湯質は上等、気軽かつ頼りになる宿 - 湯村温泉郷 湯村ホテル

湯村温泉郷 湯村ホテル
甲府の市街地にある湯村温泉は車で行きやすいし、甲府駅からのアクセスに難がないので電車もOK。冬の温泉遠征先として考えた時、雪が積もるような天気になるとさすがに厳しいものの、確率的にまあたいがい大丈夫だ。敵に回すと恐ろしいが味方にすると頼もしい存在。だから2年続けて年明け最初の旅行先に選んだのである。

宿泊したのは湯村ホテル。素泊まり、もしくは朝食のみのプランが主な利用客層だと思われる(経営が変わる前は湯村ホテルB&Bという名前だった)。

湯使いが良いというB&B時代の口コミから期待を持って訪れてみると、飲泉所はあるし、泡付き豊富だし、ぬるめの貸切露天風呂もあるし、実に頼もしい限りだ。

湯村温泉郷・湯村ホテルへのアクセス

今回は車を使わないで鉄道+バスの旅にした。甲府駅から湯村温泉を通るバス路線が設定されており、最寄りの停留所は湯村温泉入口。バスの本数はそこそこあるとはいえ、時刻表を把握せずのアドリブは非推奨。→帰りの話になるが、何も考えずにチェックアウトしてバス停に行ったら40分待ちだったので。仕方がないから駅まで30分歩きました。

行きは高速バスで山梨入りした。そしてたまたま同じ日程で甲府へ来ていた旅仲間の車に拾ってもらい、甲斐市の玉川温泉へ立ち寄り湯した後、当館の前まで送ってもらった。

合流相手の人は当日は石和温泉に泊まり、翌日に湯村温泉の楽水園に泊まるとのこと。湯村温泉の湯めぐりについてよく研究していて、湯村ホテルは組合を抜けたため、お得な湯めぐり手形をもらえなくなったと教えてくれた。へー、知らんかった。

手形があれば、将棋のタイトル戦会場になっている高級系の常磐ホテルに500円で立ち寄り入浴できるからなあ、と語るのを聞いた。自分は湯村で湯めぐりする予定がないからノーダメージだけど、そういう狙いを持つ人には大事なポイントだね。

当人はB&B時代の湯村ホテルに泊まったことも何度かあり、夕食に適したホテル近くの居酒屋さんまで紹介してくれました。すごい、湯村マスターだよ。

湯村ホテルは幹線道路から温泉街の道に入って100mほど。温泉街の入口・コンビニの前・温泉病院の隣といった場所にある。


カジュアル感覚で利用できる温泉付きホテル

ではチェックイン。フロント向かいのロビーには自由に飲めるコーヒーと、お一人様一回限りのウェルカムドリンクが提供されていた。ドリンクはコーラやレモンソーダだけど、ウィスキーや焼酎を混ぜてハイボール・サワーを作ることもできる。せっかくだからアルコールいっとくかどうか迷って、やっぱり普通のコーラにしておいた。
ロビー兼ドリンクコーナー
お土産コーナーがこちら。山梨といえばぶどう・ワイン・信玄餅・ほうとうですな。
お土産コーナー
案内された部屋は9階のシングル洋室。室内のあれこれはビジネスホテルの作法だから特に戸惑うところはない。大浴場で使うタオルとバスタオルはベッドの上に置いてあった。
湯村ホテル シングル洋室
3点ユニット式のシャワートイレ・洗面台・風呂あり。金庫なし、空の冷蔵庫あり。WiFiあり。有線LANの口もあり。各階のエレベーターを出たところに数種のサイズの浴衣が積んであるから自分に合ったやつを持っていく。内装とか設備に古さを感じさせず、居住性はばっちり。

窓は東向きなのかな。あえて斜めに視線を向けると富士山が見えたりしていい眺めになる。
窓から見える富士山
別の向きもなかなかだ。湯村山ですかね。
窓から見える湯村山

お風呂は噂に違わぬ良き湯使い

宿泊者だけの特典・別館の貸切「隠し湯」

湯村ホテルの大浴場は2階にある。さらに別館の1階には宿泊者専用の「隠し湯」なる貸切風呂もある(15~24時と翌朝6時以降に利用可)。15時台なら空いてるかもしれないと思って先に隠し湯へ行った。本館と別館は1階でつながっており、別館に入ってすぐのところに漫画本ライブラリーがあった。
漫画本ライブラリー
その奥には自炊室と図書室&ギャラリー。別館込みでみれば単なるビジネスホテルではない感じ。
図書室&ギャラリー
一番奥のつきあたりまで行くと左右2室からなる貸切風呂が現れる。予約不要で空いていれば自由に利用できる方式。どちらも空いてたので左側を使わせてもらった。「利用中」の札を引っかけるフックはセロテープで扉に貼り付けてるだけだから、すぐに剥がれて落ちてしまうのが難点。接着剤で固定した方がいいのでは。

脱衣所内か、あるいはすぐ外に分析書が掲示されていたような気がする。「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉、低張性、アルカリ性、高温泉」と書いてあった。加水・加温・循環なし、消毒あり。なお、貸切風呂は1回30分程度でお願いしますとのこと。

ぬる湯好きにおすすめしたい

中に洗い場はなく、3~4名サイズの岩風呂があるのみ。頭上にはテント幕が張られていて空は見えない。とあるボタンを押すと幕がたたまれるみたいですね(しばらくすると元に戻る仕様っぽい)。

お湯の見た目は無色透明。浸かってみるとぬるめだった。のぼせることが全然なくて相当な長湯が可能だ。ぬる湯派のおじさんとしては大歓迎でござる。湯の花や泡付きは見られず。匂いには若干の硫黄香が感じられた。ニュルニュルとかツルツルとかのわかりやすい肌触りは特になし。

いかにもそれっぽい湯口というのはなくて、お湯の中まで引き込まれた太めのパイプから投入されているようだ。時おりゴポゴポッという音とともにあぶくが浮かんでくる。

岩風呂の外はすぐ塀になっているため、頭上のテント幕とあわせて、開放感はあまりないかな。むしろ隠し湯の名の通り、隠れ家へのお忍び気分で楽しむべきお風呂なのだろう。とにかくぬるいのでだらだら浸かっているだけでも気持ちが良い。30分があっという間だった。

アワアワがすごい大浴場の内湯

本館2階の大浴場は24時間利用可能。途中の通路に飲泉所があった。蛇口からチョロチョロと垂れ流しにしている源泉を紙コップで受けて飲む。変な味はしなくてそれなりに飲める。

脱衣所には貴重品ロッカーあり。浴室に入ると9名分の洗い場と内湯浴槽がひとつ。奥の扉から外へ出ると露天風呂があるようだ。内湯浴槽は向かい合わせに2名×3組くらいが収まるサイズ。隠し湯のようなぬる湯ではなくて一般的な適温の範疇だった。

こちらのお湯がすぐれている点は泡付きでしょう。山梨の温泉によく見られる「泡がいっぱい付着する」特徴は湯村ホテルでもいかんなく発揮されていた。人工炭酸だとかバイブラだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと素晴らしいものの片鱗を味わったぜ。

小さめながら露天風呂もあり

これだけでもう十分満足だが露天風呂にも入ってみよう。外へ出るとサウナと岩風呂があった。岩風呂は奥が1名分の電気風呂コーナーになっており、そこを除くと1.5名サイズってとこかな。温度は隠し湯と内湯の中間くらいのややぬるめ。泡付きはない。

バルコニーを改造して風呂を設置した感じのつくりなので、それほど広くはなく、眺望もない。湯口のところにヒシャクが置いてあったから飲泉用なのかと思って一口だけ飲んでみた。うん、まあ、特に変な癖はないですね。飲泉所と同様の感想。

いつもなら好みのぬるい方を中心に入るのだが、今回は泡付きと浴感に敬意を表して内湯に注力した。真冬であれば適温のお湯も悪くない。近年の冬は「ふだんの生活で体が芯まで冷え切ってしまい、特に手の指のあかぎれが悪化して血がにじむ」症状に悩まされることがあるので、こうして温泉でしっかり温まっておけば予防になるはずだ。


食事事情に困ることはない環境

夕食はすぐ近くの「酒房ごっちょ」にて

湯村ホテルの1階にレストランがある。素泊まりや朝食のみの客もチケットを買えば、ここで提供される夕食を摂ることは可能だ。内容は山梨県産ポークのカレー+ほうとう+ミニバイキングのようだね。しかしせっかく近所の居酒屋を紹介してもらったのだから、そっちへ行ってみることにした。

ホテルの斜向かいにある酒房ごっちょ。17時からやってます。混み出す前にと思って開店直後に入店すると、やがて続々と客がやって来て、早くも18時前にはほぼ満席になった。人気店ですな。早めに来ておいて正解。ではまずビールとおすすめされたおでんを。味がしっかり染みててうまいぜ。
酒房ごっちょのおでん
ビールの後は日本酒にした。旅先でよく見かける飲み比べセット的なやつから、おすすめに従い、「谷櫻・米の精」「春鶯囀・鷹座巣」「七賢・生なま」の3種類を注文。そのうち知ってる名前は近所のカクヤスに置いてる七賢のみ。それぞれ風味は異なるが、何がどう違うかは正直わかりません。
日本酒3種と馬もつ煮
山梨なので馬刺しも自慢の一品なれど、今回はもつ煮を選んでみた…馬肉のもつ煮は初めてだったので。結構柔らかくてトロトロ感があり、味噌のコクが効いてる。いいじゃない。

あと数品をいただいて、締めに頼んだ炊き込みご飯は濃いめの味付けでビシッと締めてくれた。お会計はそれなりの額になったけど見合う内容だった。

山梨らしい、ほうとうのある朝食バイキング

朝食はホテルの1階レストランにてバイキング。大規模リゾートホテルなんかが「どうだ!」と繰り出してくる品数には及ばないが、当館の規模・性格・料金からするとよくやっている。和洋どちらの組み立てもできるし選択肢に困ることはない。
湯村ホテルの朝食バイキング
ほうとうがあるってのが山梨らしいね。お米なしでほうとうを主食に据える手もあるな。結局ほうとうを軽く一皿だけ味わってからお米もいただいたけど。

ちなみにレストラン内には4名席よりも2名席が多く設けられ、ぼっち客も収まり良く着席できて無駄がないし、周囲から浮いた感じで妙にソワソワすることがないから助かる(個人の感想)。そういえば見てると一人客の姿が多いな。一般的なビジネスホテルとしての利用もあるだろうが、ソロで温泉を楽しむのにも適した宿なんだろう。

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ぬる湯を独占で堪能できる隠し湯、泡付き豊富な内湯を持つ大浴場、飲泉所…提供される温泉がなかなか結構なクオリティ。気取らないビジネスホテル感覚で泊まれるし、夕食にも困らない(中にレストランあるし、近所に飲食店やコンビニあるし、甲府駅周辺で食事してから来ることもできる)。

ふと思い立って来る、というのをやりやすいのが湯村温泉のいいところ。頼りになるわあ。