超ダイジェスト版:奥入瀬渓流と十和田湖のスピード見学

奥入瀬渓流
青森県といえば見どころはいっぱいあるけど、自分のふだんの行動範囲で会う多くの人が真っ先に十和田湖・奥入瀬渓流をあげる。東京圏だとそうなっちゃうのかね、ってのは一般化し過ぎだろうか。

2018年梅雨の時期にグループ旅行で青森へ行ったとき、十和田湖・奥入瀬へ行く予定はもともとなかった。が、当初予定していた八甲田山観光が強風のためロープウェーが動かない事態となって、代打として急きょ浮上してきたのである。あれだけの大観光地に対して代打とは失礼な物言いではあるが、そこはまあそれ。

限られた時間の中でレンタカーを走らせ、いくつかのポイントをつまみ食いしただけの観光となったのはやむを得ない。いつかまた来る機会に向けた予習と思うことにした。

十和田湖・奥入瀬渓流への道

十和田湖には昔々その昔、鉄道とバスで来たことがあった。そのときはたしか盛岡からバスで八幡平、鹿角を経由して十和田湖南端の休屋まで来たんだったと思う。休屋から遊覧船に乗って子ノ口へ、そこから奥入瀬渓流に沿って歩くとスムーズに周遊できる(ただし無策だと旅の全荷物を携行したまま動き回る羽目になる)。

今だと新幹線があるから、停車駅の八戸・七戸十和田・新青森からアプローチするバスが便利じゃないだろうか。

マイカーやレンタカーの場合は適当に考えてくれたまえ。ハイシーズンの全然動かないタイプの渋滞リスクと駐車難民リスクには十分注意を。我々は前泊地の八甲田温泉・ぬぐだまりの里を出発して40分ほど南下し、奥入瀬渓流の北の玄関口・焼山までやって来た。


前半は奥入瀬渓流つまみ食い

石ヶ戸休憩所で全体像を把握

この日の観光は時間との戦いだった。昼過ぎには新青森駅に着いてレンタカーを返さなければならない。奥入瀬の遊歩道を歩くことはおろか、見どころの滝をコンプする野望も、十和田湖の遊覧船も、すべて割愛。つまみ食いの超絶ダイジェスト版で割り切るしかない。

まず最初に車を停めたのが石ヶ戸休憩所。午前の早い時間帯だったから駐車スペースが少し残ってたけど、もう少ししたら埋まりっぱなしになりそうな雰囲気だった。梅雨の平日でこれじゃ、新緑・紅葉の季節は超やばそう。

この先の作戦に役立つかもと渓流全体の案内図を撮っておいた。我らの向かう先は十和田湖畔。大きい黒丸のところが主役級の見どころだとすると、それら全部に立ち寄る余裕は…うーん、ないかもしれない。
石ヶ戸休憩所の奥入瀬渓流案内図
休憩所から段を下りていくと奥入瀬川の岸に出る。昔々その昔に来たときにも川を見ているはずだけど、もう記憶にないから初対面みたいなものだ。付近は引率された団体を含めてそれなりの人出で賑わっていた。うち半分くらいが海外からの客。
石ヶ戸休憩所から見る奥入瀬川

水がぐるぐる、阿修羅の流れ

石ヶ戸休憩所を発って5分ほどで阿修羅の流れというスポットに着いた。ここは流れが非常に荒々しい。加えて大きなゴツい岩がごろごろしてる。なるほど阿修羅ねって感じ。なんか水が渦を巻いているようなところもある。
阿修羅の流れ
上流から下流へただ直線的に流れるだけではない、複雑な水の動きが目を引くスポットだ。

奥入瀬渓流は、このように川と土の遊歩道とアスファルトの車道が寄り添いつつ、交錯しつつ、十和田湖畔まで14キロも続いている。車道には時おりトレッキング姿の観光客数名のグループが見られた。そうね、やっぱり歩くのが醍醐味よね。

木立の隙間に見える白糸の滝

しかし今日の我らはダイジェスター。車で先を急ぐ。雲井の滝と玉簾の滝にはうまく停められなくて素通りしちゃったから、次の停車先は白糸の滝になった。これが白糸の滝です、どうぞ。
奥入瀬渓流 白糸の滝
滝は川の向こうにあるし、木に遮られててさっぱりわからんな。でも肉眼ならもっとちゃんと見える。白糸の滝をインスタ映えさせるには相当な腕がいりそうだ。

このあたりの川の水は遊歩道や車道の高さギリギリまで迫っていた。ちょっと何かあったらすぐ氾濫しそうな気がするけど大丈夫なのかな。
奥入瀬川

奥入瀬の大将格っぽい、ワイドな銚子大滝

白糸の滝を出て、ラストと定めた見どころ・銚子大滝に到着。奥入瀬渓流で最大の滝だそうだ。落差はともかく幅が半端ない。砂防ダムのような人工堰なんじゃないかと勘違いしそうなほどだ。
銚子大滝
迫力ある姿を間近で見られるのはポイント高い。しかも落差に合わせて階段が付けられているため、上から見たり下から見たり、お好きなように自由自在。下の方にはやや広い場所があって、ちょうどいい撮影スポットになっている。

銚子大滝は湖畔側の起点・子ノ口からもそう遠くないし、奥入瀬まで来てスキップする人はまずいないというくらいの大将格だろう。それに見合うだけのものはあると思った。


後半は十和田湖畔のドライブ

遊覧船が発着する休屋

さて、奥入瀬渓流を離れた我々は子の口を通過して休屋へ。とりあえず十和田湖に来たぞ、ってことで湖面に浮かぶ遊覧船を写真に収めた。
十和田湖遊覧船乗り場
十和田湖の南側は三叉の槍=トライデントのような形をしており(各枝はずいぶん太いし先端は丸いが)、休屋は3つに分かれたうちの1つの矛先にあたるから、当地点から一見すると湖の広がりは存外大きくない。ここだけを見ると十和田湖を誤解してしまうだろう。

また遊覧船乗り場のそばには「十和田湖観光交流センターぷらっと」という案内所があって各種パンフレットなどが置いてある。
十和田湖観光交流センターぷらっと

静かな湖畔の森の影から

いよいよ新青森駅へ向かわねばならない時間となった。カーナビによれば北西方向に走って東北道に乗るのがベストっぽい。そこでまず湖の西岸沿いを進む。道路は舗装がやや荒れていたり、木の枝が落ちたままだったりして、あまりメンテナンスされていない様子。車通りも少ない。

しかし湖の景色は良い。ボート置き場のようなところでちょっと休憩したときに写真を撮ってみた。このあたりは三叉に分かれてない部分だからちゃんと広く感じる。他に人の姿がまったくないのも奥入瀬渓流とはまた違った風情で良い。
十和田湖

滝の沢展望台で湖とお別れ

湖の北西端を過ぎて、いよいよ十和田湖を離れるぞっていうあたりの峠に滝の沢展望台があった。なんだか廃墟感があるし、こっちに入らないでください的なオーラを感じなくもない。微妙だなあ、どうしよう。でも危険はなさそうだし、せっかくだから展望してみることにした。
滝の沢展望台から見る十和田湖
うむ、十和田湖は一応展望できる。木が生い茂っていてチラッとだけど。今回はここが見納めかな。さらば十和田湖。

予習と思って納得します

こうして駆け足の十和田湖・奥入瀬渓流観光は終了。同行メンバーは物足りないとしきりにボヤいていたが、スケジュールの都合でね、しょうがないんですよ。本当に薄味・ダイジェスト版の周遊だったな。

せめて今回の知見を次に生かそう。幸いというか偶然というかなんというか、別の方面から奥入瀬に行ってみたいとの要望を承っている。このまま言い出しっぺ本人の意欲が失せなければ、やがて話が具体化して1年以内に実現するんじゃないか。

その折にはあらためてじっくり見物させてもらうとしよう。


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