高千穂のハートウォーミングな民宿暖心と天岩戸の湯

高千穂 民宿暖心
宮崎県高千穂へ観光に来たはいいけど、温泉の観点でも楽しみたい自分としては、高千穂に温泉旅館があるのだろうか?という点が気になった。関東人になじみの薄い地域なだけに、ぱっと思いつかない。

我々が実際に泊まった民宿暖心(のごころ)の風呂は温泉ではなかったみたい。近くの「高千穂の湯」(閉館)や車で15分ほどのところにある「天岩戸の湯」といった共同浴場も天然温泉を示す情報は見つからない。たぶん非温泉だろう。

ということで、民宿暖心と天岩戸の湯を観光のカテゴリで紹介するが、暖心は会心の当たりだった。名前の通りハートウォーミングな、アットホームなお宿。かつ食事がたいそうすばらしい。

アットホームな天岩戸の湯

高台からの景色良し

高千穂観光の必須スポットともいえる天岩戸神社から天岩戸の湯までは車で5分。2km程度の道のりだから徒歩でも行けなくはない。ただし高台にあって登りがきつそう。我々は天岩戸神社西本宮でこの日の高千穂観光を終え、車で当湯へ向かった。

現地の建物のそばは「おもいやり駐車場」と名付けられており一般の人は利用できない模様。我々は高台を登りきる手前の一般駐車場に止めて階段を上っていった。高台だから見晴らしがよく、夕暮れ時の里の風景がいい感じですな。
天岩戸の湯の駐車場から望む景色
では入館。券売機で入浴券を買う。町外の人は500円。受付のみなさんは丁寧かつ親しみある態度で接してくれて入浴前にまず心が暖まった。一般的な畳の休憩処とは別に、ちょっとした観光案内が掲示されているコーナーあり。
天岩戸の湯 観光案内コーナー

地元の交流場になってる雰囲気

男湯の脱衣所はそこそこ混んでいた。地元の方々が1日の終わりに汗を流しに来て、そこで出会う顔なじみ同士で話が弾むといったローカル色豊かな様子。一方で無料の鍵付きロッカーがあるから旅行者も安心。なお当然ながら分析書の類は見当たらない。

浴室内もそこそこ混んでいて10名分の洗い場はつねに半分くらいが埋まっている印象。奥にサウナ・水風呂・メイン浴槽・電気風呂があった。

手早く洗身洗髪をすませてメイン浴槽へ。サウナや水風呂はたいがい利用しないし、電気風呂は広島で初めて試した際に「あばばばば…」ってなっちゃってから近づかないようにしている。今日はメインに全集中しよう。

適温のお湯にほっとする

メイン浴槽はおよそ6名規模。無色透明の普通のお湯です。軽い塩素臭はしょうがない。熱すぎない適温のお湯が疲れた体に心地よかった。九州の温暖なイメージで誤解していたが、晩秋の阿蘇・高千穂は結構寒い。時には雪が降ったり朝晩は氷点下になることもあるとか。ぬる湯派のおじさんもこの適温にはホッとさせられた。温まるわ~。

ジャグジーやジェットのような仕掛けはない。シンプルに温まるための風呂だ。ちなみに電気風呂はメイン浴槽の一角にも見えるくらいメインと一体化していて大きさは3名規模。

浴室の雰囲気は銭湯に近い。無機質な壁ではなく一応ガラス張りの窓に囲まれているものの、曇りや水滴、外の植え込みの木によって眺望は遮られている。以上、紹介終わり。

…あーいい湯だった。すっかり温まって疲れも取れた気がする。では暖心へ向かいましょう。


暖心へのアクセスと中の様子

極狭な道へ入り込まないように注意

天岩戸の湯から民宿暖心のある浅ヶ部集落まで最短距離で行けそうに見える道路は、地元の慣れた方以外は避けるべき。明らかに運転に苦労しそうな極狭くねくね道だ。我々も無難に県道と国道を使い、近くに病院のある一本木という交差点から浅ヶ部地区へアプローチした。

それでも集落に入ると道路はかなり狭く曲がりくねって走りづらくなる。しかもカーナビが変な行き方を指示したせいでどえらい苦労した。グーグルマップのルート検索だと最後は時計回りに走ってゴールするんだが、カーナビは反時計回りに走る道、しかも車1台の幅ぎりぎりくらいの脇道オブ脇道に誘導したもんだから、真っ暗な中で危うく進退窮まって詰みそうになった。こいつはやばい。

…ふー、暖心にやっと着いた。おやおや玄関がなんだかとってもにぎやかだ。
民宿暖心の玄関

民宿としての設備面は十分

チェックインして通してもらったのが2階の6畳和室。民宿だから床の間とか広縁とかのないシンプルなつくり。まあ十分でしょう。布団はセルフでお願いします。
民宿暖心 6畳客室
トイレ・洗面所は共同。2階に洗面台1つとシャワートイレの個室が2つあった。冷蔵庫も共同。部屋に備え付けの浴衣あり、金庫なし、タオルハンガーなし。WiFiあり。朝晩はだいぶ冷え込んで氷点下となり、チェックアウト時には車のフロントおよびリアガラスに霜がびっしり付いていた。そんな日でもエアコン完備だから部屋は暖かい。

翌朝明るくなってから窓の外の景色を写してみた。のどかな里の風景ですな。
窓の外はのどかな里の風景
天岩戸の湯で十分だったから暖心のお風呂には入らなかった。入浴したメンバーによれば宿の規模にしては広めのお風呂でなかなか良かったとのこと。


特筆すべきは食事のクオリティ

特徴ある食材がいっぱい

暖心に関して、度肝を抜かれてガツンと評価がアップするのが食事内容だ。体験された方には心底わかってもらえるに違いない。夕食は予定時刻より早く「できましたよ」と部屋まで呼びに来たので、1階食堂へ行ってみたら、これですよ、これ。
民宿暖心の夕食
やっべぇー、すげぇー。言っておくが諭吉1枚で足りるくらいのお値段の宿だからね。地元食材が多くてうれしい。お仕着せメニューではなく、季節と食材を考えて手作りした品々、お味も相当のレベルで、単なるボリューム勝負じゃないぞ。

左の肉料理は鹿肉だった。中央上の煮物皿の大根に見えるやつは、なんとかいうこの地域特産のイモだって。初めて食べたよ。見た目からサトイモ系かと思えばそうでもなく、ホクホクしていて粘りけがない。

味もボリュームも振り切れてます

一品一品が丁寧に作られていて美味しすぎる。しかし残念なことに途中でお腹いっぱいになってしまい、十穀米(?)を完食できなかった。我が舌はもっともっとと要求すれどもキャパの小さい胃が受け付けず。ああ痛恨。

また、食事中には女将さんの軽妙なトークと、猫ちゃん&ワンちゃんのご挨拶あり。みな行儀が良くて、まあかわいいこと。
猫ちゃん
何から何までアットホームなのである。
ワンちゃん
これほどまでのお食事をいただけるとは、本当にびっくりした。脱帽に次ぐ脱帽。

朝食もお見事なり

朝食の見た目はオーソドックスながら中身は濃い。
民宿暖心の朝食
なんとなく、各小皿の主張してくる存在感が強い。味噌汁は具だくさんである意味ぜいたくな一品。玉子は生だったので玉子かけご飯にしてみた。自由に取り放題の梅干しは粒が大きくて1個で十分だった。

朝食中にも猫ちゃん&ワンちゃんのご挨拶あり。室内だけでなく窓の向こう側の屋外にも猫ちゃんの姿がちらほら見える。集落から人が去っていく中で野良化した猫たちを、家の中に入れるわけにはいかないが、ご飯の面倒をみているそうだ。観音様のごとき慈悲の心じゃのう。

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民宿暖心をお手軽価格で泊まれる宿としてのみ認識するのは適切でない。実際はコスパの概念を超えた満足感があった。アットホームで気さくなおもてなしに加え、上に書いたように食事のクオリティが図抜けている。当宿に関しては温泉か非温泉かなんて、細けえことはいいんだよ、と思ってしまう。高千穂へお越しの際は天岩戸の湯とセットでぜひおすすめしたい。