見事にハートを射抜く、那須の良い地の湯浴み - 与一温泉

与一温泉
栃木県大田原市といえば大田原牛を思い浮かべるが、秀でた温泉もいろいろあるらしい。そのひとつ「与一温泉」はたしかに良い口コミが多い。もともと与一温泉ホテルとしてやっていた旅館を、現在は日帰り専門に切り替えて運営している。

大田原は那須与一ゆかりの地であり、同市のマスコットキャラが「与一くん」だし、市内には道の駅・那須与一の郷もある。だから与一温泉という命名なんだろう。ちなみに個人的に与一といえばFF初期作で最強シリーズ武器だった「よいちのゆみ」ですがね。

まあいいや。せっかく栃木北部まで来ていたので旅の最後に与一温泉へ寄ってみることにした。黄褐色の源泉が最上級の湯使いで提供されていて大変に結構なり。

与一温泉へのアクセス

急に思いついちゃったので

栃木遠征最終日。塩原新湯の湯荘白樺をチェックアウトして塩原元湯・大出館への立ち寄り入浴をすませたら時刻は11時。もう直帰してもいいんだけど、あと1箇所くらいなら寄り道できるな。どこか紅葉が見頃になってる場所とかないかな。

などと考えていると与一温泉のことがふと浮かんできた。塩原から現地まで移動に1時間として、入浴に小1時間かけるとして、まあちょうどいいくらいか。帰り道で2つも立ち寄り湯したらぐったりしちゃうかもと思いつつ、チャンスではあるよなーと。

なにせ当湯は最寄りのJR野崎駅から8kmも離れているうえ、駅からのバス便がない模様。車で栃木北部へ来たこの時が絶好の機会には違いなかった。乗るしかない、このビッグウェーブに。

カーナビを頼らないと見つけにくいかも

よし決まり。塩原温泉郷にも観光スポットはいっぱいあるはずなのに、すべてをスルーして国道400号を東へ進む。東北道・西那須野塩原ICを過ぎたところでR400のやや南を走る感じの道路(ライスライン?)にスイッチすると、あとはほぼ直線の道がずーっと続くので、なんだか北海道みたいだ。

大田原市に入ったら、ある地点で県道48号へ右折しなければならないのだけど、看板があるわけではないからナビに頼った方がいいと思う。さらにはその先に待つ、県道を外れて右折すべき地点にいたっては、ヒントなしだと絶対にわからないだろう。「ここを入ってくの?」と訝りたくなる細い道だ。

カーナビのおかげで右往左往することなく無事着いた。最後のアプローチ道はこんな感じ。
与一温泉入口の坂道
離合困難な坂道だが100mほど行ききれば駐車場が現れる。敷地内の草むらになぜかパンダ。
与一温泉 駐車場脇のパンダ

五ツ星認定の源泉かけ流し

質の良いアルカリ性単純温泉

入館前の目につく場所に源泉の質をアピールするパネルが掲げてあった。源泉湯宿を守る会が認定する五ツ星温泉のようですな。各湯船へ100%かけ流しって書いてあるぞ。それに飲用できるって? ほう、すばらしい。

フロントで料金を支払う。600円。廊下の途中にコミックが置かれていたり、昼に食事を提供する休憩処があって、一番奥に大浴場。男湯と女湯は固定されていて入れ替えはないんじゃないかと思う。

脱衣所にはロッカーが並ぶ。無料だか100円リターン式だかは忘れたが、お金を取られた記憶はない。分析書をチェックすると「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」だった。

もしかして飲泉できた?

浴室内は混雑まではいかないものの、そこそこの人数のお客さんがいた。平日昼であることを考えると悪くない客入りかと。カランは7台だったかな。奥に8名サイズの内湯浴槽と、その左手前に小さな水風呂。浴槽のお湯はクリアな黄褐色を呈していた。

浸かってみると熱すぎない適温である。湯の花なし。泡付きなし(条件次第で出現しそうな予感はする)。お湯をすくって鼻を近づけると淡い鉱物臭を連想した。肌触りは特にツルツルとかヌルヌルとかは感じなかったな。際立つ個性で面白みを主張するというよりはベースがしっかりしている良い温泉といったところだ。

湯口からの投入量は結構多い。そういえば飲用できるって玄関前に書いてあったよな。コップが置いてないし、率先して飲む客がいなかったため遠慮してしまった。周囲の目を気にせず果敢にチャレンジすべきだったか。


ややぬるめでゆっくりできる露天風呂

位置取り次第で泡付き豊富な場所あり

浴室の奥から露天風呂に出られる。内湯浴槽が浴室の幅いっぱいにつくられているため、露天風呂へ移動するには湯船の中をザバザバと歩いていくか、浴槽の縁の上を器用に歩いていく感じになる。そうして外へ出ると露天の岩風呂が現れる。

湯船全体を2対1くらいに分けるような位置に岩を置いてくびれを作ることにより、2つのパートからなるように見える。手前パートに4~5名、奥パートに2~3名を収容できるサイズ。奥側には屋根と竹筒風の湯口が付いている。

お湯の特徴は内湯と一緒。ややぬるいため、ゆっくり時間をかけて楽しみやすい。たまたま陣取った場所が妙に泡付きがあるなあ、細かい気泡が腕に付くなあと思ったら、すぐ近くの底に開いた穴から何かが噴き出してきていた。源泉を投入しているのだろうか。この穴から投入される源泉にはガス成分が残存しているのだろうか。全然違う可能性もあるけど、そういうことにしておこう。

湯あがり後はぽかぽかに

露天エリアはきっちりと塀に囲われていて眺望はない。それでも屋外ならではの開放感はあり、お湯のクオリティとぬるめの合わせ技で時を忘れてしまう。

と言いたいところだけど、小市民のおじさんはどうしても帰りの時間が気になってしまった。電車じゃないんだから、かっちり決まったスケジュールで動かなくていいんだけどね。夕方の渋滞を避けたいとか暗くなる前に運転を終えたいとかそういう計算ですよ。小市民としては、これ大事。

まだ余力を残しつつもタイムアップってことにした。湯あがり後は結構ぽかぽかしますな…休憩処でジュースを飲もうっと(時間が気になってたんじゃないのかよ)。この時、涼もうとして扇を開いてはいけない。与一に射抜かれてしまうからな。