まず上越新幹線で新潟まで行って、そこからJR白新線で豊栄へ。豊栄駅から温泉街へのシャトルバスが出ている。清風苑は月岡仲町という停留所から徒歩3分だそうだ。

まわりは田園地帯

車が温泉街を突っ切らないでゴルフ場がある丘のへりに沿って回り込むルートをとったため、なにもない田園地帯の中に清風苑の建物がでーんとそびえ立っている印象を受けた。ホテル手前の橋から見た光景がこれだもの。
清風苑前の水路
実際は別の方角に街が広がっているようだ。下は翌朝の朝食会場からの景色が良かったので撮ってみたうちの1枚。
月岡温泉街

ホテル清風苑の館内

鬼の出迎え

ともかくチェックイン。ロビーは広くて立派で、インスタ映え用らしき立札付きの五月人形が飾られていた。
隣には鬼の像。鬼のくせになぜかいい笑顔をしている。怒ってるやつもいるが。
清風苑 ロビーの鬼たち

ハイグレード感ある部屋

さて、案内された部屋は4階の12畳和室。窓際が広縁ぽくなっている。人数に対しての広さは十分。洗面台とトイレを含めて部屋全体がきれいである。もちろん金庫あり。有料ドリンクの入った冷蔵庫あり。
清風苑の部屋
設備面は何の不満もない。一人旅のときはもっと鄙び系・秘湯系が多いので、自分基準だとハイグレード感ある。広さも関係しているだろうけどね。このへんのグレード感を享受できるのはグループ旅行ならでは。

そして窓からの景色はこんな感じ…って網戸にフォーカスしちゃってるよ。これじゃなんだかわかりません。
清風苑 部屋からの眺め

これが月岡温泉か…特徴的なお湯を堪能

2種類の大浴場の性格に注意

清風荘の大浴場は1階にある。実を言うと、などともったいぶる必要はまったくないけど、実のところ大浴場は男女とも2種類ずつあって、一方が温泉使用、他方が温泉ではない沸かし湯だ。

月岡の他の大規模ホテルにもこのパターンが見られた。源泉の湧出量や旅館に対する配湯割当量との兼ね合いでやむを得ないんだろう。

自分は温泉に入るために来たようなものなので、温泉大浴場(男湯=源氏の湯・女湯=美人の湯)にしか行かなかった。沸かし湯の庭園大浴場(殿の湯と姫の湯)へ行ったメンバーの話では、そちらの方が広くて洗い場にも余裕があり、多種多様な浴槽やサウナがあったそうだ。

混雑は浴場の使い分けで対処せよ

ここからは温泉大浴場に話を絞ろう。チェックイン直後の夕方に行ってみると、やっぱり行楽シーズンの週末は甘くない。ちょうど何組かのグループと鉢合わせの格好になった。これは混むね。混んじゃうね。

混雑絶対避けるマンのおじさんといえども、いまさら後には引けない。意を決して前進あるのみ。ちなみに脱衣所の分析書には「含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉、弱アルカリ性、低張性、高温泉」とあった。

浴室に入ると、洗い場に空きがない…だと?…9つあるカラン(うち1つは故障中)はすべて使用中。たまたま1箇所に空きができても光速で後釜が入る。え゛ー、だめだこりゃ。だがつるんで来ている客が多いから、そのうち潮が引くようにサーッといなくなるだろう。

予想通り、しばらく待ったらポツポツと空きが出始めて事なきを得たが、洗髪したり体を洗ったりするなら庭園大浴場の方へ行くのが正解なんだと思う。戦略的な使い分けが求められる。

源泉わらべが見守る、エメラルドグリーンの内湯

さあ、まずは内湯へ入ろう。15名くらいいけそうな広いタイル張り浴槽。混雑気味の状況でも十分な収容力を発揮していた。湯船の前には「すべる」と大きく書かれた立て札。本当に滑るから気をつけよう。

奥にある「源泉わらべ・田介」の像が湯口になっており、注がれたお湯はたしかにやや青寄りのエメラルドグリーンを呈していた。半濁くらいの透明度だったせいか、予想していたほど鮮やかで派手な色ではなく、渋めというか落ち着きある色。

温度は最初はぬるめに感じ、何度か入るうちにだんだん熱めに感じた。たぶん適温の範囲で多少の上下があると思われる。まあ入りやすい温度ではある。

そしてただお湯につかっているだけで硫黄っぽい匂いがしてくる。その中に、各所で指摘される通り、アブラ臭が混じる。お湯をすくって鼻を近づけると一層はっきりする。そんなにどぎつくはないけど、しっかりと主張してくるのであった。これくらいならウッと来ない。むしろ「なんか効きそう」とみんなプラスに捉えてくれそうだ。

お湯かけ小僧が見守る、ぬるめの露天風呂

続いて、団体が帰っていった頃合いを見計らって露天風呂へ進出。こちらは4名規模の木の縁がついた浴槽。1階だから露天エリアは目隠しの柵で囲われ、眺望はない。

湯口は普通な感じ。かわりに中庭に「お湯かけ小僧・米吉」の像が置かれていた。これはお湯をかけてくる小僧なのか、お湯をかけてくださいと言ってる小僧なのか。事と次第によっちゃあ、こっちも黙っちゃいねえ。

なんて妄想してる場合じゃない。露天風呂に集中しなきゃ。お湯の見た目は内湯と同様。つかってみるとややぬるめ。個人的な好みのゾーンに入っている。じっくり長湯できるし、これはいいね。

こちらも硫黄+アブラが匂うし、「すべる」と注意喚起されているように若干ヌルヌルした感触がある。いかにもお肌に良さそう。みんな露天風呂を優先したがるので独占はなかなか難しいだろうが清風苑の目玉として堪能したい。

なお風呂上がりには肌がすべすべになった。あと夕方は混んでたけど、夜と翌朝は人口密度低めだった。


たいへん結構でございました、清風苑の食事

新潟の恵まれた食材が並ぶ夕食

清風苑の食事は夕食が個室、朝食がバイキング会場。どちらも我々の宿泊した部屋とは別の棟にあり、いったん1階ロビーを経由して移動する形となった。

夕食はこれ。お造りの器が氷でできていたのが凝ってる。なんかその印象が強かったせいで他の料理の記憶が薄れているぞ…。鍋物はつみれ鍋。ご飯はコシヒカリの釜飯だ。他に1,2品が出てきたと思う。
清風苑の夕食
新潟は新鮮な魚介類に恵まれているし、野菜や山のものもいいし、米はうまい。このときはビールだけですませたが本来は日本酒もいいのが揃ってるし、大変結構ですな。みんなで飲んで語って食べてお腹いっぱい。ごちそうさまでした。

豊富な品ぞろえの朝食バイキング

朝食はコンベンションホールでのバイキング。和洋中のメニューが取り揃えてあって目移りする。とりあえず取ってきたのがこれ。これらは提供されるうちのごく一部にすぎない。
清風苑の朝食
ご飯は「ご当地月見丼でどうぞ」的なおすすめに従ってみた。ご飯に鶏そぼろ・山芋とろろを乗せて温泉玉子で月見にする。ああ、これはご飯がすすむ。食べすぎちゃうね。

このあともう1回追加で取りに行ってからデザートとコーヒーで締めた。いつも朝はほとんど食べないんだけど、このときはずいぶん頑張ってしまった。新潟は味がちょっと濃いめだねという会話をメンバーとした記憶がある。


美人の湯をみなさんでどうぞ

こうして以前から気になっていた月岡温泉を体験することができて大変ハッピーである。硫黄+アブラとくればアクの強さを連想してしまうが、少なくとも清風苑のはソフトで当たりがやさしく、たしかに美人の湯として女性にアピールしそうな個性を持っていた。

清風苑のホームページによれば平日に一人向けの朝食付きビジネスプランがあるけど、ホテルの性格からして、温泉一人旅というよりはグループの観光旅行での利用がやはり向いているだろう。