風に吹かれて、運休中の日高本線駅めぐり

波打ち際の大狩部駅
なんでだろう。なぜなんだ。答えは風に吹かれている。

夏の終わりにグループ旅行でやって来た北海道。我々は決して鉄ちゃんではないというのに、どういうわけかレンタカーでJR日高本線の駅めぐりをすることになった。我ながら合理的な理由は見当たらない。なぜ駅めぐりなのか。答えは風に吹かれている。

まわった駅は運休区間にあり、再開の目処も立たないまま、風に吹かれて朽ちつつあった。やばい状況だ。

波が迫る新冠町

ふとしたはずみで駅めぐり

日高地方の西岸・太平洋に沿って苫小牧と様似を結ぶJR日高本線は度重なる自然災害により全線の8割近くが運休という状況である。現在は苫小牧~鵡川間のみの営業となっている。

なにがきっかけだったのか…たしか、鵡川から先の駅はいまどうなってるんだろうね、というような会話から駅めぐりが始まったと思う。

同線とほぼ並行して走る国道235号を行ったり来たり、馬の牧場めぐりを兼ねながらのロードムービーとなった。

最初で最大のインパクト・大狩部駅

今回は日高本線のすべての駅を訪問したわけではない。最初に訪れたのは新冠町の大狩部駅。ここはロケーションがすごい。なんといったらいいか…駅前ロータリーなど作りようがない、ある意味でよくこんなところに駅を作ったなという極限の地形なのだ。

波が打ち寄せるぎりぎりのところに線路と駅がある。波しぶきを柵でどうにか防いでる感じ。写真の奥の方は路盤が流出して線路がぐにゃーっと曲がって浮いてる状態だった。
大狩部駅
平時の姿を想像しても、災害にあった現在の姿を見ても、今回見た中で最もインパクトの強い光景が展開していた駅だ。


牧農地が広がる新ひだか町

地域の集会所となった日高三石駅

続いてはいくらかワープして新ひだか町の日高東別駅。このあたりは海岸から少し離れる。広大な畑や牧草地の中に待合室のような駅舎を持つ小さな駅がポツンと。プラットホームのところまでずっと砂利が続いている。
日高東別駅
隣の日高三石駅。国道のすぐそばにあり、向かいはコンビニ。駅舎はわりかし立派で地域のコミュニティ・スペースとして使われているようだった。なお、現在は同線の機能を代行するバスが運行されており、これらの駅付近の国道沿いに停留所が設けられている。
日高三石駅

静かに眠る本桐駅

隣の蓬栄駅。レールはすっかり錆び付いて線路内に徐々に雑草が侵入しつつあった。ただ、どの駅もそうだったが、駅名標やミラーはピカピカに手入れされている様子。
蓬栄駅
隣の本桐駅。駅の構造を比較的よく保っているが列車が通らないことには変わりない。こうした駅舎の多くは施錠されてなく中のベンチで休めるようにしてあることが多い。それ以外に何があるわけじゃないが。
本桐駅

三石でまさかの本格インドカレー

ここで小休止。時系列は前後するが、三石のあたりの国道沿いにある「道の駅みついし」のレストランで昼食をとる機会があった。なぜだか店長ぽい人も給仕係もみんなインド系。

メニューも三石昆布ラーメンとかじゃなくてインドカレー。ナンかライスを選べる。運が良ければジビエ鹿肉カレーがあるけど、このときは品切れだったからチキンカレーにした。三石でまさかのインドカレー+ナンというね。
道の駅みついしのチキンカレーとナン

潮のミストに包まれる浦河町

車両を駅舎にした荻伏駅

さて浦河町の荻伏駅。なんじゃこりゃ。メンバーの一人によると、ローカル線の無人駅ではこのように貨車(?)だか車掌車(?)だかのお下がりを駅舎にするパターンが結構あるとか。夢いっぱい風の絵が現実との対比で物悲しい。
荻伏駅
隣の絵笛駅。右手の2つ扉の小屋はトイレだった気がする。いまでも使えるのかどうかは知らない。ここの駅前のアプローチは車の幅ギリギリの狭い道。周辺は広大な牧場。
絵笛駅
隣の浦河駅。国道沿いの浦河町中心部ぽい場所だから賑わいはそこそこ。跨線橋は撤去や封鎖をされることなく国道とプラットホームを結んでいる。実際に渡る人も見た。これがないと遠くの踏切まで回り道しなきゃいけないのかもね。
浦河駅

壊れかかった東町駅

隣の東町駅。やばい。プラットホームが一部陥没しており立入禁止のロープが張ってある。この日は風が強く、打ちつける細かい波しぶきが風に乗って霧となり、街全体を包んでいた。駅のあたりもやけに潮臭い。ここらの建造物は潮にやられやすいと思う。
東町駅
隣の日高幌別駅。元の駅舎と思われる建物に簡易郵便局とレストランが同居していた。うむ、こいつはうまい利活用だ。レストランだけにうまいってね。そういえば日高じゅうのあちこちに元スピードスケート選手・堀井学氏のポスターが掲げられていたな。
日高幌別駅

ラストスパートの様似町

隣の鵜苫駅。ここの駅舎も貨車だか車掌車だかのお下がり。しかし錆が激しい。タコさんの目が潤んでいるように見えるのは気のせいか。草木が線路のぎりぎりまで迫っていてそろそろ飲み込まれかかっていた。
鵜苫駅
隣の西様似駅。ここも駅舎は車両のお下がりパターン。駅舎からホームまでの妙に間延びした空間は、もともと線路があったのを引っぺがした跡だろう。周辺にたくさんの丸太が積み上がっているのが目を引いた。土地を転用したのか、あるいは昔から材木の積み出し駅だったのかもしれない。
西様似駅
さあラストの様似駅だ。来るべき列車も発つべき列車もない終着駅。最果て感とはまた別の物悲しげなジ・エンド感。その悲しみは暖炉で燃やしてしまうがいい…えりもの手前の様似の駅は、何もない駅です。
様似駅

おまけ:様似の奇勝・親子岩

おまけ。様似は海岸付近も起伏に富んでおり、奇岩があったりして面白い地形をしている。帰りに海に突き出したエンルム岬という小山に登ってみた。急階段がなかなかきつい。頂上から様似港を望む。
エンルム岬から見る親子岩
一番左の岩が親子岩という景勝地の親の岩。子供は親の影に隠れている。

こういうところをゴトゴト走るローカル線があったわけだ。旅情感たっぷりだったろうね。いまや復活は厳しいだろうから若いうちに乗っておけばよかったなあ。


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