高速バスで直行できる多機能施設の湯 - 鹿島セントラルホテル

鹿島セントラルホテル
冬の鹿島遠征に際して「温泉郷のイメージのない鹿島に、はたして温泉宿はあるのだろうか?」と思ったら、ありました。日帰り温泉を併設するスタイルになるけど鹿島セントラルホテルがそれだ。典型的な温泉宿のような旅館飯を出してくれる夕食付きプランがあるはずもなく、朝食バイキングのみのプランだが、それほどお高くない値段で泊まれた。

当初はお気軽な温泉付きビジネスホテルを予想して行ってみたら全然違ってて、市の顔としての機能を備えた巨大で立派なホテルだった。まさしくセントラル。ちなみに住所は鹿嶋市じゃなくて神栖市ね。温泉は関東南部に多い黒湯系で、好みのぬる湯もあって良かった。それにしても大盛況だったなあ。

鹿島セントラルホテルへのアクセス

都心からの高速バス便が発達している

サッカーファンというわけではない単なる温泉ファンとして、なんで鹿島へ行こうと思ったかといえば、ぶっちゃけ宿の予約に出遅れてしまって“空室あり”の中から選んだだけだが、冬でも雪や凍結を心配せずに車を運転できる地域なのも大きな理由。

もし仮に雪になってしまっても、交通マヒするレベルでなければ、東京駅から頻発している高速バスを利用できる。概ね20分毎の運行だからかなり便利ですな。しかもそのものずばり「鹿島セントラルホテル」停留所がホテルの玄関前だ。超便利。

鹿島神宮に寄ってみた

当日は晴れだったから予定通り車で出発。鉾田のとっぷ・さんて大洋に立ち寄り入浴した後は鹿島神宮を目指した。何の予習もなくアドリブで突入したわりにはスムーズに市営駐車場(500円)へ入れることができたのはラッキーだった。どうやら特別な日(?)だったのか、妙に混雑していて駐車場もすぐ埋まっちゃう様子だったから。

境内は楼門のところから長い行列ができていて、拝殿で正式に拝むのはあきらめた。脇から撮影だけさせてもらいます。
鹿島神宮 拝殿
これで終わりではない。まだまだ奥に続きがある。奥参道を歩いていくと鹿園があった。売店で買った鹿のえさを与えることもできるけど、すでに売り切れていた。
鹿園
それから奥宮。こちらも大行列だったからスルー。
鹿島神宮 奥宮

重大な役割を担う要石

一番奥には澄んだ水を湛える御手洗池。こちらの水場も大行列でスルー。みたらし団子のお茶屋さんも大混雑。まじで何の日なんだ? いつもこんなに人だらけなのか?
御手洗池
ちょっと外れたところにある要石は地震を起こすナマズの頭を抑え込んでいるとの言い伝え。2024年は大きな震災から始まっちゃったからなー、しっかりお頼み申す。
要石
では行きますか。鹿島神宮から当ホテルまでは車で15分ほど。基本的に国道124号を走るだけだから問題はない。ホテルの駐車場がやたら広くてどこに止めたらいいか迷ってしまうくらい。


さまざまな機能を持つ大きなホテル

まさに“セントラル”な施設

鹿島セントラルホテルは一介のホテルではなかった。中に入るといきなり結婚式会場ぽいアトリウムが。人前式なんかをやるところでしょう。
アトリウム
またショッピング(MITSUKOSHIがあった)や美容サロンの店舗あり。旅行の観点でいうと高速バス乗り場とお土産ショップかな。市の玄関口・市の顔となる機能を果たすであろう、気合いの入った複合施設である。うっかり気軽なビジネスホテルのつもりで来ちゃってすいません。

季節のイベントなのか、あちこちにひな人形が飾ってあった。エスカレーターに沿って展開するひな壇は思わずスマホを取り出す撮影スポットだ。
エスカレーターに飾られたひな壇

新館の部屋は文句なし

ではチェックイン。フロントに駐車券を提出すると24時間無料の設定をしてくれる。フロント向かいのロビーがこちら。
ロビー
本館・新館のうち今回は新館の8階シングル。庶民向けビジネスホテルに慣れた目にはシングルと思えぬ広さだし、ソファなんかもあってちょっとリッチな気分。
鹿島セントラルホテル 新館シングルルーム
ちゃんとしたトイレ・洗面台・ユニットバスあり。金庫なし、空の冷蔵庫あり、フリーWiFiと有線LANあり。パジャマはベッドの上に用意され、温泉に着ていく館内着は別途クローゼット内に置いてあった。それとマシンで作る「ご自由にどうぞ」のコーヒーが2杯分用意されていた。部屋はきれいで快適で文句なし。

西向きの部屋から見えるのはどこまでも真っ平らな関東平野。夜景がきれいだと評判の鹿島の工業地帯は東側なので見えなかったが、シースルーエレベーターに乗ればガラス越しに見ることは可能。
西向きの部屋から見える景色

「天然温泉美人の湯 ゆの華」で黒湯体験

新館から、下りて歩いて上って歩いて下りる

新館から大浴場はちょっと遠い。まず1階に下りる。フロント前を通過して奥の階段を2階相当まで上った通路の先に本館と温泉への分かれ道がある。温泉側に進むと階段を下りて再び1階へ。そこが日帰り温泉「天然温泉美人の湯 ゆの華」の入口だ。
天然温泉美人の湯 ゆの華
受付で下足箱の鍵と引き換えに精算用腕輪を受け取る。料金は1000円のところ、入浴券付き宿泊プランを予約していたので支払いなし、かつ初回の入館では貸しタオルも付いてきた。※2回目以降の入館は部屋のキーを見せれば無料、ただし貸しタオルは有料。

脱衣所では100円リターン式ロッカーを使うことになるから小銭の用意を忘れずに。分析書をチェックすると「ナトリウム-塩化物冷鉱泉、高張性、弱アルカリ性、冷鉱泉」だった。加水なし、加温・循環・消毒あり。

内湯はぬるめでトロトロ感あり

受付~脱衣所の混雑ぶりから覚悟はしていたものの、浴室の人口密度がすごい! みんながみんな宿泊客とは思えない。相当数が地元の人ではないか。おじいちゃん連中よりも若者グループが目に付いたな。この時この場所に限っては少子高齢化問題など存在しない。

洗い場は16名分あっても結構埋まってる。内湯メイン浴槽はL字のような形で20名くらい入れそうなところ、つねに10余名が浸かっていて、スペースの余裕はあまりなかった。温度はぬるめで個人的好み。トロッとしたお湯はお肌に良さそう。

黒く濁っているのは先のとっぷ・さんて大洋と同じだけど、あちらがコーヒーのような透明度0%に近い黒なら、こちらはやや赤みがある透明度30%くらいの黒。琥珀色を極度に濃くしていった感じの色だ。匂いは見た目から想像されるほどモール臭などを主張してこない。かわりに塩素臭もしないからヨシ!

あつ湯好きに向く露天風呂

内湯は他に水風呂や5名分の寝湯があったが非温泉のようだったのでスルーした。露天風呂はどうだろう。外へ出ると休憩用の縁台みたいなやつに続いて7~8名サイズの岩風呂があった。ロケーションから当然のように眺望はない。お湯の見た目は内湯と一緒。では入ります。

熱い! 熱いぞこれは。あつ湯好きが喜ぶ温度帯だな。内湯と露天風呂で温度のメリハリが効いている。露天風呂から内湯へ戻ると、肌のひりひりがぼわーっと霞んでいくような、えも言われぬ感覚に陥る。交互浴を楽しめちゃいますな。

湯あがりの肌はやけにすべすべになる。ある意味で温泉効果だなと実感できたのは、肌にかゆみが出たこと(温泉に入ると起きがちな体質です)。どうやら眠ってる間に無意識に背中をかきむしってた模様…やっちまった、保湿クリームを持ってくれば良かった…。

てなわけで温泉気分ばっちりだから人気があって人が集まるんだな。夕方行ったら混んでいたので、夜なら空いててゆっくり入れるだろうと21時台に行ってみたら、もっと混んでいたというオチ。なお、日帰り温泉だけに朝はやってません。


食事はいつもと違うパターンで楽しみました

温泉内の食事処にて、ひとり飲み会

夕食は自力でなんとかせねばならない。最も手間がないのは「ゆの華」内の食事処ですませてしまうことだ。夕方の入浴時に財布を持参しておいて入浴後に食事処「ゆっとり亭」へゴー。飲食代は腕輪の番号で記録、退館時に精算する方式。

定食・丼物・麺類など普通の食事もできるし、お酒&おつまみも提供している。おじさんは当然お酒を。風呂あがりセットのBIG版から生ビール大+もつ煮の組み合わせと、追加で大葉冷奴を注文した。
ゆっとり亭 風呂上がりセット(BIG版)
久しぶりの大ジョッキを見て、なんだか変な笑いがこみあげてきた。こんな大量の液体が全部胃に収まるのが信じられん。胃袋がそんなに膨らむはずないやろ~。飲んだ分はどこへ消えるのよ? 人体の神秘。

だが、もつ煮も冷奴も食べた上でビール全量を飲み干してしまった。追撃でレモンハイとソーセージ三種盛りまで頼んじゃったよ。どうなってるんだワイの胃袋。
ゆっとり亭で追加注文
さすがにご飯までは進まずに以上で宴を終えた。たいていの温泉旅行では食事付きのプランを選んで宿自慢の料理を楽しむんだが、たまにはこういう居酒屋的なメニューもいいもんだ。

定番的で安定の朝食バイキング

朝食は1階のレストラン「セピア」にてバイキング。リゾート地の大規模ホテルのように豊富な品数を揃えているわけではないし定番的な内容だけれど、個人的に不足はない。
鹿島セントラルホテルの朝食バイキング
焼き鮭に見える魚はマスであった。あと鹿島灘つながりで「明太子は大洗の『かねふく めんたいパーク』から取り寄せたものかな?」などと勝手に妄想してしまった。だからどうだってことではないんだけれど。

食後のコーヒーも用意されている。自分は部屋に備え付けのマシンで作るコーヒーがあと一杯分残っていたから、そちらを飲むためにパスした。ちなみに客層を観察すると、観光客・ファミリー・結婚式出席者・ゴルフおじさん風よりもビジネスパーソン・出張スーツ組が優勢な印象。少なくとも温泉目的で来ているのは自分だけだろう。

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我ながら「温泉旅としてはちょっと変則的だな」と思いつつ訪問した鹿島セントラルホテル。草津・熱海のようなガチの温泉地や秘湯、あるいはリゾートホテル、あるいは鄙びた小さな湯治宿などと比べるとまったく風情が違う。

しかし大都市の普通のビジネスホテルにただ泊まるのとも違う。気楽な温泉めぐりの一形態として、たまにはこういうパターンもありかなと思った次第。