待ちわびた春が並ぶ、雪解けの里 - 肘折温泉の朝市

肘折温泉の朝市
山形県大蔵村の肘折温泉といえば豪雪地帯。先の冬の間も、大雪が降った・えらく積もったとよくニュースに取り上げられていたから、すっかりおなじみの名前になっていた。

当地はまた朝市が有名だし、加えて温泉は名湯に数えられるすぐれもの。いつか行ってみたい旅先のマイリストに入っていた。そしてゴールデンウィークといっても過言ではないある春の日、いよいよ実行に移す時が来たのである。

本記事は肘折訪問記第1弾として、温泉入浴や宿泊以外のことがらについてレポートしたい。

肘折温泉へのアクセス

ミルフィーユと残雪の景色

東京方面から肘折温泉へのルートはまず山形新幹線で終点・新庄まで行く。そしてバスに乗るのだが、駅西口のバス乗り場にある待合スペースの壁に、少年ジャンプで見たことある画風のイラストが描かれていた。冨樫義博先生(新庄市出身)の絵だ。でもなぜ、こんなところに?

それはそれとして、大蔵村が運行する肘折温泉行きの村営バスに乗った。本数が少ないので注意。あと終点まで55分だから結構長い。

新庄の市街地を過ぎてどんどん山里へ入っていくのだが、ありがちな風景とはちょっと違っている。草木が生えてなくて地層がむき出しになったようなところが目につく。しかも多くの異なる色の層が重なっている様子がくっきり見える。ミルフィーユみたいな。

そんなミルフィーユと、車道以外の地面に40~50センチくらいの高さで残る雪を眺めつつ、肘折トンネルを抜けたT字路で道が左右に分かれた。右が目的地。左は寒河江方面。と思わせて左は曲がってすぐに雪の壁で通せんぼ。通行止めのバーがあるとかじゃなく本当にいきなり雪の壁で終わってるのだ。こんな通行止めは初めて見たぞ。なんじゃこりゃあ。

ちょっと変わった希望大橋

バスは問題なく右の道を進み、やがて眼下に肘折温泉郷が見えてきた。このあたりはいわゆるカルデラ地形であり、周辺よりも陥没して低くなったところに温泉街がある。なので頑張って山を登ってきた道は最後に高度を一気に下げなくてはならない。

その大事なアプローチの道が地すべりによって寸断されてしまったため、急ピッチで整備された「肘折希望(のぞみ)大橋」なる橋というか、ループ橋もどきというか、トミカのパーツみたいな道路が現在使われている。これはこれで一つの観光スポットだ。
肘折希望大橋
希望大橋を通過したバスは肘折温泉街の真ん中を通る。行きたい場所・旅館の位置によっては終点より手前の第一停留所や第二停留所で降りる方が近い場合もある。

温泉街の道は狭く、旅館は密集していて、ここだけがやたらいろいろと集積している。それがうまいこと作用して…この時は人の姿がほとんどなかったにせよ…温泉場の活気や一体感を生んでいるのだろう。
肘折温泉街

水かさのある川沿いの温泉

肘折ダムと源泉ドーム

自分は終点で降りて、さらに奥へと歩いてみることにした。とりあえずすぐに見かけた橋の上から川の下流を望む。川は水量が多くて流れも速い。
肘折の銅山川
もう数百メートル上流へ行くと肘折ダムがある。ダムっていうか、人工の滝っぽい。手前には大人の背丈より低いくらいのドーム状の“何か”があった。
肘折ダムと源泉ドーム
その“何か”は源泉が湧いているところらしかった。小さな窓から中をのぞくことができる。源泉がぼこぼこしているのを見られるのかもしれないが、のぞいてみても暗くて霞んで、なんだかよくわからない。

枯れちゃった初恋

ドームの向こうには初恋足湯なる足湯コーナーがあった。でもお湯が入ってない、ただの空っぽのくぼみだった。コストばかりかかって集客効果がいまいちだから閉めちゃったパターンだろうか。厳しいね。

ダムは結構な迫力がある。ダムそのものよりも水の迫力だ。すぐ近くまで寄っていくことができる川は先に見た通り、量と勢いがものすごい。少しでも触れようものなら引きずり込まれて溺れてしまいそう。川面には見えない文字で「水入りきけん。落ちたら死ぬで」と書いてある気がするのだった。

陽気ならぬ妖気に誘われて変な気分になる前に温泉街の中心部へと引き返した。

レトロな旅館街を歩く

バスの中から見た印象と同様に温泉街はごちゃごちゃっとしていて、どの建物も年季が入ってる。レトロで懐かしい雰囲気だ。

その中に、これまたレトロな郵便局を発見。「局便郵折肘」って書いてあるで。こいつが現役なら大したもんだが、残念ながら閉鎖された、旧肘折郵便局である。現在の郵便局は川の対岸に移転している。
旧肘折郵便局
近くにはご当地の共同浴場・上の湯。旅行客も立ち寄り入浴が可能だ。旅館に泊まると無料券をくれるところが多いと思う。体験してみるべきだったかなあ。でもこのあと訪れた別の日帰り温泉施設と旅館のお風呂で自分はもうお腹いっぱい。こちらまで手が回りませんでした。
肘折共同浴場 上の湯

朝イチに朝市を見学する

寒い寒い肘折の朝

旅館に泊まった翌朝。朝市をのぞいてみることにした。浴衣に下駄でも全然かまわないんだけど、冷え込んでいたから服を着て外へ…寒っ! なにこれ寒い。えーっと、昨日の昼は25℃以上あったんだよね。この寒さは何? 息が白いよ。体感的に5℃くらいじゃないか。気温差20℃て。

第一停留所のあたりが朝市会場のスタート地点だった。売り子のおばあちゃん達はそれなりに着込んでいるが、客は浴衣姿が結構いるなあ。寒いのによく耐えてるなあ。
肘折の朝市
朝市で売っているのは主に山菜・大根の加工品・漬物・調味料・和菓子的なもの。
肘折朝市で売ってるもの

旅番組のワンシーンのような

あちこちで客とおばあちゃんとの会話が弾む光景はNHK「小さな旅」のワンシーンを彷彿させる。おかげで、うわあ、同番組のテーマ曲が、テーマ曲がぁぁぁ、脳内エンドレスにぃぃぃ。ちゃらら~ららら~ら ら~らりら~ りら~りら~りら~♪ が止まらない。

売っているものに興味はあったし、買ってみたくはあったけど、どうにも悩ましい。食材系を旅のあいだ持ち歩くのはしんどいし、自分は外食派で自炊しないからね。うーん。

和菓子を今日のおやつにする分だけちょろっと買えればベストなんだが、団子10本とかカステラ丸々1本サイズのくじら餅とかだからな、うーん。などと迷った挙げ句のフェードアウト。地元経済に貢献できなくてすんません。

薬師神社の雪の壁

逃げるようにしてたどり着いたのが薬師神社。上まで登ってみるか。
肘折薬師神社
しかし石段の途中に雪が覆いかぶさって通れなくなっていた。無理やり脇から乗り越えて薬師堂の目前まで迫ったものの、最後やっぱり雪に阻まれた。こりゃあ無理だ。戻ろう。
肘折薬師堂
しかし先ほど無理やり乗り越えた場所が、下る際には難易度を倍増して待ち構えていた。
肘折薬師神社の石段
右側は急斜面なので石段の右の地面に足を置くことはできない。雪を避けて左足を石段の上に残すと右足の置き場がない。高い木の枝に登ったものの自力で下りられなくなってしまった猫の気分だ。どうすんだこれ。

結局はタコのように体をくねらせて、なんだかよくわからない感じでクリアした。ふう。肘を折るようなことがなくてよかったぜ。


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