スタイリッシュな居心地良い空間でぬる湯三昧 - 仏生山温泉

仏生山温泉
香川で評判が良く県外にも知られてそうな温泉のひとつが仏生山温泉。関東人の自分がその名前を知っていたくらいだ。高松市内にあって鉄道駅から徒歩圏内というアクセスの良さ。このたびの香川遠征でぜひとも訪れてみたいと思って実行に移した。

建物や雰囲気がなんだか洒落ているなあ。ゲームの世界には雰囲気ゲーというカテゴリがあるが、仏生山温泉を雰囲気ゲーにたとえるのは適切でない。なぜならば、ただの雰囲気湯ではない。良好な温泉が提供されているし、熱すぎない温度~はっきりぬるい温度まで、炭酸風呂を含む各種の湯船をまわるうちにすごくいい具合に仕上がってくる。

そこに加えての雰囲気だから、いつまでもいたい・まだ帰りたくないという気分にさせられた。良き。

仏生山温泉へのアクセス

とにかく仏生山駅を目指せ

こんぴらさんへ向かう琴電琴平線に仏生山駅がある。そのまんま仏生山温泉の最寄り駅だ。駅から当湯まで徒歩10分。はい、アクセス紹介終わり。

なので行くのにまったく難はない。自分の場合は塩江温泉のホテルセカンドステージをチェックアウトして塩江バス停まで送ってもらい、「道の駅しおのえ」をちょっとブラブラしてから高松駅行きのバスに乗った。

バスに揺られながら構想する…温泉に1時間ほど滞在したら高松駅周辺で讃岐うどんの店に入ろう。ちょうど昼飯時にぶつかってしまうから、有名店だと行列や待ち時間が結構長いかもしれないな。空港行きリムジンバスに間に合う・間に合わないで焦らないように、早め早めの行動を心がけないと…。

東口の商店街通りを歩く

約30分で仏生山駅西口に着いた。西口は再開発されたっぽい雰囲気があり、道路は広くてすっきりした感じ。近くに「市立みんなの病院」なるイカした名前の病院が見える。

踏切を渡って反対側へ行くと、まず古い時代の車両が目についた。展示用ってわけではなさそうだが現役なのかな。よくわからない。
仏生山駅にいた古い琴電車両
東口の方は古い街並みという雰囲気で道路は広くない。歩けば歩くほど道は狭く、レトロな商店街通りになっていくのであった。後日の調べによると、仏生山は古くから門前町として栄えた歴史があるようですな。ふーん、なるほど。

ゴールの手前に観翠という仕出しと宴会場のお店があった(コロちゃん都合で臨時休業中)。「仏生山温泉50m先」の看板を掲げてるところを見ると関連会社・親会社なのかもしれない。
仕出し 観翠
文字通り観翠から50mほど進んだ先に次のような木目の壁の建物が現れる。この見栄えは当館の横顔であって、冒頭写真が正面顔だ。付近には駐車場があちこちに点在している。全部合わせた収容台数はかなりのものだと思われる。
仏生山温泉(横から)

スタイリッシュでお湯も良い仏生山温泉

普通の日帰り温泉とは違う

入浴料は700円。中に入ると食事処・物販コーナー・休憩所がある。しかし日帰り温泉でよく見かける構図ではない。なんていうか、あっちもこっちもスタイリッシュなのだ。

たとえば壁に沿って設けた棚にインテリアっぽく本が並べてあったり、売り物の中にお香があったり、休憩所の畳の上ではヨガのポーズを取っている人がいたり。なぜか頭に浮かんでくる「無印良品」の4文字。本当は写真に撮って紹介したいくらいだが、どこを見ても人がパラパラいてカメラを向けるのがためらわれた。

入口に分析書も掲示されていて「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉、弱アルカリ性、高張性、低温泉」とあった。加温・消毒あり。加水・循環は明記されてないからたぶんなし。

お風呂で読書できちゃう

浴室のつくりはユニークだ。脱衣所が閉じた部屋になっていなくて、100円いらずの鍵付きロッカーを背にすると、中庭に向かって開けている。四角い中庭は四面を囲うようにして脱衣所・内湯・露天風呂・露天風呂が並んでおり、ところどころにベンチが置かれていた。見るからにモダンでお洒落な雰囲気だ。

まず最初に内湯へゴー。洗い場はたしか8名分だったかと。細長い浴槽は横一列に6名くらいまでいけるサイズ。入浴しながら本を読んでる客がいたのでぬる湯かと思ったら、わりと普通の適温だった。ちなみに仏生山温泉ではお風呂で読書してもいいらしい。ネットで調べたらそういう情報がヒットする。

お湯は無色透明。湯の花や泡付きはない。匂いはこれといった特徴を感じなかった。少なくとも塩素臭はしない。若干ぬるっとした感触があるといえばあるような気がする。

ぬるくて気分爽快の炭酸風呂

仏生山温泉の真価は露天風呂で発揮される。脱衣所の対面側の露天風呂へ出てみると、4名サイズの木の浴槽に、ぬるくした炭酸風呂です的な説明書きがある。ほほう。浸かってみると…あっ、めちゃくちゃぬるい。33℃とか34℃とか、それくらいの温度だ。最初は冷たく感じても慣れてくると炭酸シュワシュワとあわせて気分爽快。こりゃたまりませんな。

それこそ30分でも1時間でも粘れそうだが、早め早めの行動を心がける立場としては、あんまり長引かせるわけにはいかない。別の浴槽を試すべく10分ほどでいったん出た。

なお、隣には1名サイズの寝湯のように見える浴槽もあったけど、誰も利用してなくて正体は不明。足湯じゃないよな。

2つ並んだ露天風呂もかなり良し

今度は内湯の対面側にある2つの露天風呂へ。大きさはいずれも3名サイズだ。仮に上流側・下流側と呼び分けることにしよう。上流側は木の浴槽で湯口が付いていて、あふれたお湯が下流側の木じゃない浴槽へ流れ込む仕掛けになっていた。たぶん後者がぬるくなってるんだろうな。

まず下流側を試す。こちらはお湯の深さがみぞおちの下くらいまでしかなく、自動的に半身浴の格好になる。そして案の定お湯はぬるい。35℃くらいか。炭酸の泡はないがこちらも爽快系でなかなか。脇の方に内湯とは別の洗い場が3名分あった。

次に上流側。こちらは普通に肩まで浸かれる深さがあり、温度はまあまあの適温。温度の比較でいうと内湯>上流側>下流側>炭酸ぬる湯の順になるかな。で、上流側は先ほどの炭酸風呂に負けず劣らず泡がすごい。湯の中を漂う細かい泡の粒が湯の花に見えるレベル。

これってスーパー銭湯でよく見る人工炭酸じゃないよね? お湯本来の個性なんだよね? もともと源泉に含まれる炭酸からくる気泡だとしたら、元々のお湯もすごいが湯使いもすばらしい。香川におそるべき名湯ありだ。

帰りたくない気分にさせる、いい温泉

感心しつつ、3つの露天風呂と内湯を行ったり来たりしていると、ぬる湯のリラックス効果に加えて温度差による一種の冷温交互浴になって、何ともいえぬ幸せな気分に包まれる。落ち着いた客層のおかげで静かな空間にまったりした時間が流れるのも快適さを倍増させる。最高じゃん。

あー出たくねー。しかし早め早めの行動を…いやー、そんなにリスクをみなくてもいいんじゃない? もう少し粘ってもまだ余裕あるっしょ…うーん、でも、どうしよう…迷いに迷ったあげく、やっぱり当初の計画通りの時間で切り上げることにした。性根がチキンなんでね。

 * * *

スケジュールの縛りがなければもっとずっと長い時間滞在したと思う。それくらい居心地のよい温泉と空間であった。たまたま混雑してないタイミングでいい目を見た可能性もあるが。

モダンで新しい温泉施設は全国各地にあれど、仏生山温泉のテイストはそれらと違う。なにかが違う。すぱっと説明できないのが残念だ。誰かうまいこと言語化してもらいたい。


おまけ:おいしいかしわ天と讃岐うどんを求めて

人気店・麦蔵は大行列

仏生山温泉を後にして、琴電で終点・高松築港のひとつ前の片原町で下車した。チキン根性Maxで相当余裕を持った行動をしていたので、ちょっと冒険してみる気になったのだ。リムジンバスが発着するJR高松駅の逆方向へ歩き出し、有名店の麦蔵を目指す。かしわ天がうまいらしいからチキンなおじさんにはぴったりだ。

10分ちょっとで麦蔵に到着。すでに長い行列が出来ていた。うはあー。列に並んだところ、ちょうど自分の手前で「このお客さんで今日は売り切れです」えーーー!! ただし「おひとりさん?」に「はい」と答えたら「それなら」と、おまけで加えてもらえた。

しかし数分後「かしわは終わりましたー」の掛け声。ぽろぽろと離脱者が発生。自分もここであきらめがついた。JR高松駅へ向かって再び歩き出す。結果は裏目に出たが、リスクを取ることができたのは早め早めの行動をしたおかげ。プラスに考えよう。

岡じまで中サイズに挑戦

20分くらい歩いて高松築港駅近くの「釜揚げうどん 岡じま」へ。県内で3店舗を展開するチェーン。システム面や店内の雰囲気に安心感があるね。ここも評判の良いお店である。行列なしで入れた。
釜揚げうどん 岡じま
釜かけを注文。香川の地で讃岐うどんを食す機会が人生であと何回あるかと考えたら、悔いを残したくなくて中サイズにした(小=1玉・中=2玉・大=3玉)。加えて半熟玉子天とかしわ天。
釜かけ+かしわ天+半熟玉子天
食レポトークはできませんが大変満足したのは間違いない。一気に完食。出汁は最後まで飲み干した。「自分だって2玉いけるじゃん?」と自信を付けて店を出たら…しばらくして胃がズーンと…夜まで腹パンパン感がすごかった。