フレッシュな館の“若返りの湯” - 天竜峡温泉交流館 ご湯っくり

天竜峡温泉交流館 ご湯っくり
天竜川ライン下りで知られる天竜峡へ、旅の帰りに寄ってみた。目的はもちろん温泉。当地は単なる川下りの名所ではない。天竜峡温泉という名前の温泉地でもあるのだ。芸が多彩ですな。あばれ天竜さん、まじパネェっす。

お邪魔したのは天竜峡温泉交流館「ご湯っくり」。以前は若返りの湯という名前だった日帰り施設だ。ようし、おじさん湯船でゆっくりしちゃうぞ。それでもってメルモちゃんみたいに若返っちゃうぞ。

実際のところはスケジュールの都合もあって、そこそこの時間しか滞在できなかったのだが、まあのんびりできたという意味では“湯っくり”したかな。

天竜峡温泉交流館「ご湯っくり」へのアクセス

飯田線にのんびり揺られて

天竜峡温泉の最寄り駅はJR飯田線・天竜峡。東京方面からだと、特急あずさが走る中央本線と飯田線を乗り継ぐか、新宿から飯田まで高速バスで行って飯田線に30分乗るか。どちらにしても5時間半~6時間コースだから大変だ。

豊橋経由のルートならどうなるんだろうと調べると、通常は6時間以上かかるからアウト。唯一、新幹線ひかり号と特急ワイドビュー伊那路を絶妙に乗り継いで4時間で行けるパターンがあるにはあるけど…。

中央リニア新幹線が開通すれば飯田に駅ができるから状況は一変するだろう。天竜峡は観光地として大きく浮上するポテンシャルを秘めている気がする。まあかなり先の話だし、変にバブリーなリゾート開発しちゃったりするのはやめた方がいいと思うが。

駅から近い、ただし急坂

さて、自分は前泊地の湯谷温泉・はづ別館をチェックアウトして、飯田線に揺られること2時間半で天竜峡駅へやって来た。駅から「ご湯っくり」までは徒歩5分ちょっと。多めに見積もっても10分かからない。駅前に観光案内所があるし、途中に看板も出ているから、迷うことはないだろう。

途中で天竜峡をめぐる遊歩道と分かれて、結構きつい坂道を上っていった高台の上に当館の建物が現れた。地元の皆さんは当然のごとく車でやって来る。駐車場完備。
ご湯っくり前の駐車場
お風呂と食事処が合わさった建物はなかなかご立派なワイドスパン。リニューアルのおかげか、新しさを感じる外観である。


たしかにゆっくりできた天竜峡温泉

アットホームで新しい館内

中へ入ると正面奥に受付。入場料は500円。なんとなく手作り感のある雰囲気というか、地元のおばちゃん達がアットホームに運営してます的な空気が流れていて、ほっこりしてくる。

貴重品ボックスの置かれた廊下を抜けて脱衣所へ。館内もかなり新しい感じで、脱衣所の雰囲気に至っては、なぜか新築の家に入った瞬間を思い起こさせる。ロッカーに服や荷物をしまうのだが、鍵付きのやつと無いやつがあった。

掲示された分析書によれば「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、低温泉」。お湯がヌルヌルしてそうですな。ネット情報だと県下有数のラドン含有量を誇る弱放射能泉って話もあった。

広くてゆったりした内湯

浴室内もかなり新しい。相前後して一人のお客さんが入ってきたはずなんだけど、すぐに姿を見失った。自分は行かないサウナ室にこもったのかな。とにかく視界に入る限りでは独占状態だった。やった、湯っくりできるぜ。

これまたおニューな感じの洗い場は8名分。浴槽は余裕で10名いける大きめのが一つ。無色透明のお湯に浸かってみると予想通りヌルヌルした感触がある。加水はわからないが加温・循環・消毒はしていると思う。

広い湯船を独占できたのは良かったが、やや熱めだったのが残念。ぬるめが好きという個人的な嗜好からくる感想なので、これくらいが最高という人もいるだろう。

窓の外に天竜峡付近の自然を望むことができるのは気分がいい。天竜川はさすがに見えない。

つつじ橋を見下ろす露天風呂

内湯を早めに切り上げて露天風呂へ移動した。こちらは2名でいっぱいの小ぶりなサイズ。見知らぬ先客がいたら遠慮してしまいそう。外気のせいか、お湯がぬるくなっているのが、かえってよかった。

浸かりながらよくよく観察すると、腕などに細かい泡付きが確認できる。しかも湯船の中央付近にポコポコと小さいあぶくが生まれては消えていた。どうやら湯口からの投入とは別に、浴槽の壁面の一部から、あぶくが立つような形でお湯を噴出させているようだった。

仕掛けはどうあれ、ちょうどいいぬるさも手伝って、しばらくボケーっと浸かっていた。いい湯だに~。中腰になると天竜峡にかかる吊り橋「つつじ橋」を見下ろすことができる。

景色をより深く味わいたい方は、露天風呂横に置いてある椅子に座れば、高台のテラスから優雅に絶景を眺めるシチュエーションが楽しめる。裸で座っているこちらの姿が表に露出してしまうような気もするのだが…。

なお、当館には休憩室の横から階段を上ったところに正式な展望室とデッキがある(自分は行ってない)。


食事処「そばの郷 農耕百花」もヨロシク

40分ほど経って入浴を続けるか食事かで迷ったあげく食事をとった。信州に入ったもんで、そばを食べてみたくなったのだ。ちょうど館内に「そばの郷 農耕百花」なる食事処があったので入ってみた。空いてたから、おひとりさまでも気後れせずにすんだ。

自販機で食券を買う方式。どれも地産地消っぽいメニューでよさげ。中でも人気の品として推されていた「畑そば」を注文してみた。ピリ辛の味付けらしいんだけど、辛いのは人並みにはいけるんで。出てきたのがこれ。
農耕百花の畑そば
野菜たっぷりでいいんじゃない。で、食べ始めると…うわあ辛い。ラー油系の辛味がヒリヒリ来る。食べるラー油みたいな抑えた刺激じゃない。思ってたよりワイルドだった。

でも東京にもラー油入りそばの店があって食べに行ったことがあるし、そばとラー油系は実は合うんだろう。副菜に手を伸ばすと、食感と甘さが缶詰の桃っぽいなと思える加工果物だった。いや、土地柄を考えるとりんごを漬けたやつじゃないかな。


おまけ:飯田線の秘境区間とちょっとだけ天竜峡

秘境駅が続く飯田線

飯田線の中部天竜~天龍峡の区間は天竜川の大自然的な絶景と秘境駅の宝庫として知られている。今回の移動の際にそれらの要素を楽しめるかなと思って期待していた。

だが秘境駅の方はただ列車に乗っているだけだと、よくわからないままに終わってしまう。降りて探索する余裕を与えてくれるわけでもないしね。たとえば人気の秘境駅として知る人ぞ知る小和田駅。
小和田駅
車内から窓越しにホームを覗くだけじゃ秘境らしさが全くわからない。他の駅も似たようなものだった。

絶景の方は時おりスケールの大きさを感じる大自然がちらちら見える。でも基本的には木々の間から断片的に見えるのみ。トンネル区間も多いし。唯一、平岡~為栗駅間は遮るものが少なく、絶景を楽しめる。飯田方面へ北上する列車なら左側の席がおすすめ。
為栗駅付近の天竜川
あと唐笠~天竜峡駅間もライン下りのコースになってるだけあって峡谷がすばらしい。全般に、秘境区間は写真撮影に気を使うよりライブ感を楽しんだ方が幸せになれる。

天竜峡ダイジェスト…龍角峯とつつじ橋

「ご湯っくり」を出た後、露天風呂から見えたつつじ橋まで歩いてみた。遊歩道が整備されていてすぐに行ける。まず見えてきたのが龍角峯。龍角散じゃないよ。あまりにも巨大すぎる1枚岩だ。
龍角峯
そしてこれがつつじ橋。奥に先ほどの龍角峯が見える。吊り橋だけど比較的がっちりしており、そんなには揺れない(全く揺れないとは言っていない)。
つつじ橋
橋の上から上流方向を撮ったのがこれ。たしかに峡谷らしい地形。ご湯っくりは左側の崖の上ってところにある。よく考えたら、なんちゅうとこで温泉やっとんねん。その場所で湧いてるのじゃないにしても。
つつじ橋から見た天竜峡 上流方向
そして下流方向がこれ。こういうところをライン下りの船が進んでいくわけだ。…いや実は乗ったことあるんですけどね。その頃は温泉への興味が薄くて、ベタな観光目的のグループ旅行で来たのだった。
つつじ橋から見た天竜峡 下流方向
それが今じゃ温泉に入ったら満足してあっさり引き上げちゃうからね。ってことで見学はそこそこに、飯田線で飯田駅まで行って高速バスで新宿へ戻った。週末の1泊2日旅行にしては今回の中身は濃かったな。