たくさんのお風呂で笑って笑って60分 - 伊豆温泉村 百笑の湯

伊豆温泉村 百笑の湯
残暑の伊豆旅行の移動途中に立ち寄り湯できるところを探していたら、伊豆温泉村「百笑の湯」というのが目についた。百笑もしたらあごが外れてしまうけどいいのか? ってのはおいといて、お風呂の種類が多いから楽しめるだろうと思って行ってみることにした。

隣接するホテル・オリーブの木を含めた一帯が伊豆温泉村で、百笑の湯はその中の日帰り温泉施設という位置づけのようだ。

たしかに風呂の数は多く、源泉かけ流し浴槽はあるし、濃厚塩分の風呂や草津の湯など変わり種もある。そこそこ熱いから長湯するわけにはいかず長時間の滞在ではなかったものの、適度なワンポイントアクセントとなった。

伊豆温泉村・百笑の湯へのアクセス

大仁に近いレジャー施設の一部

旅の2日目。畑毛温泉・大仙家をチェックアウトしたのが11時とはいえ、次の宿まで遠くないから、まともに直行したら時間が超余ってしまう。そこで途中の通過点となる百笑の湯を頼った。住所は伊豆市だけど位置的には伊豆の国市大仁をイメージするのが近いと思う。

畑毛温泉からずっと下道を進んだ我々は別として、一般に東京方面からだと伊豆縦貫道・大仁南ICを出て国道414号を下田方面へ進む(次の熊坂ICは逆向きのハーフICなので注意)。熊坂IC入口を華麗にスルーしてほどなくすると狩野川を渡る橋と交差点が現れる。道沿いにホテルオリーブの木があるのもわかるはずだ。

この交差点を右折→次の角を右折で到着。看板もあるからすぐわかるっしょ。赤・青・緑の丸い屋根のコテージが並ぶ特徴的な光景はオリーブの木の客室群かな。そこから道を挟んだ向かい側が百笑の湯だ。

なお、鉄道旅の場合は伊豆箱根鉄道駿豆線・大仁駅から徒歩1kmで行けるみたい。まあ許容範囲でしょう。狩野川の流れを見ながらぶらぶら歩けばいい。

金山に湧いた温泉?

さて、車で到着した我々が敷地内に入ると、まず第2駐車場があった。あえてスルーして本館に近い第1駐車場へ進むと、車が結構止まっているぞ…やばい、人気施設とは知らずに欲をかきすぎたか…でもよく見ればあちこちに空きスペースがあった。ホッとして無事に駐車。

駐車場のすぐそばに小高い山がそびえていた。なんか人工的に開発され尽くした感が強いし廃墟のように見える。中腹あたりに「伊豆温泉村」「大仁金山」の大きなパネルが掲げられていた。後日調べたところによると大仁鉱山跡とのこと。もともと金山だったみたいね。

春先に行った土肥温泉でも金山で採掘していたら温泉が出て…のような話があったし、ここもそういう経緯があったのかもしれない。


ずらりと風呂が並ぶ内湯

1時間にするか、1日にするか

入館して鍵付き下足箱に靴をしまい、その鍵を受付に預けて料金を支払う。1時間券が税込814円(土日祝1034円)。滞在が1時間を超える場合は1日券となり1540円(土日祝2090円)。今回は1時間で出ると決めて1時間券を購入。引き換えに腕輪を受け取る。

大浴場は左手にある。その手前にお土産コーナーと漫画コーナーがある。1日券を買った客のためにはこういう施設もないとね。別途で休憩所・マッサージチェア・食事処なんかもあるみたい。
漫画コーナー
男湯の脱衣所には細長いタイプのロッカーが並んでいた。数はかなり多い。各自腕輪の番号に対応したロッカーを使い、開閉ボタンに腕輪を近づけてボタンを押すと開けられる仕組み。フェイスタオルは脱衣所にたくさん積んであるのを利用できるから、持参しなくても大丈夫。こいつはいいね。

掲示された分析書には「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、高温泉」とあった。

全部は入りきれません

浴室に入って最初のかけ湯はぬるい。当湯で一番ぬるかった。夏にはありがたい。で左右に広がる洗い場はたくさん。数えるのを忘れたくらい、十分すぎるキャパがある。

内湯だけでも相当な数の浴槽がある。とはいえ全部が全部温泉ではない。1時間券だし適当に絞り込んでいかないとな。まずは入らなかった方から紹介しよう。

右手すぐのところに水風呂。その隣は横に10名並べるサイズのトルマリン風呂。半分はジャグジーぽく泡ブクブクになっている。その隣が8名サイズのジェットバス。向かいにはアカスリだかマッサージコーナーだかがある。

源泉かけ流し風呂と塩の湯が目玉か

内湯の左半分にあるやつには入ってみた。まず8名サイズの炭酸泉。これは温泉ではないかもしれない。湯口・炭酸投入口の近くは炭酸泉なりにぬるいが、離れていくと普通のお風呂の適温に近くなる。利用者は相対的に多めでも空きはつねにある。都会のスーパー銭湯の炭酸泉と違って、永遠の満員御礼で入るに入れないという悲劇はない。

その隣に完全源泉かけ流しと題した浴槽。8名サイズの中にちょこんと腰かけられる台座が5つ配置されている。浸かってみると適温。お湯は無色透明で匂いなしだけど温泉らしい浴感はある。温泉目当てならここに時間を割くのはありかもしれない。

その隣に塩の湯。死海の塩を温泉に溶かし、塩分濃度は海水の7倍だとか。試しに浸かってみたら…おお、体が浮くぞ。体の力を抜いてお湯に身を任せるとプカプカと漂い始めるのだ。面白えー。でも姿勢が制御できなくて収拾つかなくなる前に手すりにつかまっておくのが無難。どうしても体が勝手に漂流するため、浴槽の本来のサイズにかかわらず一度に利用できるのは3名までだろう。出た後はシャワーで塩分を洗い流しましょう。

洗い場の奥に隠れるようにして、もうひとつの源泉かけ流し浴槽があった。ただしこちらには「完全」の枕詞が付いていない。その違いはようわからん。4名サイズの浴槽にやって来る客はほとんどなく、つねに独占可能と言っていい状態。浸かってみたらやや熱めだった。ぬるければ個人的な穴場だったんだけどなあ。


露天風呂も多彩なメンバー

続いて露天エリアへ出てみた。いきなり左右に分かれており、ひとまず右の方へ行ったら10名サイズの屋根付き岩風呂があった。草津の湯と名付けられた、真湯に入浴剤を混ぜて白濁硫黄泉ぽくしたやつだ。ちょっと浸かってみただけで体中が火薬臭くなってしまった。気分を変えたい時にどうぞ。

その向こうに3つの陶器風呂が並んでいる。それぞれ1名ずつが独占的に入る。源泉かけ流しとのことだ。お湯はややぬるめで結構だけど、屋根がなくて直射日光が当たってしまう。そのために長く粘ることはできなかった。季節がもう少し涼しくなってくれば、のんびりできてモアベターよ。

次に露天エリア左手の階段を下りていくと、いきなり水風呂。近くにはサウナ室がある。その奥に主役を張る大きな屋根付き岩風呂が現れた。20名でもいけちゃうくらいのサイズでありながらほとんど人がいなくて独占に近い。風呂の種類が多いから人が分散しやすいんでしょう。

お湯は適温。塀で目隠しされているため眺望はない。仮に塀がなかったらオリーブの木と「こんにちは」になっちゃうし。しばらく浸かった後、制限時間が気になってきたので時計を確認できる内湯へ戻り、源泉風呂などで時間調整して出た。

 * * *

とにかく風呂の種類が多い。ひとつの浴槽にじっくり浸かるというよりは、あちこちを移動しながら変化を楽しむスタイルになるだろう。「お湯と向き合う」などと生真面目に考えず、お風呂のテーマパークとして気楽に・シンプルに捉えられる人向き。

帰りに隣接する「手作り工房」でくるみあんパンを買ってみた。これがずっしり重い。結局旅行中は空腹を覚えず、帰宅してから食べたのだが、パン生地は薄めであんこの塊が鬼のように巨大だった。重いわけだよ。いくらなんでも巨大すぎるぞ、なんじゃこりゃあ。思わず百笑。