立地とお湯は草津の“直球ど真ん中” - 草津温泉 若乃湯 草津館

草津温泉 若乃湯 草津館
温泉界の東の横綱・草津には一度行ってみたかった。それがこの春のグループ旅行で実現したのである。あるメンバーの「草津へ行ってみたい」という要望が図らずもナイスアシストとなった。

2泊3日の旅の2日目の宿は湯畑近くにある「若乃湯 草津館」。湯畑は草津のシンボルであり中心だ。その湯畑が本当に近い。分かってて予約したとはいえ、現地で位置関係を目にすると、あらためてびっくりする。

草津館はちょっと古びたところもあるけど、それもまた温泉情緒のうち。お風呂は2種類の源泉を提供しており、どちらもすばらしい浴感だ。温泉旅行の気分を満喫するのに適した宿ではないだろうか。

「若乃湯 草津館」へのアクセス

東京からの直通バスにせよJR吾妻線・長野原草津口からの路線バスにせよ、公共交通機関を利用すると草津バスターミナルが草津温泉の玄関口となる。我ら一行は1日目を温泉街の外れにある「湯菜の宿 杓凪華」に宿泊し、翌朝車で送ってもらってバスターミナルへ着いた。

バスターミナルから坂道を下って5分ほどで湯畑前の広場へ出る。このあたりが草津温泉の中心といえる。そしてなんと広場のすぐ目の前に草津館があった。あらら、もう着いちゃったよ。

建物の並びでいうと、白旗源泉(湧出所)・御座之湯(共同浴場)・草津館・白旗の湯(共同浴場)・熱乃湯(湯もみショー)。そして広場の隣が湯畑。まさに草津ど真ん中って立地ですな。

チェックイン開始の14時まで時間ありまくり。幸い好天に恵まれたので温泉街をぶらぶら散策して過ごした。


湯畑前の活気に包まれる草津館の部屋

広めのゆったりした和室

14時を待って草津館にチェックイン。玄関から奥へ伸びる廊下の最も手前側に女湯と男湯へ通じるドア。続くガラス戸から見える中庭のような場所には、やや緑がかったお湯の池と囲いが設置されていた。説明によれば当宿の自家源泉「若乃湯」だそうだ。おお、ここから湧いてるのか。
草津館の自家源泉 若乃湯
案内された部屋は2階の奥。当宿の中ではエース級の部屋だと思われる。まずドアを開けると木の床の水回りエリア。洗面台・冷蔵庫・トイレがあり、それらを除いたスペースが3畳分くらいあるかな。
草津館の部屋 水回りエリア
それから10畳+広縁の和室。やや古めだがきれいにされており問題なし。歩くと畳がミシミシいうくらい。もちろんテレビと金庫はある。
草津館の部屋 10畳和室

温泉街の情緒は最高

部屋は湯畑前広場に面しており、正面の窓からの眺めはこんなの。行き交う人々がもろ見え。温泉街の活気を部屋にいながらにして感じられる。夜のライトアップも間近に見える。静寂と落ち着きをテーマに探した1泊目の宿とは対照的だけど、こちらはこちらで情緒があっていいね。
湯畑前広場
湯畑そのものを見るには、窓から身をぐっと乗り出して左9時の方角を探ってようやく視界に入るかどうかであり、ちょっと厳しそうだ。また別の窓から見えるのは御座之湯。近っ。
御座之湯
こうした立地だから、雑踏から生じる音が耳ざわりかといえば、意外にも屋外の音は気にならない。夜中にうろつく若者が発した歓声はかすかに耳まで届くが、眠りを妨げるレベルではない。屋内の上下左右からの音も意識に上らなかった。


2種類のハイレベル源泉を楽しめるお風呂

年季の入った浴室

草津館に期待していたのはやっぱり風呂。提供する2種類の源泉のうちひとつは先ほどの自家源泉・若乃湯。もうひとつは目と鼻の先で湧いている白旗源泉。どちらも鮮度ばっちりだと期待される。一方を熱め、他方をぬるめで出しているとの説明があった。

夕方男湯へ行ってみると先客は1名だけの様子。よし、芋洗いじゃないな。脱衣所の壁には2種類の源泉に対応して2つの分析書が貼ってあって、泉質はどちらも「酸性-含硫黄-硫酸塩・塩化物温泉、低張性、酸性、高温泉」だった。

浴室は壁板の一部やカランを取り替えてリフレッシュした形跡があるも、昔ながらの雰囲気を残し年季を感じさせる。洗い場は2名分。シャワーから出てくるお湯が冷たくなったり熱くなったり、温度の調整が難しい。まあよくあるやつ。

とろみ感のある白濁・白旗源泉

手前に2名規模の白旗源泉浴槽があった。お湯は白く濁っており、底がぎりぎり見えるくらい。入ってみると今日はこちらがぬるめのようだ。個人的にぬるめが好きだからありがたい。

白旗源泉はすごくまろやか。ややとろみ感もあるような気がする。もちろん源泉かけ流しで、湯口からの投入量はチョロチョロと決して多くはないが、あふれたお湯の通り道の床は析出物で白くなっていた。

お湯をすくって鼻を近づけると微硫黄臭。そんなにきついタマゴ臭ではない。それにしてもいい湯だ。長湯できるしまろやかだし温泉らしい特徴にあふれていて気分的にも盛り上がって満足できる。

やや熱めの鮮やか緑青・若乃湯源泉

奥には5名規模の若乃湯源泉浴槽があった。もちろん源泉かけ流し。おもしろいことに、こちらのあふれた湯の通り道の床は銅が酸化したときのような緑青色を示していた。

では入ろう。予想通り熱めにチューニングされている。熱めといっても比較の問題で、実際は普通の範疇だろう。熱々というほどではない。お湯の色は緑。というかやっぱり床と同じく緑青の色。青とも緑ともつかない青信号のアレだ。そこへ若干の濁りが加わる。

まろやかな浴感が白旗より少し減っているのは温度のせいもあると思われる。もし同じぬるめで出されていたら同じように感じただろう。匂いは白旗と同様。若乃湯源泉も満足度の高いすばらしい温泉である。

それにしても、2つの源泉は同じ泉質で非常に近いところに湧いているのに、見た目がこうも違うってのはおもしろい。なんか得した気分。前日体験した万代鉱源泉は入浴後に肌がツルテカになったが、こちらのツルテカぶりも負けていないし、さらにスベスベが加わっていた。


草津館の食事で“は~、どっこいしょ”

多彩なメニューでボリュームたっぷりの夕食

草津館の食事は朝夕とも1階の食事処で。部屋ごとにテーブルが決まっており、個室ではないものの隣との間に余裕はあり、詰め込まれ感はない。我々は小上がりの座敷の低めテーブル席だった(他に普通の床のテーブル席もある)。

夕食のスターティングメンバーがこれ。この時点で“ものすごい量”の予感がひしひしと。
草津館の夕食
カツオ・ブリ・鯛のお造りや海鮮鍋など、山の温泉のわりには山菜主体ということもなく、海産物が豊富に出てきた。草津や近隣の万座について、ネットだと「お湯は最高だが食には期待するな」みたいな評価を見かけるが、自分としては十分満足である。

標準コースとは思えぬ大物ぞろい

途中でスズキの道明寺あんかけが出てきた。春らしさを演出するメニューだ。まだ海鮮鍋がたっぷり残っているんだが、まあお腹は大丈夫。まだいける。
草津館の夕食 道明寺あんかけと海鮮鍋
続いてビーフシチュー。このあたりでお腹いっぱいになってくる。だがこれで終わりではない。続いてとんでもない大物がやって来た! 鯛のかぶと焼き浸し。で、でかい。この汁をお吸い物がわりにしてくださいねと言われた。
草津館の夕食 鯛のかぶと焼き浸しとビーフシチュー
もう満腹。もうあきまへん…だがこれで終わりではない。最後に天ぷらキターーー! ダメ押しのスクイズ的な。さすがにもうギブアップ。春の山菜だから全部味わいたかったけどいくつか残してしまった。もったいないお化けよ、出るなら出やがれ。

当然ながらこれらにご飯とデザートの果物が付く。これで標準コースというからおそるべし。

朝食もたっぷり

朝はおとなしめの和定食。…おとなしくもないか。十分すぎるほどの量である。温泉玉子にワサビの組み合わせは初めてだった。花豆に群馬らしさがある。あとひじきがうまい。
草津館の朝食
朝からお腹いっぱいでご飯をおかわりできなかったのが悔やまれる。


草津の当たり宿

草津館。いい宿だ。温泉は先の通りすばらしい。食事も自分は質量とも満足。チェックアウト後しばらく荷物を預かってくれたり、帰りはバスターミナルまで車で送ってくれたり、いろいろ親切にしてもらった。

最新設備のきれいな和モダンスパを求めるとずれてしまうので、昔ながらの情緒を残す温泉旅館を好む人が向いているだろう。下は夜の休憩処。
草津館 休憩処
一人旅で草津へ行くとしても候補になり得た宿だ。楽天トラベルを見たら一人向けプランが出ていたのはうれしいが、残念ながら空室カレンダーで見られる範囲のほぼすべての日が“×”。うん、そりゃまあそうでしょうね。

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