おいしい手打ちそばとドバドバぬる湯の両方を味わえちゃう、そんな夢のようなお店が三瓶温泉にあった。そばカフェ湯元…もとは旅館だったのが震災被害を受けて、そば処+カフェ+日帰り温泉の業態で再出発したらしい。今回の島根遠征では初日のお昼頃に付近をうろうろしてる計画だった。ランチと立ち寄り湯にちょうどよさそう。
湯元(湯本)と名の付くところは、一帯の各施設に源泉を配給する立場であることが多いからお湯の質が良い可能性が高いという話もあり、期待していたら確かにいいお湯だった。ドバドバと結構贅沢に源泉をかけ流しており、ぬるめなのでゆっくり楽しめる。男湯は浴室が3つもあって、食事のついでどころじゃない本格派。
さんべ温泉「そばカフェ湯元」へのアクセス
そばカフェ湯元までのアクセスは鉄道旅の場合、JR山陰本線大田市駅で下の町・青少年交流の家行きバスに乗って、奥の湯入口で下車。バス通りから分岐する狭めな道を徒歩3分。バスの時間さえ都合つけば大丈夫でしょう。
多くの方は車で行くことになろうかと思う。三瓶山高原道路を走るのだろうが、初見で気をつけなければならないのは、先ほどのバス停や狭めな分岐道は三瓶山高原道路の橋の真下にある。高原道路から直接進入できない。
自分もレンタカーで小屋原温泉熊谷旅館に立ち寄り湯してから当館へ向かう際にちょっと迷った。カーナビでうまく検索できなかったので、そういう立体交差だと知らずに2次元地図を見ながら漫然と交差点を探して走ったから迷ってしまった。
高原道路を北から来る場合は国民宿舎さんべ荘のところ、東・南から来る場合は「三瓶温泉」の看板が経つ交差点のところを集落内の道へ曲がっていくのが正解。
バス停から先の狭めの道は本当に狭い。自分が湯元の駐車場に止めてしばらくしたら、ちょうどお昼時に突入したせいか、次々に車がやってきて駐車場はすぐ一杯、しかも出る車と入る車が狭い道でお見合いして立ち往生、みたいなシーンが展開していた。ランチタイムのピーク時はご注意。
まずは手打ちそばをいただきましょう
そんなわけで店内は混雑していた。ぼっち客だから空いてるカウンター席に座れたけど、4人がけテーブルや座敷は埋まっていて、お連れさんがいるグループの待ち行列が発生している状態。大人気ですな。
あとでお風呂に入りたい旨を告げて、では注文しましょうかね。ご飯ものもあるけどせっかくだからそばにしよう。よし、とり天そば。
とり天の1個1個がでかくて数が多い。なかなかボリューミーじゃないか。手打ちの十割そばは風味が良くてしゃっきりしている。ぼそぼそじゃない。お腹空いてたし、ボリュームをものともせずツルツルっとたいらげてしまった。湯呑みに入ったそば湯もあるよ。
はぁーごちそうさま。会計時に再びお風呂に入りたい旨を告げる。混雑でてんやわんやの時に面倒なことを頼んじゃってすいませんね。食事代+入浴料600円を払って会計完了。ご主人が「ちょっと待ってくださいね」と男湯の中を確認し(人口密度に余裕があるかどうかのチェックだと思う)、はい大丈夫ですとのこと。
お店の奥に超本格派の温泉
黄土色の世界に金気臭の湯
さあここからいよいよ三瓶温泉の体験です。脱衣所には鍵付きロッカーが並んでいる。分析書をチェックすると泉質は「含鉄(II,III)-ナトリウム-塩化物泉」であった。湧出温度は34.8℃、提供場所で34.0℃だったかな。
ややコンパクトな浴室には3名分の洗い場。シャンプーやボディソープは完備している。3~4名サイズの四角い内湯浴槽には黄土色に濁ったお湯。湯口からドバドバ投入されているので、あふれたお湯が床をじゃぶじゃぶ流れている。
浸かってみるとぬるめだけど34℃よりは熱い。若干加温しているのかな。濁りのため浴槽の底はまったく見えず、泡付きとかもよくわからない。金粉のような湯の花がいっぱい舞っているのだけはわかった。お湯をすくって匂いを嗅ぐとかなり強めの金気臭。
析出物によって浴槽も床も茶色く変色している。思い出補正ありで言うなら、壁も天井もすべてが黄土色~茶色に染まってた印象しかない。とにかく鉄みと茶色みがとんでもない。こりゃすげーな。
正真正銘のぬる湯を楽しむなら第2風呂へ
と、浴室奥の戸が開いて、ひとりの先客が姿を現した。もしや、この先に別のお風呂があるのか?…ありました。2つ。つまりお風呂は全部で3つあったのだ。気づかず帰ったらもったいないところだった。あぶねー。
2つ目のお風呂はやや小さめの浴室に3名サイズの内湯浴槽。洗い場なし。シャワーを固定する留め具が壁に残っているのみ。こちらのお湯は34℃ですねっていうくらいの真正ぬる湯だった。温度以外の特徴は先ほどと同じに違いないけど、窓から入ってくる光のせいで色が少し黄色側に寄っている。湯口が見当たらなかった記憶があるなー。浴槽内のどこかから投入しているのだろうか。
こちらのお湯は本当にぬるいから長時間粘っても全然平気。いつまでものぼせることはないだろう。ひとりで入るには収まりのいいサイズだし、気に入った。
広めで岩風呂風味の第3風呂
3つ目のお風呂は4名サイズで、内湯ながら周囲に岩を配して岩風呂スタイルに作ってある。岩の間からお湯が流れてくるような湯口になっていて風情重視。とはいえ温度を含めたお湯のクオリティは2つ目と同じだから文句なし。しかもドバドバ。
こちらも窓が付いていて外が見えて光が入ってくる。3つの中ではやや広めの浴室で余裕あるつくり、窓のおかげで明るい雰囲気もあり、グループで来た人たちに向いているんじゃないかな。
途中で先客が去り、独占状態のまま3つのお風呂を行き来してすっかり満足した。これほどのぬる湯であれば1時間は粘るところだ。どうせ雨で屋外の観光スポットはあてにならないし、宿にチェックインする15時まで時間はたっぷりある。でも結局は意識して40分くらいに抑えてしまった。
ここのそばを食べて温泉に入ったら妙に元気が出てきて、「あともう1湯チャレンジできるのでは?」と思いついちゃったのだ。雨で観光できないなら温泉めぐりすればいいじゃない。そのためにもここで仕上がりすぎないようにセーブしておこうというわけで。不思議と前向きなテンションで、そばカフェ湯元を後にした。