芋焼酎が合う料理にゴキゲンの人気宿 - 指宿温泉 民宿たかよし

指宿温泉 民宿たかよし
指宿に評判の良い温泉宿を見つけた。民宿たかよし。人気があるため予約を取るのが難しいような口コミを読んだが、平日を選んだおかげか幸いにも押さえることに成功した。好評の理由が「とっても財布に優しいお値段だから」というだけでないことは口コミ内容から容易に想像できた。期待が高まる。

実際泊まってみて、たしかにいい宿だった。一人泊でも楽しめる、というか一人旅にこそ向いていると言いたくなるようなまったり感。お風呂は大規模ホテルの大浴場と違ってごく小さなものだけど本格的な温泉だ。そして料理がうまい。焼酎を飲み慣れないニワカが地元の芋焼酎なんかいただいちゃったりして、もうゴキゲン。のんびりゆったりまったりの愉快な一夜であった。

指宿温泉・民宿たかよしへのアクセス

鉄道旅の場合、最寄り駅はJR指宿駅になる。民宿たかよしまでは駅から約1kmだから10~15分ってとこか。線路からつかず離れずで南下して、はしむれ通りにぶつかったら海の方向を目指す。道中ちょっとだけ外れれば「指宿市考古博物館 時遊館Coccoはしむれ」なる博物館があるから立ち寄ってみるのもアリか。自分は行ってないが。

実際にはレンタカーを使った。指宿の温泉街に着いてから先に立ち寄ったのは砂むし会館砂楽。ここで砂むしを体験して風呂にも入ってすっかり整った状態で出てきたのが15時半すぎ。あとはたかよしにチェックインするだけ。砂楽からだと500mくらい。車なら1~2分だ。

カーナビの指示通りに交差点をはしむれ通りへ折れた。曲がってすぐのはずだけど…たかよしはどこだ?…うっ、西日が、西日がぁぁぁ。目が、目がぁぁぁ(ムスカ)。前方からの日差しがまぶしすぎて立ち並ぶ家の細部や看板をチェックできない。後続車に付かれちゃって徐行や停車もしづらいし、仕方ない、ぐるっと回ってまた戻って来よう。

付近は狭い路地や一方通行が多く、走りやすい道を選んでたらだいぶ大回りするはめになった。今度は落ち着いて、夕日を背後にするよう計算して近づいていったら、簡単に見つかった。道路を挟んだ向かいに駐車場がある。チェックインする頃には16時近くになっていた。


一人旅にも向く、コンパクトな宿

玄関をあがってすぐ左側に小さな休憩コーナーがある。冊子なんかが置いてあって観光情報を入手できる。
休憩コーナー
壁の上の方にはメッセージ入り色紙がずらーっと並ぶ。コロナ前に来た海外のお客さんが書いたものと思われる。いろんな国の言葉がいっぱい。以前は国際色豊かだったんだろうな。

正面には食事処となる広間。右側の廊下の先に2つの浴室がある。1階に客室があるのかどうかは不明で、自分の部屋は2階の角部屋だった。コンパクトにまとまった6畳和室。一人旅には十分だ。古いってこともなく管理状態は良好で居住性ばっちり。
民宿たかよし 6畳和室
トイレ・洗面所は2階廊下に共同のがある。トイレは男女別で、男子は一般家庭のとは違う事務所なんかにあるタイプに近く、詳細は忘れたけど小×1~2、大はシャワー付き洋式。金庫なし、冷蔵庫なし。廊下に共用の冷蔵庫や電子レンジがある他、セルフのコーヒー・紅茶が置かれている。
2階の廊下
窓の外は市街地。建物群の向こう側が海である。
窓の外は指宿市街

大小の浴室を貸し切り方式で利用

最初は大きい方の浴室へ行ってみた

お風呂は1階に大小2箇所ある。どちらも予約不要の貸し切り方式で、空いていれば入口の札を「利用中」にひっくり返して中へ入り、内鍵をかける。繁忙期はわからんが当時はだいたい2箇所とも空いていて好きに使えた。朝の1回のみ片方が埋まってたことがあっただけ。

入口の前に分析書が貼ってある。「ナトリウム-塩化物温泉、高張性、弱アルカリ性、高温泉」とあった。

最初に大きい方(といっても2~3名用)へ行ってみた。脱衣所の棚にタオル・バスタオルが積まれている。利用のたびに新しいやつを使えるわけだ。ありがてえ。なので部屋にはタオルもタオルハンガーも置いていない。

浴室へ入るとカランが2台と2~3名サイズの四角い浴槽。壁際に手すりが付いていることからバリアフリーへの意識が感じられた。浴槽に向かって蛇口が2つ生えていて、片方からチョロチョロとお湯が投入されている。見た目は褐色で浴槽の底がどうにか認識できるくらいの濁り方。

熱くて体の芯まで効いてくる

では浸かってみよう。あちい。たぶん一般には適温なんだろうけど自分には熱い。浮かんでいる温度計を手に取ってみたら42度を指していた。もし熱すぎると感じたなら湯もみをしてみるとよい。ちゃんと湯もみ棒が置いてあります。

湯質は源泉かけ流しの本格派だ。いかにも塩化物泉の匂いがするし、単に熱いからだけではないジ~ンと伝わってくる感じがある。あー、効くー。浴槽の縁が変色しちゃってたりするから温泉成分は結構なもんじゃないの。

洗い場でインターバル休憩を取りながら何セットも浸かって体の芯まで温まった。あーいいお湯だった。

小浴室で体験した「ぬる湯タイム」

大きい方に行ったのは最初だけ。あとはすべて小さい方を利用した。こちらは1名用ということになっている。基本的には上記と同じだ。浴室のカランは1台で浴槽は三角形に近い。各地によくありがちな陶器のつぼ湯をひと回り大きくしたくらいのサイズ。たしかに1名用かもね。

お湯の特徴や温度も大きい方と一緒だから、どちらがどうという差はない。好きな方を使えばいいし、グループで来てるお客さんが多い時はなるべく大きい方を空けておくようにするとか、互いに融通を利かせればいいのではなかろうか。

ちなみに入浴時間は夜が22時まで(当時は感染対策として21時まで)、朝が6時から9時まで。そしてお湯の温度について思い出した。朝一番はぬるかったのだ。温度計によれば38℃で好みの温度帯。偶然なのかいつものことなのかはともかく、とても快適だった。


噂通りのうまい食事にご満悦

芋焼酎とともにいただく薩摩の味

民宿たかよしの食事処には1階の広間があてられている。もちろん高級食材とか料亭のようなとかいうお花畑の世界を夢見たわけじゃなく、鹿児島・指宿らしさのあるものをいただけるのではないかと期待して夕食に臨んだ。
民宿たかよしの夕食
おおお、こいつはうれしい。質・量ともこのお値段で本当にいいんですか、って感じ。具材が山と詰め込まれた薩摩豚の鍋だけでもかなりのもんじゃないか。カツオとマグロのお刺身も軟骨煮も良し。強く印象に残ったのがさつま揚げだ。すげえうまい。自分にとっては平たくなく丸っこい形なのも珍しいし、揚げたてがこんなにうまいなんてね。さつま揚げのイメージが激変しました。

どれもこれも焼酎に合いますな。芋焼酎は日頃あまり飲まないので~と申告した結果、宿のお母さんが推薦してくれた「問わず語らず名もなき焼酎」という地酒を1対1で割ったのをいただいた。おかずとの相性も良くて結構すいすい飲めちゃう。しかも1杯300円しないからね。焼酎を飲みつけないから警戒して1杯でやめておいたものの、もう1杯いってもよかったかな。他にも銘柄あったし。

締めのご飯はそのまま食べてもいいけど、お母さんのおすすめで食べきった後の鍋に入れておじやにしてみた。うん、こりゃ結構ですな。最初から最後まで満足しかない夕食であった。

朝食も大変結構なり

朝食は同じ場所でオーソドックスな和定食系。朝はこういうのがホッとしますね。
民宿たかよしの朝食
あえて食事と違う話題を振ると、この広間の壁に大相撲関連のポスターがたくさん貼ってあるのが目につく。番付表とか力士の絵とか。地元出身の力士に関するものかと思いきや、そういうわけでもないようだ。食べながらチラチラとポスターを見て「鹿児島出身の力士って誰だっけ?」と自問自答したら情けないことに若嶋津と霧島しか出てこなかった。

ふう、ごちそうさま。さて最後にもうひと風呂浴びておくか。

 * * *

本格温泉と満足度の高い食事と全般的なまったり感を体験すると、評判が良いのも納得できる。民宿スタイルに抵抗がなければおすすめしたい。そういえば部屋にノートが置いてあって宿泊客の喜びと感謝の言葉がいっぱい綴られていた。そうだよなー。自分も書こうと思って忘れてしまったから、代わりにここでこうしてご報告します。


おまけ:西郷どんゆかりの鰻温泉

指宿市街に入る前に鰻池に立ち寄った。ここはちょっと行ってみたかったんだよね。なぜなら映画「男はつらいよ 寅次郎真実一路」(第34作)のロケ地だったから。マドンナ・ふじ子の失踪した夫を探すために、夫の郷里鹿児島をあちこちまわる中で鰻池にも訪れたのだ。名前は鰻池でも湖と呼べるくらいに結構広い。
鰻池
ここは西郷隆盛が逗留した地でもあり、西郷隆盛石像などの関連スポットもいくつか。
西郷隆盛石像
また温泉地でもある。路地を歩くと硫黄の匂いがはっきりと感じられる。区営鰻温泉という共同浴場もありまして。
区営鰻温泉
このあと砂むし→たかよしのコンボが待っていたから入浴は自重した。ご当地はスメ料理という温泉蒸しが名物だ。どうせなら夜のスメ料理込みで泊まる機会を作って来たいところだ。