駅と遺跡が目の前、旅の途中にどうぞ - 釜ぶたの湯(上越市)

釜ぶたの湯
2泊3日にわたる上越妙高~糸魚川への一人旅もいよいよ最終段階を迎えた。上越妙高駅まで戻ってきて、あとはレンタカーを返すだけ。ただし乗車したい新幹線までまだ2時間以上の余裕があった。よし、じゃあダメ押しの一発をかますか。

実は駅前に日帰りの天然温泉施設があることを把握していたのである。それが「釜ぶたの湯」。釜ぶたとは釜茹での豚ではなくて、すぐ近所にある釜蓋遺跡にちなんだ名前。

サウナに力を入れていると思われ、別料金のサウナ券を買ったお客さんは上のフロアにあるサウナ空間を利用できる。温泉としてはヌルつき感のある微濁りの湯。典型的な内湯・露天(正確には露天風?)のほか、深さのある立ち湯があった。

釜ぶたの湯へのアクセス

釜ぶたの湯への行き方は超簡単。JR上越妙高駅まで行く→西口を出る→駅ロータリーにホテル2軒とコメダ珈琲店がある→その隣の区画が釜ぶたの湯、以上。駅徒歩1分以内。大深度掘削とはいえこんな超駅近によく温泉が出たな。

道を隔てて当館の西側に釜蓋遺跡公園がある。自分は燕温泉ホテル花文をチェックアウト→関温泉の登美屋旅館に立ち寄り入浴→赤倉の妙高高原スカイケーブル→道の駅あらい→釜蓋遺跡公園へとやって来た。

公園入口に釜蓋遺跡ガイダンス館がある。弥生時代終わり頃~古墳時代初め頃の環濠集落といわれる釜蓋遺跡についてさまざまな解説・展示を見ることができるのだろうが、時間に余裕を持って行動したかったためパス。
釜蓋遺跡ガイダンス館
公園全体をちらっと遠望するにとどめた。なんだか遺跡というより牧場のようにも見えるな。とてものどか。
釜蓋遺跡公園
釜ぶたの湯まで近いから公園の駐車場…当時はガラガラで誰も来る気配なし…に止めたまま歩いて行こうかとも考えたけど、やっぱそういうのはよくないなと思い直して現地まで車を動かす。当館の駐車場は結構混んでいた。今日は盛況なのかな。


新規施設らしいフレッシュな日帰り温泉

風呂あがりのヤクルトをもらった

では入館。靴は鍵付きの下足箱へ。たしか券売機で温泉のみ440円の券を買った。観光地価格ってわけでもない水準でいいんじゃない。ちなみに温泉+サウナ利用は680円。フロントに券を差し出すと、ちょっとした説明とともに「これどうぞ」とヤクルトが出てきた。風呂あがりのサービスか。やってくれますな。※いつももらえるかどうかは不明。

2018年にオープンした施設らしく、ハード面は全般に新しい。館内に食事処はなくて近隣の飲食店と提携することでカバーしている様子。脱衣所にはサウナ客用と温泉客用に区分けされた100円いらずの鍵付きロッカーが並ぶ。分析書をチェックすると「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉、低張性、弱アルカリ性、温泉」だった。加水・加温・循環・消毒あり。

いざ鎌倉、じゃなかった、いざ釜ぶたの浴室へ。右側に15名分の洗い場があって当時の客数からいえば余裕十分で空きを見つけるのに困ることはない。

一般的な内湯のほかに立ち湯もあり

左側にサブ浴槽とメイン浴槽が並ぶ。湯口はメイン浴槽の中央部に付いている。そのメイン浴槽は6~7名サイズ。注がれるお湯はクリアな褐色のようでもあり、それはタイルの色のせいであってお湯は無色透明のようでもあり、ほんのちょっとだけ濁りがある気もしてくる。

浸かってみると適温だった。まさに適温中の適温、平均値ど真ん中。湯の花や泡付きはなく、一方であからさまな塩素臭もしない。炭酸水素塩泉の特徴か、ぬるっとした感触に温泉らしさが表れていた。

サブ浴槽の方は深くなっていて、立ったまま入るっぽい(縁に沿って腰かける段は作られているが)。立ち姿勢で腰~胸下までがお湯に浸かる深さで全員が立って入るなら4~5名サイズ。メインのお湯が少しずつ流れ込んでくる仕掛けなのかなあ、心持ちぬるめに感じられる。自分は主にサブを利用した。

浴室は天井が高くて気分がいい。というのも吹き抜けの2階フロアが設けられており、そこにはサウナ室がある模様。浴室奥の階段から2階へ上がれるのはサウナ利用客のみだから偵察はしてません。

おこもり感覚のある露天風呂

露天風呂もある。ただし露天エリアへ出てみて気づいたのだが、頭上は屋根もしくは透明な波板で覆われていて、周囲の塀とあわせて館外から区切られた閉じた空間である。一応ここでは露天風呂と呼ぶ。

浴槽は横長の長方形をしており横一列に6名が入れるサイズ。内湯に比べると人口密度は高め。とはいえ回転率も高めで出入りは頻繁、誰もいない時間帯もそこそこあった。お湯の特徴は内湯メインと一緒。天井の高い内湯と屋根が低い露天風呂。後者の方がおこもり感覚は強かったように思う。

露天風呂の隣のスペースに6脚の休憩用椅子が置かれていた。この規模にしては数が多いのではないか。取り合いにもならず好きな時に使えたので、露天風呂→椅子でクールダウン、を何度か繰り返させてもらった。

ふー、もう十分に浸かったな。そろそろ車を返して駅構内へ場所を移すとするか。浴室を出て服を着て、もらったヤクルトを飲み干すと、旅の終わりの寂しさとやり切った満足感の混じった複雑な気分で超駅近温泉を後にした。

 * * *

交通至便なロケーションにあるから旅行途中に立ち寄ってみてもいいだろう。列車待ちの空き時間の有効活用としても検討に値する。時間に余裕があれば釜蓋遺跡公園の見学をどうぞ。


おまけ:上越市の観光スポット

上杉ゆかりの春日山神社

時系列的には直接つながらないが、釜ぶたの湯の前日に訪れた観光スポットについて。

上越市といえば上杉謙信公の居城があった春日山城址。旅の2日目、糸魚川からの移動途中に寄ってみた。ただし時間と体力の都合で山には登らない。駐車場からすぐ行ける春日山神社のみに絞った。にもかかわらず、なかなか手ごわい階段が立ちはだかる。
春日山神社の階段
社殿は謙信公のようにまっすぐで力強いデザイン。
春日山神社の社殿
表面的にさらっと見ただけで去らねばならぬのは惜しいが仕方ない。城址の各スポットをくまなく見ようとすれば本当に時間をかけた山歩きになってしまうからそのつもりで。

高田の雁木通りで昔の面影を探す

上越妙高駅からも近い城下町・高田。高田と聞いて思い浮かべるのが雁木通り。映画「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様」(第47作)の冒頭シーンのロケ地ということもあって、雁木通りは見てみたかった。春日山神社の後はこちらへゴー。

高田駅に近いエリアは現代風アーケードになってしまっていて風情はいまいち。むしろ南高田駅に近い本町1丁目のエリアが昔の名残をとどめている。やけに広い駐車場を持つ角のコンビニで買い物をした後にちょっとだけ付近を歩いてみた。
高田の雁木通り
写真内で最も手前の電柱の向かいにある薬局…その電柱に当薬局の広告あり…をレコード店という設定にして、店の前で売れない歌手・小林幸子(劇中の設定です)の歌う姿が寅さんの目にとまるシーンが映画にあったようだな。

ちなみにラストシーンは長崎県雲仙で二人が再会する。そっちも3年前に訪れているし、なんなら物語の主舞台である滋賀県長浜にも行ったことあり。これですべてのピースが揃ったぜ(意味不明)。