ホテルはリバーサイド、お湯はヌルヌル、あをによし - 金剛乃湯

金剛乃湯
例年なら桜が咲いててもおかしくない時期に関西へ行くことになった。最大の目的は旧知の方々に会うためだが、ただそれだけで終わらせるわけがない。温泉めぐりを組み込むために休暇を画策し、2泊分の宿を押さえ、レンタカーを予約した。

ひとつの地域に集中せず、ずいぶん広範囲を周遊したのは、後から思えばよくやったよ。自分で自分を褒めたい。そんな関西遠征の1湯目は奈良県五條市のリバーサイドホテルに併設された日帰り温泉「金剛乃湯」だ。口コミ評価が良かったもんでね。

かなりヌルヌル感のあるお湯は個性がはっきりしていて印象に残る。いかにも効き目がありそうな温泉ということで評判になるのもわかる気がする。

金剛乃湯へのアクセス

五條市を目指すには最適の朝ごはん

金剛乃湯の最寄り駅はJR和歌山線・大和二見。駅から徒歩7~8分だから十分に圏内でしょう。ホテル名が示す通り(すぐ目の前ではないが)吉野川が近いし、金剛寺や智辯学園もあるようなエリアだ。

さて、朝の新幹線に乗り込んだ温泉おじさん。車内で食べる駅弁は五條つながりでこれ。
たなかの柿の葉すし
たなかの柿の葉すし。奮発して鯖・鮭・鯛の3種類入ってるやつにした。柿の葉すしをつまみながら、これから向かう金剛乃湯へ思いを馳せるのであった。ちなみに同社の五條本店はリバーサイドホテルの近くにあるみたい。見つけられなかったけど。

おじさん、新大阪の道路に翻弄される

新大阪に着いてレンタカーを借りた。わざわざ新大阪から? と思うかもしれないが、他にいろいろ目論見があったのだ。では出発…とスムーズにはいかず、新大阪駅周辺の罠のような道路に翻弄されてしまう。

まず淀川を渡るため新御堂筋(の高架下の道路)を走るのだが、うっかり左折専用レーンに入り込んで阪急南方駅へ誘導されてしまい、ぐるっと回って出直してたら10分ロス。

再挑戦はうまくいったが、今度は新御堂筋本線に合流する手前の交差点の赤信号と阪急線踏切のコンボによってできた渋滞がまったく動かない。淀川を渡るまでにいったい何分かかったことか。土地勘がないからカーナビに従うしかなかったけど、これ、ほかに行き方なかったのかなあ。西中島南方という地名にトラウマができちゃったよ。

高速道路とカーナビがなければたどり着けなかったかも

その後も南森町ランプで高速に入るまで流れが悪く、計画より大幅に出遅れた。関西の高速道路網が頭に入ってないため今どこへ向かっているかもわからず、ひたすらカーナビの示すままに奈良の新庄ICまで行き、ちょっと一般道を走ってから再び高速で五條ICへ。

…うん、なんだかよくわからんが現地は近いみたいだぞ。柿の葉すし本舗たなか本店の看板が出現したし(本店そのものは見つけられず)。まだ地理感覚がおっつかない状態のままリバーサイドホテルまで来た。
リバーサイドホテル

金剛とは反対の柔らかいイメージのお湯

ホテルの背後に日帰り温泉

最初、道路沿いのリバーサイドホテル前の駐車場に止めたら「日帰り入浴の車はこちら」という看板を見つけて、あわてて移動した。金剛乃湯と日帰り客向けの駐車場はホテルの背後にあった。

では入館。入浴券は700円。受付で下足箱の鍵と引き換えにカードキーをもらったような気がする。お土産コーナーの中に駄菓子屋さんがあるのはちょっと変わってる。
お土産・駄菓子コーナー
ある場所にはレトロな品々が展示されていた。ベルリンの壁ってなんだ? …この付近だけディープな雰囲気が漂う。
レトロな品々の展示

浴室の床は畳敷き

脱衣所には鍵付きロッカーが並ぶ。先ほどのカードキーをロッカーの内側に差し込むと鍵を回せるようになる仕組みだった。このシステムは初めて見たな。分析書をチェックすると「ナトリウム-塩化物泉、高張性、弱アルカリ性、低温泉」とあった。加水なし、加温・循環・消毒あり。

浴室に入っていきなりサプライズ。床が畳になってる! 小さな個室貸切風呂なんかでそういうつくりを見たことはあっても、大浴場の内湯全体の床を畳にするとは、まったく想定してなかった。

洗い場にカランは8台。当時の客入りなら余裕である。左奥にあった3名分のジェット寝湯は、でかでかと「五條市の水道水です」的なことが書いてあったからパス。右奥の水風呂と思われるところもパス。

強いヌルヌル感が印象的な内湯

残りのメイン内湯は8名規模で一部がジャグジー風にぼこぼこ泡を立てている。

槇の湯と書いてあるから、槇の木で作った浴槽なんだろうか。手前側の縁は木製ぽいけど奥側の縁は石というか白いセラミック状のものでコーティングしたようになっている。最初からそういう加工なのか、析出物でそうなったのかはわからない。

お湯の見た目はやや黄緑がかった半濁。ただし浴槽の材質のせいで色が付いているように見えるだけで、実際は無色透明かもしれない。なかなか判断が難しい。

浸かってみると適温だった。お湯の中には小さくて白いふわふわした湯の花が漂っている。匂いは温泉ぽくて塩素臭はしない。そして最大の特徴がヌルヌル感。入った瞬間すぐわかる。こりゃあすごい。肌にまとわりつくような感触が何ともいえんね。根拠とかは抜きにして気分だけでも、なにがしかの効果があると期待させるに十分な個性であろう。

露天風呂でのんびりと

続いて露天エリアへ。3名が寝転べる縁台と岩風呂があった。屋根付きだった気がする。風呂は広さだけでいえば8名規模とみたが、岩で入り組んだ形状のため実際に落ち着いて入れるのは6名までかな。お湯は内湯よりも若干熱い。

のぼせそうになったらクールダウンを。先ほどの縁台以外に椅子が置いてあったからそっちを使ってみた。眺望はないものの露天エリアには空間的な余裕があり、木を植えてあったりして整えられた庭を目にしつつ椅子に座っていると、春の陽光と風が気持ちよくてリラックスできた。

あとは露天風呂でも内湯でも気分次第で好きな方へどうぞ。てなわけで内湯・露天・椅子で休憩を何セットか繰り返し、十分に仕上がったのであがることにした。期待した通りに湯あがりの肌はすべすべ状態、いやもっと強力に、謎のコーティングを施されたようになっていた。あのヌルヌル作用のおかげだろう。