時を刻む、からくりの館 - 「時計工房 儀象堂」においでや

時計工房 儀象堂(しもすわ今昔館おいでや)
長野県諏訪地方は精密工業が盛んなイメージがある。実際いくつかの機器メーカーの名前が頭に浮かぶ。そんな諏訪を(個人的には半年ぶりに再び)訪れた春のグループ旅行で、ちょっと気になるスポットを見つけた。

それが下諏訪町の「時計工房 儀象堂」。当館はもともと「諏訪湖時の科学館儀象堂」という名称だったのが、隣接する「下諏訪町埋蔵文化財センター」と一体化して「しもすわ今昔館おいでや」としてリニューアルオープンしたばかり。その中の旧・時の科学館に相当する施設が儀象堂なのだ。

さまざまな時代の時計の展示を通じて、時計の原理や内部のからくりをてんこ盛りに見せてくれる。おじさんのロマン心をくすぐる博物館といえよう。

儀象堂の目玉・水運儀象台

足湯やカフェを備える複合施設

旅の2日目の朝、我ら一行は下諏訪温泉の旅館おくむらを出発。目指す「時計工房 儀象堂」は諏訪大社・下社秋宮のそばにあり、おくむらから徒歩でも行けるくらいの近さ。車だったから本当にあっという間に着いた。

出入口の横には足湯コーナーがある。諏訪の温泉らしい透明で熱めの湯が提供されている。裸足になってちょっと入ってみた。うーん、気持ちいいね。湯口の付近に足を拭く手ぬぐいが無料で利用できるように置いてあった(持って帰っちゃダメだぞ)。気が利くね。
しもすわ今昔館おいでや 足湯コーナー
館内に入ると、まず右手にカフェ&休憩スペース。観光パンフレットなんかも置いてある。ここまでは無料。その先の受付で入館料600円を払って先へ進む。

水力で動く巨大なからくり時計

受付のお姉さんの案内にしたがって1階の中庭へ出ると、水運儀象台なる3階建て民家くらいの高さの巨大からくり装置とご対面。宋の時代の中国で作られた時計を復元したものだそうだ。
儀象堂 水運儀象台
装置の内部に入って見学できる。観覧車のように円周上に多数のバケツ(?)を取り付けた水車が動力源だった。ストッパーに支えられたひとつのバケツに水が注がれ、一杯になると重さでストッパーが外れて、次のバケツと入れ替わるまで水車が回転する。文字の説明だけでわかってもらえただろうか。その回転が歯車を通じて時刻を示す円板に伝えられる。
水運儀象台の内部
円板上に複数の段に分かれてたくさん並ぶ人形のどれが正面に来るかで時刻を表すようだ。凝ってるなー。そして装置の2階部分には天球儀と開発者っぽい人の像。なお天文観測台になっている屋上へは上がれない。
水運儀象台2階の天球儀

時計、時計、また時計…

各時代の時計展示と体験コーナー

館内に戻って2階の展示フロアへ。階段の踊り場の壁には懐かしの柱時計がこれでもかと大量に掛かっていた。そうそう、昔は一般家庭にこういう時計が割と普通にあったっけな。

2階には太古の日時計的なものから原始的な振り子時計からゼンマイ式からクォーツ式まで、各時代の時計が多数展示されている。
儀象堂2階展示コーナー
振り子の周期がおもりの重さや振幅によらず一定であることを実験する装置や、ゼンマイ式の原理がわかる仕掛け、体感で5秒を計ってできるだけ少ない誤差を目指すゲームなど、体験型の展示も一部ある。

それにしてもフロアの入口に万治の石仏レプリカが置いてあったのはなんだろう。時計とはとくに関係がないのに。思い起こせば下諏訪の町はあちこちで万治の石仏推しがすごい。

時計作り体験もあるよ

やがて水運儀象台が大きく作動する音を出し始めたため、中庭を望む2階のテラスへ出てみた。きりのいい時刻になると鳩時計を大掛かりにしたような演出を見せてくれるようだった。やがて中から人形が出てきて“こんにちは”。大げさに言えばディズニーランドのアトラクション装置みたい。でも写真を撮り忘れた。

儀象堂では時計作り体験もできる。気軽な20分コースもあれば6時間というガチで取り組むコースもある。後者はたしか材料費込みの料金が5~6万円はすると説明されたから、相当に気合の入った人向けだ。

腕時計の中の細かい歯車を扱うとか、繊細な組立作業とか、素人がいきなりやってコースの想定時間内にできるものなんだろうか。みなさんすぐ慣れて上手になさってますよ、との説明であったが。6時間コースはともかく気軽なコースなら体験してみたくもありつつ、いずれにしろ時間がなくてスルー。


古代のロマンを集めた「星ヶ塔ミュージアム矢の根や」

埋蔵文化財センターの方は「星ヶ塔ミュージアム矢の根や」という名前になっており、中庭の奥にある。儀象堂の入館料を払っていればあわせて入館できる。展示されているのはこのあたりで出土した黒曜石や土器など。

ここらでしか取れないはずの黒曜石が遠く離れた土地でも見つかっていることから、各地の縄文人には交流のあったことがうかがえる。

展示物には縄文人による黒曜石の採掘坑なんてのも。なぜだかロールプレイングゲームにありがちな武器素材集めを連想させる。
星ヶ塔ミュージアム矢の根や 黒曜石採掘坑
ここのもうひとつの目玉は諏訪地方唯一の前方後円墳・青塚古墳が目の前にあること。2階のテラスがちょうどいいアングルの展望台になっていた。知らずに見たら単なる丘と思っただろう。
青塚古墳

当館の周辺は江戸時代の宿場町ぽい雰囲気を残すが、儀象堂と矢の根やは、また別の時間軸で下諏訪の歴史を感じさせてくれる。観光案内拠点の機能もあるようだし、下諏訪観光の折には立ち寄ってみたいスポットだ。

スポンサーリンク