温泉と夢の海鮮オールスターにご満悦 - 白田温泉 宮田荘

白田温泉 宮田荘
2023年ラストの温泉一人旅で東伊豆へ行くことにした。伊豆の東側は行きも帰りも真鶴~伊東あたりの渋滞でひどい目に遭うイメージがあって避けているのだが(なので西伊豆へ行くことが多い)、たまにはよかろうと今回あえて選んでみた。

宿選びに際して重視したのが海産物をたっぷり味わえる夕食。1年の最後は自分へのご褒美でちょっとくらい贅沢したっていいでしょう。他方ハード面はべつに高級リゾートホテルとかじゃなくてOK。と思って探して見つけたのが白田温泉宮田荘だった。

民宿ゆえ何から何まで完備されているわけではない。しかし温泉は源泉かけ流し、料理は美味&たっぷり、景色はお見事で大満足。いいお宿です。

白田温泉「宮田荘」へのアクセス

電車でも車でも、お好きにどうぞ

宮田荘の最寄り駅は伊豆急行・片瀬白田。下車して徒歩5分だから駅近の部類といえる。電車で行きやすいのはいいですね。ちなみに当駅の周辺は白田川を挟んで向こう側が片瀬温泉、駅のある側が白田温泉と呼ばれている。

しかし自分はマイカー利用。真鶴→熱海→伊東を経由するルートは渋滞のイメージがあったのと、河津の禅の湯に立ち寄り入浴したかったので、いつもよく使う中伊豆ルート=新東名長泉沼津IC→伊豆縦貫道月ヶ瀬IC→国道414号経由でやって来た。

禅の湯を出てから時間に余裕があったため峰温泉大噴湯公園に寄り道してみた。高く噴き上がる温泉が見られるのかな…だが残念なことに源泉工事でお休み中。あらら。
峰温泉大噴湯公園

季節外れの河津バガテル公園を経て

ならばと河津バガテル公園へ矛先を切り替える。バガテルの意味も、そこが何の公園かも知らずに、語感のインパクトだけで来てしまった。後日の調べによるとパリのバガテル公園をモチーフにしたバラ園なんですね。
河津バガテル公園
師走だとバラはほとんど咲いてないな。わかってて入園したんだけどね。
キオスクからバラ園を一望する
うまく場所を選べば何とかそれっぽい写真を撮れなくもない。
ベルサイユのばら…かな?
園内の一番奥が「海の見える丘」と名付けられた展望所だった。青い空と青い海と河津の街。
海の見える丘
では白田へ向かおう。海沿いの国道135号へ出れば、今井浜・稲取を経由して当宿まで15分程度。国道沿いに砕石敷きの駐車場あり。最初それに気づかなくて、道幅の狭い急坂を宿の玄関前まで進入してしまい、リカバリーするための車の取り回しにだいぶ苦労した(泣)。各位におかれましては同じ過ちを犯さぬよう注意されたい。


旅情を誘う小さなお宿

お酒の楽しみへの想像が膨らむ

民宿といっても一般のお宅ぽい雰囲気はなくて小規模旅館と呼ぶ方が近い。ロビーがこちら。ミニお土産コーナーや申告精算の缶ビールなんかが入った冷蔵ケースを置いている。
ロビー
お酒をずらっと並べた棚があって面白かったな。宮田荘オリジナル焼酎(芋焼酎)なんてのもあった。またフロントのカウンター下には果実酒を漬けた瓶が並んでいる。今夜は何を飲もうかな…。
お酒を並べた棚
案内された部屋は2階の7.5畳和室。管理状態は良好で特に不満はない。浴衣・タオル・バスタオルなどひと通りのものは揃っている。布団はセルフでお願いします。
宮田荘 7.5畳客室
トイレ・洗面所は共同。2階の廊下の一端に1名分の洗面台と本棚がある。反対の一端には2名分の洗面台と2つの個室トイレあり。

鉄道と伊豆大島を望むロケーション

部屋には金庫なし、冷蔵庫なし。WiFiあり。海側の部屋だったので窓から見える景色はなかなかのもの。
窓から見える景色
畑の先に伊豆急行の線路が通っているのがわかるだろうか。自分は列車のガタンゴトンという音は気にしないし、むしろわくわくする方なので、こいつは結構なり。どんくさいのが災いして、たまに通過する特急踊り子号の撮影には一度も成功せず。

右手に目を向ければ伊豆大島も見える。日の出の方角だから、ナイスな組み合わせが見られるのではないかと思って早朝に狙ってみた。はいナイスですね。
日の出と伊豆大島
景色を眺めながら、そういや春先に伊豆大島に行ったんだよなあ、と今年のできごとをしみじみ振り返るのであった。まさに1年のトリを飾るにふさわしい宿だな。


ほっとする温泉で1年の疲れを癒やす

湯使いは良好

宮田荘のお風呂は1階にある。男女別の浴室に分かれていて入れ替えなし。特に貸し切り制ではなくて他人がいても自由に入っていいが、まあなんとなく互いに譲り合う雰囲気で暗黙の貸し切り的な運用になるだろう。

脱衣所に張り出されていた分析書によれば「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」とのこと。加水あり、加温・循環・消毒なし。入ってみた印象では加水ありといえども本格源泉かけ流しのいいお湯だった。

浴室の広さは宿の規模相応で、たとえば3~4名で泊まりに来たグループ一同が入るには十分だ。カランは3台あるし浴槽は4名、うまく詰めれば5名いけるサイズ。壁側の縁に2名分の枕が付いていて寝湯体勢を取れるようになっている。

熱いようで熱くない(褒めている)

湯口には白い析出物がびっしり。投入量はそこそこ多い。湯尻の切り欠き状になった縁の一部から流れ出したお湯は床を伝って排湯口へ。いいですねー。

お湯の見た目は無色透明。湯の花や泡付きは見られない。入湯の一発目はまず「おおっ熱い!」と思うのだが、(あつ湯は苦手なのに)なぜか抵抗なく肩まで浸かることができて、温度面が苦ではない。それもそのはず、浴槽内のお湯の上層が熱くて下層はむしろぬるいのだ。上は大火事・下は大水なーんだ?ってやつですな。

投入タイミングの異なる温泉同士がうまく混じり合っていないからだと考えられる。手近に湯かき棒が見当たらないため腕をぐるぐる回してかきまぜたらちょうどいい塩梅になった。あー気持ちえー。

湯あがり後はツルスベ肌に

お湯の匂いを嗅いでみるとはっきりと温泉臭がする。どう表現すべきかわからねど、この泉質にありがちなというか、伊豆の温泉はたいがいこういう匂いな気がする。そして昼に入った禅の湯と同様に若干キュッキュッとする肌触りだった。

浴室全般が家庭用風呂の延長ではなくてしっかり旅館のお風呂の雰囲気だし、新しめ・きれいめでいいんじゃないでしょうか。風呂あがりのお肌はやたらツルスベになる。何度か入るうちに、肌の状態がいい意味で日頃と全然違う様子になっていって、怖いくらいだった。さすが新鮮な源泉かけ流し。こいつは本物だぜ。


これですよ、これ。「来てよかったわ〜」なお料理

期待のハードルを余裕で超えてきた夕食

今回は部屋食の一人旅プラン。2名以上のグループなど標準的な客層も含めてみんな部屋食かどうかは定かでない…たぶん違う気がする。夕食時間が来たら部屋に確認の電話があって、それから料理が運ばれてきた。
宮田荘の夕食
自分へのご褒美キターーー!!! 初見から食べ切れるかどうか心配になるくらいのボリューム。そして見てください、この新鮮なお刺身!(テレ東)
お刺身いっぱい
まあ“やがら”がどんな魚か知らないんだけどね…細けえことはいいんだよ。さらにサザエのつぼ焼きやアンコウの天ぷらまで出てくるのはすごいよな~。熱川ポークの豆乳しゃぶしゃぶまであるよ。こういう品々に囲まれてご満悦な気分に浸りたいという野望を満たしてくれる見事な夕食だ。

しかもそれぞれがやたらうまい。お腹が一杯になってきてもやめられない止まらない、どんどん胃袋へ吸い込まれていった。炭酸で胃が膨れるのを懸念してビールを避けて日本酒にしたのが結果的に良い判断だったかもしれない。

とはいえ相当なボリュームなのは間違いなく、最後の白飯はひと口ふた口くらいしか入らなかった。あーもったいない。しかし後悔はしていない。やりきった感あり。

朝食もなかなかのラインナップ

朝食も結構な内容だ。伊豆といえばアジの開き。付け合わせのオレンジのやつは、きんかんを皮ごと漬けたようで、皮の苦味がアクセントになってる。
宮田荘の朝食
味噌汁のお椀の蓋を開けて驚いた。カニが、カニが入ってる! まじですか。サプライズやってくれますな。濃厚なカニの味なんて久しぶりだよ。いつ以来だろうか。すっかり思い出したよカニの味を。

卵は生卵であり、ベーコンエッグを作るのに使う。目の前で熱々のを自分のタイミングで仕上げられるからいいですね。あとはごま豆腐が好みの味でよかったな。朝の白飯は1膳分くらい食べられた。食後用のドリップコーヒーも付いてきて申し分なし。

 * * *

白田温泉はメジャーな大規模観光地と違って、小ぢんまりと落ち着いた雰囲気を持つ穴場的な温泉地だと思う。宮田荘では一人旅プランだったこともあり部屋でゆっくり過ごせた。カッコつけた言い方をすれば「この1年を振り返り自分と向き合う」のに最適な空間と温泉であった。食事は自分へのご褒美感満載で大変結構なり。これで来年も元気に生きていける。