再建の日を待つ首里城:たっぷり歩くつもりで計画を

首里城
温泉めぐりが目的の沖縄1泊2日ツアー。しかし少しは観光もしてみたい。時間の都合から那覇を離れて遠くへは行けないし、そうなるとまず思いつくのが首里城。2019年の火災により正殿ほか広い範囲が消失した後、現在どうなっているのかも気になった。

一帯は首里城公園として整備され、核心部はまだまだ再建待ちといった感じで一部立ち入れない区域もあるが、大部分は見て回ることができる(※2020年暮れ時点)。加えて高台からの景色を楽しめるという要素があるのは知らなかったな。

歩く距離は結構長い。入場してすぐ建造物があって終わりではない。ゆえに所要時間は長めに見積もっておく必要がある。今回も過去の例にもれず時間に追われて駆け足見学になるかと焦ってしまった。

首里城へのアクセス

ゆいレールに首里という駅があるから首里城はそこが最寄りだろうと決めつけてたら実際そうだった。あるいは隣の儀保駅でもやりようによってはありかもしれない。

ちなみに逆方向の隣駅・石嶺のあたりには映画「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」(第25作)でリリーが入院していた病院ロケ地がある。現在は別の病院になっているらしい。残念ながら今回はそこまで探索する余裕はない。首里城に全集中だ。

とりあえず首里駅から歩き出すと、わりとすぐに公園入口らしき上り坂が現れた。ここが首里城公園の端っこなのか? 入って行きたくなるが、看板を見るとそっちは上の毛という公園で、首里城公園にうまく接続できるかどうか自信がない。無難な車道沿いのコースを進んだ。

結局、首里城の入場ゲートまで15分歩くことになった。首里駅下りてすぐと思ってはいけない。

首里城の前に玉陵を見学

さあでは首里城へ…ちょっと待て、気になる看板が…「玉陵→この先100メートル」。玉陵(たまうどぅん)は琉球王国第二尚氏王統の陵墓。ノー予習だったがどうにも気になったので先に寄ってみることに。入場料300円。

まずは資料館。地階に展示室がある。詳しい解説はできないので割愛して表へ出ると、ガジュマルやアカギの木のトンネルを通る。
ガジュマル・アカギの木
いよいよ陵墓へ至る門の前。穴の向こうにちらちら見えてますけども。
玉陵 陵墓前の石門
門を2つくぐった気がする。その先に石造りの立派な遺跡があった。結構大きい。これが王族の墓ってことか。中に入れるものと無邪気に考えていたけど、んなこたぁない。進めるのはここまで。で玉陵見学は終了。
玉陵

結構広い首里城公園

いくつもの門を通って

さあ今度こそ首里城へ。中は広そうだな。この先、結構な時間をかけて歩くことになりそうだ。これまで温泉一人旅の中で行っていた観光はいつも時間が足りなくて、半ば走るようにしてチラ見で通り過ぎるだけのダイジェスト版になりがちだった。今回もそうなっちゃうのか?

時間を気にしつつ見学スタート。出迎えてくれたのは有名な守礼門。
守礼門
門の先を右に曲がると木曳門・西のアザナといった見どころがあったようだけど気づかずスルーしてしまった。ぱっと見で目についた園比屋武御嶽石門の方へ引き寄せられていた。
園比屋武御嶽石門
その先には歓会門。いくつも門を通って中心部へ近づいていく構造。城だからね。
歓会門
歓会門の先は道が二股に分かれており、久慶門のある左側は帰路に通る。石段を上るいかにも順路っぽい方の右側には瑞泉門がある。当時は工事中でこのような姿に。
瑞泉門

漏刻門・奉神門を経て核心部へ

石段はさらに続く。上りきったところが漏刻門。かつてはここに水時計の水槽が設置されていたとのこと。だから漏刻なのか。
漏刻門
漏刻門を抜けたところは一種の展望台となっていて北方を一望できる。遠くは浦添の町並みですかね。海も見えて気持ちのいい眺めだ。付近には日時計や万国津梁の鐘(複製)もある。
漏刻門の先の展望広場から
この展望台からいよいよ核心の手前にあたる広場・下之御庭へ進む際にくぐるのが広福門。
広福門
下之御庭にドドンと立っている奉神門。奉神門から先は有料区域となる。復元中の当時は400円。
奉神門

復興の日を待つ正殿跡

奉神門をくぐると御庭…うわあー広々ー。火災で消失した跡地ではない。もともとこのような朱と白のストライプが特徴的な広場だったのだ。ただし見学路は端っこ(北殿跡?)を回るようについており、立ち入り不可の中央部には黒い袋の塊が並べられていた。正面にあるはずの正殿もなくなっている。
御庭
正殿跡と思われる場所。本当に100%焼失してしまったんだなあ。屋根の上にあった龍頭棟飾の目・ひげ・うろこなどのパーツが地面の上に展示されていた。
正殿跡
正殿跡側から奉神門を見る。
正殿跡側から見た奉神門
正殿の地下遺構もガラス越しだがしっかり見ることができる。世界遺産に登録されている文化財だ。
首里城の地下遺構
奥にある女官居室の中は売店になっている。続く世誇殿には「首里城VR体験」という看板が立っていた。消失前の首里城の姿をVRで再現する機材が置いてあるみたいだ。中に入るとイメージ映像をプロジェクターで投影するスクリーンの前にパイプ椅子がたくさん。時間が気になってすぐ立ち去ったため、VR体験の詳細を把握するには至らず。
世誇殿
世誇殿に隣接して首里城復興展示室もある。中には赤い屋根瓦や獅子瓦の展示など。
首里城復興展示室の獅子瓦

眺望が見事な東のアザナ

この先、有料区域最奥部になる東のアザナまでは石の回廊を上っていく雰囲気になる。白銀門を過ぎて到着した東のアザナはやはり展望台として絶好の撮影スポットになっていた。首里城内で一番高い場所かもしれない。こちらは東方向。
東のアザナから東方向
正殿・奉神門を含む西方向は冒頭写真のほか、このような感じ。
東のアザナから西方向
よし。東のアザナまで来てやり切った感もあるし…もちろん全スポットの全細部まで見ようとしたらキリがないが…戻るとしようか。正殿の近くまで戻ってくると、浴場跡とされる一角があるのに気づいた。
浴場跡
風呂場だけあって目隠しの壁に囲まれている。よし、この温泉旅とのつながりもできたぞ、なんとなく。

帰路にも見どころあり

帰路は奉神門ではなく淑順門から出ていく。
淑順門
淑順門の近くにはガマ遺構も見られる。ちょうど東のアザナの崖下に穴を掘った感じだ。
ガマ遺構
首里駅から帰るなら守礼門まで戻る必要はない。帰路の途中の久慶門から出ていけばいくらか近い。帰りも上の毛公園を通る冒険はせず車道沿いに首里駅まで歩いた。
久慶門
ふう、玉陵込みで結構歩いたぞ。しかし時間をたっぷり取っていたおかげで、いつも各地でやってしまう駆け足ダイジェスト版にはならず、観光客としての一般的なペースで拝観することができた。西のアザナとかVR体験とか、そもそも足を延ばして金城町石畳道・金城ダム・識名園とか、どこまでも欲を言えばキリがないけど、自分としては消化不良感なし、満足です。