大涌谷見学の後に入る白濁酸性泉 - 強羅温泉 白湯の宿 山田家

強羅温泉 白湯の宿 山田家
箱根に1泊した翌日、ただ帰るだけじゃ物足りないから箱根のどこかで立ち寄り湯していこうとすると、最も好都合なのは箱根湯本で探すことだ。選択肢はいっぱいありそうだし、箱根の玄関口ゆえに入浴後の帰路が最も短くてすむから気が楽だ。

しかし他にないだろうか?…王道に対する妙な逆張り心が生まれたのだ(ひねくれ者ともいう)。公共交通機関でカバーできる範囲で調べると、早雲山駅に近い「白湯の宿 山田家」が良さそうだった。ついでに久しぶりの大涌谷にも行ってみればちょうどいいんじゃないかな。はい決まり。

大涌谷の火山性ガスを想起させる白く濁った酸性泉が印象的だ。うまく立ち回るとぬる湯ぽく楽しむこともできて、酸性泉なのに長湯してしまった。

強羅温泉・山田家への道

白煙を上げる大涌谷

早雲山駅は強羅からのケーブルカーの終点であり、かつ桃源台までのロープウェイの起点でもある乗り換え駅。子供時代の淡い記憶では、ロープウェイ待ちの大行列がTDLかよっていうくらい、ものすごい待たされたトラウマが。最近はどうなんですかね。

今回はケーブルカーにもロープウェイにも乗らなかった。KKR箱根宮ノ下をチェックアウトして、かの富士屋ホテル前の停留所から箱根園行きバスに乗り、いったん早雲山をスルーして大涌谷で下車。来たのは何十年ぶりだろうか。
大涌谷
ああ、やっぱり煙もくもくの地獄谷ですな。いまや単なる絶景ではなく、どうしても温泉と結びつけて見てしまう。
大涌谷から上がる白煙

せっかくなので黒たまごを食す

反対側もなかなかの絶景だ。富士山がドーン。空中を行くロープウェイがうまく景色にはまってる。
大涌谷から見える富士山
芦ノ湖もちょろっと見えます。
大涌谷から見える芦ノ湖
大涌谷といえば黒たまごだ。せっかく来た以上は食べてみるか…しかし4個500円というセットしかなく、単品売りしてなかった。板東英二じゃないから、ひとりで4個は食えんよ。どうする…賞味期限は翌日までとのことだったので、余りは持ち帰って次の日までに消費すればいいからと購入。くろたまご館の外のベンチで2個食べた。強烈な硫黄臭とかはなくてわりと普通の風味。

足湯コーナーを備えた早雲山駅

さあて、令和の大涌谷を見学したぞ。次は小田原行きバスで早雲山駅入口にて下車。駅舎の2階にある足湯コーナーは同時に展望所でもあった。ケーブルカーの線路と強羅方向を撮影してみたのがこちら。
早雲山駅から強羅を望む
子供時代のトラウマとは正反対に駅舎はガラガラだった。真冬の平日だったし、なによりもロープウェイ定期点検整備のため早雲山~大涌谷間が運休中だったのが大きいでしょう。天下の箱根で人が少ないと、それはそれで物足りなく感じちゃうな。

駅の中でうだうだしているうちに12時が近づいてきた。山田家の日帰り入浴受付が始まる時間だ。駅を出て車道を大涌谷方向へ3分ほど歩くとあっさり現地に着いた。外見は昔ながらの旅館である。
山田屋の外観

白濁酸性泉を心ゆくまで堪能する

ちょっと懐かしい和風旅館の雰囲気

フロントで1300円お支払いの後、軽く説明を受ける。今日は3階が男湯、4階が女湯とのこと。館内の様子を写真に残すのをうっかり忘れてたが、外観と同様にちょっと懐かしい和風旅館の雰囲気だった。エレベーターはなく階段で3階へ。途中の2階にビール含むドリンクの自販機あり。

脱衣所には無料の鍵付きロッカーあり。分析書によれば「酸性-カルシウム-硫酸塩・塩化物泉、低張性、酸性、高温泉」のお湯。PH2.1だから結構強い酸性だ。源泉は蒸気造成泉2号(仙石原方面)・3号(強羅方面)と書かれている。加水・加温・循環なし、消毒あり→塩素系消毒剤を使うことがあります的な書き方。

脱衣所内を木が貫通していたのには驚いた。太い幹が床をぶち抜いて天井を突き抜けていた。なんだあ?…まあ気にしてもしょうがないか。風呂に集中しよう。

ぬるめの内湯がとても良くて長湯しちゃう

浴室の洗い場は4名分。内湯浴槽はさほど大きなものではない。ゆったり入ろうとしたら3名までといったところかな。白く濁ったお湯は完全に不透明なわけではなく、うっすらと浴槽の底が見える。浸かってみたら熱い…いや熱くないかな、いややっぱり熱い…くないぞ。

表面だけ熱くて中はぬるいせいだった。かき混ぜればちょうどよくなるし、湯口から離れるとむしろぬるい。ぬる湯派の自分としては大歓迎だ。対流かなにか知らんが、時おり足や背中にかなりぬるいお湯の塊が移動してくる感覚がある。ぬるめのゾーンで温度変化の波動が繰り返されるこの感じはなかなか良い(そこらへんは個人の好みによりけり)。

この種の泉質に見られる通り、お湯の中を白い粒がいっぱい漂っている。匂いにちょっと硫黄ぽい感じはあっても強くはない。酸性泉だからピリピリするわけでもなく、見た目や字面の泉質に反して比較的入りやすいお湯だと思った。ぬるめなこともあって、ついつい長湯してしまう。酸性に長く浸かってて大丈夫かな。

しばらくすると手の甲などの表面のシワがやけに強調されていつもと違う感じになり、とくに指先がえらくしわしわになった。しっかり効いている証拠ですな。

つぼ湯型の露天風呂はやや熱め

露天風呂もある。よく見かける岩風呂とかではなくて陶器風呂が2つ並んでいる。手前が丸っこい形のやや大きめサイズ、奥が細長い形のやや小さいサイズ。どちらも1名用だ。

湯口からチョロチョロと投入されているが、しばらく間をおいてから再び入るとザバーっと勢いよくお湯が溢れ出すので、意外とあなどれない湯量のようだ。ゆえに鮮度はばっちり。大きめの方がやや深い分だけ底が見えないレベルの濁り、やや浅い小さめの方は底が見える。温度は内湯に比べると熱め。

道路からの視線を遮断するための囲いによって全面的な眺望はないものの、山側ではなくて谷側を向いているおかげか、遠くの山や空を見通すオープンな気分はうまく保たれている。

内湯へ戻り、それからまた陶器風呂へ戻り、何度も行き来するうちに1時間を過ぎた。入浴は90分以内でお願いしますとのことだけど、さすがにもう十分です。結局他の客はひとりも来なかったな。実質貸し切り体制で楽しんじゃって、すいませんね。昔の激混み早雲山のトラウマを吹き飛ばす独占入浴を堪能して、白湯の宿を後にした。