千葉の館山は房総半島の最南端ではないけどほぼ南端、チーバくんでいうと足のつま先あたりに位置する。有名な町だからもちろん名前は知っていたが、海のイメージばかりで温泉に関しては何も知らなかった。夏のグループ旅行の計画時に調べてみたら温泉宿がわりと多かったから2泊目の地を館山とした。
お世話になったお宿は「ホテル川端」。施設は古いとの口コミを見て覚悟して行ったら真逆だった。4月にリニューアルオープンしたばかりのようで、むしろ新しい。
当館で特筆すべきはとんでもない量の海鮮料理だ。特別に大盛りを頼んだわけではない。基本+α程度のはずなのに、おそろしいくらいの品々が出てきた。大サービスすぎてやばい。
たてやま温泉「ホテル川端」へのアクセス
車で東京方面からホテル川端へは館山道+富津館山道路で終点の富浦ICまで行く。あとは海沿いに県道250号→257号を走っていくとチーバくんのつま先の先端にあたる洲埼灯台前を通過する。そこまで来ればもうあと数分で到着。看板が出ているのでわかるはず。
ちなみに富浦ICのすぐそばに「道の駅 とみうら 枇杷倶楽部」がある。特産品のビワを売りにした道の駅だ。帰りに寄ってみたら、びわソフトやびわカレーなんてメニューがあった。
実際の我々は養老渓谷温泉郷・川の家をチェックアウトして大山千枚田や野島埼灯台を見学しつつ、チーバくんのかかとの方から回り込む形でアプローチした。最後に前述の洲埼灯台に立ち寄って、ホテル川端に着いたのは16時前。
途中で通った房総フラワーラインという呼び名がついている県道257号の平砂浦地区は、砂浜がちょっとした砂丘状になっていて、道路にまで砂が侵食してきていた。あと関連性はだいぶ薄まるが、房総半島内陸部の道路は「対向車が来たらどうしよう」とドキドキするような狭隘区間がしばしば出現するから注意。
リニューアルされた館内
万人向けの安心感
さて入館。古いという先入観で中へ入っていくと、あれ? 全然新しいじゃないか。後日調べたら2019年台風15号(房総に大被害をもたらしたやつ)の影響で休業する間に改装して4月にリニューアルオープンしたらしい。いきなりコロナ禍は大変だと思うが頑張ってほしい。
この雰囲気なら「あまり渋すぎるのはちょっと…」と気にする人でも大丈夫そうだ。蒸し暑さと疲れでボーッとしていたため観察も撮影もおろそかにしており細かい描写はできません。ロビーのそばに自販機があったのでチェックしてみたらソフトドリンクのみでお酒はなかった。と思う。
チェックイン後に女性はいろんなデザインの浴衣の中から好きなのを選べる。男性は部屋においてあるのを使う。
房総の海が見える部屋
案内された部屋は2階の12畳+広縁和室。室内を撮影する前に各メンバーがあちこちでくつろぎ始めちゃったため、人間が写り込んでないアングルの写真を用意するのが非常に難しい。2分割で、まず1枚め。
2枚め。
室内もリニューアル感があって全然快適である。シャワートイレ・洗面台付き。ただしトイレのドアには内鍵がない。まあ見知らぬ人と泊まるわけじゃないし、用足し中に間違って開けられる事故もそうそうないだろうけど。そしてトイレの奥にまたドアがあってその奥が内風呂という構造。
金庫あり。別途精算のドリンク入り冷蔵庫あり。WiFiあり。自分のスマホはアンテナが1本ぎりぎり立つ程度で通信がやたら重かったからWiFiに頼った。そして窓の外はこうなる。南国風で海が近いですね。一部のメンバーは翌朝海まで散歩に行ったようだ。
いま思い出したがタオルハンガーは普通のやつが洗面台の脇に、バスタオル用の大きいやつが広縁に設置されていた。これは便利。
大浴場で海辺の温泉をどうぞ
モダンな感じの内湯
ホテル川端の大浴場は1階の奥にある。一瞬だけ館外へ出てすぐ別館に入るような形で2つの扉を通り抜けると、3つ目の扉が男湯と女湯に分かれていた。男女の入れ替えはなく当時はずっと左が男。たしかここに分析書が掲示されてたと思う。「ナトリウム-塩化物冷鉱泉、低張性、アルカリ性、冷鉱泉」とあった。
脱衣所でどこからともなく風が吹いてくるなと思ったら、頭上に天井埋め込みエアコンがあった。ここもリニューアル効果か、さすがですな。
浴室内にカランは4つ。それぞれが広めにスペースを取ってあり、隣との間には仕切りがついてる。おーこれは使いやすくて居心地が良い。コロナ対策にもなってるし。風呂桶や壁板に木造感がうまく現れていて、檜の香りもしてくる。結構なり。
内湯浴槽はソーシャルディスタンス抜きで4~5名サイズ。お湯は完全なる無色透明。浸かってみると適温。世間一般的にはこれくらいの温度を好む人が多いのではないだろうか。お湯をすくって鼻を近づけると微弱ながら塩素臭が感じられた。この程度はまあしょうがない。
アルカリ性温泉にありがちなヌメりはなくて、どちらかといえばキシキシ感があった。個人の感想です。
露天風呂と貸切風呂もあるよ
外には露天風呂がある。1名サイズのつぼ湯。人が出た後に減った分のお湯がジャーッと自動投入される方式。お湯の特徴は内湯と同じでややぬるい。温度でいえばこっちが好み。
周囲はよしずの壁が作られていて眺望はない。目の前にある庭風の露天エリアを見たり、夜なら頭上に星を探しながら入ることになる。騒音や喧騒の類は聞こえてこないので静かにゆっくり浸かることはできるだろう。
風呂あがりはわりとベトつかずさっぱりする。たとえば夏の海で遊んだ後に当館の温泉に入ってさっぱりできると思えば、ご当地の観光とちょうどマッチしてるんじゃないかな。
なお別の場所に貸切風呂もある。チェックイン時に希望者は利用時間を予約する。ただし温泉ではない。我々は利用しなかった。他のグループ客もいたはずなのに我々が利用した大浴場はほぼ独占状態(朝風呂へ行った時にちょうど出てくる人とすれ違ったくらい)だったのは、もしかしたら大半が貸切風呂勢だったからかもしれない。
印象に残りすぎる食事
驚愕の伊勢海老つき巨大舟盛り
ホテル川端の食事は部屋食ということになっていたが、当日はコロナ対策の一環として1階の別室が会場にあてられた。時間は多少の融通が利き、チェックイン時に希望を訊かれる。準備ができるとフロントから内線電話がかかってくる。
畳の上にイスとテーブルが配置された会場はもちろん他のグループから隔てられて個室状態だった。夕食のスターティングメンバーがこれ。豪華絢爛、海産物のオンパレード。品数多いし煮魚でかいし、昼飯を抜いたにもかかわらず見ただけでお腹いっぱいになってきた。
しかし一番驚いたのは刺身の盛り合わせ(一応“舟盛り”と表現しよう)。伊勢海老を追加したコースだし全員分トータルの量とはいえ、なんじゃこりゃあ!
何種類もの刺身が並ぶ圧巻の光景。しかも1種類につきひとりが1枚ずつではない。1種類につきひとりが3~4枚ずつあるぞ。ある意味怖えーよ。
主役の伊勢海老をいただこう。おーやっぱりうまい。食通的なコメントはできないけどこれは追加して大正解ですね。それから他の刺身にも手を伸ばす。アジなんか切り身が大きめで、小鉢のなめろうと合わせると、各自にまるまる1匹分あるんじゃないかと思わせるほどだ。
圧倒的な物量の前になすすべなし
ちなみに鍋物というか焼物はさんが焼き。なめろうを大葉の上に乗せて焼いたもの。アジ大活躍。とにかく品数が多くて食べても食べてもなくならない。ご飯をほとんど食べない作戦に出て刺身以外は完食したものの、そこで箸が止まった。
刺身の鮮度と味は申し分ない。飽きが来たわけでもない。本当にただ量と満腹度の問題。残すともったいないから少しずつつまんでいったが、いよいよ限界。他のメンバーはとうにギブアップずみで、「せっかくだから私の分も食べなよ」とけしかけて来られても、一人前ですら苦戦しているのに無理ですって。
あーもうだめ。ごめんなさいギブアップです。このところいっそう少食気味になってきたことを差し引いても、あの舟盛りは過去最大級であった。やばすぎます。
※量のことばかり強調してしまったがメニューや味には大変満足している。できることなら完食したかった。
朝食とは思えぬ品揃え
朝食も同じ会場。前夜の破壊力がすごすぎて、まだ何も食べたくない、特にお魚系はしばらく距離を置きたい感じ。しかし朝からドーン。
おおぉぉぉぉ。アジの開き、アジの刺身とたたき。前夜の伊勢海老の殻を利用したと思われる豪華味噌汁。蓋をされた鍋はベーコンエッグ。万全の体調なら喜んでかき込んでいたはずの品々。だが当時はまったく手が伸びなかった。あの夕食の破壊力どんだけやねん。
なんとか頑張って味噌汁とベーコンエッグの玉子部分と漬物だけをいただいて終了。あーちくしょー。惨めな敗北を喫してしまった。こうなるとわかっていれば、力の抜きどころをうまく作って朝夕のバランスを取りたかったな。
当館の大放出サービスがそれだけ半端ないということだ。
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温泉が影薄くなってしまったけどホテル川端おそろしすぎる。リニューアルされたばかりだし、こんなご時世でいろいろ厳しい状況でも気さくな接客の明るさで頑張ってもらいたい。チーバくんのつま先にホテル川端あり。覚えておこう。