名湯とグルメを楽しみたい大人の憩い場 - 草津温泉 杓凪華

草津湯菜の宿 杓凪華
桜の花見が話題に上り始める頃。温泉界のキング・草津を訪れる機会をついに得た。今回はグループ旅行であり、メンバーの意向を忖度すると希望の宿は「静かにくつろげる」「人数に対して部屋は広め」「食事はバイキングでない」ところ。予算はひとり1万円台の半ばくらいまで。

そんな全方位で都合のいい宿があるのかいな、と懐疑を抱きつつ、小規模旅館を中心に探してみた。口コミなんかも参考にして、ここならいいんじゃないかと見当をつけたのが、「草津湯菜の宿 杓凪華(しゃくなげ)」。

温泉街の中心からは離れているが、おかげで静けさについては盤石だ。そして一番広い部屋を押さえたから、広さも問題なし。むしろ余りすぎるくらい。食事は口コミ通りに丁寧かつ美味なり。お湯はパワフルな万代鉱源泉を楽しめる。宿選びは見事にクリーンヒットであった。

草津温泉「杓凪華」へのアクセス

バスタ新宿や東京駅八重洲口から草津温泉まで直行バス「ゆめぐり号」が出ている。公共交通機関でお手軽かつお財布にやさしく行こうと思ったらこれだろう。

しかし我々は諸般の事情により上野からJR特急・草津号を利用した。休前日ではないのに車内の席はそこそこ埋まっており、1月の本白根山噴火の影響など微塵もないようだった。

終点の長野原草津口駅から草津温泉までは25分ほど路線バスに乗る。特急の乗客はほぼ全員がバスに乗って草津を目指すはずだから、乗り切れずに取り残されたらどうしようと心配したが、さすがにそんなご無体なことはしない。2台3台とバスを仕立てて、とにかく全員を送ってくれるようだ。運が悪いと補助席になってしまうが。

バスの終点は草津バスターミナル。ここで宿に連絡して迎えに来てもらった。バスターミナルから宿まで車だと5分くらい。歩いて行けなくもないけど20分以上かかると思うしアップダウンが結構きつそう。


大人の休日が似合う杓凪華の館内

静かな林間の保養施設

杓凪華の外観は和風旅館というより企業の研修所ぽい。もとは国民健康保険組合の保養所だったという情報もある。周囲の環境は高原の林間の別荘地といった風情で、湯畑に代表される草津温泉街の一般的なイメージとは一線を画す。

外観と同様に館内も保養所風。小規模なのと客層のせいか、騒々しさがまったく感じられず、本当に静かで落ち着いた雰囲気だった。よっしゃ狙い通り。ちなみに後日あらためて調べたら「当館は小学生以下のお子様のご利用はご遠慮いただいております」だって。
杓凪華のロビー
チェックインの際はロビーの椅子で少し待つことになる。待つ間にハーブ茶をふるまわれた。このあたりの気遣いはなかなか頑張ってますな。

広い広いゴージャスな部屋

我ら一行の泊まった部屋は2階の和洋室。これがまた広い! まず目に入るのが14畳のリビング。ここだけで十分て感じ。ソファー・テーブル・テレビ・空の冷蔵庫にマッサージチェアまである。リッチだぜ。
杓凪華の和洋室 リビング
そして2台のベッドが入る洋室。
杓凪華の和洋室 ベッドルーム
そして10畳相当の和室。金庫あり。3名以上が利用する場合は、この和室に自分で押し入れから布団を出して敷く。
杓凪華の和洋室 和室
そして広くてきれいな洗面所とシャワートイレ付き。あと窓からの景色はこんな感じ。
杓凪華の部屋からの景観
部屋は新しく清潔感があり、広すぎるくらいに広い。なんかゴージャスな気分になる。ガウンを着て猫を抱きながら葉巻とブランデーを嗜むリッチマンを気取りたくなるが、現実は庶民なので備え付けの浴衣に着替えたし、もちろん猫はいないし、室内は禁煙だし、夜の晩酌は缶チューハイだった。


天下の草津温泉を初体験

万代鉱源泉を引いたお風呂

さあ名高き草津の湯を初体験だ。さっそく1階の大浴場へと繰り出した。翌日草津ビジターセンターで受けた説明によると、草津温泉は6つの源泉からなる。そのひとつが比較的新しい万代鉱源泉で、杓凪華ではこの万代鉱源泉を引いている。

脱衣所に掲示してある説明だと万代鉱源泉は湧出量があまりに豊富で、使いきれずに垂れ流している分が結構あるようだった。雪を溶かすのにも利用されているらしい。ほうほう、なるほど。

壁の分析書には「酸性-塩化物・硫酸塩温泉、低張性、酸性、高温泉」とあった。PHは1.6。以前体験した新玉川温泉のPH1.2には及ばないものの、かなりの強酸性であることは間違いない。一滴でも目に入ったら相当しみるだろうね。

緑がかった透明の湯

浴室は全9室という宿の規模を考えれば十分なサイズ。洗い場は5名分。奥の左手は大きめの玉石が敷き詰めてあるデッドスペース。奥の右手に5名規模の浴槽がある。その前には2人くらいが腰かけられるベンチが置いてあった。

草津は白濁硫黄泉だと勝手に想像していたのだが、万代鉱源泉は無色透明、ほんの少しだけ薄く緑がかっている。お湯が投入される湯口のところには白い析出物がこびりつき、その上に重なるようにして、ところどころ絵の具のように鮮やかな緑色の層ができているのが見えた。

入ってみるとお湯は熱め。42~43℃で提供しているとのこと。匂いを嗅いでみると、分析書の泉質に硫黄と書かれていなかった通りにタマゴ臭はなく、他にも特に感知するものはなし。浴槽の底が若干ぬるっとするから足を滑らせないように注意すべし。

自己流で湯もみにチャレンジ

手元のメモには「ピリピリなし」と書いてあるけど、これは「おォー、しみるゥー」というレベルの刺激を受けなかっただけで、今から思えばピリピリ感はそれなりにあった。

ピリピリには酸性だけでなくお湯の熱さも一役買っていると思われる。「ふぃー」とか「あ゛ー」とか声が漏れそうな熱さだ。したがって長湯はできない。ベンチを活用して頻繁に休憩を入れていった。

よく見ると湯船の脇に湯もみ板が立てかけてあった。板に「杓凪華」だか「くさつ」だかの文字が書き込まれていたと思う。誰もいないタイミングを見計らって板を手に取り、湯もみをしてみた。

自己流のやり方だった(翌日に湯もみショーで見たやり方と全然違った)せいか、板にかかる水圧がすごくて思うように動かせない。う、う、動かねー。だめだこりゃ。温度を下げることはできませんでした。

優雅にハンモックで寝てみたい

結局、夕方・夜・朝と3回入った。毎回の入浴時間は自分にしては粘らず短め。あの泉質と熱さだからね。みんな同様と見えて回転は早い。浴室に他の客と居合わせるとしても大体1名で、しかもすぐに出ていくから独占状態の時間も多い。

風呂上がりには2階に休憩できる読書コーナーがあるし、ハンモックを吊るしたコーナーもある。ハンモックは人気があるみたいで、通りかかるたびにチラ見した範囲では、たいがい誰かが使っている様子だった。

そして入浴後は肌が明らかにツルツル・テカテカになり、翌日もそのまま持続した。おお、これが草津の湯の力か。


思い出に残る杓凪華の食事

夕食は自慢の創作和食

杓凪華の食事は朝夕とも1階の食事処で。個室ではないものの各テーブルの間が半透明のカーテンで仕切られていて半個室の雰囲気になっているのは良い工夫だ。夕食のステーティングメンバーがこれ。創作和食のテイスト。
杓凪華の夕食
群馬の郷土料理おきりこみうどんの麺を揚げたやつとか、刺身は魚とこんにゃくが交互に並んでいたりとか、いろいろとユニークだった。真鯛の胡桃味噌焼きがうまい。

この後あんかけご飯が出てきた時点でお腹いっぱいになったが、メインはその次。上州和牛と上州豚の石焼き。野菜も含めてこりゃ大変な量だぞ。
杓凪華の夕食 上州和牛と上州豚の石焼き
石が冷めてしまわないうちにと肉や野菜をどんどん乗せてどんどん食べる。塩やワサビでさっぱりといただくから、お腹いっぱいになってからでもおいしく食べられた。

最後のデザートはもうギブアップ。お腹苦しい~。見かねたスタッフさんが「デザートは部屋に持っていっていいですよ」と提案してくれたから、お言葉に甘えて晩酌のお供にさせてもらった。

爽やか優雅にいただく朝食

朝は和定食をたっぷりのサラダと共に。卵の中身は温泉玉子。鍋は湯豆腐。落ち着いた雰囲気の中でゆったりといただく。飲み物はオリジナルの蓼科りんごジュースを選んでみた。
杓凪華の朝食
お米もおいしいのだがまだお腹に余裕がなくてあまり食べられなかったのが残念だ。最後に挽きたてコーヒーで締めて終了。


目的次第でベストチョイスに

杓凪華、当たりです。飲んで騒いでワッショイしたい方々は別の宿を検討してもらうとして、温泉・食事・静養を軸に据えるのならばベストな選択肢となり得る。ことに今回の部屋は広くてゴージャスだし、メンバーも大満足であった。

本記事を書くために調べて初めて知ったのだが、湯菜の宿は草津と那須にある。また姉妹ホテルが蓼科と南紀白浜近くの日置川にある。朝のオリジナルりんごジュースは蓼科の姉妹ホテルと関係があるのかもしれない。

こうなると那須の方も気になるね。芽瑠鼓という名前らしい。なんだかステマぽくなってきちゃったけど個人の感想です。

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