駅近の正統派濁り湯は熱かった - 鳴子温泉 鳴子観光ホテル

鳴子観光ホテル
鳴子温泉郷というと昔ながらの自炊湯治宿をはじめとした素朴な小規模旅館群を連想するのだが、鳴子温泉駅前にはいくつかの大規模ホテルも存在する。そのひとつが「鳴子観光ホテル」だ。温泉神社や滝の湯へと続く、風情ある温の街通り沿いに面する恵まれたロケーション。

ホテルとしての近代的な設備は当然として、人数や目的の異なる幅広いニーズに対応するんだろうから、多くの客(コアな湯治客というより一般的な観光客)をこれまでたくさん受け入れてきたに違いない。

であれば提供される温泉も、いい意味での無難な仕上がりになってるんじゃないかとふんで、やけに熱い湯が続いた鳴子旅行の流れを切り換えるべく、立ち寄ってみた。

…結果的にはここもあつ湯だった。むしろ他に負けないくらい熱い。典型的な白濁硫黄泉で気分は盛り上がるけどね。またしてもゆでダコにされてしまった我ら一行であった。

鳴子観光ホテルにかけた期待

旅の2日目は当館と同じ鳴子温泉の湯元吉祥をチェックアウトして、山の方にある潟沼を見に行った。それから町へ戻ってきて日本こけし館を見学し終えた時点で正午過ぎ。さてどうするか。鳴子峡鬼首地区は前日に行ってしまったし、今日は雨だし、これ以上観光といってもなあ。

そこで立ち寄り湯を検討した。もう熱い湯は避けましょうということで、確たる情報がない中でその懸念が少しでも小さなところを狙おうとすると、冒頭に書いたように無難な仕上がりという想定に活路を求めざるを得なかった。

あとは鳴子に限らないことだが、自由に立ち寄り湯可能な施設ばかりではない。時間帯の制約はもちろんのこと、その日の宿泊状況次第では立ち寄り不可とか、ランチとセットになったプランのみ可とか、要事前予約とか、いろいろ事情があるものだ。

その点、大規模ホテルは条件が比較的緩やかであることが多く、狙いやすいといえば狙いやすい。当館の対応時間帯は12時~14時なので緩いは大げさかもしれないが今の場面では問題なし。典型的な白濁硫黄泉を楽しめるようだし、いいんじゃないかと結論付けて鳴子観光ホテルへ乗り込んでみた。

ホテル前に着くと係の方が寄ってきて駐車する場所を指示してくれ、幸い玄関近くのスペースに誘導された。これなら雨でも傘なしでさくっと入館できる。

ちなみに鳴子温泉駅前には当館と似た名前の「鳴子ホテル」もあるから間違えないように注意。


お風呂でゆでダコ一丁あがり

硫黄臭に誘われて

ではチェックイン…じゃなくて、フロントで立ち寄り入浴の旨を告げて料金を支払う。1100円。ロビーの様子はいかにもこの系統のホテルらしく、奥にはお土産コーナーが見える。
鳴子観光ホテル ロビー
3階にある大浴場まで、どこをどう通って行ったのか把握できないままに終わってしまった。でも案内板があるから迷うことはない。とりあえず問題なさそうなアングルとタイミングで撮った大浴場への通路がこちら。
大浴場への通路
脱衣所には貴重品ロッカーがあって助かる。すでに硫黄臭がプ~ンと漂っていたような。分析書をチェックすると「含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物・炭酸水素塩泉、低張性、アルカリ性、高温泉」とあった。ほう、結構いろんな成分名が前面に出てるのね。

ミルキーで熱いお湯

浴室内にカランはたくさん。まじめに数えたら19台あった。入ってすぐのところに丸い形をした浴槽がひとつ。注がれるお湯は透明で「真湯」という札がかかっている。上がり湯にどうぞということらしい。サイズは3~4名分。浸かってみたらぬるめだった。これが後に利いてくる。

右手に20名、いやもっといけそうな大きいメイン浴槽があった。見るからにきれいな白濁硫黄泉で満たされていて浴槽の底は見えない。よしよし、ここまではベリーグッド。では入ってみよう…熱ぅーーー!

期待はもろくも崩れ去った。適温の範疇かもしれぬがかなり熱い部類。この旅行中に体験してきたあつ湯群と比べてもひけを取らないくらいに熱い。鳴子観光ホテル、お前もか。

たとえば野沢温泉なんかが熱いってのは有名だし、鳴子温泉郷の中でも川渡温泉のようにピンポイントで熱いところはあるけど、鳴子全体にそこまで熱いイメージはなかったけどなあ。これが鳴子のスタンダードなのかなあ。

フォローしておくとお湯そのものは良い感じだった。タマゴ臭はそれほどきつくなく、万人向けのマイルドさがある。見た目の白濁を筆頭に地元近隣の温泉には存在しない特徴なのでワクワク感はありますね。

露天風呂はさらに熱い

露天風呂もある。外気に触れるから、もしかしたらぬるめかもしれない。救いを求めるように露天風呂へと出ていくと、2~3名サイズの四角い露天風呂があった。屋根付き。周囲は壁で眺望はない。さあどうだ…熱ぅーーー! もっと熱ぅーーー!!

かなりぶっとんだ熱さ。長男だから我慢できるとかいうレベルじゃない。速攻で出た。あとはせめて内湯に専念するしか居場所がない。そこで意外な存在感を放ったのが真湯である。ぬるめだから小休止にちょうどいいのだ。上がらないのに上がり湯に入る奴。

こうして内湯と真湯の往復で時を過ごしたが、当初見積もっていた1時間は滞在しなかった。その前に同行メンバー共々すっかりゆでダコになってしまったから早めに切り上げた。あああまたしても足元が真っ赤っかに…ロビー脇のソファーでしばしクールダウン。
鳴子観光ホテル 休憩所
まあ熱い熱いと書き立ててしまったが、ディスるつもりはない。温度なんて個人の好みだし。ちょうど冬の足音が聞こえてくる時期だったから、各所いっせいに熱めのチューニングに切り替えた可能性もあると思っている。ゴールデンウィークや夏場だったらもっと低めに調整していて違った感想を持ったかもしれない。

駅近の正統派白濁硫黄泉ってことでいいんじゃないかな。


おまけ:温泉との関係も深い潟沼の見学

鳴子温泉街を山の方へ上っていくと潟沼がある。車で走りやすいのは少し迂回してスキー場・ゴルフ場・テニスコートを通るルート。次が東鳴子から上がっていくルート。直線的で最短に見えるコースは道が狭そうな予感がしたから使ってない。

エメラルドグリーンに輝く美しい沼とのことだったが、あいにくの天気で残念。わずかながら青緑っぽい雰囲気を残しているのがせめてもの救いか。
潟沼
火口湖であって水は酸性が強いらしい。魚は住めないね。湖畔にユスリカ系の羽虫が大量に飛んでいた。目が飛蚊症になってしまったかと誤認するレベル。たまにパーン・パーンと乾いた破裂音がするのは近くのクレー射撃場から。

地面は地獄谷のように白く、また硫化水素臭もする。向こうには源泉施設と思える白い煙が二筋。
潟沼の源泉施設
東の温泉王国・鳴子を象徴するようなスポットだった。