残暑の中に秋の気配が忍び寄る北海道へグループ旅行でやって来た。レンタカーで回ったのは日高地方。日高といえばサラブレッドの生産牧場が多いことで有名だ。
もちろん観光牧場ではないから、馬が見たいからと勝手に訪れるわけにはいかないが、一部の牧場では所定のルールとマナーを守るという条件の下で馬を見学させてくれる。そこで我らもやってみました、牧場めぐり。
なお本記事は、競馬のブラッドスポーツあるいは馬事文化としての側面に焦点を当てており、決してギャンブルに関するコンテンツではないので、そこんとこヨロシク>Google先生。
日高の各牧場は動物園ではないし、馬は見せ物じゃないし、我々は客じゃない。“あの馬に会いたい”というファンの想いを受けて、あくまで牧場のご厚意で大事な馬を見せてくださってると考えるべきだ。
出かける前に最低限、次のサイトをチェックしておきたい。「牧場見学の9箇条」を頭に入れて、訪問可能な時間や事前連絡の要・不要を守りましょう。
慣れないうちはこちらでいろいろとアドバイスをもらうといいだろう。なお、見学対象の牧場には繁殖牝馬を繋養して仔馬を生産する牧場と、種牡馬だけを集めた牧場がある。
もうかなりの高齢だが、なぜだか可愛げがある。
見に行くとすぐ近寄ってきて(ニンジン目当て?)、数本分あったニンジンをぺろりとたいらげた。
1日目は以上。うらかわ優駿ビレッジAERUに泊まって次に備えた。
先輩のダービー馬・メイショウサムソンもいた。G1皐月賞とあわせて2006年の春クラシック2冠。他に春秋の天皇賞連覇も。隣の放牧地にいるメイショウボーラーと柵越しに向い合わせになって(声は出さないけど)会話をしているかのような格好だった。
イーストスタッドはものすごくゆったりしていて広い。下はG1菊花賞馬オウケンブルースリを見に行く途中だが、このスケール感、おわかりいただけるだろうか。ひと通り見て回るだけでかなりの歩数を稼げる。万歩計いらず。
一部を紹介すると、2009年のダービー馬・ロジユニヴァース。最初ちょっとだけ顔を出してくれたけど、すぐに馬房内に引きこもってしまったから、本当にワンチャンスで撮れた。
ちょっと前までダートコースの大将格だったホッコータルマエ。G1チャンピオンズカップ勝ちなど息の長い活躍。
変顔を見せるアジアエクスプレス。2歳時にG1朝日杯フューチュリティステークスを勝った。
本馬の父はヘニーヒューズだが、ここには他にヘニーハウンド・サウンドボルケーノとあわせて3頭のヘニーヒューズ産駒がいる。しかもヘニーヒューズ自身もいる。ヘニーヒューズに賭けてますな。
なお、優駿スタリオンステーションにはかつてオグリキャップがいた関係で、オグリキャップの銅像やオグリキャップ記念館がある(もとはナリタブライアン記念館)。
2日目はここまで。新冠のレ・コードの湯 ホテルヒルズに泊まって次に備えた。
牧場入口付近のお宅へ見学許可を願い出るとニンジンをくれた。レガシーワールドは馬房の中でポニーと一緒に佇んでいた。さみしがり屋なのかな。背中は落ちくぼんでさすがに年齢を感じさせるがまだまだ元気そうだ。
顔を出してきたところでニンジンをお召し上がりいただくと、急に我々の目の前でうつらうつらし始めた。すっかりリラックスしちゃって、まあ。
武豊とのコンビで海外レースで快速ぶりを見せつけたエイシンヒカリ。木陰でずっとウトウトしてた。
かたや荒ぶるタニノギムレットさん。2002年ダービー馬。かの女傑ウオッカとの父娘2代ダービー制覇は偉業。急に走り出したり、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、落ち着かないお方。
隣の放牧地には1年後輩のダービー馬ネオユニヴァース。G1皐月賞とあわせて2冠を達成。世界最高峰レース・ドバイワールドカップを勝った唯一の日本馬ヴィクトワールピサの父だ。タニノギムレットの暴れん坊ぶりにちょっと戸惑ってるご様子。
ずーっと放牧地まん中の木陰から離れなかったのはスクリーンヒーロー。2008年のG1ジャパンカップ勝ち。種牡馬としては年度代表馬モーリスやG1有馬記念馬ゴールドアクターを出して名を上げた。
ここも一部の種牡馬を紹介すると、最も有名と思われるのはゴールドシップ。3歳時の皐月賞から6歳時の天皇賞(春)まで4年連続G1勝ちなど長く活躍した。その破天荒なレースぶりに魅了されるファンも多かった。無理やりズームのため画質はご勘弁。
放牧地の奥から2頭で競うように駆けつけてきたうちの1頭がアドマイヤマックス。武豊を背にG1高松宮記念勝ち。
もう1頭はアグネスデジタル。G1天皇賞(秋)など全盛期は芝・ダート・中央競馬・地方競馬・海外を問わず勝ちまくった万能型だ。守備範囲の広さが子に受け継がれることを期待したい。
あれからもうずいぶん経つのにお墓はきれいに手入れされていた。献花が絶えない様子でもあった。いまだ多くの人の心に生き続けているのであろう。
サラブレッドの現役生活は短い。競馬場やテレビ中継で見られる顔ぶれはどんどん変わる。だがこうして馬産地にまで目を向ければ、もっと長い時間軸で競走馬のストーリーを俯瞰することができ、血統のロマンをより深く感じることができるのではないだろうか。
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もちろん観光牧場ではないから、馬が見たいからと勝手に訪れるわけにはいかないが、一部の牧場では所定のルールとマナーを守るという条件の下で馬を見学させてくれる。そこで我らもやってみました、牧場めぐり。
なお本記事は、競馬のブラッドスポーツあるいは馬事文化としての側面に焦点を当てており、決してギャンブルに関するコンテンツではないので、そこんとこヨロシク>Google先生。
競走馬のふるさと案内所で情報収集
牧場見学に関する注意
まず最初に牧場見学のマナーについて触れておかなければならない。各牧場とも対応に苦慮しているようなので。日高の各牧場は動物園ではないし、馬は見せ物じゃないし、我々は客じゃない。“あの馬に会いたい”というファンの想いを受けて、あくまで牧場のご厚意で大事な馬を見せてくださってると考えるべきだ。
出かける前に最低限、次のサイトをチェックしておきたい。「牧場見学の9箇条」を頭に入れて、訪問可能な時間や事前連絡の要・不要を守りましょう。
静内の案内所を活用
さて、我ら一行が最初に訪れたのは、静内にある「競走馬のふるさと日高案内所」。ここで牧場見学マップをチェックして、「○○○を見学したい」と係の方に申し出ると、最新情報や注意点や道案内を教えてくれる。慣れないうちはこちらでいろいろとアドバイスをもらうといいだろう。なお、見学対象の牧場には繁殖牝馬を繋養して仔馬を生産する牧場と、種牡馬だけを集めた牧場がある。
静内から浦河の牧場めぐり
功労馬が余生を送る荒木育成牧場
静内の中心から南寄りへ移動し、荒木育成牧場へ。ここにはファンの支援を受けて余生を送る引退功労馬がいる。そのうちの1頭がネーハイシーザー。1994年のG1天皇賞(秋)を勝った、レコード勝ち3回の快速馬。もうかなりの高齢だが、なぜだか可愛げがある。
三石の本桐牧場でニンジンを
三石の本桐牧場にはトウショウオリオンがいた。G3北九州記念勝ち。事務所へ見学許可を願い出ると、「今日はまだやってないから、あげると喜ぶよ」と、ニンジンを切って手渡してくれた。見に行くとすぐ近寄ってきて(ニンジン目当て?)、数本分あったニンジンをぺろりとたいらげた。
まったり絵笛の渡辺牧場
浦河町絵笛の渡辺牧場にいるのは、あと一歩足りない善戦マンぶりがかえって人気を集めたナイスネイチャ。G2高松宮杯勝ちのほかG1有馬記念を3年連続3着など。同じく余生を送るセントミサイルと一緒に放牧されていたものの、遠くから撮した写真じゃどっちがどっちかわからんな。1日目は以上。うらかわ優駿ビレッジAERUに泊まって次に備えた。
広くてゆったりなイーストスタッド
翌朝、浦河町内のイーストスタッドへ。ここは現役バリバリの種牡馬がたくさんいる。ごく一部を紹介すると、2008年春の3歳G1・NHKマイルカップとダービーを連勝したディープスカイ。かゆいところがあるみたいで首やお尻を柵にゴシゴシ擦りつけていた。先輩のダービー馬・メイショウサムソンもいた。G1皐月賞とあわせて2006年の春クラシック2冠。他に春秋の天皇賞連覇も。隣の放牧地にいるメイショウボーラーと柵越しに向い合わせになって(声は出さないけど)会話をしているかのような格好だった。
イーストスタッドはものすごくゆったりしていて広い。下はG1菊花賞馬オウケンブルースリを見に行く途中だが、このスケール感、おわかりいただけるだろうか。ひと通り見て回るだけでかなりの歩数を稼げる。万歩計いらず。
新冠と静内をうろうろ
明和牧場でお墓参り
午後は新冠まで北上して、内陸部の明和牧場へ。かつてオグリキャップ以上の一大ブームを巻き起こしたハイセイコーのお墓参り。名馬ゆかりの優駿スタリオンステーション
続いて多くの種牡馬を繋養する優駿スタリオンステーション。もともとはナリタブライアンがいたCBスタッドだったところの跡地に移転してきた。各馬の放牧姿ではなく馬房から顔を出すのを見学する方式。一部を紹介すると、2009年のダービー馬・ロジユニヴァース。最初ちょっとだけ顔を出してくれたけど、すぐに馬房内に引きこもってしまったから、本当にワンチャンスで撮れた。
ちょっと前までダートコースの大将格だったホッコータルマエ。G1チャンピオンズカップ勝ちなど息の長い活躍。
変顔を見せるアジアエクスプレス。2歳時にG1朝日杯フューチュリティステークスを勝った。
本馬の父はヘニーヒューズだが、ここには他にヘニーハウンド・サウンドボルケーノとあわせて3頭のヘニーヒューズ産駒がいる。しかもヘニーヒューズ自身もいる。ヘニーヒューズに賭けてますな。
なお、優駿スタリオンステーションにはかつてオグリキャップがいた関係で、オグリキャップの銅像やオグリキャップ記念館がある(もとはナリタブライアン記念館)。
2日目はここまで。新冠のレ・コードの湯 ホテルヒルズに泊まって次に備えた。
静かな朝のへいはた牧場
3日目。朝一番で静内の内陸の方にある、へいはた牧場へ向かう。ここには1993年にG1ジャパンカップを勝ったレガシーワールドがいた。牧場入口付近のお宅へ見学許可を願い出るとニンジンをくれた。レガシーワールドは馬房の中でポニーと一緒に佇んでいた。さみしがり屋なのかな。背中は落ちくぼんでさすがに年齢を感じさせるがまだまだ元気そうだ。
顔を出してきたところでニンジンをお召し上がりいただくと、急に我々の目の前でうつらうつらし始めた。すっかりリラックスしちゃって、まあ。
二十間道路のレックススタッド
続いて桜並木が有名な二十間道路まで行った。二十間道路案内所というところで見学手続きをして近くのレックススタッドへ。ここはたくさんの種牡馬がいるため一部を紹介。武豊とのコンビで海外レースで快速ぶりを見せつけたエイシンヒカリ。木陰でずっとウトウトしてた。
かたや荒ぶるタニノギムレットさん。2002年ダービー馬。かの女傑ウオッカとの父娘2代ダービー制覇は偉業。急に走り出したり、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、落ち着かないお方。
隣の放牧地には1年後輩のダービー馬ネオユニヴァース。G1皐月賞とあわせて2冠を達成。世界最高峰レース・ドバイワールドカップを勝った唯一の日本馬ヴィクトワールピサの父だ。タニノギムレットの暴れん坊ぶりにちょっと戸惑ってるご様子。
ずーっと放牧地まん中の木陰から離れなかったのはスクリーンヒーロー。2008年のG1ジャパンカップ勝ち。種牡馬としては年度代表馬モーリスやG1有馬記念馬ゴールドアクターを出して名を上げた。
果てしなく広いビッグレッドファーム
最後は先述の明和牧場近くにあるビッグレッドファーム。ここの放牧地はおそろしく広い! 広いというか、奥行きがとんでもない。馬たちが奥の方にいると、そばまで行くのは果てしなさすぎて、ちょっと厳しい。ここも一部の種牡馬を紹介すると、最も有名と思われるのはゴールドシップ。3歳時の皐月賞から6歳時の天皇賞(春)まで4年連続G1勝ちなど長く活躍した。その破天荒なレースぶりに魅了されるファンも多かった。無理やりズームのため画質はご勘弁。
放牧地の奥から2頭で競うように駆けつけてきたうちの1頭がアドマイヤマックス。武豊を背にG1高松宮記念勝ち。
もう1頭はアグネスデジタル。G1天皇賞(秋)など全盛期は芝・ダート・中央競馬・地方競馬・海外を問わず勝ちまくった万能型だ。守備範囲の広さが子に受け継がれることを期待したい。
平取に眠る希代の快速馬
おっと、本当にラスト。どれだけ引き離して勝つのかと注目された1998年天皇賞(秋)のレース中に悲劇的な最期を迎えた希代の快速馬サイレンススズカのお墓。平取の稲原牧場にある。あれからもうずいぶん経つのにお墓はきれいに手入れされていた。献花が絶えない様子でもあった。いまだ多くの人の心に生き続けているのであろう。
サラブレッドの現役生活は短い。競馬場やテレビ中継で見られる顔ぶれはどんどん変わる。だがこうして馬産地にまで目を向ければ、もっと長い時間軸で競走馬のストーリーを俯瞰することができ、血統のロマンをより深く感じることができるのではないだろうか。
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