お湯と雰囲気が良すぎちゃう人気の秘湯宿 - 法師温泉 長寿館

法師温泉 長寿館
群馬県にある法師温泉「長寿館」といえば人気の秘湯宿である。かつては国鉄のフルムーン旅行ポスターの撮影場所にもなって注目を集めたし、古き良き時代の面影を残す国登録有形文化財の木造建築は誰もが目を奪われる。

もちろん足元湧出の温泉も大変にすばらしいから、温泉好きならぜひとも泊まってみたい宿には違いない。しかし人気と格が高くなりすぎて、しょぼくれたおじさんの一人旅には近寄りがたい、手の届かない世界へ羽ばたいてしまった印象を持っていた。

ただし、立ち寄り入浴なら何もかしこまる必要なく気軽に利用できそうな気がする(筋の通らないおかしな話だが)。しかも今回はグループ旅行であり一人ぼっちじゃない。数は力なり。集団の勢いを借りて憧れの温泉を体験することができたのだった。

法師温泉「長寿館」へのアクセス

三国街道の県境付近

今回は車で東京方面から法師温泉へ向かった。関越道の月夜野ICを出て三国街道を新潟方向へ進む。2ヶ月前に川古温泉へ行ったときと同じコースだ。

赤谷湖・猿ヶ京を過ぎて新潟との県境近くまで行くと法師温泉の看板の立つ分かれ道が出てくるので枝道へ入る。片側1車線が確保された区間と、全部で1車線分の幅しかないような狭隘な区間が混在する5キロほどの道のり。そのどん詰まりに現れた一軒宿が法師温泉・長寿館であった。

なお、最初の分かれ道をスルーして三国街道を進み続け、永井宿郷土館に近いところの分かれ道から入っていくと、枝道を走る距離が4キロ弱ですむ。そのかわり出だしがちょっと急な坂になっている。

落ち着いた、いい雰囲気の環境

法師温泉の敷地内の駐車場に車を止めて外へ出ると、いい雰囲気の建物が見えた。こういう佇まいはアラサーくらいから上の年齢層はみんな好きそうだからな、そりゃ人気出るわって感じ。

そばにはこれまた雰囲気のいい水路なんかもあったりして心憎い演出。訪れたのがちょうど紅葉の始まりかけた時期で、ちらほらと紅や黄色の葉っぱが目に入る。紅葉のピークになればさぞかし美しいことだろう。
法師温泉 いい感じの水路
正面から御尊顔を拝す。左にある提灯はよく知られた「日本秘湯を守る会」のやつだ。入口に目立つように掲げられたJRのマークは国鉄時代からのつながりか。最寄り駅なんてもはや言えないくらい、鉄道からは遠く離れた場所なんだけどね。
長寿館の正面玄関

人気を集める法師温泉のクオリティはさすが

3つの大浴場あり

さて入館。フロントで立ち寄り入浴の旨を告げて1000円を支払い、右の廊下を進んだ。突き当りに3つの大浴場に関する説明板があった。

法師乃湯…混浴内湯(女性専用タイムあり)
玉城乃湯…男女時間交代制の内湯・露天風呂
長寿乃湯…女性専用内湯(男性タイムあり)

訪れた午前の時間帯で我々が利用できるのは法師乃湯だけだった。でも当館のメインコンテンツであり狙っていた風呂でもあるから文句はない。いよいよ来たぜ。足早に法師乃湯へと突き進んでいった。

憧れの法師乃湯とご対面

男側の脱衣所で分析書を探してみたが見当たらなかった。帰りに湯上がりの休憩所で見つけた説明パネルによれば「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉」とのこと。これは石膏泉ってやつだな。

浴室へ入ると田の字のように並ぶ大きな4つの湯船が見えた。それぞれの湯船がまた中央に渡された木の棒で日の字型に二等分されており、全体は8つの区画に分けられていた。

平日の午前、先客は6~7名といったところ。想定通りにすべてが男性。過去の経験から、混浴というのは実質男湯みたいなものだとわかっていたので身構える必要もなかったし、実際その方が変に気を遣うこともないから好都合。一方、ご婦人方にはかなりハードル高い状況だったから、無理せず専用タイムを狙うのがよかろう。

先客のめいめいが「マイ区画」と定めた場所に陣取って浸かっていたため、ガラ空きの区画は少ない。とりあえず誰もいない手前の区画に入ってみると、ぬる湯まではいかないが、ややぬるめの適温といった感じ。

鮮度抜群の足元湧出泉

湯船を満たす無色透明のお湯は、一見すると特徴がなさそうだけれども、腕などへの泡付きが結構ある。新鮮なお湯である証拠だ。

それもそのはず、法師乃湯は湯船の底から源泉が湧く足元湧出泉なのである。源泉を遠くから引いてくることもなく、タンクに貯蔵しておくこともなく、湧き出したそのままの状態を味わえる。究極の鮮度を誇る源泉かけ流し。

たしかに底に敷き詰めた玉砂利の間からところどころ、あぶくが浮き上がっていた。あそこから源泉が出てきているに違いない。加えて背中を湯の塊がモワッと駆け上がるような感触が時おりある。ほほう、こいつは見事なお点前ですな。

極上のぬる湯でリラックス

少し経ってから奥の区画へ移動してみると、「これぞぬる湯」と呼べるいい塩梅のぬるさだった。どうやら区画ごとに少しずつ温度が違うようだ。わざと変えているのか、自然のばらつきに任せているのかは、よくわからないが。

この区画は泡付きや足元湧出の具合が弱めなものの、人肌を若干下回る程度のぬるさが気持ちいい。リラックスして1時間だって平気で入っていられそう。古風な木造建築の中にも洋風チックな意匠の窓なんかを眺めながら何十分も浸かっていたなあ。

さらに気分を変えて隣の区画へ移動。こちらの温度は人肌の少し上くらいに感じた。ここは湧出泉の元気がいい。ブワーーーッと噴き出してくる様子に勢いがあるし、近寄ると泡付きがすごい。そのかわり噴き出しに近寄りすぎるとやや熱めに感じる。

ぬる湯だから当然だけど客の顔ぶれに変化がない。みんな長期戦の構えでずーっと浸かりっ放しだった。こちらも負けじと粘りを見せるも、旅のスケジュールの都合がある。我々は1時間ほどで出ていくことになった。しかし続けようと思えばまだまだ粘ることができそうだった。おそるべし法師乃湯。

人気に納得。お湯も接客も一級品

ちなみに法師乃湯には洗い場がない。十分にかけ湯をしてから入るのみ。それから浴室の周囲の壁には多数の箱状の棚が取り付けられ、脱衣コーナーとして利用できる。まあ地元のおっちゃんがまれに使うかな、というくらいで大多数は普通に脱衣所を利用するが。

情緒あふれる総木造の浴舎や足元湧出泉といったわかりやすいアピールポイントだけでなく、優しく包み込むようなお湯自体がすばらしい。人気が集まるのも納得だ。

去り際にはフロントで「苗場の紅葉が見頃ですよ」「ゴンドラの割引券ありますよ」とやさしく声をかけていただいた。一介の立ち寄り客は塩対応されてもやむを得ないこんなご時世、一瞬のことではあったが温かみのある接客の心を感じられた。こりゃズキューンときちゃうわ。人気が集まるのも納得だ。


おまけ:田代・苗場の紅葉見学にトライ

往路は田代ロープウェーで

法師温泉を出た後は紅葉を楽しむべく、県境を超えて苗場、そして田代へ。冬は「かぐらスキー場」へのアクセス手段となる田代ロープウェーに乗って山頂を目指した。

山麓側は紅葉にはまだまだ早すぎる一方で、山頂はもう終わってしまったという、どうにも微妙な時期だった。見事な紅葉はお見せできないから、かわりにロープウェーから見た二居ダムの写真を貼っておきますね。窓への映り込みはご愛嬌で。
田代ロープウェーから見る二居ダム
山頂駅のまわりに立ち寄る施設などは特にない。我々は別のゴンドラ山頂駅へ向けて遊歩道を歩き出した。最初の下り坂では田代湖を望むことができる。
田代湖
しかし、元がスキー場なだけあって、一面紅葉の木々というよりは芝生とススキの原っぱが広がる光景の中、約10分歩いた先に苗場-田代間を結ぶゴンドラ(ドラゴンドラ)の乗り場があった。こちらにはレストハウスやいくつかの露店があって飲食休憩できる。

復路は苗場ドラゴンドラで

さくっとドラゴンドラに乗車。上り下りを繰り返しながら苗場までの長い距離を移動していく途中で見られるパノラマ的風景はなかなかのもの。紅葉の具合もまずまず。
ドラゴンドラからの紅葉風景
本当は渓流のそばを通る地点が一番の絶景スポットだったのだが、スマホで撮った写真に思い切り自分の指が入り込んでて、とてもお見せできません。あそこは本当にナイスだったから、ぜひご自身の目でお確かめください。
ドラゴンドラからの風景
紅葉が一番の目的なら、苗場からドラゴンドラ往復がベストかもしれない。田代ロープウェーとドラゴンドラを乗り継いでも、ドラゴンドラ往復でも、料金は同じである。

スポンサーリンク