浜辺の温泉の奥の手は2種類の源泉なり - 湯野浜温泉 龍の湯

湯野浜温泉 龍の湯
庄内遠征の最後を飾る温泉地はもう決まっていた。レンタカーを返して空港へ向かう行動とスムーズにつながることを考えたら湯野浜温泉をおいて他にあるまい。言葉を変えれば湯野浜温泉しか勝たん。

問題はご当地に気軽に立ち寄れる温泉施設がなかなか見つからないことだ。ネットで探したら「日帰りやってません」みたいな旅館情報が数軒続いたもんだから、あきらめてしまった。共同浴場を頼るしかないか~。

…おっと待て、救いの神あり。奥湯野浜温泉とも称する龍の湯は日帰りウエルカム。行ってみるとなかなかゴージャスな建物で、足湯・飲泉・2種類の泉質・多種類の浴槽と、楽しめる要素が多い。

湯野浜温泉「龍の湯」へのアクセス

湯野浜温泉の最寄り駅は羽越本線・羽前大山。しかし駅から8kmも離れており、最寄りと言うにはちと遠い。むしろ鶴岡駅だったら路線バスが出ている。当館は温泉街からすこし外れた高台にあるのだが、湯野浜温泉バス停からだったら500mくらいなので十分に徒歩圏だ。

車があればそういったことは考えなくてすみますけどね。自分はあつみ温泉・かしわや旅館をチェックアウトしてレンタカーで湯野浜温泉へ。途中で加茂水族館を見学した件については後ほど。

現地に近づくと砂浜&大規模旅館群が見えてきた。ほう、あのあたりが湯野浜温泉か。本当に浜の温泉地だな。
湯野浜ビーチと旅館群
温泉街の中心部はごちゃごちゃしていて道が狭い。カーナビがなかったら、たどり着くまでに迷って右往左往していたかもしれない。バス発着場の少し先で右折してから登っていく坂道も住宅街の細い道路で、相応の規模を持つはずの龍の湯が本当にこの先にあるんだろうかと不安になってきた。

坂の途中に急に開けた感じのところがあって、そこが龍の湯。駐車場→敷地内の坂を下る→本館+もうひとつの駐車場という構造になっている。


いろいろ楽しめそうな龍の湯

館内はゴージャスで洗練された雰囲気

では入館。100円リターン式のロッカーの中からスリッパを取り出して、かわりに靴を入れる。脇に設置されてる自販機で入浴券(700円)を買ってフロントに渡す。館内はグレード高い旅館の雰囲気。
龍の湯のロビー
整った庭園なんかもあるし、気楽な日帰り温泉のノリで来ちゃったけど全然違うわ。大浴場を目指して奥へ奥へ歩いていくと足湯コーナーがあった。
足湯コーナー
隣には飲泉コーナー。うまいうまいとゴクゴク飲むものではないが変な味でもない。画像がなぜかぼやけちゃってる。
飲泉コーナー

2つの打たせ湯がある

湯あがり休憩処付近に分析書が掲示されてて「単純温泉」と「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」の2種類があるようだ。水明の湯と名付けられた大浴場は右が女湯、左が男湯。男女の入れ替えはない。

ここへ至るまでの諸々の規模感に比べて脱衣所は小さめ。鍵付きロッカーあり。100円が必要なタイプかどうかは忘れた。

脱衣所から直接、内湯へも露天風呂へも出られるようになっている。まずは内湯へ。一方の奥に8名分の洗い場があった。その隣に個室風の打たせ湯が2つ。片方は上からお湯が落ちてくるだけで、もう片方は座ると下半身が浸かるくらいのお湯が溜まっている。つまり半身浴+打たせ湯。

内湯は泉質と温度の異なる2種類を提供

内湯のメイン浴槽は2つ。ひとつは塩化物泉の札が立ってる3名サイズのやつ。湯野浜温泉全体で集中管理されている源泉を提供しているようだ。浸かってみると熱い。はっきり熱い。長く粘るよりは、サッと入って「さっぱりした~!」を狙いたい。

見た目は無色透明。湯の花や泡付きは見られず匂いなし。個人的にはぬるいのが好きだから、ワンポイントアクセントでちょっとだけ入る使い方になった。あるおじさまは長時間ずーっと微動だにせず入ってたけど…大丈夫なのかな。

もうひとつは単純温泉の札が立ってる4名サイズの浴槽。昭和の時代に新たに掘削された源泉のようだ。こちらはぬるめ。おー、ストライクゾーンど真ん中ではなくとも好感の持てる温度だ。見た目や匂いなどの特徴は塩化物泉と変わらない。

これら2つを行き来すると温度の違いが際立って一種独特な心地よさが得られる。この後に露天風呂へも行ったが、総合的に考えると内湯で冷温交互浴する方を推したい。個人の感想です。

陶器風呂や露天風呂もあります

露天エリアにあったのは1名用の陶器風呂、5名サイズの岩風呂、2名サイズの寝湯。塩化物泉と単純温泉とどっちが使われているかはよくわからず。あとはサウナと水風呂。

陶器風呂はぬるい。いつもなら「ぬるいぞ」と喜んで多用するところだけど、当時はやけに人気があって多くの客が狙っている風だったから、あえてこだわらなかった。

岩風呂はまあ普通の適温。隣の寝湯が高い位置に設けられてて、そこからのお湯が落ちて流れ込んできている。その過程で冷める分だけ入りやすい温度になっている感じ。思ったほど客は集中しなくて観測範囲だと概ね0~1名しかいない。

高い位置にある寝湯は屋根付き。予想通り岩風呂より少し熱かった。サウナはいつも関心外なので利用せず。露天エリアは塀に囲まれていて眺望はない。立地からして海が見えるわけでもないから、まあいいんじゃないか。あと寝転がれるスペースが付いていてクールダウンにちょうどいい。

適度に体験し尽くしたところで予定時間となった。もうあがろう。それが絶妙なタイミングで、露天風呂にいた時は何事もなかったのに、服を着て湯あがり休憩処から外を見たら雨が降っていた。ゲリラ豪雨的な結構強い雨だ。ふむ、入浴中は雨に打たれずにすんだからラッキーと考えるべき、なのカナ?(おじさん構文)


おまけ:鶴岡と酒田のショート観光

クラゲに癒やされる加茂水族館

あつみ温泉から湯野浜温泉へ向かう途中に由良海岸があった。国道を外れて海沿いの県道50号へ入ってすぐのところに設けられてる展望所からの景色がなかなか良い。赤い橋で陸地とつながっている白山島や遠くにうっすら見える鳥海山が印象的。
由良海岸
ほどなくして加茂水族館に着いた。クラゲの展示が面白いとどこかで見聞きした記憶があったので寄ってみた。
加茂水族館
入館料1000円。ぼっちおじさんはさすがに少ないが、ファミリーやカップルで結構混雑してる。最初の方は一般的な魚の展示が続き、途中からクラネタリウムというクラゲ専門コーナーに変わる。マニアックな説明がかえって知的好奇心を刺激する。

実にたくさんの種類のクラゲがいた。
加茂水族館のクラゲ その1
本当にいろいろよ。ボーッと眺めて癒やしを得る人もいるんでしょうね。
加茂水族館のクラゲ その1
最後の方にクラゲシアターなるライトアップ付き巨大水槽あり。もはや何なのこれ。
クラゲシアター
あとはアザラシ・アシカのいる「ひれあしプール」など。ひと通りの見学に1時間ちょっとかかった。鶴岡へ行くことがあれば定番スポットとしてどうぞ。

フォトジェニックな山居倉庫

龍の湯にいる間に雨雲に追いつかれて大雨に見舞われた。当館で少し時間を潰して雨のピークをやり過ごしてから出発し、旅の最後に酒田の山居倉庫へ移動。国指定史跡に認定された明治期の米保管倉庫だ。

駐車場に近い側は観光物産館にリニューアルされており、奥に向かってそれっぽい昔風の倉庫群が並んでいた。
山居倉庫
一番奥のあたりにかかる山居橋はかつての木橋を木造風に復元したもの。
山居橋
そばには庄内米歴史資料館がある。300円。文字通り庄内の米作りに関する展示を見学できる。米俵の重さを体験するコーナーでは30kgと60kgの持ち上げにチャレンジできる。30kgはどうにかなったけど60kgはびくともしない。無理して腰がグキッとなる前にやめた。

倉庫の裏側(?)は壁板とケヤキ並木の組み合わせがとても絵になる。いいじゃん。
倉庫とケヤキ並木
こうして2泊3日の旅が無事終了。傘をささずにすませたという意味で雨雲からも逃げ切ったし、これはもう勝利を宣言していいだろう(意味不明)。