標高1800メートルに位置する群馬の万座温泉。真夏の避暑にはもってこいじゃないかと考えて8月のグループ旅行で訪れた。当時は天候不順により関東平野部でも涼しい日が続いていたから、劇的な気温差というほどではなかったが。
宿泊先は万座プリンスホテル。お盆の時期や休前日を外したにもかかわらず、なかなかの盛況ぶりだったのは、やや意外だった。特徴的な酸性硫黄泉と露天風呂からの景色、そして手堅い運営がたえず客を呼び寄せるのだろう。
しかし万座プリンスホテルもしくは万座高原ホテルに泊まるのであれば別の行き方がある。軽井沢駅発着の無料送迎バスが運行されているのだ。3日前までに要予約。またGWとお盆の期間は運休になるので要注意(年末年始は不明、要確認)。
片道90分という長丁場のバスだが、東京方面から軽井沢へは北陸新幹線で1時間ちょっとだから、全体としては最短コースとなる。
バス旅の後半は上述の万座・鹿沢口駅をかすめてカーブの多い万座ハイウェーをひたすら登る。同じような山道の風景が延々続いて飽きてきた頃に突然、大きなホテル群とスキー場らしき斜面とリフトが姿を現した。ここが万座かー。
プリンスホテルのメインの駐車場は結構埋まっていた。Oh, 今日は混んでそうだな。
多くの人は洋室に泊まると思われるが、我々は好みの問題で和室を予約していた。10畳+広縁+洗面所+トイレ。バスルームはない。真新しくはないけど適度にリフォームされている。
部屋の向きの関係で、窓の外は残念ながら駐車場。廊下の反対側の部屋を押さえることができれば山の景色を楽しめるのかもしれない。勝手な予想だが。
エアコンについては記憶がない。まったく意識に上らず。泊まった部屋には付いてなかったんじゃないかな。それでも暑くて困るようなことはなかった。高地だからってのもあるし、天候不順で東日本全域が涼しかったこともある。
なお、チェックイン時に部屋の鍵と一緒にWiFiのID・パスワードを書いた紙を渡される。ネット環境は整っているようだ。
夕方と翌朝はこまくさの湯へ行った。脱衣所の分析書には「酸性-含硫黄-マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(硫化水素型)」とあった。加熱・循環・消毒なしの加水のみとのこと。
浴室内では期待通りのタマゴ臭に包まれる。いいねー。7名分の洗い場と10数名規模の内湯があった。
当日の満室御礼っぽい様子からして芋洗い状態を心配したが、浴槽はガラガラではないけどそれなりに余裕はあり、一番混んでいたのが洗い場だった。朝などは順番待ちができていたくらい。
内湯へ入る。熱いようで熱くない。すぐに慣れて結構つかっていられる。お湯は乳白色で濁りが強い。白くて細かい粒状の湯の花がたくさん舞っていた。温泉気分はバッチリだ。
露天エリアは手前から小・大・混浴の岩風呂が並ぶ。混浴の奥に目隠しの柵が立てられ、その向こうは女湯。ご婦人は女湯から柵の切れ目を通って混浴露天へ来ることができる。みなフロントでレンタルしている専用バスタオルか売店で買える湯浴み着を着用(当然)。
まあともかく自分はそちらに縁はない。小風呂へ入っていくと、近くに「標高1800mの雲上露天風呂」と縦書きされた杭が立っていた。
下の写真は翌朝の散歩中にホテル近くの駐車場から撮った景色だが、露天風呂からの眺めはおおよそこんな感じ。ただし曇りがちの夕方はすぐ霧に覆われて視界がなくなってしまったりと、変化が早い。
そんなこんなで景色と霧の変化を楽しみつつ小と大を行ったり来たりした。小は5名、大は8名くらいの規模だろうか。お湯自体の印象は内湯と同じ。加水しているとはいえ、湯口からジョロジョロと流し込まれる反対側ではザバザバとあふれ出る、ぜいたくな掛け流しだ。
なお、真夏だけどアブはいなかった。
南館4階から別のエレベーターで1階へ下りるとななかまどの湯がある。こちらは6名分の洗い場と内湯のみ。南館ユーザーでないと行きにくいし露天がないからか、めっちゃ空いている。洗い場難民はこちらを利用するとよい。
お湯は適温。そして感触がこまくさの湯とちょっと違う。濁りがさらに強くなって一寸先も見えないくらい。かわりに湯の花がない。なによりもこまくさの湯にはなかったトロみが感じられた。これはいいかも。
トロみのある白濁硫黄泉で乳頭・鶴の湯を思い出し、出た後で肌が超すべすべになるんだよな、と思ってたら、やっぱり超すべすべになった。
通常はレストランしゃくなげ(ブッフェ、予約不要)と和洋中それぞれのレストラン(要予約)から選ぶが、この日は和洋中がすべて1箇所のメインダイニングルームで提供されていた。
我々はチェックイン後にメインダイニングでの和食を早めの時間帯で予約しておいた。入浴後だったしプリンスとはいえ温泉ホテルなんだからいいでしょと浴衣姿で行ってみたら、他の客はみなきちっとした服装で来ていた。まずい、やっちまった~。
コース料理を頼まず、一品料理をオーダーしてみんなでつまむ居酒屋スタイルを貫く。万座は料理についてはどの宿も辛めの口コミが見られるが、個人的には十分満足のいくものであった。
さすがはプリンス、酒も料理もなかなかのお値段だったが、結果的には和食コースメニュー7500円に比べて酒込みでもはるかに安くあがった。しょっぱい客になっちまってすまんね。
食事中、レストランの大きな窓から見えたのは、ずーっと霧。これはこれで幻想的で素晴らしいと同行者は喜んでいた。
自分は朝からガッツリいけないので申し訳程度のおかずとお粥。明らかに元が取れていない。あとフルーツとコーヒーで終了。
レストランは広くてキャパは相当あるが、なにしろ客数が多い。時間帯によっては空き待ちが発生するかもしれない。
中でもプリンスホテルはコスパ云々はともかく、あまり無茶をさせられないメンバーとのグループ旅行にはうってつけの手堅さ・安心感がある。今回はその面が大いに生かされたように思う。
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宿泊先は万座プリンスホテル。お盆の時期や休前日を外したにもかかわらず、なかなかの盛況ぶりだったのは、やや意外だった。特徴的な酸性硫黄泉と露天風呂からの景色、そして手堅い運営がたえず客を呼び寄せるのだろう。
万座プリンスホテルへのアクセス
軽井沢から送迎バスあり
鉄道で万座へアプローチするにはJR吾妻線の万座・鹿沢口駅まで行かなければならない。ここから路線バスに乗っていく。しかし万座プリンスホテルもしくは万座高原ホテルに泊まるのであれば別の行き方がある。軽井沢駅発着の無料送迎バスが運行されているのだ。3日前までに要予約。またGWとお盆の期間は運休になるので要注意(年末年始は不明、要確認)。
片道90分という長丁場のバスだが、東京方面から軽井沢へは北陸新幹線で1時間ちょっとだから、全体としては最短コースとなる。
プチ浅間観光にもなるバスの旅
バスは途中、溶岩の奇景が有名な鬼押出し園の近くの浅間六里ヶ原休憩所に10分ほど停車する。トイレに行ったりブルーベリーソフトクリームを買ったり浅間山を眺めたりしよう。ほかにお土産コーナーやドッグランがあった。バス旅の後半は上述の万座・鹿沢口駅をかすめてカーブの多い万座ハイウェーをひたすら登る。同じような山道の風景が延々続いて飽きてきた頃に突然、大きなホテル群とスキー場らしき斜面とリフトが姿を現した。ここが万座かー。
プリンスホテルのメインの駐車場は結構埋まっていた。Oh, 今日は混んでそうだな。
万座プリンスホテルの和室に泊まる
万座プリンスは全232室を誇る大規模ホテルである。本館・東館・南館からなり、最初のうちは全体像と方向感がつかめなくて迷ってしまう。チェックインを終えた我ら一行も迷いながら本館2階の和室へ入った。多くの人は洋室に泊まると思われるが、我々は好みの問題で和室を予約していた。10畳+広縁+洗面所+トイレ。バスルームはない。真新しくはないけど適度にリフォームされている。
部屋の向きの関係で、窓の外は残念ながら駐車場。廊下の反対側の部屋を押さえることができれば山の景色を楽しめるのかもしれない。勝手な予想だが。
エアコンについては記憶がない。まったく意識に上らず。泊まった部屋には付いてなかったんじゃないかな。それでも暑くて困るようなことはなかった。高地だからってのもあるし、天候不順で東日本全域が涼しかったこともある。
なお、チェックイン時に部屋の鍵と一緒にWiFiのID・パスワードを書いた紙を渡される。ネット環境は整っているようだ。
あふれ出る白濁硫黄泉・イン・ザ・スカイ
胸躍るタマゴ臭の「こまくさの湯」
さあ、ファンの多い万座の濁り湯をちょっくら体験しに行くか。万座プリンスホテルの大浴場は、本館ロビーからまっすぐ奥へ進んで少し階段を下りたところに「しゃくなげの湯」(女性専用露天)・「こまくさの湯」(男女別+混浴露天)、南館に「ななかまどの湯」(男女別内湯)がある。夕方と翌朝はこまくさの湯へ行った。脱衣所の分析書には「酸性-含硫黄-マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(硫化水素型)」とあった。加熱・循環・消毒なしの加水のみとのこと。
浴室内では期待通りのタマゴ臭に包まれる。いいねー。7名分の洗い場と10数名規模の内湯があった。
当日の満室御礼っぽい様子からして芋洗い状態を心配したが、浴槽はガラガラではないけどそれなりに余裕はあり、一番混んでいたのが洗い場だった。朝などは順番待ちができていたくらい。
内湯へ入る。熱いようで熱くない。すぐに慣れて結構つかっていられる。お湯は乳白色で濁りが強い。白くて細かい粒状の湯の花がたくさん舞っていた。温泉気分はバッチリだ。
露天風呂は雲の上、じゃなくて中
続いて露天エリアへ。サンダルを履いて(裸足でもいいけど)ゆるい階段を10秒ばかり下りていく。混浴風呂があるから一応は前を隠していこう。露天エリアは手前から小・大・混浴の岩風呂が並ぶ。混浴の奥に目隠しの柵が立てられ、その向こうは女湯。ご婦人は女湯から柵の切れ目を通って混浴露天へ来ることができる。みなフロントでレンタルしている専用バスタオルか売店で買える湯浴み着を着用(当然)。
まあともかく自分はそちらに縁はない。小風呂へ入っていくと、近くに「標高1800mの雲上露天風呂」と縦書きされた杭が立っていた。
下の写真は翌朝の散歩中にホテル近くの駐車場から撮った景色だが、露天風呂からの眺めはおおよそこんな感じ。ただし曇りがちの夕方はすぐ霧に覆われて視界がなくなってしまったりと、変化が早い。
そんなこんなで景色と霧の変化を楽しみつつ小と大を行ったり来たりした。小は5名、大は8名くらいの規模だろうか。お湯自体の印象は内湯と同じ。加水しているとはいえ、湯口からジョロジョロと流し込まれる反対側ではザバザバとあふれ出る、ぜいたくな掛け流しだ。
なお、真夏だけどアブはいなかった。
穴場の南館「ななかまどの湯」
夜には「ななかまどの湯」へ行ってみた。南館の案内板にしたがって本館のはずれから斜行エレベーターに乗る。本館1階から斜行エレベーターで下った先が南館4階というのが面白い。山の斜面に立っているからね。南館4階から別のエレベーターで1階へ下りるとななかまどの湯がある。こちらは6名分の洗い場と内湯のみ。南館ユーザーでないと行きにくいし露天がないからか、めっちゃ空いている。洗い場難民はこちらを利用するとよい。
お湯は適温。そして感触がこまくさの湯とちょっと違う。濁りがさらに強くなって一寸先も見えないくらい。かわりに湯の花がない。なによりもこまくさの湯にはなかったトロみが感じられた。これはいいかも。
トロみのある白濁硫黄泉で乳頭・鶴の湯を思い出し、出た後で肌が超すべすべになるんだよな、と思ってたら、やっぱり超すべすべになった。
大盛況のホテル内レストラン
メインダイニングで居酒屋スタイルの夕食
我ら一行は夕食なし・朝食のみプランを予約した。万座に温泉街や外食できそうな店はないため、夜はホテル内のレストランを利用した。通常はレストランしゃくなげ(ブッフェ、予約不要)と和洋中それぞれのレストラン(要予約)から選ぶが、この日は和洋中がすべて1箇所のメインダイニングルームで提供されていた。
我々はチェックイン後にメインダイニングでの和食を早めの時間帯で予約しておいた。入浴後だったしプリンスとはいえ温泉ホテルなんだからいいでしょと浴衣姿で行ってみたら、他の客はみなきちっとした服装で来ていた。まずい、やっちまった~。
コース料理を頼まず、一品料理をオーダーしてみんなでつまむ居酒屋スタイルを貫く。万座は料理についてはどの宿も辛めの口コミが見られるが、個人的には十分満足のいくものであった。
さすがはプリンス、酒も料理もなかなかのお値段だったが、結果的には和食コースメニュー7500円に比べて酒込みでもはるかに安くあがった。しょっぱい客になっちまってすまんね。
食事中、レストランの大きな窓から見えたのは、ずーっと霧。これはこれで幻想的で素晴らしいと同行者は喜んでいた。
広いレストランで朝食ブッフェ
朝はレストランしゃくなげでのブッフェ。和風も洋風もいろいろ取り揃えてございます。実演で作ってくれるプレーンオムレツが売りのようだ。あと花豆がやたらでかい。自分は朝からガッツリいけないので申し訳程度のおかずとお粥。明らかに元が取れていない。あとフルーツとコーヒーで終了。
レストランは広くてキャパは相当あるが、なにしろ客数が多い。時間帯によっては空き待ちが発生するかもしれない。
期待通りの万座の湯
万座の温泉はファンが多いだけあって期待を裏切らない素晴らしさ。露天風呂の開放感は気分爽快だし、ななかまどの湯のトロみも良しだ。行くのは大変だが行く価値はあり余る。中でもプリンスホテルはコスパ云々はともかく、あまり無茶をさせられないメンバーとのグループ旅行にはうってつけの手堅さ・安心感がある。今回はその面が大いに生かされたように思う。
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