新鮮なお湯をザバザバかけ流す潔い湯船 - 湯田川温泉 正面湯

湯田川温泉 正面湯
庄内の湯めぐりでどこへ行くかを考えた時、未体験だけど名前に聞き覚えのある湯田川温泉には行こうと思っていた。スケジュールの都合で宿泊はできないから立ち寄り湯ということになる。軽く調べてみると、コロちゃん対策やら運営方針やらで、日帰り入浴を受け入れてくれそうな旅館が見当たらない(きちんと詳細に調べたり問い合わせて確認したりすればあるかもしれない)。

そこで2軒ある共同浴場のうち「正面湯」にトライしてみた。明らかに通りすがりの観光客風情のおじさんであったが、お断りされることなく無事入浴でき、短時間の滞在ながら豊富な湯量に裏打ちされた新鮮なお湯を楽しめた。

なお、本文は湯田川温泉よりも前後の観光についての文章の方が長くなるかもしれない。

湯田川温泉・正面湯への道

最上川を横目に鶴岡へ

旅の2日目。鮭川村の羽根沢温泉・加登屋旅館をチェックアウトして車で鶴岡市へ向かう。鮭川村を離れるあたりの道路上に何匹もの芋虫が這っていた。轢かないようにまたいで通り過ぎると、100mもいかないうちにまた芋虫。芋虫、芋虫、芋虫…うぉーい多すぎるぞ。うかつに殺生するとカルマパラメータが無駄に上がって後々面倒なんだよ。

なんとか芋虫ゾーンをクリアして最上川沿いを西進すると、さみだれ大堰というのがあったから、ちょっと見学。五月雨をあつめて早し最上川。
さみだれ大堰
管理事務所みたいなところにフィッシュギャラリーの看板あり。ただし当時は門が閉鎖されてて入れなかった。曜日や季節によっては入れるんだろうか。まあいい、湯田川温泉へ先を急ごう。

湯田川温泉街を軽く散策

鶴岡市の中心部を通り抜け、郊外へ南下していくと湯田川温泉街が現れた。ここがそうか。温泉街に入ってすぐ左の方に共同浴場利用者駐車場あり。まずはぶらぶらと散策。
湯田川温泉街
観光客の歩く姿はあまり見られない。温泉街の活気の面ではアフターコロちゃんの回復途上ってところか。鯉が池も静まり返っている。
鯉が池
はい、散策終了。共同浴場は正面湯と田の湯があり、正面湯はメインストリート沿いに立つ温泉情緒たっぷりの建物でわかりやすい。向かいは「しらさぎの湯」という足湯。
しらさぎの湯

温泉の投入量が豊富すぎる正面湯

まさに「湯水のように使う」だ

正面湯を利用するには、近くの船見商店というお店に申し込む必要がある。入浴したい旨を告げて300円を払うと正面湯の男湯の前まで案内され、扉の鍵を開けてくれた。帰りに出る際はオートロックだから中に忘れ物しないようにね、とのこと。

中はそんなに広くない。分析書があったかどうか忘れた。ネットで調べると「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉」らしい。そして加水・加温・循環なしはおそらく間違いない。塩素消毒は深夜にやるっぽい。

浴室には地元の方らしき先客が1名。シャワーなし(シャンプー・石鹸の類なし)のカランが3台あるけど、浴槽脇の床の上にちょこんと座り込んで、洗面器で浴槽からお湯を汲み出して使っていた。後から来た客もみなそうしていた。ここはそういう作法のようだ。

それでも湯船のお湯は不足しない。頑張って4名までのサイズにはあり余るほどの量のお湯がザバザバ投入されているからだ。正面湯の建物の壁に「全国屈指の新湯投入率」と書いてあったな。惜しみない投入量を目の前にして納得。

フレッシュでさっぱりするお湯

だから体感的にも気分的にもお湯の鮮度が良い。なんかこう、さっぱりする感じだ。ほのかに硫黄香のする清澄な無色透明のお湯は、ケレン味のなさにかえって好感が持てる。温度面は熱すぎない適温。

時間をかけてじっくり堪能したいところだが、そうもいかない事情があった。ひとつはスケジュールの都合…この後に新潟県まで行って笹川流れを観光しなきゃいけない。もうひとつはお客さんが次々とやって来て浴室が手狭になってきた。あんまり居座り続けてはよろしくない。どんどん回転してあげないとまずいな。

というわけでいつもの立ち寄り湯に比べて短時間で退出した。長湯で粘らなかったわりには湯あがりの肌はすっかりスベスベで指先は超シワシワ。お湯が良かったおかげか、ものすごくさっぱりする。あー身体が軽いぜ。


おまけ:奇岩が続く笹川流れ

ちょっと強引に県境を越えて南下

湯田川温泉を出発してひたすら南へ。ついに山形県を出て新潟県へ入った。目指すは村上市の景勝地・笹川流れ。手が届きそうな範囲の絶景スポットだからこの機会に見ておこうと思ったのだ。若干無理やりくさいアイデアなのは承知の上。

現地の遊覧船乗り場には飲食&お土産店があって軒先に鮭を吊るしていた。過去に越後村上鮭塩引き街道を見に行ったときの記憶が蘇る。あの時は冬&電車で来ていたから笹川流れ観光まで手が回らなかったのだ。
吊るされた鮭
1匹だけぬいぐるみ? まあとにかく、遊覧船は40分で以下のようなコースを巡る。
笹川流れ遊覧船コース

次々現れる岩・岩・岩…

やがて乗船時間が来た。では「おばこ丸」に乗り込みましょうか。
おばこ丸
笹川流れ一帯は海岸沿いに奇岩からなる崖が続く。岩はそれぞれ義経伝説と関連付けられているものが多かった。どの岩がどの名前のものだったか、説明を受けたのにもうわからなくなっちゃった。すんません。
笹川流れ その1
国道345号と羽越本線が崖と海の隙間を縫うように走り、時には「やむを得ん!」という感じで岩をくり抜いたトンネルを通している。車でこの国道を運転するだけでも「とんでもない地形だなあ」と実感できる。
笹川流れ その2
これは獅子岩だったっけかな。
獅子岩

かもめとの戯れがすごいことに

かもめが船と一緒に飛んでくる。先へ進めば進むほどその数が増えてきた。窓の前までやって来たりする。
船に集まってくるかもめ
写真がだんだん奇岩+かもめの構図になってきたぞ。
奇岩とかもめ
折り返し地点の手前あたりでかもめの餌付けタイムが始まった。希望者は船内で買ったスナック菓子をかもめに与えることができる。空中に放り投げればキャッチするし、手に持って差し出すとくわえていく。「こいつお菓子持っとるで~」と認識されるとたくさん集まってきてえらいことに。
かもめの入れ食い
はい、遊覧船終了。国道を引き返して再び山形県内へ。移動距離多めの2日目の行程が計画通りに無事完了した。心配された天気もどうにかもってくれて良かった。あとは旅館でゆっくりしよう。