ぬるめの黒湯にゆっくりと - 野天湯元 湯快爽快 くりひら

野天湯元 湯快爽快 くりひら
いろいろと考えるところがあって、ある週末、近場と呼べる範囲の日帰り温泉施設へ行くことに決めた。温泉は1ヶ月ぶりだなあ。

どの県に行くとかの案もなかったし、正直あてもなくネットで適当に検索してたらピンときたのが、川崎市の北の端に近い「野天湯元 湯快爽快 くりひら」。駅から徒歩10分で遠くないし、典型的な黒湯で温泉気分を味わえそうだし、好みのぬるい浴槽もあるようだから、いいんじゃないかと思って選んでみた。

南関東各地に姉妹店を持つグループが運営するだけあって、ハード面サービス面に安心感がある。このご時世と早い時間帯だったせいか混雑してなくて、かつ、お客さんがみんな「黙浴」を実践してくれてたおかげで、静かにゆっくりできたのが好印象。

(2024.1追記)2023年に閉館していたようですね。コロ禍自粛ムードからのインフレコスト高のコンボが厳しかったのかな。

「湯快爽快 くりひら」へのアクセス

当店では小田急線の主要駅である新百合ヶ丘から無料送迎バスを出している。時間帯によって1時間に1~2本。こいつを利用しても良かったのだが、天気もいいし日頃の運動不足を解消したかったしで、最寄り駅の小田急多摩線・栗平から歩いてみた。
小田急線 栗平駅
駅南口の前を通る道路へ左折してしばらく道なり。閑静な住宅街の中を進む。本当は途中で右方…坂を下って川沿いの方…へ行かなければならないのに、道がわからなくてまっすぐ歩き続けてしまった。

やがて公園風の緑地と上り坂が見えてきた。この坂まで来たら間違い。もっと手前で川の方へ下りましょう。当時はうっかりしてて坂を登ってしまった。坂上でスマホの地図アプリを確認して道を間違えたことに気づいた。

そこまで来ると公園風の緑地に鳥居が立っているのに気づく。公園じゃなくて神社だったのか。へー白鳥神社か。道を引き返す前にせっかくだから寄ってみましょうかね。
白鳥神社
こうして正しいルートへ復帰し、川沿いの道路まで下りてくればあとは簡単。ただ道なりに進めばいい。店に到着する直前にあった立体駐車場は当店利用客向けだ。収容台数はかなり多いように見えたから、車で行っても駐車に関しては余裕でしょう。


落ち着いた雰囲気でゆっくりできた

土曜の午前が狙い目

では入館。靴を脱いで下足箱ロッカーは…数が少ないしどこも空いてないよ~。よく見たら「フロント奥にもあります」と張り紙がしてあった。たしかに奥へ行くといっぱいあった。良かった~。

まず自販機で入場券を買う。平日950円、休日1100円。ただし土曜の午前中は平日料金でOK。会員になれば100円引き。この会員割引は徹底しており、食事処のメニューも会員価格と一般価格がある。これはどうなのかなあ。自分のような飛び込み客が風呂あがりの一杯を飲んでくれなくなるんじゃないか…いやまあ飲みましたけど。

フロントで下足箱の鍵を渡してバーコード付き腕輪を受け取る。フロント横には「日本全国うまいもの巡り」のコーナー。酒のつまみによさげなものがいろいろと置いてあった。
売店コーナー

内湯は温泉じゃない

食事処やドクターフィッシュの足湯コーナーを通り抜けて一番奥に男湯がある。脱衣所には100円いらずのロッカーがたくさん並んでおり、腕輪の番号と無関係に好きなところを使ってよい。脱衣所内に日焼けマシンがあるのはちょっと珍しいと思った。

分析書を見つけてチェックしたところ「ナトリウム-炭酸水素塩温泉、弱アルカリ性、低張性、低温泉」とあった。加水なし、加温・循環・消毒あり。

浴室は洗い場と浴槽のある区画が完全に分離されている。入ってすぐ左へ行くと15名分の洗い場エリアとなっている。ほぼ埋まってる状態だったので「全体の客数の印象にしてはずいぶん混み合ってるな」と思ったけど、たまたまだったようだ。あがる際にのぞいたらガラガラだったので。

浴槽エリアはまず水風呂、座湯。そして右側にある内湯メイン浴槽は10名どころじゃなくもっといけそうな広さで1名分の電気風呂付き。ただし白湯であって温泉ではない。LED表示器には40.5℃と出ていた気がする。今回は温泉目的なので内湯はばっさりスルー。

ぬるい露天風呂がなかなか良い

露天エリアへ出てすぐ左側に4つの信楽焼つぼ湯があった。競争率はそこそこ。空きができた時に入ってみたら40℃くらいでいい塩梅のぬるさだった。ここは白湯でなく温泉が投入されている。よくあるつぼ湯と違って細長い形をしているから足が窮屈にならないのがいい。

露天のメインかつ最大の岩風呂には「ぬる湯」という札が立っていた。やったぜ。ぬる湯好きなんでね。LED表示器は作動してなくて何℃かはわからなかったが、入ってみた感じでは38℃くらいか。全然のぼせることがなくて飽きるまで入っていられる。

湯口はなくてどこか浴槽内部から直接温泉を流し入れているようだ。その流れを感じる場所ではやや温かく、そこから遠く離れた場所では明らかにぬるくなっている。好みに応じて場所を選ぼう。

広さは通常なら10名以上余裕でいける。当時のように各自が近づきすぎないよう間隔を意識しちゃう雰囲気だと6~7名。お湯はコーラのように黒くて浴槽の底はまったく見えない。泉質にふさわしくヌメり感がしっかりと出ていて、肌の上に1層コーティングを施されたかのような感触があった。いいですね。

あつ湯もあるよ

少し奥の方に4~5名サイズのあつ湯の岩風呂。LED表示で42.4℃だったかな。うん、熱いっす。好きな人は好きだろうし、冬は人気あるんじゃないの。自分は熱いの苦手なので試しに入ってみたレベルで終わりにした。

一番奥には6名分の「うたた寝之湯」。仰向けになって背中の部分だけちょこっとお湯が流れていく、いわゆる寝ころび湯。この日くらいの陽気だと寒すぎず暑すぎずで本当に気持ちいいですな。しかも屋根付きで直射日光が入ってこないのも良かった。近くにはお湯が流れない普通に寝ころぶだけの縁台もある。

湯治場の雰囲気を醸し出す庵湯

露天メインぬる湯と並ぶ目玉がもうひとつ。露天エリアの中に湯小屋風の建物があって「庵湯」という札が立っている。湯治場の内湯インスパイア物件か。中には3つのカラン(真ん中は諸事情により使用不可)と6名サイズの檜浴槽。木でできた湯口も付いてる。

LED表示で40.9℃とあった通り、浸かってみるとだいたいそのくらいの適温。お湯の特徴は他と一緒ながら、ここだけ黒湯特有の匂いがはっきりと感じられた。加水なしの低温泉を加温したものだから、ぬる湯以上に源泉そのままに近いってことはないはずだけど、なんですかね。

檜の浴槽だけでなく天井には太い木の梁を通してあるなど雰囲気作りを頑張っている。よくやるなあと感心。

もうひとつ感心したのが、このご時世だから当たり前かもしれないが、どの浴槽もみんな静かに黙って入っていたこと。男同士でつるんで来ているのがいなくて単独客ばかりだった。お通夜みたいである必要はないけど、個人的にはこういう落ち着いた雰囲気だと過ごしやすい。いつもこんな調子ならすばらしいと思う。


食事処「ねむの季」を利用してみた

風呂あがりに食事処「ねむの季」へ。入館時にもらった割引券の中からビールチケットを発動。さらに経済を回すべく食事もしていこうと決め、一球入魂、海老天せいろそばを注文してやったぜ。どうだ。
海老天せいろそば
北海道の鹿追そばだそうな。へー本格的ですな。旅行先でもない限り“まっとうな”そばなんて普段食べないからなあ。柄にもない贅沢をしたおかげで天ぷらの衣で口の中を切ってしまったぜ。鉄の味が口いっぱいに広がったぜ。

メニューは定食・御膳ものだけでなくもちろん一品料理やつまみ系もある。先に書いた通り会員になる方がお得な価格になっている。またビールについては回数券もあるみたい。定期券というかサブスクリプション契約がもしあったら…と妄想してしまう。