鉄くさいマグマ! - 桜島マグマ温泉 国民宿舎 レインボー桜島

桜島マグマ温泉 国民宿舎 レインボー桜島
鹿児島の桜島には温泉があるし、泊まれる温泉宿もある。火山島なわけだからむしろ当然のことかもしれない。ちょうど桜島で夕方を迎える旅程だったから旅館を探してみた。

そうしていかにもインパクトのある名前の国民宿舎を見つけた。レインボー桜島。何かはわからないけど何かが七色なんだろうか。温泉名はさらに印象的だ。桜島マグマ温泉。マグマ大使のマグマですよ。すっげえ熱そう。力強いオーラを感じて思わず予約してしまった。

実際にお湯は熱かった。それ以上に湯の花と金気臭がすごかった。マグマと直接結び付くものではないにしても強烈な個性を感じさせる温泉であったことは間違いない。フェリー乗り場やビジターセンター至近という立地も良好だ。

桜島マグマ温泉「レインボー桜島」へのアクセス

説明不要の便利な立地

レインボー桜島の場所はフェリー乗り場のすぐ隣と言ってもいいくらい。あるいは桜島ビジターセンターと敷地がつながっているに等しい。だから鹿児島中心街から向かう場合は桜島フェリーに乗って、下りたらビジターセンター方面へちょっと行けばすぐ着いてしまう。簡単。

自分の場合はレンタカーで空港からテイエム牧場温泉に立ち寄り入浴、その後に垂水市側から陸路で桜島へ入った。有村溶岩展望所→湯之平展望所を経てビジターセンターに向かったら、到着手前地点でレインボー桜島の前を通過した。

桜島ビジターセンターの駐車場にはたくさんの猫がたむろっている。運転注意。いつの間にか駐車中の車の下に入り込むこともある(自分の車はそうなってた)から発車前の猫バンバンは必須。
桜島ビジターセンターは猫がいっぱい
ビジターセンターは入場無料で桜島の成り立ちや火山についての説明・展示を見学できる。館の規模は小さいから時間はそんなにかからない。
桜島ビジターセンターの展示

桜島溶岩なぎさ公園を散歩するも良し

すぐ向かいには桜島溶岩なぎさ公園もある。ここにはウッドデッキが整備され、溶岩の岩場と、錦江湾越しに鹿児島の市街地を望むことができる。しかも足湯まで設置されている。近隣の町から日帰りで遊びに来るのにも良さそうだ。
桜島溶岩なぎさ公園の足湯
ところで「桜島」と言う時、自分のような部外者は島全体を指す場合と火山そのものを指す場合がある。いや、島じたいが火山だからどっちも同じ実体を指すのか。じゃあ島内に身を置きつつ山の頂上の方を眺める時は「桜島で桜島を見る」で合っているのか…なんだかややこしくなってきたぞ。両者を区別して「桜島で御岳を見る」と言うべきなのか。ちょっと堅苦しい気もするなあ。

とにかく公園では桜島(山)もばっちり見える。その際、視界に入ってくる建物がレインボー桜島だ。もうほとんど同一敷地内のようなもの。
桜島溶岩なぎさ公園から見えるレインボー桜島
公園内をちょっと散策した後、猫の集会所から当館の駐車場へ車を移動させてチェックイン。


モダンな館内と錦江湾を望む部屋

温泉巡りを始めてからの数年間にいくつかの国民宿舎に泊まってきたが、子供の頃の思い出と違って、21世紀のセンスのモダンな建物ばかりだった。当館も例外ではない。こちらはお土産コーナー。
お土産コーナー
ロビーは吹き抜け構造で広々としている。
1階ロビー
割り当てられた部屋は3階の10畳+広縁和室。管理状態は良好だ。布団は夕食中に敷いてくれるクラシック方式。
レインボー桜島 10畳和室
シャワートイレ・洗面台あり。金庫あり。冷蔵庫の中には冷水の容器が入っていた。ちなみに3階の自販機コーナーにあったのはソフトドリンクのみ。お酒の自販機は運用休止ぽい扱いだった。まだ酒類の提供を自粛してる感じなのかね。

あとWiFiあり。窓から見える景色はこんな感じ。
錦江湾を行き交うフェリー
先ほどの溶岩なぎさ公園に隣接する桜島海づり公園と錦江湾を行き交うフェリーが見えます。夜は夜で対岸の夜景と灯りをつけて進むフェリーによる光の競演を楽しめる。


桜島のイメージにぴったり合ってる温泉

お風呂はお隣の日帰り温泉へ

レインボー桜島の大浴場はすなわち、併設の日帰り温泉「桜島マグマ温泉」である。
日帰り温泉「桜島マグマ温泉」
棟としては分かれているが、宿泊客は2階の通路経由で屋外へ出ることなく大浴場まで行ける。部屋の鍵や貴重品の保管が気になる方は、脱衣所の有料ロッカーを使うか、もしくはフロントや浴場前の番台(?)で預かってもらうこともできる。

脱衣所の窓から桜島(山)が大きく見える。掲示された分析書には「ナトリウム-塩化物強塩泉、高張性、中性、高温泉」とあった。高張性の強塩泉か。効きそうだな。源泉かけ流しだけど高温なので加水しています的な説明書きあり。

浴室には15名分の洗い場。シャンプー・ボディソープの類はカラン2~3台につき1セットずつに間引いた形で置かれている。かけ湯はぬるいというより冷たかった。いきなりドバっとかけると“ヒエッ”となります。ただし翌朝には適温だったから、たまたまかもしれない。

びっくりするほどの湯の花と金気臭

浴槽は内湯のみ。主にサウナ利用後向けの2名規模の水風呂、その向かいに5~6名規模の小浴槽がある。この小浴槽のお湯は完全に無色透明。たぶん真湯じゃないかな。温度は平均的な適温。低周波風呂という札のついた一角がある。せっかく温泉に来て真湯の浴槽はどうなんだろうと思って観察すると利用者はそこそこいる。

主役はその隣の大浴槽。こちらは天然温泉だ。溶岩なぎさ公園の足湯で見たような黄褐色のにごり湯で満たされ、浴槽の底は見えない。なんといってもお湯の中を漂う湯の花の量が半端ない。暗褐色のつぶつぶがかなりの密度で存在しているのだ。強引に連想するなら火山から噴き上がった溶岩。まさにマグマ温泉。

もうひとつの特徴は強い金気臭。これほど露骨に鉄の匂いがするのが他にあったかどうか、ちょっと記憶にない。今まで体験した中でも最強レベルじゃないかと思う。ついつい何度も嗅いでしまう。身体が鉄骨臭くなりそう。

マグマだけにお湯は熱い

温度は夕方と夜は熱めだった。マグマ温泉の名にふさわしい。そんなに長く入っていられるものでもないし、ずっと粘っているとあがった時にクラっとめまいがする。やはり効き目がすごい。一方で翌朝はややぬるめだった。マグマの活動がおとなしかったのだろうか。個人的にはぬる湯派だし、じっくり入りやすいので、ぬるいならぬるいで歓迎だ。

大浴槽は横1列に7~8名が並んで入れる規模で、2名ずつ向かい合わせになってよければその倍は入れそう。まあそこまでするほど混むことはないと思われる。当時はせいぜい同時に4名程度まで。

大きなガラス窓には目隠し的に曇りを入れてあるようだが、一応は錦江湾やフェリーを眺めることができる。脱衣所で山、浴室で海の景色を見られるんだからロケーションは抜群でしょう。お湯は個性的で濃ゆいから言うことなし。さすがマグマ温泉。


鹿児島の味を楽しめるコスパ良きお食事

特別サービスが付いたお得な夕食

レインボー桜島の食事は朝夕とも1階レストランで。部屋番号を告げると所定のテーブル席へ案内される。夕食のスターティングメンバーがこちら。
さくらじま御膳+お得なサービス付き
ネットの予約サイトで見つけた「さくらじま御膳+お得なサービス付きプラン」だから特別に県産黒毛和牛ステーキときびなご刺身が追加されている。さらに館内で使える1000円券プレゼント特典も付いてきて、とってもお得な気分。1000円券は夕食時の酒代にあてた。

おしながきを読むと県産かんぱちが売りみたいですね。お造りに含まれる他、後から追加で出てきたのがかんぱちの大根煮とかんぱちの大葉揚げだったから。かんぱちは刺身でしか食べたことがないんで貴重な体験をした。

締めのご飯は桜島産ひじきの釜飯。適度におこげもあり、これまた良し。

朝もご当地メニューがいっぱい

朝食も前夜の推し食材が大活躍。焼魚はかんぱちだし、きびなごの漁師漬けはあるし、小鉢が桜島産ひじきの煮物。
レインボー桜島の朝食
ご飯は混ぜものなしの白飯の釜炊きだった。自分には量が多いかなと最初思ったけど、かんぱち・きびなご・明太子とあわせていたら、わりとあっさり完食できた。

桜島を観光中にあちこちで桜島小みかんを売っているのを見かけた。焼魚が桜島小みかんの塩麹焼きだったように、ここの料理にも桜島小みかんがちょいちょい味付けに使われているようだ。

 * * *

桜島観光にうってつけの場所にあるレインボー桜島。フェリーが頻発してるから車ありでもなしでもアクセスに難はないし、お風呂はマグマ温泉の名に負けないインパクトがあった。しかも結構お得なお値段で泊まることができた。とくに今回のサービス特典を考慮すると申し訳ないくらいのコスパだった。ありがたや。


おまけ:運転経験浅くてもOKな桜島フェリー

チェックアウト後に桜島フェリーで鹿児島市街側へ渡った。自分が運転する車でフェリーに乗るなんて経験なかったから、ちょっとびびっていた。仕組みがわからずモタついて後続車に迷惑かけないかとか、船内に車を収める際に狭いスペースで超絶ハンドルさばきを要求されるんじゃないかとか。

…まったくの杞憂だった。標識に従って乗り場へ進むと、ゲート式の料金所があってドライブスルーで精算完了。あとは誘導員さんが身振り手振りで進むべき方向を指示してくれ、自然と船内に誘導されていった。

しかるべき場所への駐車も誘導に従えばスムーズに完了。ほぼ直進に近い前進だけでバックすることはない。ましてや縦列駐車みたいな難しい取り回しなど発生しない。ああよかった。
桜島フェリー
ドライバーと同乗者は車を出て上階のデッキで過ごし、着港前に車に戻る。でも15分程度の航行だからずっと車内に留まる人も多い。下船の際もバックではなく前進で、自分の順番が来て合図を送られたら前の車の後についていくだけだから簡単。ああよかった。