然別湖を眺めながら入る本格温泉 - 然別湖畔温泉ホテル風水

然別湖畔温泉ホテル風水
大雪山国立公園内にある然別湖は標高810m、北海道で最も高い場所にある湖だという。心に残る景観や自然に親しむアクティビティを期待して旅程に組み込むのはもちろんありだが、温泉めぐりの一環としても行く価値がある。

おじさんもベタな観光と温泉の両方を狙って然別湖へ行ってみた。その時の立ち寄り入浴に利用したのが、湖畔に立つホテル風水だ。

源泉かけ流しを謳うお湯は見るからに濃ゆい感じのする、なかなかの個性派。ロケーションを最大限に生かしたお風呂だから、内湯からでも露天風呂からでも、然別湖を存分に展望できてしまう。よくできてるわあ。

然別湖周辺の観光とホテル風水への道

ただただまっすぐな道を行く

然別湖は大雪山国立公園の南端近く。大きな町からのアクセスだと帯広駅発のバス利用になる。さすがの北海道スケールで100分かかるため、いろいろ見どころを組み合わせて柔軟に行動するなら車に頼るのが良さそう。

自分も帯広駅前のふく井ホテルをチェックアウトした後にレンタカーを借りて然別湖を目指した。十勝のイメージそのままの広大な農場を左右に見ながら、ひたすらまっすぐ続く道路をひたすら走る。うおお、なんじゃこりゃあ、どこまで直線なんだ。

国立公園内に入るあたりからようやく山道らしくなってきた。同時に、よく晴れた青空から厚い雲に覆われた暗い空へと変わっていった。いかにも山の天気って感じだな。そのうち降り出すかもしれないな。

絶景スポットとして人気を集める湖底線路

天気よ、なんとかもってくれ、と祈りながら最初に足を止めたのが扇ヶ原展望台。十勝平野・日高山脈・太平洋まで一望できるとの触れ込みだったが、遠くが霞んでてよく見えず。
扇ヶ原展望台
ちなみに撮影者の頭上はどんより曇りです。続いて白樺峠の手前に千畳崩れなる岩場があったけど、立ち木が邪魔しててわかりにくいですな。
千畳崩れ
然別湖に着くちょっと手前には湖底線路なる観光スポットもある。湖の中に沈んでいく線路の風景が幻想的で映えるとして人気が出ているんだとか。線路といっても鉄道ではなくて船を湖から引き上げるためのレールらしい。現地にはたくさんの観光客がいて、さながら撮影会と化していた。
湖底線路

非熟練ドライバーには厳しかった体験

湖底線路へ車で行く際の注意を。ちゃんと整備された駐車場はありません。1.2~1.5車線幅くらいの狭い山道(登山道へのアプローチに使われるような道)の路肩にみんな無理やり止めており、その車列が結構奥までずーっと続いている。隙間を探すのにも苦労する。

この道に途中でUターンできる空間はないから、行きに頭から突っ込んだのであれば、帰りはバックで戻るしかない。自分も帰りにバックで戻り始めたら、ちょうど頭から進入してきた車と鉢合わせしてしまった。

相手のドライバーさんが解決策を提案してくれたのだけど、自分がプチパニックを起こしていて理解できず。「とにかく空間に余裕のあるところまで、いったんバックで戻ってもらえませんか」と頑なに主張し続けて譲歩してもらった。大変申し訳ございません。

※後で冷静になって思い返すと、解決策とは「バックで戻るのでなく一緒に前進していけばいずれメインの県道に出る」だった。なるほど。確かにカーナビやグーグルマップだとそう見える。ただ、自分は湖底線路に着く前にその「県道に出る地点」を通過しており、その際の記憶だと徒歩専用の未舗装道に見えたし、車両通行止めのゲートでふさがれていたような気が…先へ進むともっと地獄を見るのでは…。


内湯がもうすでに並ではない

この旅は今のところ3連続源泉かけ流し

我が運転技量を超える冷や汗ものの体験をしてしまった。早くお風呂に入って落ち着こう。当ホテルの向かいの駐車場に車を止めてフロントへ。入浴料1000円。

フロントは3階にあたり、下のようなレストランの左脇のエレベータで2階へ下りると大浴場がある。画像がボケちゃった。
ホテル風水のレストラン
脱衣所には貴重品ロッカーあり。また分析書によれば「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉、低張性、中性、高温泉」とのこと。加水や加温や循環の有無は見かけた記憶ないけど源泉かけ流しをアピールしていたから、まあないでしょう。実際に体験した印象からもないと思われる。

いかにも濃ゆい内湯、景色も良し

浴室の右側に12名分の洗い場。左側の手前に3名だか4名分の寝湯があった。右の奥には内湯メイン浴槽。メインの方はなかなかの広さで、縁に沿って一周並べていけば20名いけそう。湯口からのお湯の投入なし。日帰り入浴の時間帯は溜め湯にしているのか、別途浴槽内から投入しているのかはわからない。

お湯は緑白色とでも言うべき濁りを呈しており、浴槽の底が見えそうで見えないくらい。匂いについてははっきりとした金気臭が感じられ、まれにふわっと微硫黄香がする。いかにも濃ゆい温泉のイメージだ。やや熱めでじっくり浸かっていられないのが残念。

ガラス窓越しに然別湖を展望できるようになっている。しかも距離が近い。すぐそこから湖が始まっている感じ。湯質と景色のコラボがレベル高い。

ぬるめでリラックスできる寝湯

外だけでなく室内の様子も目を引いた。壁や柱や床が温泉成分ですっかり赤茶けているのだ。おそらく鉄分かな。こいつは本物だぜ。

寝湯の方は半透明のお湯で温度はぬるめ。メイン浴槽に比べて個性は薄まっている印象なれど、入りやすさではこちらに軍配が上がる。ぬるいのが好きなおじさんも寝湯を活用させてもらいました。尖った個性派一辺倒でなくマイルド系を織り交ぜるのはありなんじゃない。


然別湖が目の前に広がる露天風呂

熱くもあり、ぬるくもある、やり方次第

露天風呂もある。外へ出てみると4名サイズの岩風呂があった。岩はやっぱり赤茶けている。こちらは湯口からしっかり投入あり。お湯の見た目はやや赤みのある茶色に近くて濁りが強い。底は全く120%見えません。

浸かってみたら熱かった。だがそれは上の方だけだった。昭和のなぞなぞ「上は大火事、下は大水」ってやつだ。腕をぐるぐる回してお湯をかき混ぜたらむしろぬるめになった。いいぞいいぞ。しばらくするとまた熱く感じてくるので、そしたらまた腕でかき混ぜてぬるくする。

この温泉のハイライトといえる眺望

露天風呂も目の前が然別湖である。岩風呂の中からでもよく見える。すぐそこが遊覧船の発着場なのだが、船の乗客からこちらが見えているんじゃないだろうか。下の写真はホテル横から湖を撮ったもので、左に写る遊覧船が露天風呂だとちょうど正面に来る感じ。
ホテル風水付近から見た然別湖
(適宜かき混ぜれば)ぬるめのお湯にゆっくり浸かりながら然別湖を間近で展望する…お湯は濃ゆさ抜群の源泉かけ流し…なんとよくできた露天風呂ではないか。

内湯メイン→寝湯→露天風呂をローテーションすると温度や雰囲気が異なって味変的な楽しみが広がる。自分もこのローテを何周かやってたら予定の出発時間が来た。ホテル風水を出ると今にも降り出しそうな重苦しい空が広がっていたが、湯あがり気分は軽やかだった。